No.457735

魔導師シャ・ノワール 無印編 第一話 まさかの派遣

ertiさん

神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。

2012-07-22 22:00:57 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2777   閲覧ユーザー数:2627

3年後....管理外第??無人世界 荒野

 

 

 

 

 

「シールドの形成が甘い!それとブレードの間合いをもっと理解しろ!」

「ぐはっ!」

 

自らが張った三角形と崩れたアルファベットの文字が描かれた半透明な黒いシールドは

いとも簡単に相手の杖型デバイスの石突で貫かれ、そのまま鳩尾を抉られる。

 

衝撃で体が浮き。後ろに飛ばされるが、右手に持った銃だけは離さずに受身を取って転がる。

 

砂塵を舞い上げた為、チャンスを待ち。砂塵の煙でお互いの視界が消えた瞬間、魔法を発動する。

 

『ブリッツアクション!』

 

自らの足場に障壁を張り。魔法効果で瞬間的な加速を体に与えて。

銃から放たれた弾丸のように地面を駆ける。

そのまま戦っている魔道士に外側から円を描くように近づいて横なぎに銃を振るう。

 

手に持っているのは銃と言ってもデバイスであり。しかもその銃の形状はどちらかと言うと剣に近く。

オートマチックピストルから刀身の厚く長い剣が生えているような形をしていて。

ガンブレードと呼ばれる代物だった。通常の剣型デバイスに比べて特殊機構を備えている為

自分の魔法適性をさらに活かせる装置を内蔵できたタイプだ。

 

 

《ガキィン!》

だが、そのガンブレードの斬撃も軽々と相手の持つ杖で防がれてしまった。

 

「あまいなー!」

「なら!これで・・ブーストッ!」

 

『エクスプロージョン!!』

 

銃の引き金を引きハンマーがスライド後部を叩いた。内部で爆発音と共にスライドが後退して。

真っ赤な薬莢が排出される。その瞬間、自らを加速していた魔法は勢いを更に増して

ブレードを受け止めた杖を更に押し込んで斬り潰そうとするが。

 

「いいね~。だが、少しでも時間をかけたのが運のつきだ」

「なっ!」

 

後ろに圧迫感を覚えて振り向くと青い魔法弾が2発、背中向かって飛んで来ている。

慌てて左手で魔法障壁を張り。弾こうとするが貫かれ爆発。再び俺は地面に転がった。

 

「しゅ~危ない危ない。おじさんじゃなっかったら遣られてたぜ。今日はこれくらいで仕舞おうや」

 

体に付いた土ぼこりを払い、立ち上がり戦っていた相手にお辞儀をする。

 

「はぁはぁはぁ・・・ありがとうございました」

「おう!だ~いぶ良くなったぜ!間違いなく若い連中じゃお前さんがトップだわ」

 

頭を下げた相手は3年前に俺を街灯の影から魔法弾で吹き飛ばした魔道士だ。

不精髭を生やしていて。体つきはそれほど逞しくはないし背も普通だ。

やさぐれた顔つきをしていて目つきは犯罪者その者。まあ犯罪者なんだけどこいつは....

 

「あ?なんか今失礼なこと考えただろ?」

 

「知りません。団長の思い込みでしょう?最近、白髪が増えてますもんね」

「マジで!?あちゃ~苦労しすぎたか...っておい!」

 

実際のところ団長の名前は聞いたこともないし。特にその短髪の黒髪に白髪は増えていないがノリのいいおじさんだ。

 

 

 

 

ちなみに昔、俺を槍で突き刺したのはこのおじさんが差し向けた。

傭兵団のNo.2である妙齢のお姉さんだったりする。通称 姐さん 深紅の槍使いの姉御。

 

 

そして、俺が今ここに居るのもこのおじさんの所為だ。

あれから傷を癒されるとすぐになにかの精密機器で検査を受けて。次にはデバイスを握らせれて訓練をさせられた。

 

この世界に来て初めて魔法に直に触れることが出来て嬉しくは思ったが。(魔法弾を撃たれないという意味で)

 

既に世界に精神が飲み込まれていた為か。子供のようにはしゃぐ事も無く。

淡々と毎日行われる魔法訓練を受け続け、気がつくと3年が経っていた。

 

 

名前も団長から付けられ。現在は昔と変わらず髪が伸び放題で今では腰までありボサボサで。

しかも団長と同じ黒い髪なのが理由でノワール(黒)と名づけられた。

 

体つきも成長したがそれほど骨も太くなく。しなやかな体つきだ。背もまだ低い。

 

 

 

現在は自らの魔力で生成した防護服バリアジャケットは全身黒のシャツやズボンにジャケットを着ているが。

ある時、団員のデバイスメンテを担当している一人が俺のバリアジャケットの構成を弄り。

 

擬似的な猫耳を生えさせたのもあってか。成長した顔も可愛らしいが目つきの鋭い顔つきも合いまって

女の団員からはシャ・ノワール(黒猫)とも呼ばれたりする。

 

などと微笑ましい出来事はあるものの、結局は違法な事を数々こなしている無法者の集まり。

 

 

この犯罪組織エングレイブ傭兵団はいつも時空管理局に目を付けられ。アジトは数回に渡って壊滅させられていた。

まあ、事前に相手の上層部から情報が流れてくる為。被害は場所くらいなのだが。

大きな組織になればなるほど綻びや影は出来るものらしい。

 

 

「おい!そろそろアジトに帰るぞ!明日はお前にスペシャルな仕事を与えるからな!」

 

「スペシャルですか?・・・また姐さんのパンツを取って来いとか言うと殺されますよ?団長が姐さんにですが」

「ば、バカちげぇえよ!・・・ってなんで坊主は怒られねぇんだ!?」

 

「さあ?お前が使う目的で欲しいなら、くれると言ってましたね。前に団長命令で行って捕まった時に」

「くそ!あのショタ趣味ババア!こんな餓鬼に手を伸ばそうなんておじさん許さないよ!!」

「あんたも大概だぜ、団長」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一日が経った....

 

 

「そういう分けで行って来い坊主」

「なにが、そういう分けなのか理解できません」

 

恰も事前に詳しい説明をしたように言わないで欲しいものだ。

そして、現在は前に団長と模擬戦をした場所から程近い地下洞窟に置かれたアジトの転送ポートに立たされている。

 

他の制御パネルを弄っている団員がボタンを押せば即座に遠くの次元世界などに転移が出来る代物だ。

 

「あ~、説明がメンドクサイ」

「だったら自分で仕事して来い!」

 

流石に内容も分からずに飛ばされても仕事などできるわけが無い。

 

「あ~悪い、なら説明するわ「団長、座標設定終わりました」おう!ならポチッとけ「ヤー!(了解)」」

「は?・・団長!?」

 

装置から輝く光に包まれて。強制的に転移させられてしまった。

 

 

 

 

 

降り立った場所は荒れ果てた館の庭のような場所で。空は紫色や青色などが波のように歪んでいる。

「高域次元か?」

世界は幾つも次元層があり。その隙間が次元層、または高域次元などと呼ばれている。

 

それにしても何でこんなところに?周りを見ても廃墟に近い古びた建物と庭しかない。

どこかの次元航行する廃船だろうか?

 

《ガサッ!》

「誰だ!」

「ひゃ!ごめんなさい!」

草を踏む音が聞こえて振り向くとブロンドの髪を黒のリボンでツインテールにしている女の子が立っていた。

どこかで見覚えもある気がするがどこだったか・・・。

 

 

「お前は誰だ?」

「え、えっと。フェイト・テスタロッサです」

 

フェイト?ネガティブな意味の運命という英語だったか?響きは美しいが子供につける名前としてどうなんだ?

まあ、人の名前に一々考えるのもアホらしいな。

 

「俺はエングレイブ傭兵団、ノワールだ」

「あ、母さんから聞いてます。お仕事を手伝ってくれる人が来るって」

「仕事?」

「え?違うんですか?」

 

首をかしげて困ったような表情をする。無垢で寂しそうなその赤い瞳が・・・俺には鬱陶しく感じた。

 

「いや、合ってはいると思うが。なにも聞かされずにここに飛ばされたからな」

「は、はぁ・・とりあえず母さんのところに案内しますね」

「ああ、よろしく頼む。それから番犬には躾をするべきだな。そんなに殺気だされると思わず首を跳ねたくなる」

「え?」

 

庭近くの白石作りの柱から獣の耳としっぽを生やしたオレンジ色の髪をした女性が出て来た。

恐らくは使い魔。手に格闘用グローブを嵌めている事とから恐らく近接タイプ。

となると主人はミッドチルダ式か?射撃タイプが多いからなミッドは。

 

どちらにしても彼女と俺の相性は最悪だな。やろうと思えば瞬殺出来る。

戦うとなれば主人と2対1にならないように気をつけるとしよう。

 

 

「へぇ~。どんな奴が来るかと思えば、まだ餓鬼じゃないか」

「ほう?見た目で判断してくれる相手ほど倒しやすいから、ありがたい事だな」

 

「なにぃ!あたしが弱っていいたいのかい!?」

 

「アルフ?この人は母さんのお客さんだよ」

「まあ、フェイトがそう言うなら・・でも、あのババアのかい?なら、尚の事ムカつくんだけどね」

 

 

どうやらフェイトの使い魔らしいが随分と嫌われた母親のようだ。

こんな環境だから俺に仕事振りやがったなあの野郎・・・。

これでこのお穣ちゃんの文字通りの子守だったら団長の毛根を殺すとしよう。

 

 

「アルフは部屋で向こうに行く準備しておいて。私はこの人を母さんのところに連れて行くから」

「わかったよ。そこのお前、フェイトに何かしたら承知しないからね!」

「これでも俺は年上好きなんだ。子供に興味は無いよ」

 

「「え!?」」

 

「・・・言っておくがお前達の母さんくらいの年上って意味じゃないからな。同い年より少し上って意味だ」

「そ、そうなんだ」

「変に勘ぐって悪かったよ・・・」

 

二人とも俺を何だと思ってるんだ。それにこんな話題に反応するとか益せてやがる。

 

ちなみに具体的な好みの年齢を言うと20前半だったりする。精神年齢な問題で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしてフェイトの母親元へ。雇用主と対面したのだが。

 

「随分と使えなさそうな奴を送ってきたわね」

 

初っ端にやる気の無くなる言葉を頂いていた。

 

木製で作られた立派な机から興味なさそうにこちらを見下ろしてくる妙齢の女性。

灰色の長い髪に唇などは紫のリップ。服なども黒と紫の配色だ。紫好きだなこの人。

 

 

「見た目で判断すると痛い目を見ますよ?」

「・・・忠告は受け取っておくわ。あなたに頼みたいのはあるロストロギアの回収」

「ロストロギアですか?俺は発掘屋ではなく魔法戦闘専門だが?」

 

「最後まで聞きなさい。ロストロギアの名前はジュエルシード。強力な魔力を含んだ宝石のような物よ

 不完全だけど人の願いを叶える魔法具。それを載せた輸送船を爆破したわ」

 

 

ヒュー!派手だねぇ。内の団長と気が合いそうだ。口に出したら黙れと言われそうなので言わないが。

 

 

「それが第97管理外世界に落ちてしまったわ。あなたにはそれらを回収して来て貰いたいの」

 

「そういうことですか。それで、『それら』ということは複数ということですね」

 

「ええ、ジュエルシードは全部で21個。詳しい回収方法はフェイトの聞きなさい」

 

「了解しました」

 

 

部屋から出るとフェイトが外で待っていた。

 

「か、母さんはなんて言ってたの?」

「君と共にジュエルシードを回収に行くようにと言われました」

「そう、ですか・・・。」

 

両手を自分の体を抱きしめるように肩を掴み。フェイトはなにかに耐えているような悲しげな表情をしていた。

この子の心情なんて知らないし。俺は関わる気もないので。知らない振りをして話を続ける。

 

「では、お互いの能力確認と第97管理外世界のデータなど、どこかで打ち合せをしましょう。

 それから雇用主との関係から現場では、フェイトさんの指示に従います」

 

「・・・わかりました。アルフも部屋に居るので付いて来てください」

 

それから様々な情報をデバイスに受け取り。回収を急ぐとの事で、フェイトさんの魔法で転移することになった。

 

「宛ら里帰りか」

「なにか言いましたか?」

「いや・・・転移を開始してくれ」

「あんた!フェイトの気を散らすんじゃないよ!」

「・・・悪かったよ」

 

 

そうして、第97管理外世界 現地名称 地球に転移を開始した。

 

 

 


 
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