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魔法少女リリカルなのはTime Leapなの? 〜過去に戻った高町なのは〜 【無印 After & A's Before】 第四十八話

新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。

任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。

なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!

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2012-07-29 14:20:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3105   閲覧ユーザー数:2961

 さて、すずかちゃんの家にある応接間にて私とアリサちゃんはすずかちゃんと向き合って座ります。

 

 先ほどまでは紅茶を運んできたファリンさんが居たのですが、すずかちゃんが席を外すようにと言ってこの部屋には私たち三人しかいませんでした。

 

 

「それで、どっちから話しましょうか? 私たちもすずかちゃんの事で聞きたい事がありますし、すずかちゃんも私たちの事で聞きたい事がありますからね」

「じゃあ、私から離すよ。まず、誘拐の件なんだけど――」

「あ、その話は良いですよ。先ほどすずかちゃんを救う前に外で聞いていましたし、大体の事は察しましたからね。アリサちゃんもそれでいいですよね?」

「ええ、今はそっちの事よりもどうしてすずかがなのはの血を吸っていたのかっていう方が気になるから」

 

 

 あの会話から察するに、大方すずかちゃんの親の仕事がらみでしょうね。社員の誰かが社長の座を奪おうとしたそんな感じの。

 

 ちなみに私が気絶させた誘拐犯達ですが、今はもう警察に逮捕されているでしょうね。親に連絡した後すぐに警察に連絡しましたからね。

 

 これまたちなみに、あのときアリサちゃんの連絡ですずかちゃんが誘拐されたことを知りましたが、その間にすずかちゃんの親にも娘を誘拐したという連絡があったようです。だから私がすずかちゃんを救った時に警察に連絡したらすぐに駆けつけた感じです。

 

 まぁ、一度警察には来るようにとは言われたのですが、すずかちゃんが誘拐されたショックで行けないと言いましたら、後日っていう事になりましたね。

 

 警察の事情聴取は私が苦労するとは思いますが、それよりも帰った時の方が怖いです。短刀の木刀を勝手に持っていったのはばれていると思いますし、すずかちゃんを救ったのは多分私だと連絡した時に気づかれましたからね。深追いするなと言われたくせして深追いしたのですから怒られるのは当然かと思いますし、怒られる覚悟で帰りましょうか。

 

 まぁ、そんな話は今はどうでもいいですし、そんな事よりも今はこちらの話の方が重要ですし。いや、私は前の世界ですずかちゃんの事は知っているのですけど一つだけ疑問に思っている事がありますし。

 

 

「それじゃあなのはちゃんとアリサちゃんの言うとおり、私の一族の事だけ話すね。私の一族は『夜の一族』って言われていて簡単に言えば――」

「吸血鬼っていうこと?」

「アリサちゃんの言う通り吸血鬼っていう事なの。元々は同じ人間だったのだけど、突然変異してこうなってしまったらしいのだけどね」

 

 

 ここまでの内容は前の世界のすずかちゃんでも聞きましたから知っていましたが、やはり改めて聞くとどうして突然変異するような事になったのかっていう事が気になりますね。いや、前の世界の時に運動が苦手だったから気になるわけではありませんよ本当に。

 

 とりあえず、私も知らないっていうふりをしておいて聞いてみることにしますか。

 

 

「それで、血を吸った人間はどうなるのですか? 一応私はすずかちゃんに血を吸われていますから念のため聞きたいのですけど」

「それについては大丈夫だよ。別に血を吸った人間も吸血鬼になるっていう訳ではないのだけど、運動能力や再生能力などが高くてその代償として人の生き血が必要になるだけだから」

「成程ね。通りですずかの運動能力が高かったわけか」

「他人から見たらドーピングと同じようなものなんだけどね」

 

 

 すずかちゃんはアリサちゃんの言葉に苦笑いしながらも答えた。まぁ、確かに他人から見ればそのように思えてしまいますよね。

 

 いやだから、どうして突然変異したのかなんて別に気になってませよ……多分ですが。

 

 まぁ、今の私は運動もかなり出来ますから大丈夫ですなんですけど、やはり運動が苦手だったこともありましたから気にしてしまうのでしょうね。私は努力してここまでやってきたのですから。

 

 

「でもね、私たち『夜の一族』は本来異性の生き血の方が取り込みやすいの。だけど、なのはちゃんだけは違って異性と同じくらい血を取り込んでいた」

「え、それじゃあすずかの話の通りならば、なのはの血を吸っていた事っておかしい事じゃないの? 同性ではあまり取り込みにくいっていう事だよね?」

 

 

 アリサちゃんの言うとおりです。私がすずかちゃんから聞きたかったのはこの事で、どうしてあの時私の血を求めたのかが気になったのです。あの時地面にはたくさんの男性が倒れていた筈ですし、それなのに私の血を吸ったことだけはどうしてなんだろうと思っていたのです。

 

 

「アリサちゃんの言うとおりそうなんだけど、それはどうしてなのか私にも分からないの。なのはちゃんの頬が男の人に切られたときに、なんか急に血が欲してしまったようで」

「……それって、他の人よりなのはの血を欲したっていう事?」

「そうなるのかもしれない。『夜の一族』でも今までこんな前例はないとさっき二人を待たせているときに言われたし」

「前例がない。となると状況によってはまずいかもしれませんね」

 

 

 正直ここは空気を和らげるべきなのではないかと思いますが、実際そんなことを言っている場合ではないと思うのです。

 

 異性の血より私を欲するという事は何かないとおかしい。その原因が分かればいいのですけど、私たちが出来ることはすずかちゃんがどんな状況を聞くだけしかありませんね。

 

 

「まず質問ですが、私の血を見たときはどう思ったのですか?」

「……それが、なのはちゃんの血は見ていただけで急に渇き始めたの。その後なのはちゃんを血を吸った時は異性の血や同性の血を吸った時とはなんか違って、かなりおいしいと思った。さっき運動能力とかどうなっているのかこっそり確認したのだけど、それも異性の時とは格段に違って長時間血を吸わなくて平気のみたいな感じだった」

「でも、前にも私のけがを見たときには何ともありませんでしたよね。それはどういう事なんでしょうか?」

「それは分からないの。今までなのはちゃんの血を見ても平気だったから、その間に私となのはちゃんの間に何かあったとしか考えられなくて」

 

 

 私がそれまでに変わったことですか? 別にあの時から魔法は使っていましたし、変わっているとしても魔法を頻繁に使うようになったぐらいです。そんなことで私の血が変わるとは思いませんし、すずかちゃんに関しては私よりも変わったところはないはずです。ってなると私になるという事ですが――

 

 

「……あ」

 

 

 思い出しました。そういえば数日前に自分にあるものを注射したことを忘れてました。あれは自分の血に自分の魔力を注ぎ込んで、思考から魔法を使うまでのスピードを血流を使って早めるっていう、別の実験途中に出た偶然の産物を使ってみただけなのですが、もしかしたらあれになんか吸血鬼に対して副作用があったのかもしれませんね。それとも魔力を血液全体に流したことによって、吸血鬼にとっては良い影響になってしまった可能性もありますね。

 

 っていうかこれ、なんか嫌な予感がするのは気のせいですか? 魔力が入った私を血をすずかちゃんは吸ったのですよね……

 

 

「なのはちゃんどうしたの?」

「あ、いえ。そういえば私の方の血を数日前に弄ったことを思い出しましたので、それが原因ではないかなと思いまして」

「……あぁ、なんかこの前引きこもってやってたあれの事ね」

 

 

 あの時はアリサちゃんも一緒に向こうへ行っていましたので、隣で納得していました。何をしていたのかは言っていませんが、自分に何かを注射などで打ち込んだのだろうとアリサちゃんは察したのです。

 

 すずかちゃんには分からない内容ですが、その話は私たちの話をしてからの方が良さそうですね。

 

 

「そうなると、一度私とアリサちゃんの話を聞いた方が良いと思いますので、次は私たちが話しますね」

「え? それは構わないけど、私が吸血鬼なのに何も言わないの?」

「別に何か言う必要がないとおもうけど? なのはも別にないよね?」

「えぇ。すずかちゃんはすずかちゃんでそれ以上でもそれ以下でもないのですから、この話はここで終わりで良いと思いますが?」

「……ありがとう。なのはちゃん、アリサちゃん」

 

 

 多分すずかちゃんは吸血鬼だという事を聞いて自分に近づかなくなるのではないかと思ったのでしょうね。そんなことで私たちが嫌う事がないと思いますのに。

 

 何も気にしていないという事にすずかちゃんは嬉しくなって、目に涙が溜まっているような感じでした。

 

 

「さて、今度は私たちの番ですね。これから話すことはすべてファンタジーの世界とかそういう事ではないので聞いてください」

 

 

 そして今度は私たちがすずかちゃんに魔法の事を話す番へと変わるのでした。


 
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