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外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第9話

BLACKさん

この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

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2012-07-21 07:19:32 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1203   閲覧ユーザー数:1172

 

 

 

第9話  故郷におかえり

 

 

 

 

 

シャール家の屋敷に戻った一同。

 

「ジュード! 秋山は?!」

「術による早期止血と、医療の心得がある方がいたのが幸いでした」

「けど……」

「どうしたの?」

「もう歩けないみたいなの……」

「え?」

 

それから翌日、秋山は目を覚ました。

 

「ここは?」

「僕の屋敷です。何があったか覚えてますか?」

 

秋山が起きるとクレインが部屋にいた。

 

「ああ、ゴーレムと戦って不覚を取った」

「ゴーレムと!?」

「まったく、思ったより強いや」

「それは……。とにかく、よかった。そのままでいてください。今、先生を呼んできます」

「分かった」

 

すぐに医者の先生がやって来て秋山の体を見る。

 

「思ったよりいいみたいですね。これで一安心ですよ。……ただ」

 

医者は秋山が二度と歩けないと言うのをどうしようか詰まらせる。

 

「二度と歩けないとか……言いたいんですかい?」

「!? 何故それを……」

「さっきから、足を動かそうにも動かないんでな、大体察しがついた」

「……そうですか……」

 

足が動かない。確かに秋山の足は動かなくなっていた。

だがこれも秋山の考えの一つ。その気になれば動けなくなった足を動かすことも出来るし、切断して新しく再生すればいい話なのだ。

だがやはり秋山はそれをしようとしない。

それから数時間後、ミラが部屋に入って来た。

 

「ミラ? 珍しい客って言うべきか?

とっくに使命の為に出てったもんだと思ってたぜ」

「私も最初はそうしようと思った。だが……」

「?」

「その怪我は本来私が負うべきものではなかったのか?」

「……どういう意味で言ってるんだ?」

「あそこでナハティガルのことを言ったということは、お前はあそこでナハティガルと会っていたんじゃないのか?」

「その通り」

「お前は私とエリーゼ、それにドロッセルを助けるために一人で捕まった。

もしも私も一緒に捕まっていたら、おそらくはナハティガルを追って、そんな目に遭っていただろう……。

そう考えるとな……」

「……お前な、気を遣う、が、少し出来てないぞ」

「え?」

「俺に気を遣ってんなら庇ってくれてありがとうだ。それだけで十分だ」

「……しかし……」

「ま、俺の為に残ってくれたことには俺も礼を言わないとな。ありがとな」

「…………」

 

ミラは思わず照れる。

そこにジュードが入って来る。

 

「ジュード、どうしたんだ?」

「定期検診か?」

「ううん。そうじゃなくて、秋山に話があるんだ」

「なんだ? 言ってみろ」

「僕の父さんが昔、足の動かなくなった患者さんを治療したことがあるんだ」

「本当か!?」

「うん……本当。だから秋山、一緒に僕の故郷ル・ロンドに行かない?」

「いいぜ。……あ、けどミラと別れることになるのか?」

「あ…………」

 

思わず悩んでしまうジュード。

 

「いや、私も行こう。確かに使命は大事だが、その使命のためにお前を傷つけてしまった。

そのお詫びもしないとな……」

「別に詫びろなんて思ってないけど……、ま、来てくれるならいいんじゃね?」

「うん。ミラも一緒に行こう」

「ああ」

 

そしてジュードとミラと秋山はジュードの故郷のル・ロンドに行くことを決め、それをクレイン達に伝えると……。

 

「あの、お兄様」

「うん?」

「私もミラたちについて行こうと思うの」

「ドロッセル?」

「お嬢様……」

「秋山さんがああなったのは、私のせいもあると思うの……」

「お前もかよ」

「それで今回のことで私が何もできないことを痛感したの……。だから……」

「…………なあ、ジュード」

「うん?」

「お前のその武術、故郷で教わったんだよな?」

「うん、そうだけど……」

「その教えてくれた人は元気か?」

「……元気だと思うけど……」

「じゃあ問題ねえな。

ドロッセル、武術とかを本格的に学びたいなら、その人に教わればいい。

それなら俺の見舞いだけでなく、稽古も出来て一石二鳥だ」

「ホント!?」

「い、いや、秋山が勝手に決めても……師匠は…………」

「お願い! お兄様……」

 

ドロッセルが頭を下げてお願いする。

 

「………………」

 

クレインは考えた末、答えを出す。

 

「ジュード君、ミラさん、ドロッセルをお願いします」

「わかった」

「だったら、私も……」

「……そうね…………。エリーもティポも一緒ね」

「うわ~い」

 

喜ぶエリーゼとティポ。

 

「とりあえず馬を用意しましょう」

 

それから秋山の為に馬が用意され、秋山は馬に乗る。

 

「クレイン、感謝するぜ」

「上手くいくことを祈ってます」

「それでは、道中お気をつけて。ここまでのお見送りしかできず本当に申しわけありません」

「大丈夫だ、問題ない」

 

秋山が親指を立てる。

 

「それにお前にはなすべきことがあるだろ。多忙なクレインの力になる……と……」

「はい……」

「それじゃあ行こうか」

 

こうしてジュードとミラは怪我をした秋山とエリーゼとドロッセルを加えて、ル・ロンドへと向かうことにした。

その道中、魔物に襲われそうになるが、ジュードとミラとエリーゼの協力でなんとかその日のうちにサマンガン海停へとたどり着くことが出来た。

 

 

「船があるか見てくるね」

「待っててね」

 

ジュードとドロッセルが船がないかを確認しに出ていく。

 

「暇だな」

「なにか、おはなししようよー」

「ネタが思いつかん」

 

秋山とティポが話してる時であった。

 

「ミラ様。ようやく追いつけました」

 

そこにイバルがやって来た。

 

「誰……ですか?」

 

エリーゼが尋ねたので答える秋山。

 

「ミラの巫子してる、イバルって奴……」

「イバル? どうしてここに?」

「手配書にミラ様を見つけ、心配で馳せ参じました」

「ニ・アケリアを守る使命はどうした?」

「村の者たちもミラ様の力になることを理解してくれました」

「ばかもの! そんなことを言っているのではない!」

「……よく見てみると、そこの者、足を怪我しているではないか。

ほら、みろ! 言わんことじゃない!」

「イバル!」

 

秋山をバカにしようとイバルをミラが怒る。

 

「秋山の怪我は私のために負ったものだ。

そのように言うな」

「しかし、ミラ様……」

「あれ? イバル?」

 

そこにジュード達がやって来る。

 

「誰でしょうか?」

「イバルって言う、ミラの巫子」

 

秋山が簡単にドロッセルに説明した。

 

「ミラ様! この者たちと一緒にいては、ミラ様の目的が果たせません!」

「なんだとー!」

 

ティポが怒る。

 

「ひどいです!」

 

エリーゼも怒る。

 

「お前たちに教えておこう。

元来、ミラ様のお世話役として、わが身を顧みず務める従者を巫子と呼ぶ。

それは誇り高く、尊(たっと)ばれる。ミラ様のお言葉とはいえ、それをどこの誰とも知れない輩に任せた俺が間違いだった!」

 

イバルは剣を取り出す。

 

「貴様らなど、俺から見れば巫子たる資格をもたない偽者だ。立場をわきまえろ!」

「今お前、偽者って言ったか?」

 

秋山が偽者という言葉に反応した。

 

「それがどうした?」

「こういう言葉がある。『偽物が本物に敵わない、なんて道理はない』」

「いいや、敵わないな」

「ふぅ……仕方ねえ……」

 

秋山はなんとイバルの出した二つの剣と全く同じ剣を出す。

 

「何? 何故お前がそれをもっている?」

「これはお前の剣を真似た、偽者だ。けどな!」

 

秋山が剣を上に投げると同時に、手で馬を軽く押し、飛び上がる。

それと同時に空中に飛んだ剣を取り、そのままイバルを襲う。

イバルはその攻撃を防ぐが、わずかにだがイバルの剣が刃こぼれする。

 

「何!?」

 

イバルは驚いた。

秋山は地面に何とか手を着き、逆立ち状態になる。

 

「よっと」

 

そして勢いに乗って、再び馬に乗る。

 

「わかったか? これが『偽物が本物に敵わない、なんて道理はない』だ」

「……くっ…………」

「イバル」

 

ミラがイバルを呼ぶ。するとミラの手にはクルスニクの槍のカギが握られていた。

 

「お前にこれを託す。誰の手にも渡らぬよう守って欲しい。

これは、私の命と同じくらい大事なもの。四大の命も、これにかかっている」

「そ、そのような重要な役目を……お任せください!」

「頼む。そしてニ・アケリアに帰れ」

「は?」

 

イバルは固まる。

 

「お前の使命はニ・アケリアを守ること」

「ミ、ミラ様! しかしですね……」

「何度も言わせるな」

「くっ……」

「かえれー! かえれー!」

 

ティポが追い打ちする。

 

「仕方あるまい……。だが忘れるな! 本物の巫子は、この俺だということを!」

 

イバルは去っていった。

 

「なんだよ、あいつー」

「周りが見えてないだけだ。まあずっとああの可能性はあるけどな」

「それより、もうそろそろで船が出るみたいだよ」

「急ぎましょう」

 

秋山の足のことを聞いた船員は馬での乗船を特別に許可してくれた。

 

 

「うわ~、キレイ~」

 

初めて海を見て感動するドロッセル。

 

「でしょ! でしょ!」

「波も……風も……気持ちいいわ」

 

一緒にはしゃぐエリーゼとティポ。

 

「まったくのんきなもんだな」

「でも、いいんじゃないのかな? こういうのも……」

「まあな。ミラはどうだ?」

「うん? 私か……」

「また考え事か?」

「いや、そうではないのだがな……」

「まあ、あんまり気にしなさんな。

ある程度はなるようにならないとどうしようもないときだってある。

今はエリーゼたちと楽しみにな」

「ミラ~」

 

エリーゼとドロッセルがやって来て、買い物に連れてったようにミラを連れてってしまう。

 

「また連れてかれちゃったね」

「俺はこれ以上言う気はないぞ」

 

そうしているうちに船はル・ロンドに着いた。

 

 

「さあ、まだまだだよ! 行けー!」

 

ジュード達が降りると元気な少女の声が聞こえてくる。

 

「え?」

(この声、似てるな……)

 

ジュード達がその声のする方を見てみる。

そこには車いすに乗ってるジュードと同じくらいの歳の少女と小さな子ども二名が自分達に向かって走っていた。

 

「あ! 人!」

「きゃ! どいて! どいて!」

 

ジュード達には当たらずに済み、車いすの少女は、勢い余って海に落ちてしまった。

少女は自力で海から這い上がって来た。

 

「ごめんなさい。大丈夫でした……か?」

 

少女はジュードを見て、言葉を止めた。

 

「レイア……ただいま」

「なんで、ジュード? え、ええ! 何してるの!?」

 

レイアと呼ばれた少女はものすごく驚いていた。

 

「いや、レイアこそ……」

「あ、あれはこの子たちがかけっこで競争したいっていうから。

私を押してハンデ付けないと勝負にならないって思って……」

「レイアが一番楽しんで見えたけど……」

「そ、それでさ……ジュードは何してるの?」

「ジュード君の知り合いー?」

「その、幼なじみなんだ。えっと、彼女はミラ」

「私はドロッセルよ。この子はエリーゼで、この子がティポ」

「そんで俺が秋山だ」

「よろしく、ミラ、ドロッセル、エリーゼ、ティポ、秋山君」

「俺だけ君付けか」

 

レイアが秋山の足を見ると怪我していることに気づく。

 

「え、ちょっと、この人の足!」

「ま、こんなになったってだけだ」

「こんなにって……大至急、大先生に連絡お願い。患者さんが来るって」

「ら、らじゃー!」

 

一緒に遊んでいた少年と少女が急いで病院へと向かう。

 

「家に帰るんでしょ? わたしも行く。馬だと入れないのもあるから、これ、使って!」

 

レイアが車いすを使うように勧める。

 

「じゃあ、そっちに乗るとするか」

 

秋山は何とか車いすに乗り移る。

そしてル・ロンドの街に行き、ジュードの実家である治療院へとやって来た。

 

「おお、ジュード。首都はどうだった。楽しくやってたのか?」

「ん、この男性(ひと)は?」

 

奥から年配の女性看護師の人が出てくる。

 

「母さん……」

「先生、診察はまだかい?」

「ごめんなさい。みなさん、急患がいらしたので続きは午後の診察に」

「ああ、この男性(ひと)が……」

「すみませんね、本当だったらあんた達の順番だったのに……」

「いいよ、いいよ」

「そんな足見せられたら、俺達なんか……」

「お大事に……」

 

先にいた患者たちは去っていく。

 

「ごめんね、みんな! またあとでねー!」

「ははっ。レイアちゃんも、すっかりここの仕事が板についたな」

「もう立派な看護師でしょ」

 

最後の待ち患者を見送る。

 

「彼はこちらへ」

 

秋山は診察室に運ばれた。

 

 

秋山が少し待つとメガネをかけた男の人が入って来る。

 

「ディラックだ。動かないで、そのまま」

「俺は秋山。あんたがジュードの親父さんか?」

「そうだ」

 

ディラックはそれだけしか答えなかった。

 

「足に力は入るのか?」

「いや、幸いと言うべきか膝から下なんだ。動かないのは……。

けど感覚がないな……」

「うーむ……」

 

うなるディラック。

 

「エリン、こちらはもう大丈夫だ。あの子の傍にいてやれ」

「え、はい……」

 

エリンは少し意外そうな顔をしたが、ディラックの言う通りにした。

 

「あと、いくつか検査をする。もうしばらくそのままでいてくれ」

「わかった。(さて、適当にごまかさないとな。ごまかすのは初めてだな。

まあ、心臓を常に止めてろよりはましか)」

 

ディラックは色々調べてみる。

 

「さっきの人、ジュードのお袋さん?」

「ジュードは、私たちの一人息子だ」

「一人息子ね……。

ところでさ、あんた、俺と似たような状態の人を治療したって聞いたことあるけど……その人と同じ治療は出来ないか?」

「……検査の結果次第だ」

 

ディラックは後ろを振り向く。

 

「後ろを振り向くってことはやましいことがあるってことだぞ」

「やましいことなど……」

 

ディラックが秋山の方を見ると、なんと秋山は立っていた。

 

「なっ!?」

「じゃあこれがどういうことかわかるかな?」

「な、なぜ立てる? 簡単に見たが、どうやっても動くことなど……」

「普通は無理だな。俺の異常再生能力でもない限りな……」

 

秋山はディラックの秘孔を突く。

 

「ま、今のことは忘れてくれや」

 

秋山は指を抜く。

ディラックは反動で一時的に動きが固まる。

 

「さてと、もっかいあの状態にするか」

 

秋山が前に斬った足を治したように足をさするようにすると足は再び先ほどまでの本当に動かない状態に戻った。

 

「まったく、怪我の自演は初めてだぜ」

 

それからひとまずの検査を終え、しばらくすると、エリンが入って来た。

 

「秋山さん、気分はどうかしら?」

「足が動かない以外は特に問題なしですな。それで検査の結果は?」

「それは主人の……先生の方から話があると思うわ」

「ま、ダメだろうな」

「なんでそんなことを……」

「態度見てれば分かる」

「………………」

「別のことを聞きたいけど、いいかい?」

「なにかしら?」

「ジュードがやたらお人よしとかってある人に言われまくってさ、俺もそう思った。

前からあんな性格なのか?」

「…あの子ったら小さい頃から、お人好し過ぎるところがあったの」

「何か困った事でも?」

「そのせいで友達にからかわれたり、いじめられたりしたこともあったわ」

「いじめは許せんな。……だが今のジュードを見る限りだと……」

 

エリンは頷く。

 

「顔に酷い傷をつけられても、あの子が笑っていた時は、もうどうしたらいいかって……」

「叱ってやることだったな。嫌なことを嫌だって言えなきゃ、いずれは……」

「ええ、でも……」

 

そこにディラックが入って来る。

 

「私たちには仕事がある。この街の病院はここだけだ」

「あなた……」

「ジュードは男だ。甘やかせば、さらにふぬけになる」

「厳しいね。けど、厳しすぎると、いずれ反発が起こるぜ」

「ああ。先ほど初めて私に意見してきたよ。君に医療ジンテクスを施すようにとな」

「医療ジンテクス……? それがあれば俺はまた足を動かせるのか?」

 

秋山はそれらしく言うが、その気になればさっきのように自分で治せる。

 

「……私は息子の頼みさえ、医者としてははねつけなければならない」

「リスクがあるんだな」

「…………施術は簡単なものだ。だが、すぐに動けるようになるものではない。

神経回路に直接、精霊術をかけた状態になる。指先を動かす程度で、体全体を激痛が襲う。

術が神経になじんで、動けるようになるには早くとも数節もの時間がかかる」

「なんだ、その程度か」

「その程度……」

「俺は色んな意味で酷い目に遭ったからな。常に激痛なんて安い安い。

それに似たようなことを耐えきった奴の話も知ってるし……。根性だしゃ、なんとでもなる」

「だが今は肝心の精霊の化石が手に入らない。

その上、精霊の化石は採掘すると、すぐに内包されたマナを失ってしまう」

「獲れたて限定ってことか」

「君ならもしやと思ったが……残念だ」

 

ディラックとエリンは部屋を出る。

 

「はぁ~、ジュード達、来るだろうな……」

 

秋山は寝ころびながら笑っていた。

 

「世界の記憶確認……」

 

秋山は正史世界の記憶を本にして、寝ころびながら読む。

 

「行く場所はフェルガナ鉱山。強い魔物あり。

正史だとミラは途中参加でジュードとレイアのみか。

今回はミラは最初からでエリーゼもいる。ドロッセルは……まだ無理だろうから留守番だな。

強い魔物はそれなりに強いから、四人いても手こずるかな。

まあ、歩けなくてもスペシウム光線とかくらいなら使えるしな、ビックバンパンチもその気になれば座ってても出来る。

医療ジンテクス使ったふりして、完全回復か。

実は経絡秘孔を突けば治るのを忘れてて、ピンチに思い出して、秘孔を突いて復活ってのもありだな。

実際秘孔の中にはそう言った効果のはあるし、なければ勝手に俺が作ればいい」

 

秋山はぶつくさ言う。

しばらくするとジュード達が医療ジンテクスを持って部屋に入って来た。

 

「それは医療ジンテクスか?」

「うん……」

 

秋山の足に医療ジンテクスをつけるが、特に変化はなかった。

 

「精霊の化石が必要だと言ってたからな。……まずはそれを取りに行く必要があるぞ」

「あれ……でも、フェルガナ鉱山で昔、採れたって聞いたことがあるような……」

「本当なんですか? レイア」

 

エリーゼが尋ねた。

 

「昔、お父さんに聞いたことがあるだけ……」

「ま、行ってみようぜ。何もしないよりは遥かにいいからな」

「でもドロッセルは……」

「どこにいるんだ?」

「レイア君のおうちの宿ー」

「まだ武術はきちんと学んでないだろ。こっそり行った方がいいな。

そう言えば、ジュード、お前の師匠ってどこにいるんだ?」

「レイアのお母さんなんだ、僕の師匠」

「あ、そうなの。ならなおさらおいて行くか」

 

そして秋山達はドロッセルを置いて、その日のうちにフェルガナ鉱山へと向かった。

 

 

秋山達はフェルガナ鉱山についた。

 

「あ、あったあった!ここが採掘場だよ。えっとねー、確か精霊の化石って色が付いてて音がするんだって」

「そうなんだ」

「妙だな。作業途中で打ち捨てられているように見える」

「レイア、何か知ってる?」

「ううん。もしかしたら、事故とかで危険だからって閉山したのかな」

「大丈夫かな……」

「でもね、やるしかないんだよ。うん!」

「レイア、気合い入ってるね……」

「だって、こう燃えてくるものがあるじゃない! どっちが早く見つけられるか勝負だよね、もちろん!」

「誰と誰が勝負するんだ?」

「注意してね。レイアに何かあったら……」

「ジュードは昔からすぐにそうやって言うんだから。

それに、わたしの心配よりも、今は秋山君のことでしょ」

 

レイアはジュードにつるはしを渡した。

 

「さて、と。やっぱ、見えるとこに都合よくなんてないね」

「まずあったとしてもマナがなくなってるだろ。発掘を終えてるんだから……」

「秋山とエリーゼはここで待ってて」

 

ジュードとレイアとミラはつるはしを持って探すことにした。

しばらくすると……。

 

「これって……」

「ジュード! 見つけたの?」

 

レイアが車いすを押して来る。

 

「……わ。何これ」

 

その先には道と地面に何か光るものがあった。

 

「それ……精霊の化石のようだ。この色、間違いないだろう」

「けど……こんな細かくちゃ……」

「奥から風が吹いている。行き止まりじゃないってことか……」

「でも暗くてこわいよー!」

「ならエリーゼとティポはここで待ってるか?」

「それは……、……わたしも行きます!」

「さて、ちっとした博打だぜ、こいつは……」

 

秋山は少し楽しんでいた。

皆で奥へと進んでいく。

 

「はぁはぁ……」

 

息を切らすレイア。

 

「レイア、やっぱり……」

 

レイアを心配するジュード。

 

「ね、ねえ、ところで、精霊の化石ってなんなの?」

「マナを失った精霊がこちらの世界に定着し、石になったものだ」

「もう……」

「マナを失うって、まあ、言ってみれば死んじゃうみたいな感じでしょ。でも、死ぬなんてあんまり聞かないよ。都会じゃよくあるの?」

「さあ、ないと思うけど」

「うーん。精霊も昔はたくさん死んじゃったってことかな」

「大半は、私が生まれる以前の話だ」

「どういうこと?」

「今度、詳しく話すよ。それよりも先へ急ごう」

 

ジュードはごまかすように進む。

 

「いじわる。ベー」

 

レイアはあかんべーをする。

するとジュードとミラは周りを見回す。

 

「わ、ちょっと……これくらいで怒らないでよ」

 

あかんべーがばれたと思って謝るレイア。

しかし実際はそうではなかった。

 

「今……何か聞こえなかった?」

「何かって?」

「何か鳴ってるようだな」

「この音、どこから……」

 

再び周りを見てみると……。

 

「あった……精霊の化石だ!」

 

しかしあった場所は反対側であった。

 

「やったね、ジュード! 早く向こう側に行こっ」

 

道が繋がってないために遠回りをしてその場所へとやって来た。

 

「あれ……? さっきはあったよね……」

「場所は間違っていないようだ」

「動いて……る?」

「精霊の化石の欠片だ……ということは、さっきのはこの奥に……」

「でも、石が勝手に移動するなんて……」

「怖いよー!」

「ティポもあまり言えないけどね」

「ありえないことでも、他に可能性があるなら、真実になり得る」

「とにかく進んでみるか?」

「うん」

 

とりあえず先ほどまでなかったとされる奥に入る。

 

「わぁ……何、ここ……不思議な場所」

「音が大きくなったり、小さくなったりしてる」

「気をつけろ」

「……来るぞ!」

 

すると一同の前に巨大な魔物が現れた。

 

「ジュード、奴の頭だ!」

「あれは精霊の化石!?」

「移動してた理由が分かったな」

「レイア……出すぎないで!」

「わたしが……取るからね、ジュード」

 

レイアは棒を出し、全員が戦闘態勢に入った。

 

 

ジュード、ミラ、エリーゼ、レイアで戦闘に入る。

 

「ライトニング!」

 

ミラが魔物の長い胴体部分に雷を当てる。

 

「行くよ! エリーゼ!」

「はい!」

「「ティポ・ザ・ビースト!!」」

 

ジュードとエリーゼの共鳴術技(リンクアーツ)でティポが魔物に対して噛みつきまくる。

魔物は少なからず苦しんでいた。

 

「ジュードに負けてられない! ミラ!」

「ああ!」

「「水月烈破!!」」

 

ミラの前に出てきたアクアプロテクションの水の塊をレイアが棒で突き、破裂させる。

魔物はそれのダメージと驚きによって倒れる。

 

「やった、今のうちに精霊の化石を!」

「待って、僕が!

「わたしだってできるよ!」

 

ジュードとレイアが魔物に近づく。

 

「離れろ! そいつはまだ動く!」

「え?」

 

秋山の言う通り、魔物は再び動き出す。

ジュードとレイアは魔物によって壁に叩きつけられる。

 

「ジュード! レイア!」

 

エリーゼがジュードとレイアの治療を行おうとして、二人の元に行く。

 

「こっちだ!」

 

ミラが魔物を引き付ける。

魔物は弱っているはずなのに、ミラ一人では手こずる。

 

「………仕方ない」

「秋山……」

 

ジュードとレイアが秋山を見る。

秋山はなんと自分の足を突く。

 

「はああああああああ!!」

 

すると秋山は立ち上がる。

 

「嘘? 精霊の化石なしで……」

「悪い。今になって思い出した。足がこんな状態でも歩けように出来る秘孔のことをな……」

 

それでも少しつらそうであった。

 

「友達(だち)を傷つけた罪は手前の命だ!」

 

秋山は歩き出す。

 

「ミラ!」

 

秋山がミラと共鳴(リンク)する。

 

「ああ!」

 

秋山の大切断とミラのウインドカッターが合わさる。

 

「大空切断!!」

 

秋山はジャンプし、大空切断が魔物の額にある精霊の化石部分のみを切り裂く。

 

「これで精霊の化石を後で保存だ。

そしてトドメだ! 輝く神の名のもとに、原子に打ち砕く! ビックバンパーーーーンチ!!」

 

ビックバンパンチを魔物に叩きつけ、魔物は完全に消滅した。

 

「完全害悪な存在だったようだな」

 

秋山は車いすの方に戻る。

 

「っ……いててて」

「秋山!」

 

ジュード達も秋山のところに駆け寄る。

 

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。しかし、悪かったな、秘孔のこと思い出せなくて……」

「そうだ、そうだー! エリーもレイア君もジュード君もミラ君も危なかったんだぞー!」

「それはもういいよ」

 

ティポは怒るが、レイアは気にしないと言った。

 

「けどな……本当はこれも結構リハビリ、必要なんだけど……。

少し無理したか、いきなり走ったり、ジャンプもしたしな……」

 

秋山は車いすに座る。

 

「悪いけど、また運んでくれないか? あ、その前に精霊の化石のところに連れてってくれ」

「……わかった」

 

ジュードは秋山を精霊の化石のところに運ぶ。

 

「どうするんですか?」

「発掘してすぐじゃないと意味がないなら。発掘してない状態にしてやればいい。だから……」

 

秋山は大切断で近くの土を切る。

切った土を精霊の化石に被せ、精霊の化石の周りの土を切る。

 

「これでまた埋もれた状態になった。これを持ちかえれば……まあ、適当にどうにでもなるか」

 

秋山はあらかじめ持ってきていた袋を取り出す。

 

「悪いけど、これに入れてくれないか?」

「わかった」

 

ミラが袋に精霊の化石を入れた土を入れる。

 

「これでよしと……。じゃあ今度こそ戻るか」

 

そして一同はル・ロンドに戻るのだった。

 

 

一同がル・ロンドに戻ったのは次の日となっていた。

 

「やっと帰ってこれたー」

「出迎えが来たぞ」

「ジュード……!」

 

最初で出迎えたのはエリンだった。

エリンはジュードに抱きつく。

 

「エリー! ミラ! みんな!」

 

次にドロッセルが来た。

 

「ドロッセル……」

「どこかケガはない? 鉱山に行ったのよね? どうして黙って行ったの」

「母さん……ごめ……」

「そうよ! 言ってくれれば、私も……」

「ジュード!」

 

最後に来たのはディラックであり、ディラックはいきなりジュードの頬を平手打ちする。

 

「あなた!」

「みんなに何かあったらどうするつもりだった。最悪の事態を考えなかったのか?」

「……できることをしないなんて……。僕は父さんと一緒じゃないから……」

「お前はっ!」

 

ディラックが再び平手打ちしようとする。

それを秋山が立ち上がり、止める。

 

「やめな。最悪の事態は俺も考えてたし、いざとなれば俺が全員を逃がしていた」

「立てる……のか?」

「みんなのおかげだ。もっとも医療ジンテクスは使ってないんだがな……」

「じゃあ、どうやって……」

「経絡秘孔術とだけ言っておこう。とは言ってもリハビリしないと完全じゃないから、リハビリの為に入院したいがいいか?」

「だったらムリしちゃダメだよ。もう~、早く座って!」

 

レイアに言われて車いすに座る。

 

「レイア、すぐに治療院に来なさい」

「は~い」

 

結局秋山はリハビリの為に入院することになった。

秋山がその気になればリハビリなどせずとも簡単に足を動かせるが、世界のために時間をかけた方がいいので、リハビリするのだった。


 
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