No.452718

新たなるEXA

最終戦争、それが決着し、最高の未来を作り出した究極魔法。 だが戦いは終わらない。異界の世界ではじまる新たな戦。 多くの謎に包まれた敵、そして……12人のマホウツカイと別世界の魔法使い達の戦いが起こる!!

2012-07-14 15:38:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3470   閲覧ユーザー数:3381

 

とある島、温かい日差しの中、少年は買い物袋をもって目的地へと向かう。

 

「はぁ、これで全員分か。まさか、あいつらまで来るとはな」

 

溜息を吐きつつもどこか楽しそうに少年、芳乃零二は道を歩く。

 

「しかし、いまさらな気がするな。あそこでお花見とは」

 

 

 

ことの始まりは前日の朝、彼の通う星見学園に通学中の時のことだった

 

「お花見しよ!!」

 

と、通学の途中にいきなり後ろから抱きついてきた里村紅葉からのものだった。星見学園の制服の上に赤い上着を着ており、頭にはキャラクターの絵が入った帽子のようなものを着けている。零二に一目惚れをし逆ナンをしてからはずっとこのようにあの手この手のアピールをしている

 

「いきなりあらわれて唐突だな里村…どうしたんだ突然?」

 

そんな彼女に慣れているように見えるが、内心すこしドキドキしているのを隠し、冷静に聞く。

 

「むっ、せっかくこんなかわいくて美人な子が抱きついてるのにそれはないでしょ!」

 

「毎度のことでもう慣れてきたんだよ。あと、美人は自分で美人とか言わない」

 

「むっきーー!なにさ、なにさ。もう少し反応があってもいいじゃん!」

 

「はいはい、今度からそうする。というか、話がそれてきてるぞ」

 

「おっとそうだった」

 

というと零二の背中から降りてとなりに並んで歩きだす。

 

「いやね、よくよく考えてみるとさ、あんなに大きな桜があるのにお花見しないのはもったいないなーって今朝思ったのわけ!で、1人じゃつまんないし、せっかくだから零二を誘ったの」

 

「ほー、なるほど……で、真実は?」

 

「なっ!なんでそうな…「昨日見てた雑誌が原因だと思うよ」って、なぎさ!!」

 

「ごめん。話聞いてたから」

 

通り道から来たのは紅葉の親友の鈴白なぎさである。長い黒髪を両サイドに束ね、教科書が入った鞄とは別に、剣道で使う竹刀が入った袋を持っていた。

 

「へー。で、その雑誌ってどんな内容だったんだ?」

 

「えーと、確か…『恋の開花にお花見を、花の開花と共にハートを開花させろ!』っていう記事で…」

 

「わかった、もうその先は言わなくていい」

 

話が長くなりそうなのと、どう考えても胡散臭すぎる題名を聞きその先を聞くのやめた。

 

「もぉーなぎさぁ!!言わないでよぉ~!もうちょっとで落とせたのに~」

 

「どこがだよ。かすりもしてないぞ」

 

「れーじもそんなにあっさりと言わないでよ~!」

 

「あははは。今日も仲がいいね」

 

苦笑しながらなぎさはそう呟いた。

 

「でもまぁ、お花見っていうのはいいかもしんないな」

 

「えっ!じゃあ!?」

 

「けど、2人でもつまんないし、もっと大勢呼ぼうぜ」

 

「むむ、それって、あの女も入れるわけ?」

 

紅葉の言うあの女とは零二の義理の妹、黒羽紗雪のことである

 

「まぁ、そうだろうな。あ、もちろん鈴白もだからな」

 

「あ、ほんと?ありがとう芳乃くん」

 

「龍一もつれてくるからな」

 

「ふ、ふぇ!?そ、そんな、でも、い、いきなりすぎるよ!」

 

「むーあの女が来るのは心底滅入るけど、まぁ零二の隣に座るので我慢してあげる」

 

「ほんと、お前らもいつも通りだな」

 

 

場所と時は変わり星見学園

 

「つーわけだ、参加するだろ?龍一」

 

「うん。かまわないよ」

 

さわやかな笑顔で答えた少年の名は皇樹龍一、右手に黒いグローブを着けており真面目な少年であり、鈴白なぎさの

 

「鈴白も来るから、そこんところはしっかりエスコートしろよ、この朴念仁の唐変木」

 

「う、君にそう言われると、言い返せないよ。でも、わかってるさ」

 

「ほんとかぁ?この前なんてせっかく鈴白が作った弁当を…」

 

「ちゃんと全部食べたじゃないか!?」

 

「ああ、たべたな。鈴白がせっかく食べさせてあげるって言ったのを断ってよぉ」

 

「自分でできることは、なんでも自分でやらないと。あとで困るのは、自分なんだぞ!」

 

(だめだこいつ……鈴白も大変だな、こんなのが彼氏だと)

 

そう彼氏である?

 

「なんで疑問形なんだ!?ってそれもそっか」

 

「?誰と話しているんだい零二?」

 

「なんでもねーよ、ひとりごとだ。ともかく明日だからなそれと、大丈夫だとは思うが、場所取りは任せたぜ。そんじゃ、俺は紗雪と美樹を誘ってくるぜ」

 

後に零二はこの時のことを後悔することとなる

 

 

そしてその日の夕方、居候先の相楽家。

 

「サクラ、お前も来るだろ?」

 

家に帰った後、零二の文字通り(・・・・)二心同体のパートナー(・・・・・・・・・・)であるサクラに今回のお花見について説明すると

 

「もちのろんなんだよ!!」

 

まるで子供のように大きな声ではっきりとそう答えた。

 

「マスター、私お弁当作るんだよ。マスターのために…」

 

「気持ちだけ受け取っておく」

 

「ええええええ!」

 

「おまえ、まだカレーしか作れねーだろ。この前のクッキーもどきは正直死ぬかと思ったぞ」

 

零二の言うクッキーもどきとはそれをクッキーと呼んでいいかというものだった。彼女いわく、「マスターが好きなものを入れるのがいいよね」ということで隠し味に香辛料として豆板醤や鷹の爪といったものを入れた激辛クッキーを食べた零二はそのあとしばらくの間何も食べれなかったという

 

ちなみにお菓子も料理も、基本は本やネットに書いてある通りにすればそこそこおいしい。それで失敗するものの大半の理由は料理のことをあまり知らないのに隠し味と言って余計な調味料を入れてしまうのが原因である。

 

「ぶーマスターがひどいんだよ紗雪ちゃ~ん」

 

サクラは零二の義理の妹である紗雪によよよ、といった感じに寄り添う。

 

「あはは。でも、サクラちゃんも少しずつ上達してるから、もっと頑張れば次の機会に食べてくれるかも」

 

いつも通り、静かだが透き通るようにはっきりとした声でサクラを励ました。

 

「うん!マスター食べてくれるよね!」

 

「あぁ。お前の腕が上がったらな」

 

そういうと「やった」といって飛び跳ねる。

 

「それにしても、美樹さんと相楽さん残念だったね」

 

「しかたねぇよ。美樹は当日の日がバイトで、苺さんは親父たちとの都合なんだからな。ま、その分俺達が楽しめばいいさ」

 

ちなみに零二の言う苺とはこの家の主である相楽苺のことである。

 

「う~ん!はやく朝になってほしいんだよ~」

 

「お前は遠足前の小学生か」

 

笑いながら零二はそう言った。

 

 

そして翌日

 

零二、紗雪、サクラは目的地の途中で紅葉となぎさに合流し、そのまま進んでいる。ちなみに紅葉と紗雪は遺伝子的に仲の悪い犬猿の仲。あった瞬間に喧嘩したのは言うまでもない

 

そして目的地到着すると……喧嘩中の2人までもが思考を停止する状況だった

 

「えーと………」

 

零二は目の前にいる者たち(・・・)をじっと見る。

 

「おっ、ようやっときたんか芳やん!」

 

関西弁をつかい零二に話しかけてきたのは自称零二の親友、霧埼剣悟。目は細めをしておりフランクでオープンエロスな男である。ちなみに関西弁をつかうが彼は関西出身ではなく島人である。彼いわく、関西の人に憧れているからこのような言葉をつかっている。

 

「霧埼!?なんでお前が!」

 

「水臭いで~こんなイベントに親友ワイをよばんなんて~」

 

零二にとってはこれだけでも驚きだが問題は

 

「やぁ、里村。今日も美しいね」

 

「げっ、がきんちょ・・・・」

 

小学生くらいでませた感じを出しているこの子供の名は有塚陣。子供である彼はその年に見られる自己陶酔感があり大抵の他者を見下している。いっちょまえに色気づいて紅葉にアタックするが

 

「それで、僕のものにならないかい?」

 

「ごあいにくさま、あたしは零二一筋なの。がきんちょのあんたに割く時間は1秒もないの」

 

といったように全く見向きもされず、それどころかこのようにドライである。

 

「んなことぁ、どうでもいいだろう!!さっさっと始めようぜ!!」

 

陣と紅葉のコミュニケーションを遮り話しかけてきたのは巨大ながたいをし、全身の筋肉が張り出てる男名前は自称最強無敵の進化する天才、轟木鋼である。彼のことを言い表す言葉があるとすればそれはただ一つ、バカ。以上である

 

「と、轟木くん!?」

 

ちょっと引き気味で彼の名を言う

 

「おーおっぱいのでかい黒髪嬢ちゃんじゃねーか!」

 

ちなみになぎさは轟木のことが少し苦手である。

 

「一体全体どうしてこうなった?」

 

「あぁ、それはなぁ」

 

零二の疑問に剣悟は答える

 

前日の零二と龍一の会話を剣悟は聞いていたらしく、龍一に頼み同行を許可してもらった。さらにこの際だからもっと呼ぼうと言うことになり、剣悟は陣と鋼を龍一は

 

「あっ、零二おにーちゃん!」

 

「………」←(ぺこりとお辞儀をしている)

 

「なっ、陽菜子に真田のおっさん!」

 

黒のリムジンから降りてそこに来たのは高嶺病院にいる少女、高嶺陽菜子と黒いスーツとサングラスを掛けたボディーガード兼保護者である真田卿介。一見すると卿介のサングラスから除かれる視線はマフィアを思わせるような感じがするが

 

「この間は、お嬢のためにありがとうございました」

 

とお辞儀して言う。

 

「いえ、そんな。ただのお見舞いですし」

 

「それでも、お嬢の今があるのはあなたのおかげでもあります」

 

再び頭を下げる。このように義理堅く、以外と優しい心を持った男なのである。

 

「にしても、随分と多いな。つか、後二人である意味(・・・・)そろうな」

 

「あら、おぼえててくれるなんて光栄だわ、零二君」

 

(!!この声は)

 

その声を聞き後ろを見る。というより、いつの間にかそこにいた女性に気付き反射的に後ろを向くとそこに立っているのは星見学園の生徒会長、雨宮綾音。スレンダーでスタイルもよく、成績優秀、運動神経抜群、料理もできて美人という完璧超人であるが零二は彼女のことが苦手である。

 

「あーその、雨宮…とりあえず聞くが、なんでここに?少なくとも、俺も里村達も教えてないと思うんだが」

 

「うふふ、なんでかしら?」

 

と妖艶な笑みを見せてそう言う。彼女はとあることが切っ掛けで零二を好きというより愛しており、それはもはや歪んでるほどである。零二いわく『ストーカー気質の女神様』

 

「あーかいちょー!零二はあたしのなんだから、てーださないでよー!!」

 

「あら、こういうのは早い者勝ちよ」

 

「むっきー!それならあたしが最初に零二にアタックしたんだい!」

 

「俺はどっちのもんでもない。頼むから俺に普通の日常をおくらせてくれ」

 

ものすごくけだるそうに零二は呟く。男にとってはもてることは嬉しいことだと零二は理解しているが、この状況を喜ぶべきなのか悩みどころだった。

 

「あ、芳野さん」

 

「ん、梶浦!お前も来てたのか」

 

「はい。あとで俊くんも来ますけど」

 

梶浦海美、零二の一つ下の学年でありこの島の神社、梶浦神社の巫女さんでもある。ちなみに彼女の言う俊くんとは彼女の恋人である

 

「ていうか、これで全員そろっち(・・・・・・)まったな……おい、龍一!」

 

「零二、どうしたんだい?」

 

「いやおまえ、この状況は…」

 

「ごめん霧埼くんだけ許したら他のみんなにも悪いし、それに陽菜子ちゃんは初めてのお花見だろうし」

 

「まぁ、いいけどよ。……ただ、みんなの分の食べ物と飲み物が足りなくなるぞ」

 

「食べ物は皆用意してるらしいけど、飲み物は……」

 

「了解、なら俺がちょっくら買って来る」

 

龍一のすまないと言う声を聞いて零二は近くのお店に向かった

 

 

そして現在

 

「よう、買って来たぜ」

 

「あ、零二。すまない」

 

龍一は受け取った飲み物を全員に配った

 

「そんじゃ、始まりの乾杯をするか」

 

「おーなんだよ!」

 

「なんや、酒はないんか」

 

「俺はまだ未成年だぞ。買えるわけが―」

 

その先の言葉を言おうとした時だった

 

「!!、マスター!!」

 

『!!?』

 

そこにいる者たち全員がサクラの指した方を見て驚く。無理もないだろう。空に穴が開いたのだから

 

「な、なんだありゃ!?」

 

「わからないけど、強力な魔力を感じるんだよ!」

 

「みんな気をつけて!!」

 

龍一が声をかけるがもう遅い。穴は全てを吸い込むかのように俺達を強力な引力で吸い込もうとする

 

「うぐわっ!!さ、サクラ!」

 

零二はサクラの手を取り、サクラは紗雪の手を取った

 

「芳やん、掴まらさせてもらうで」

 

霧埼は零二の足にしがみついた

 

「って、こら離せ!」

 

「なんでそないなこと言うんやねん!」

 

「いやお前、バランス取れなっ…うおぉ!!!」

 

「零二!」

「芳野くん!」

 

そして、そのまま4人は穴にのまれた。

 

「まずい、僕達も!!」

 

陣はこの状況に落ち着きながら、自分の能力|ちから))を出そうとするが

 

「くっまにあわな…うわぁ!!」

 

「ぬおおおおお!!俺様もすいこまれるううううううぅぅぅぅぅ!!」

 

「うわ、うわわわわ!」

 

「!(零二君、今行くわ!)」

 

陣、鋼、海美、綾音は引力に逆らえず吸い込まれる。……一名は自分から飛び込んだが。

 

「お嬢!つかまってまってください!」

 

「う、うん」

 

卿介はしっかりと陽菜子を守るように抱きしめるがそれでもこの引力に逆らえず、吸い込まれる

 

「!なぎさ、里村!」

 

龍一はなぎさの手を取ることができたが

 

「も、紅葉!」

 

「くっ、くそおおお!!!」

 

なぎさは必死に手をのばすがあと少しのところで届かず、紅葉もその穴に飲み込まれる。

 

「なぎさ、君はその木につかまっててくれ!」

 

「りゅ、龍一!?」

 

すると龍一はあろうことか自分から穴に向かおうとなぎさを庇い、抗いをやめようとする。

 

「まって、私も行く!」

 

「なぎさ、けどこれは――」

 

「私はみんなを助けられなかった!だから、お願い!」

 

「―――――――――――――わかった」

 

龍一はそのなぎさの想いが本物で、彼の心を動かした。2人はしっかりと肩を組み、そして中に飲み込まれた。その後、穴は閉じられた。後に残った者はいない。

 

彼らはまだ知らない、これが別世界で次元震と呼ばれていることも、そしてその世界で彼らに大いなる((戦(いくさ)がふりかかることも、彼らの世界をも脅かす事態になることも、まだ、だれもしらない

 

 
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