No.463340

バカとテストと召喚獣~バカと天才と復讐者~第3話

闇の男さん

更新が遅れて申し訳ありません

2012-08-01 14:18:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3275   閲覧ユーザー数:3201

「失礼します」

 

俺は職員室の扉を開けた。ほとんどの教師がHRに出ているのだろう。あまり人がいな い。

 

『おや、君が西村先生の義弟さんですか?』

 

声の方向を見ると、寝癖のついた髪にヨレヨレのシャツを着たあまりパッとしない先生 が立っていた。

 

「私は君の担任の福原慎です。今からHRを始めますのでついてきて下さい」

 

「分かりました」

 

歩き出した福原先生の後ろを俺はついて行く。

 

(なんだろう、この人。歩き方は少し頼りないって感じなのに、隙がない)

 

前を歩く福原先生を観察しながら考える。すると福原先生がドアの前で止まったので俺 も立ち止まる。

 

「えーと、ちょっと通してくれませんかね?」

 

福原先生が覇気のない声を出した。後ろから見ると、開ききったボロいドアの所で、さ っきすれ違った男子生徒と、身長は180センチぐらいで野性味たっぷりの顔とツンツ ンと立っている短い髪をしている男子生徒が通路を塞いでいたのだ。

 

(バカっぽい方は、痩せてるな。筋肉もついてない。デカい方は中々良い体つきをして いるな。中学の時慣らした口だな)

 

「それと席についてもらえますか?HRを始めますので」

 

「はい、わかりました」

 

「うーっす」

 

2人を観察していると福原先生が言ったので、2人とも返事をしながら俺を見て席に着 いた。福原先生の後から教室に入ると、カビ臭い空気が口と鼻からはいる。畳が腐って いるのだろう。クラス全員が俺に注目してくるが、気にしない。

 

(ボロ卓袱台にボロ座布団。隙間風が入ったり蜘蛛が我が物顔で巣を作っていたり、壁 はひび割れと落書きだらけ。義兄さんから聞いてたけど予想より酷いな)

 

軽く唖然としていると、壇上で福原先生が口を開いた。

 

「おはようございます。2年Fクラス担任の福原慎です。宜しくお願いします。このク ラス設備について、不備がある場合極力自分で調達して下さい。では自己紹介から始め ましょうか。まずは西村君から」

 

福原先生が指名してきたので少し前に出る。

 

「今年からこの学園に来ました、西村梓です。今までアメリカにいましたが、日本語は 喋れますし読み書きも出来ますので安心して下さい。1年間よろしくお願いします」

 

最後にお辞儀をする。これぐらいで良いだろと思い、空いている席へと向かう。このク ラスは席すら決まってないからな。

 

「では、次は廊下側の人からお願いします」

 

『木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる』

 

先程のバカっぽい人の前に座ると、何とも爺臭い言葉遣いが聞こえてきた。その人を見 てみると

 

(・・・・・木下さん?いや弟さんか。似すぎだろ・・・)

 

一瞬目を疑った。身長も同じように小柄で、顔も木下さんが言ってた通りそっくりだ。 見た目で判断する場合ピンの留め方と服でするしかない程だ。

 

(あぁ、これは人目を引くわな)

 

喋り方も喋り方だし、顔も木下さんにそっくりな為に綺麗だ。

 

『・・・・というわけじゃ。今年1年よろしく頼むぞい』

 

微笑みを浮かべて自己紹介を終える木下君。微笑みも綺麗、というより可愛いと言った 方が良いかな。けど男だから大して感情は出て来なかったがな。

 

(後ろのバカっぽい人の息が荒いのは風邪だろう。そう願いたい。いくらバカの集まり でも女と男の区別は付くはずだ。同性愛者じゃなければだが・・・)

 

そんな事を考えていると、既に次の人が自己紹介を始めていた。

 

『・・・・・・・・土屋康太』

 

(口数が少ないな。身体は小柄だが引き締まっている。運動神経は良さそうだ。ただ、 ポケットから出ているピンボール型監視カメラは何に使うのか教えて欲しい。授業に使 う物か?)

 

『島田美波です。海外育ちで、日本語は会話は出来るけど読み書きが苦手です』

 

と、考えていると次の人が始めていた。今度は女子だ。

 

(同じ帰国子女って事か。それにしてもこのクラスは女子がいないな。島田さんぐらい か)

 

見渡してもいるのは男だけ。夏とか暑くてヤバいかもしれない。そんな事を考えている うちにどんどん自己紹介が進んでいく。名前を聞き、その人の顔を見て覚えていく。そ して俺を飛ばして後ろの席の人の番となった。

 

「吉井明久です。気軽にダーリンと呼んで下さいね」

 

『ダァァーーーリィーーーン!!!』

 

クラスの大半が吉井君を向いてそう叫んだ。

 

「失礼、忘れて下さい。一年間よろしくお願いします」

 

吉井君はそう言って座った。なんと言うか、クラスのノリにこっちがビックリした。一 時呆然としていたが、気を取り直してクラスの名と顔を覚える作業に移る。

 

(残り数人か・・・。最後はクラス代表の坂本君だから・・・・・あれ?資料の人数と 一致しない?遅刻者でもいるのか?)

 

首を傾げながらもう一度人数を確認しようとしたとき、

 

ガラリ

 

という音と共に教室のドアが開き、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が入って きた。

 

「あの、遅れて、すいま、せん・・・・」

 

『えっ?』

 

女子生徒が言った瞬間、教室全体から驚きの声が上がる。

 

(どうしたんだ?皆、あの子がどうかしたのか?)

 

クラスメイトを見渡しながら首を傾げると、教室内で数少ない平然としている福原先生 がその子に顔を向けて話しかけた。

 

「丁度良かったです。今自己紹介をしているところなので姫路さんもお願いします」

 

「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします」

 

小柄な身体をさらに縮こめるその子。

 

(資料を見てみるか)

 

俺は鞄を卓袱台の下に置いて、中からA4の紙の束を取り出す。この紙にはこのクラス 1人1人の成績や経歴が載ってある。顔写真が無いのが偶に傷だが。

 

(姫路瑞希・・・・・・成績は1年の時から学年次席をキープしているな。だが、身体 が弱い為、振り分け試験を途中退席と・・・。この学校、振り途中退席したら0点扱い するからなぁ。あ、後ろの吉井君て観察処分者なんだ。坂本君以外の人のは見てないか ら気づかなかったな)

 

ついでに全員のを見ようとしたとき、視線を感じたので素早く資料を鞄に戻す。そして 、視線の先を辿る。

 

(斜め後ろの横・・・・・。吉井君の左の左か。つまり・・・・・坂本君か。流石は元 神童。観察力は並じゃないな)

 

後ろを軽く振り向く様にして坂本君の方を見ると、坂本君は鋭い目で俺を見ていた。俺 は坂本君に笑みを向けて、姫路さんが席に座ろうと通り過ぎた瞬間再び前を向いた。坂 本君も姫路さんが隣に座ったらもうコッチを見なかった。

 

(さて、元神童。どうするのか楽しみだ)

 

後ろから聞こえる話し声を少し意識を向けながら、可能性を考えていく。

 

(このまま何もしないか、それとも動くか・・・・)

 

その時、福原先生が後ろの吉井君達に向かって言った。

 

「はいはい。そこの人たち、静かにして下さいね」

 

パンパン、と教卓を叩きながら注意を発したその時、

 

バキィッバラバラバラ・・・・

 

発破解体のように教卓がゴミ屑と化していった。この教室、義兄さんが殴っただけでぶ っ壊れんじゃないか?と心配になってしまう。

 

「え~・・・・替えを用意してきます。少し待っていてください」

 

気まずそうにそう言うと、福原先生は足早に教室から出て行った。

 

「あ、あはは・・・・」

 

斜め後ろから姫路さんの苦笑いが聞こえてきた。そして、

 

「雄二、ちょっと良い?」

 

吉井君の声が聞こえてきた。その声は、少なからずの決意が籠もっている。

 

「なんだ?」

 

坂本君がそれに答える。

 

「ここじゃ話にくいから、廊下で」

 

「・・・良いだろう」

 

2人が立ち上がる気配を感じ、少し後ろを見ると、坂本君がドアから出ようとした時、 俺を見た。俺も坂本君を見た。視線が1秒も満たないが絡み合った。

 

(動くか?どうやら吉井君は正義感、と言うより優しいみたいだな。だったら姫路さん の為に試召戦争を起こすか・・・・。そして、坂本君もそれに乗るだろう)

 

閉まっているドアを見ながら考える。その時、姫路さんもドアを不思議そうに見ている ことに気づいた。俺は体の向きを彼女に向けた。

 

「気になりますか?吉井君の事が」

 

「ふぇ!?はええいいえいえ」

 

この慌てぶり・・・どうやらビンゴらしい。まあ、さっき盗み聞いてた言動から推測し た事なんだけど、当たるもんだな。

 

「隠さなくても良いですよ。丸分かりですから」

 

「そ、そんなにですか?」

 

「吉井君は気づいてませんけど、坂本君は気づいてるでしょうね」

 

「そ、そうですか。ところで・・・・えーと」

 

「あ、すいません。俺は西村梓といいます。今年からここに通う事になった新参者です 。よろしくお願いします」

 

「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」

 

深々と頭を下げあう俺と姫路さん。その時先生が新しく持ってきた教卓、坂本君、吉井 君と共に入ってきた為前に向く。

 

「それでは続けましょうか。坂本君、あとは君だけです」

 

坂本君が静かに立ち上がって教卓へと歩を進める。

 

「坂本君はクラス代表でしたよね」

 

先生の問いも静かに頷いた。そして、教壇に立った。

 

「Fクラス代表、坂本雄二だ。皆俺のことは坂本とか代表とか好きに呼んで良い」

 

俺等を見渡しながらそう言った。

 

「ここで、皆に聞きたいことがある」

 

そして今度は教室を見渡す。

 

腐った畳

 

傷だらけの卓袱台

 

隅々まで落書きがある壁

 

全てがFクラスの環境の悪さを物語っている。

 

「皆、Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいが・・・・不満 はないか?」

 

『大ありじゃぁーーー!!』

 

俺と姫路さんを除いたクラスメートが力強く叫んだ。

 

「だろう?俺もそう思う」

 

クラスメートの叫びを聞きながら首肯する坂本君。

 

「そこでだ・・・・」

 

そして怒りに燃えるクラスメートに、

 

「Aクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」

 

そう言った。これが、これから起こる嵐の発生源となる言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

 

更新遅くて申し訳ありません

 

毎日の部活が大変で・・・・←(言い訳

 

出来るだけ早くするよう心掛けます

 

ここで1つ疑問が

 

クラスメート?

 

クラスメイト?

 

どっちなのだろう・・・・・。一応クラスメートで書いてるけど・・・不安です

 

それでは皆さん良い夏休みを


 
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