No.458988

俺、遊戯王の世界で生き残れるかな…… 第六話

RYOさん

俺は何の変哲もない普通の高校生。なのに…… え?ここどこ? トイレ? 何故に? え?遊戯王の世界? ちょっ!? 俺そんなに強くないんですけどーーー!?

2012-07-25 05:12:05 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4307   閲覧ユーザー数:4137

オシリスレッド寮 早朝

 

山崎涼太の朝は遅い。夜遅くまでゲームをしているせいで学校にはいつも遅刻寸前に席に着く。その日は廃寮でタイタンとデュエルをしていつもより更に遅い朝を迎えるはずだった。

 

「開けろ! 早くこのドアを開けるんだ!」

 

これが無かったら、だが。

 

「速やかに開けないと、このドアを爆破する!」

 

その言葉に涼太はのっそりと起き上がりある物を取ってドアに向かう。

 

「山崎涼太だn……なっ!?」

 

デュエルアカデミア倫理委員会の女性は驚きの声を上げた。

 

「何のようですか? 新手の宗教の勧誘か?」

 

そう言った涼太の手にはナイフが握られていたからだ。ナイフを突き付けては居ないが先はしっかりと女性の腹部に向いている。さらに涼太の顔は不愉快そうに歪み、殺気が放たれている。

 

「わ、私達はデュエルアカデミアの倫理委員会だ!」

 

倫理委員会の女性は怖がりながらも気丈に答える。

 

「……で? こんな朝早くに何のようですか?」

 

「き、君を査問委員会まで連行する。ついて来い「あ゛?」あ、いや、ついて来て下さい」

 

「…………わかりました」

 

涼太はナイフを弄りながら不機嫌そうに返事をする。ナイフの刃が引っ込んだり出て来ていたりするのでどうやらおもちゃのギミックナイフのようだ。

 

「少し待っていてください」

 

そう言って涼太は準備をしてから倫理委員会について行った。

 

 

「「「えええええ!? 退学!?」」」

 

「本日未明、遊戯十代、以下3名は閉鎖され、立ち入り禁止となっている特別寮に入り込み内部を荒らした。調べはついている!」

 

倫理委員会の女性がそう言うと十代は手を合わせて言う。

 

「何でも言うこと聞くからチャンスくれよ!」

 

十代がそう言うとクロノス教諭が話し出す。

 

「ならば、別のペナルティーの方法を提示スルーノ! それは制裁タッグデュエル! アンド! 制裁デュエル!」

 

「制裁タッグデュエル?」

 

「その通り! 遊戯十代と丸藤翔! 君たちがタッグを組んでデュエルするーのネ! デュエルに勝利したら無罪放免なのネ!」

 

「制裁デュエルというのは?」

 

俺がクロノス教諭に聞く。

 

「山崎涼太! 君が一人でデュエルするノーネ!」

 

「なるほど」

 

「タッグデュエルか……面白そうだな?」

 

「ええ~? マズイっスよアニキ!」

 

十代は喜んでいるが翔は自信なさ気だ。

 

「校長! 本人も納得したようでースが?」

 

クロノス教諭は隣に居る校長に話しかける。

 

「ううむ……ならば仕方ない」

 

校長は渋々といった感じで言う。

 

「負けたら即退学! 制裁タッグデュエル及び制裁デュエルの相手は追って私から発表するーノネ!」

 

そんな感じで俺達の退学をかけたデュエルをすることになってしまった。

 

 

校長室

 

そこには前田隼人と校長が居た。

 

「お、俺もあの寮に居たんです」

 

そう言った隼人の言葉を校長は真剣に聴く。

 

「だ、だから涼太のタッグは無理でもせめて十代とタッグを組ませてください!」

 

「私もその場に居ました」

 

その声がすると校長室の扉が開いて外から天上院明日香が入ってきた。

 

「涼太か十代と……いいえ。私に二人のタッグを組ませてください」

 

どうやら隼人と明日香は何とかして今回、制裁デュエルに参加する人達の勝率を上げたいらしい。

 

「俺、今まで自分の事ダメだと思っていました。でも! 十代や涼太のデュエルを見てて、俺もう一度デュエルに取り組んでみようって!」

 

隼人のその言葉に校長は満足そうに笑う。

 

「あいつらに関わると皆ちょっと変になっちゃうみたいで」

 

「ううむ……君たちの気持ちは良く分かった。しかし、彼らのデュエルは査問委員会で決まったことなんだ。だからいくら私でも君達を彼らとタッグを組ませる事は……」

 

 

ryota side

 

オシリスレッド寮

 

「僕なんかじゃダメだーーー!」

 

いきなり翔が叫んだ。

 

「どうしたんだ翔? 5月病か?」

 

「違うよ! 僕なんかじゃアニキのパートナーは務まらないよーー! 涼太君! 代わって!」

 

「どう考えても無理。諦めろ」

 

あんな先生が一同に会する場所で決められたことを変えるのは少し無理があるだろ。

 

翔がぎゃあぎゃあ喚いていると隼人が帰ってきた。

 

「隼人くーーん! 僕と代わってくれよーー!」

 

そう言って翔は隼人に泣きつく。

 

「俺もそう言ったんだけど、査問委員会で決められたことは変えられないんだな~」

 

「心配すんな。勝てば良いんだろ? 勝てば」

 

十代がデッキを調整しながら言う。

 

「アニキはそんな簡単に言うけどタッグデュエルなんてやったことあるの?」

 

「無い。無いから面白いんじゃねーか」

 

十代はお気楽そうにそう言う。やっぱり十代はいつでも十代のようだ。

 

「そ、そんな~~」

 

「本当に俺の弟分だったら、弱気を出さずに頑張れるはずだぜ?」

 

そう言って十代は立ち上がった。

 

「まだお前のデッキの特性なんにも知らないからな。まずは腕試しにデュエルといこうじゃねえか!」

 

そんなこんなで俺達はデュエルをしに部屋の外に出る。

 

「ん?」

 

ふと見ると俺の部屋の扉に紙が挟まっていた……これは!

 

 

オシリスレッド寮近くの海岸

 

俺の眼下には十代と翔が向かい合っていた。

 

「十代、翔。俺、何にもしてやれないけど……」

 

「きっと大丈夫よ」

 

隼人の呟きに返事をした者が居た。俺と隼人は後ろを向く。

 

「明日香……」

 

「明日香さん……」

 

「制裁タッグデュエルが決まって落ち込んでるかと思ったら、何だか楽しそうねあいつ。……十代に関わった人間は皆元気になる。きっと翔君も……」

 

明日香の言葉を聞いて俺達は崖下にいる翔を見る。

 

「「デュエル!」」

 

お、どうやらデュエルが始まったようだ。

 

十代の先攻。十代は『E・HERO フェザーマン』を召喚してカードを1枚伏せた。

 

次は翔のターン…………おろ? 翔がドローした後何も行動しない。なぜ?

 

「お~い! 翔! 何してんだ!?」

 

さすがの十代も痺れを切らして翔を呼ぶ。

十代の声で翔はデュエルを再開した。

 

翔は『パトロイド』を召喚して十代のフェザーマンに攻撃した。翔は伏せカードを警戒しないのか? いや、俺も伏せカード無視して攻撃することはあるけど……

 

案の定、翔の攻撃は十代が伏せていた『攻撃の無力化』によって防がれてしまった。

 

「やっぱり心配していたとおりね。翔君では 十代のタッグパートナーは重荷なのかも」

 

「ん? どうしてだ? 確かに翔は十代の罠カード無視して突っ込んだけど……」

 

「翔君の『パトロイド』の効果は1ターンに1度相手フィールドに伏せられているカード1枚をめくって確認することが出来るのよ。その効果を使えば十代がどんなカードを伏せているか分かったはずなの」

 

「へぇ~」

 

なるほど、翔はその効果があるにも拘らず、十代のカードを確認せずに突っ込んだわけか。……本当に大丈夫なのかな?

 

そんな事を考えていると下から怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「やめてよ!!兄貴だからってお説教はなしだよ!」

 

何だ何だ? 喧嘩か?

 

「どうしたんだ翔!?いつものお前らしくないな」

 

翔が怒鳴ったのか、珍しい。

 

その後、二言三言話してデュエルは再開された。

 

十代のターン。十代は『E・HERO スパークマン』を召喚して『パトロイド』に攻撃した。

 

翔 ライフ4000→3600

 

これで翔のフィールドはがら空きになった。

 

十代は更にフェザーマンで翔にダイレクトアタックをした。

 

翔 ライフ3600→2600

 

十代は場にカードをセットしてターンを終了した。

 

「トホホホ…いきなり本気出すなんて酷いよアニキ~」

 

……マジかよ……翔って最初のころあんなんだったっけ? 俺、終盤の方しか覚えてないから……本当の本当に大丈夫なのか? 原作!

 

そう思って翔を見ていると隼人が大声を出して翔を応援した。

 

「きばれ~!!そんなもんで落ち込んでたら 1年留年の俺なんかよりかっこ悪いぞ!」

 

む、隼人の応援が効いたのか翔がやる気を取り戻した。

 

「隼人君の声援でやる気を取り戻したみたいね」

 

「俺 自分がダメだからダメになっちゃう人間の気持ちがわかるような気がするんだな」

 

「人の気持ちがわかるのは きっとあなたが自分で思っているようなダメな人間じゃないからよ」

 

……明日香カッケー……男の俺より格好いいんじゃないかな? いやマジで。

 

 

「おっと、そろそろ時間かな?」

 

俺はそう言って時計を見る。……うん。ちょうどいい時間だ。

俺は目的地に向かって歩き出す。

 

「ちょっと、どこに行くの!? まだ翔君たちのデュエルは……」

 

明日香が俺のことを呼び止めた。

 

「悪い。俺ちょっと用事があるんだ」

 

「用事? 一体の何の?」

 

俺はさっき部屋の扉に挟まっていた紙を取り出していった。

 

「ラブレターだ。ちょっと御呼ばれしてるんでね?」

 

「ラ、ラブレター!? だ、誰からなの?」

 

興味本位からか明日香はラブレターの差出人を聞いてきた。やっぱり明日香も女の子だったのか……

 

「内緒。知りたいからってついてくるなよ~?」

 

「つ、ついていかないわよ!」

 

そんなに強く否定しなくても分かってるよ。

 

「んじゃーな?」

 

俺はそう言って歩いていく。

 

後に残ったのは少し顔の赤い明日香とそれを唖然と見ている隼人だけだった。

 

 

「さて……」

 

俺は手紙を見る。

 

『今日の〇〇時に活火山のふもとに来られたし。 from 輪廻を外れし者』

 

この世界の人が見たら厨二あふれる阿呆が書いたような文章だ。だが、俺はこの文章にホイホイつられてしまったのさ。

 

活火山のふもとに着くとそこにはオベリスクブルーの生徒が居た。

……うほっ! 良いオトコ!

 

俺は近づきながら服のジッパーを下ろしながら言う。

 

「やらないか」

 

「やらないよ」

 

その人物は笑いながら言った。

 

「あんたがこの手紙を?」

 

俺は手紙を見せながら男子生徒に問う。

 

「ああ、俺が出した」

 

「そうか、ならこの差出人の輪廻を外れし者。というのは俺の思っている意味で良いのか?」

 

「ああ、初めまして山崎涼太。俺の名前は竜宮寺(りゅうぐうじ) 王真(おうま)! 君と同じ転生者さ!」

 

そう言って竜宮寺王真はニカッと笑った。

 

 


 
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