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魔法少女リリカルなのはTime Leapなの? 〜過去に戻った高町なのは〜 【無印 After & A's Before】 第四十七話

新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。

任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。

なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!

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2012-07-24 15:11:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2647   閲覧ユーザー数:2510

 

『おい、本当に社長の娘を誘拐すれば報酬を貰えるっていうのは本当なのか?』

『さぁ? 俺たちは言われた通りにやっただけだ。それにそのために前金として貰っているんだろう?』

『それもそうだな』

 

 

 僅かながらでしたが、とりあえず何者かの声が聞こえてきました。

 

 今まで工場地帯を歩いていて一度も声が聞こえてこなかったのに、突然聞こえてきた声に私は集中することにします。

 

 

『ま、依頼者は月村社長の座を降ろしたいのだろうな。そうでなければ俺たちみたいなところに頼むわけがないし』

『一応、俺たちの成功例は裏では有名だからな。警察沙汰になったことも今までないからね』

 

 

 聞こえてくる声を頼りに、私は聞こえてくる方角へと向かいます。

 

 会話の内容は何とか聞き取れましたが、やはり会社がらみでしたか。

 

 なんとなく誘拐理由がそれではないかと思いましたが、予想通りでしたね。夜の一族の事ではないと思いましたし、そもそもそっちを知っている人の方が少ないだろうと思いましたし。

 

 ちなみに私が夜の一族の事を知っているのは前の世界の時にすずかちゃんが私たちに教えてくれて、本来なら知られてはいけないことだったらしいです。まぁ、20歳を過ぎてから余り顔立ちが変わらないことにはやてちゃんが気になって聞いたのがきっかけだったのですけどね。

 

 まぁ、そんな話は今はどうでもいいですから、さっさとすずかちゃんを救わないといけませんね。

 

 私は聞こえてくる声を頼りにそちらへと近づき、ある倉庫の前へと辿り着きました。その倉庫は入り口が閉まっており、誰か中に居るような感じには見えませんでした。

 

 

『さて、一応ここで待ち合わせ場所はあっているんだろうな?』

『あぁ、言われた通りここだと指定されたし、間違っていたら向こうの間違いになるだろう。まぁ、予定された時間通りに来なければそう思えばいいだけの話だ』

『それもそうですね』

 

 

 声を聞く限り最低でも三人いるという事はとりあえず分かりました。しかし、どうやって中へと入りましょうか。

 

 見た感じ倉庫には二階に窓があるぐらいなんですが、そこから見たら多分向こうに気づかされますし、見るとしても魔法を使ってみることになりますので、どうやって上空に浮きながら見ているのかと思いますね。

 

 余り相手に気づかれない内にすずかちゃんを助けたいですが、それが難しい事は分かっていますし、魔法を使わないで救うとなるとなおさらに難易度が上がりますね。どうすればいうのでしょうか……

 

 

《なのは? そっちは見つかった?》

 

 

 とか考えていると、突然念話でアリサちゃんから連絡がありました。そのおかげで重く考えすぎずに済みましたのですが、どうすればいいのかというのは変わりがありませんでした。

 

 とりあえずアリサちゃんにはすずかちゃんが誘拐されている場所の近くにいるという事だけは報告しておきますか。

 

 

《アリサちゃん、とりあえずすずかちゃんが捕らわれている場所が分かりました》

《本当!? すぐにそっちに向かうから!!》

《分かりました。とりあえず私はすずかちゃんにこれ以上何かされないように先に突入しますので》

《分かった。なのはも気を付けてね》

 

 

 それから念話が途切れましたが、アリサちゃんは私が居る場所が分かるのでしょうか?

 

 とにかく、念話の間もいろいろと考えていましたが、やはり正面から突入しますか。倉庫の入り口の門が壊れたとしても、まぁ大丈夫でしょう。魔法があるとは気づかれないだろうし。

 

 ってなわけで私は無理やりですが、魔力を溜めて倉庫の扉がぶち壊れるぐらいの魔力を収束させて、一気に放ちます。レイジングハートを起動していないし、扉を破壊するくらいは自分一人でもできますのでね。

 

 放った砲撃は扉を簡単にぶち壊し、扉をぶち壊されたことに中に居てすずかちゃんを誘拐していた人物たちは驚いていました。もちろん突然の出来事にすずかちゃんも驚いていましたが。

 

 

「な、いきなりなんだ!?」

「も、もしかして誘拐されたことに気づかれたとか!?」

 

 

 誘拐した人物は何かを言っていましたが、扉をぶち壊した影響で砂埃が舞だって私の姿が見えていない感じでした。

 

 私はそれをチャンスだと思い、密かに持ってきていた木刀の小刀を両手に持ち、一気に誘拐犯の所へ詰め寄って背後へとまわります。

 

 さすがに殺すわけにはいかないので、木刀を首に向けて思いっきり強くぶつけ、気絶させることにします。

 

 

「うっ、」

 

 

 誘拐犯の首に木刀を思いっきりぶつけた人物が気絶する時に声を出したので、さすがに向こうもこちらを見てきました。

 

 しかしその時には私は次の人物に標的を変えていましたので、私の姿を目にした人物はおらず、そこには先ほど気絶した人物が倒れているだけでした。

 

 

「い、一体何が――」

 

 

 次に私が標的として狙った人物が何かを言おうとしましたが、その途中で先ほどと同じように木刀で首を狙って気絶させます。

 

 残り人数は三人。どうやら五人ですずかちゃんを誘拐したらしく、すずかちゃんは柱を壁にして逃げられないように縛られているようでいした。

 

 とか考えている内に私は次の標的に移動していませんでしたので、誘拐犯の奴らに私の姿が見られてしまいます。

 

 

「な、なのはちゃん!?」

「て、テメェ一体なにも――」

 

 

 誘拐犯の声を聴いた瞬間にとりあえず全員気絶させようと思った私は声を出した人物へと速攻で移動し、先ほどの二人のと同じようにやって気絶させました。

 

 残りは二人になったのですが、そのうち一人が私の方へとナイフを持って近づいてきました。

 

 さすがにナイフを木刀で迎え撃つのは木刀の方が傷ついてしまいますし、予備は家に一応ありますけど、ここは相手を気絶するためにも避けた方が良さそうですね。

 

 

「幼いくせに調子こいてんじゃね!!」

 

 

 ナイフを持った誘拐犯の一人はすずかちゃんと同じぐらいの年齢なのに只者じゃないと思ったらしく、私を切り付けようとナイフを振ってきました。

 

 もちろんそんな単純な攻撃は避けることも私にはできますし、私は余裕こいて簡単に避けようとします。

 

 

「ふっ、やっぱりそんな反応を取ると思ってわ!!」

「っ!?」

 

 

 突然振りかざしたナイフの軌道を変え、私の首筋付近を突き刺そうとしてきました。

 

 まさか、最初の一撃は素人のように見せかけたというのですか!? 先ほど誘拐するのにはプロとかそんな会話を聞こえていましたが、ようやくその言葉の理由が理解でき、普通に戦えるほどの力は持っているようです。ナイフで相手を切り付ける最適な方法を知っているとなれば、そう簡単に手加減することが出来ませんね。

 

 この際仕方ありません。無傷で終わらせようとは思いましたが、それを撤回して一度だけ傷を負いますか。

 

 

「なっ!?」

 

 

 私は突き刺されたナイフへと向かうかのように体を動きだし、自らナイフの刃が左頬に当たって切り付けて、そのまま木刀を首へと目掛けて振り回しました。

 

 さすがに私の行動に驚いたのか、彼は何もすることが出来ず、今まで気絶させた誘拐犯と同様に気絶させました。本来ならば後ろに避けるのが良い手段なんですが、避けたところで向こうのナイフの連撃は止まらないと思いますし、まだ私は子供なので背後に避けるとしても歩幅的の差によって危険であったのです。ならば自分に傷を負っても攻撃をする手段を取ったほうがよろしいと思ったのです。

 

 さて、これで残りの人数は一人。だがその一人は先ほど気絶させた人物を見て、すずかちゃんにナイフを突きつけていました。どうやらさっきの人がこの中でも一番強い人だったのでしょうから、その人物を気絶させたとなると私と戦うのは危険だと思ってそのような手段を取ったようですね。

 

 

「こ、こいつがどうなってもいいのか!!」

 

 

 ……いかにも窮地に陥った誘拐犯が言う様な言葉ですね。マジでそんなことを言うとは思いませんでした。

 

 う~ん、それにしてもどうしましょうか。下手に動くとすずかちゃんの身が危険となってしまいますので、なるべく気づかれないですずかちゃんを救う方法は……

 

 ……仕方ありません。こうなってしまう事も考えていましたが、距離がかなり離れているのでどうしようもありませんので魔法を使いますか。どうせすずかちゃんには魔法の存在がばれてしまうのですし、今教えたところであまり影響はないでしょうからね。

 

 そう思って私は残り一人の誘拐犯をバインドで逃げられないようにします。両腕両足を固定させてしまえばすずかちゃんが切られる心配はありませんからね。

 

 

「な、何だこれ!? う、動けない……」

 

 

 バインドされたのを見て彼は驚いていました。まぁ、どういう状態なのかさっぱり分かりませんから驚くのは当然でしたね。っていうか、これだったら最初っから魔法を使っておくべきでしたね。

 

 とりあえず私は動けなくなった彼とすずかちゃんが居る方へと近づいて行き、目の前までやってきました。

 

 

「ま、待ってくれ。誘拐した俺が悪かったから殺さないでくれ」

 

 

 いや、殺しませんから。彼らには少し長い眠りについて貰っただけですので、別に殺していませんから。

 

 私は彼が持っているナイフを落とし、それからすずかちゃんに当たらないように気絶させるのでした。

 

 それから私はすずかちゃんの姿を見ましたが、すずかちゃんは今の光景が本当なのか信じられていないような感じあり、脳が追いついていないような感じでした。まぁ、私が誘拐した人たちを一人で倒してしまったからあり得ない光景に思えたのでしょうね。

 

 その後私はすずかちゃんを縛っていた物を解き、すずかちゃんを自由にさせました。

 

 

「さて、すずかちゃん大丈夫ですか?」

「い、一応大丈夫……ってなのはちゃん、その傷っ!!」

「これくらい大丈夫です。それよりも、ここから早く抜け出しませんと誘拐犯たちが意識を取り戻すかもしれませんので、急ぎましょうか」

「あ、うん分かった……」

 

 

 なんか、すずかちゃんの様子がおかしく感じましたが、とにかくここから急いで逃げないといけないと思い、すずかちゃんの手を持って引っ張りながら倉庫の外へ出ようとしました。

 

 しかし、すずかちゃんの歩き方が何時もよりもおかしく、自分から歩こうっていう感じではありませんでした。

 

 

「すずかちゃん? 一体どうした――」

 

 

 私はすずかちゃんの方へ一度振り向きましたが、突然すずかちゃんが私に抱き着いてきました。

 

 一体どうしたのでしょうかと思っていますと、すずかちゃんが私に向かって一言言っています。

 

 

「ごめんね。なのはちゃん……」

 

 

 その言葉の直後、私の方からなぜか痛覚が感じられるのでした。

 

 一瞬何をされているのか理解できませんでしたがどうやらすずかちゃんに吸血されているようです。

 

 どうしてこうなっているのかまだ分かりませんでしたが、とりあえずその話は後で聞くとして今は吸わせておくことにします。

 

 だが、すずかちゃんに吸血させていると、誰かがこちらに走ってくる足音が聞こえてきました。

 

 そしてこの倉庫の近くで足跡が止まり、私からは背中を倉庫の入り口側を向いているので誰が来たのか分かりませんでしたが、声を聴いて誰が来たのか理解しました。

 

 

「や、やっと見つけた……って、な、何やってるの?」

 

 

 どうやらやってきたのはアリサちゃんのようで、アリサちゃんは目の前の光景に驚いていました。そりゃ、駆けつけてみたらすずかちゃんが私の方から血を吸っているのですからね。

 

 すずかちゃんはアリサちゃんが来たのを見てようやく理性を取り戻したのか、すぐに口を私の肩から離して私からも離れていきました。

 

 

「え、えっとこれはその……」

 

 

 すずかちゃんはまさかアリサちゃんにあんな状態なものを見られてしまうとは思っていなかったようで、かなり動揺しているようでした。

 

 アリサちゃんもアリサちゃんでどういう状況なのかさっぱり分かっておらず、すずかちゃんが吸血鬼みたいな事をしていたのにどういうことのなのかと思っている感じでした。

 

 まぁ、実際はその通り吸血鬼ではあるのですけど、これでは話にはならないので私が何とかしないといけませんね。

 

 

「とりあえず、二人ともここから離れますよ。お互いにいろいろと聞きたいことがありそうですから、それはいろいろと終わってからにしてください」

「わ、分かったわ」

「すずかちゃんもそれでいいですね」

「う、うん。今はなのはちゃんに従うよ。でも、どうして私がここに居ると分かったの?」

「それもあとで話します。とりあえず今は行きますよ」

 

 

 それから私たちは倉庫を後にして、途中で親に連絡をしてすずかちゃんが無事だという事を伝えてから、一度すずかちゃんの家へと向かう事にしました。


 
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