今日は土用の丑の日。
なのだが……。
「ウナギ食いてえ~」
智樹はそんなことをぼやいていた。
「買えばいいじゃない、ウナギ」
ニンフは簡単にそんなことを言う。
「あのな……、最近ウナギは高いんだぞ!
今のうちの家計じゃ買えないんだ!」
桜井家では智樹だけでなく、イカロス、ニンフ、カオス、それに食べにくるアストレアがいるので食費がバカにならないのだ。
「マスター……これを……」
イカロスが魚を一匹、智樹に渡そうとする。
「……それはドジョウだ!」
智樹がそんなツッコミをしている間に……。
「遊びに行ってくるね~」
カオスが外に出かけて行った。
「ウナギか~」
カオスは歩きながら、どうすればウナギを手に入れられるか考える。
歩いていると商店街の方にたどり着く。
商店街の入り口で……。
「あ、秋山お兄ちゃん」
カオスは秋山を見つけ、声をかける。
「よう、カオス」
「どうしたの?」
「どうしたのって適当に散歩だよ。カオスこそどうした?
一人で商店街って珍しいじゃないか。お使いか?」
「ううん。ウナギを見に来たの」
「ウナギを?」
カオスは先ほどまでの智樹達のやり取りを秋山に話した。
「確かにウナギは今はどこもかしこも高いからな」
秋山は歩きながらカオスの話を聞いていた。
「秋山お兄ちゃんも食べるの?」
「俺はどっちでもいいって感じだな。
夏バテにはならない体だし……おっ?」
秋山とカオスが歩いているとある人物が魚屋の前にいた。
「日和お姉ちゃん」
「カオスさんに秋山先生」
日和も気づいて、声をかけた。
「どうしたの?」
「ウナギを見てたんですけど……」
日和が見ていた魚屋のウナギを見る。
すると一匹2000円という高めであった。
「うちは弟たちがウナギを食べたいって言うんだけど……」
「親がいないんじゃ、そう簡単にウナギを買えないわな」
「はい……」
「日和お姉ちゃん……」
残念そうな顔をする日和を励まそうとするカオス。
「そうだ。お前たち、この後暇か?」
「暇だよ」
「特に予定は……。どうしたんですか?」
「これからウナギを釣りに行くぞ」
秋山はカオスと日和を連れてウナギ釣りに出かけるのだった。
『カオスのとある日常(いちにち) カオスと日和と異世界人 その2』
秋山に連れられたカオスと日和は、いつのまにか海の上で船に乗っていた。
そしてその船の上で三人は釣竿をもって、釣りをしていた。
「あの~、秋山先生これって……」
「釣りだ」
「釣りなのは分かりますけど、なんで……」
「ここらへんにウナギが生息してるって情報があってな。
ここは漁師たちも気づいてない絶好の穴場なんだ」
「でも勝手に獲っていくのは……」
「まだそこまで規制してないから大丈夫だろ。
それに穴場に気づいてないならまだ問題ない」
「でもこんなことしなくても私が海に入って獲ればいいよね?」
「カオス!」
秋山が大声を出す。
「秋山お兄ちゃん?」
「そんなことして獲っていいなら、俺がとっくに獲ってるぞ。
こうやって釣りをして獲るからこその喜びもあるんだ。
お前にもそう言った経験をしてほしいんだ」
「そうですね。こうやってゆっくり捕まえるのも楽しいかもしれませんしね……」
「そうそう。昔の俺だったらこうやって時間を潰すのはいやだったろうけど、今はそうは思わないさ」
三人が釣りをしてから、1時間が経つが、ウナギは釣れない。
「釣れないね」
「これも釣りの一つだ」
「もう少し粘れば、きっとウナギは釣れますよ」
「そうだ……」
「あ、引いてる」
カオスの釣竿が反応を見せる。
「えい!」
カオスが釣竿を引っ張る。
すると針の先にはウナギが引っかかっていた。
「ねえ、これがウナギ?」
「そうだよ、カオスさん」
「よくやったなカオス」
「うん♪」
カオスは嬉しそうだった。
「でもこれじゃあお兄ちゃんの分しかない」
「そっか、桜井君の家、今は五人分必要だもんね」
「それじゃあ、もう少し粘ってみようぜ」
「うん」
それからまた釣りを始める。
「日和お姉ちゃん、引いてる」
「うん」
日和は勢いよく釣竿を引くとウナギが釣れたのだが……。
「きゃっ!」
「日和お姉ちゃん?」
「いやっ!」
ウナギは勢いよく釣れたためか、まだ上にあった釣り針から離れると同時に日和の服に入り込んでしまった。
「あ、ああ!」
日和は少しエッチな声を出してあえぐ。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃ……ないです」
「カオスさん、取って……」
「うん」
カオスは日和の服を脱がして、ウナギを取ろうとする。
「取ったよ」
「ありがとう、カオスさん」
しかし、ウナギは思いもよらない行動に出た。
なんとウナギはカオスの手から滑り、カオスの服の中に入った。
「カオスさん!」
「大丈夫だよ」
カオスは簡単にいつもの修道服を脱ぐ。
するとカオスはニンフが最初にしていた下着だけの状態になった。
「これでいいね」
カオスは脱いだ修道服の中からウナギを取り出し、魚を入れている槽に入れた。
「これでいいよね」
カオスはそのまま釣りに戻る。
「あの~、カオスさん」
「な~に?」
「着ないの?」
日和は修道服を着ないのか尋ねる。
今のカオスは修道服の下には何も来ておらず、下着の状態だった。
「少し暑いからこれでいい」
「けど秋山先生が……」
秋山も男。女子だけならともかく、やはり男がいる中で下着のみの姿はと日和は思った。
「まあ何とか気にしないようにするさ」
「大丈夫なんですか?」
「そりゃ、俺も男だ。女子の下着姿とかでドキッとしたり、ちらっと見たりするさ。
けど、ガマンくらいできるさ。それに……」
秋山はカオスの方を見る。
「俺はカオスはその子供の時より、大人の時の方が好きだな」
「秋山先生って大人の女の人が好きなんですか?」
「まあな。少しセクハラなことを言うけどさ、お前もそはらも美香子も結構いい体してるぞ」
「そうですか?」
「そうだ。またセクハラなことを言うけどさ、お前たち、年の割には胸大きいしな」
日和はそう言われて胸を隠す。
「先生……」
「だからセクハラなことを言うって言っただろ」
秋山は少し笑う。
「でもお兄ちゃんがいたら、少しエッチなことするよね」
「少しどころか大分だろ」
秋山はまた笑う。
「でもカオスさんの格好どうしたら……」
「少し前に買った服、ないの?」
「だったら俺が取り出そうか」
秋山が少し前に買ったカオスの私服を出す。
その服はカオスの年頃らしいもので、服の模様は月や星も模様の入ったピンクと紫混じりの服とスカートだった。
カオスはその服を着た。
「どう?」
「うん、やっぱり似合う」
「それじゃあ、釣りの続きをするか」
「うん」
また釣りが続けられた。
それから数時間後、ウナギは目標数まで釣ることが出来、帰ることにした。
「楽しかったね、釣り」
「またしたいですね」
「まあ機会があったらな」
三人は空見町に戻る。
カオスが桜井家に戻ったのは夕方だった。
「ただいま~」
「お帰り、カオス」
「遅かったわね。何してたの?」
「これ」
カオスは桜井家で食される数のウナギが入ったバケツをイカロス達に見せる。
「それは?」
「ウナギだよ」
「ウナギって、あのウナギよね?」
ニンフが信じられないという顔をする。
「お帰り、カオス。……どうしたってええ!?」
智樹もやって来てバケツの中身を覗くとそこには5匹のウナギがいたことに驚いた。
「カオス、どうしたんだよこれ」
「秋山お兄ちゃんと日和お姉ちゃんと釣ってきたんだよ」
「風音も釣ったのか?」
「結構釣れたんだよ。イカロスお姉様、これお願いね」
「うん」
イカロスはカオスからウナギの入ったバケツをもらい、そこから蒲焼をし、うな丼が出された。
『いただきまーす』
桜井家のみんなで仲良く、ウナギを食べることが出来た。
「おいしいね」
「うん」
自分の釣ってきたウナギを食べて、喜ぶみんなを見て嬉しくなるカオスだった。
終わり
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連載物の途中ですが、今日(2012年7月27日)が土用の丑の日ということで、記念に書いたものを投稿します。(実は単行本最新刊を読んだ影響もあったりします)
また作者の分身となるオリジナルキャラ(秋山総司郎)が出ることをご了承ください。
この話はこの話と少し関係してます。
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