No.448745

第3話 知らない天井って言葉を一度は使ってみたい

第3話です。

今日も疲れ疲れの更新。

コメントくださると嬉しいです。何かしらでもいいですので。

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2012-07-08 02:38:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:902   閲覧ユーザー数:889

う~ん、あれ、ここどこ?

 

「まったく、お風呂で寝てしまってはいかんといったであろうが」

 

「あ、お爺ちゃん……ごめんなさい」

 

「まあ、まだ三歳じゃからの、仕方ないの。じゃが次は気をつけるのじゃぞ?」

 

「わかりました、お爺ちゃん。ところでお爺ちゃん、壁に張り付いて何やってるんですか?」

 

「ふん、そんなこともわからぬとは……これからの御剣家が心配じゃの」

 

「そ、そんなに大事なことなのですか!?」

 

「……しかしまだ桂馬もまだ三歳じゃから、わからないのは仕方ない」

 

「何をしているのかを教えていただきませんか!?お爺ちゃん!」

 

「うむ、その好奇心に免じて教えて進ぜよう。……これはな」

 

「これは?」

 

「……隣にある女風呂を覗いておるのじゃ!!」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お爺ちゃん……それは、色々と駄目ですよ……って夢か」

 

まだ少し眠たい気持ちを抑えながら桂馬は目を開けた。

 

「……知らない天井だ」

 

色々なところで使うネタ発言をする桂馬。

 

「いや、タイトルでも書いてあるじゃないですか?使ってみたいって……それに僕も一度は言ってみたかったんですよ。しかもこれも小説のネタに使えますね」

 

これ自体小説だろ、というツッコミは言わないでおこう。

 

「それにしても懐かしな……」

 

体を起こしながら先程の夢を思い出す桂馬。

 

「……お爺ちゃん元気かな?」

 

少し寂しそうな、そんな顔をして窓の方に目を向けた。

 

「……いや、変態(あのひと)なら大丈夫だな……それよりも」

 

思考を変えてあたりキョロキョロと見回してみる桂馬。

 

(……ここどこ?)

 

自分の見たことないものを見てそう呟いた。

 

「というかなんで僕ここで平然と寝ているんだ?確か僕は……」

 

う~ん、と首をかしげて考える仕草をする。

 

「そうだ、思い出した。会社の面接に受かったんだけど、色々あって落ちてそれから公園で……」

 

忘れかけていた記憶を次々と口に呟く桂馬。ハタから見ればかなりの独り言もいいところである。

 

「うるさいですよ。えっと、それで確かマリアさんと会って……そうか僕、ナギって言う女の子を助けて倒れたんだった」

 

ようやく全てを思い出したようで顔がすっきりとした表情になっている。

 

「……ということは僕って死んだのか?」

 

最後にすごい勘違いをしてしまっているようである。

 

「それにしてもなんだか生きてる心地するなぁ~。ま、それも仕様ってやつかな?多分天国側の天使さんたちも配慮しているんでしょうね。そういうところに感謝ですね」

 

訂正する、すごいではない、かなり勘違いしている。

 

「でも目をあけたら確かにここは天国ですね~。今までは目を開けたらいきなり縄で縛りつけられてるうえに崖の上に縛りつけられてたり、いきなり知らない森に放置させられたり……とにかく禄なところじゃなかった……」

 

色々とつっこみどころ満載なところは見逃してくださいby作者。

 

「しかし、もうそんなのともおさらばですね!こころゆくまで天国を楽しみましょう!!」

 

拳を作りガッツポーズをする桂馬の姿はなんとも輝いてる光景だった。

 

「……そうえばなんだか体が汗でべちょべちょだ……風呂にでも入ろうかな?」

 

そう言って、何故か棚にあったバスタオルを持ってどこにあるかもわからないお風呂を探しに行った。

 

 

 

 

「もう目を覚ましていますかね?お嬢様」

 

「そうえば医者が早ければ今日中に目が覚めると言っていたな……」

 

三千院家のお屋敷の廊下を歩いてい男女がいた。名前は三千院ナギと綾崎ハヤテである。

 

「僕の場合はプロフィール紹介なしですか……」

 

「あらかた作者がめんどくさくなったとかそんなのだろ?気にするなハヤテ」

 

「そうですね」

 

ハヤテがうんうんと頷く。

 

「って話は元に戻して、その……御剣さんはどんな人なんですか?僕は担いだときしか見ていないので」

 

「私も直接話したわけじゃないが、マリアはすごくいい奴、と言っていた。実際私もそう思う」

 

「見ず知らずのお嬢様を助けたくらいですもんね……」

 

ナギは感謝の意を、ハヤテは感心して呟いた。

 

「……まあ、時速134kmの車に走って追いつくのはどうかと思うけどな」

 

「普通ではありえませんしね……というかボル○より早くないですか?」

 

苦笑いになるハヤテ。

 

「とにかくあやつとは約束したからな。ここで約束を破っては三千院家の名が廃れる。それに助けてもらったお礼もある」

 

「そうですね。僕もお礼を申し上げたいですし……」

 

そうハヤテが言い終わると同時に桂馬が寝ている部屋の扉のドアをナギが開けた。

 

「……おい、ハヤテ」

 

「なんですか、お嬢様?」

 

「いない」

 

「え?」

 

「いない……桂馬がいないぞ!」

 

「え!?」

 

「とにかく探すぞ!外にはでていないはずだから」

 

「そ、そうですね、ではお嬢様はもしもの時のためにここに残っててください!」

 

「う、うむ。わかった……では頼んだぞ、ハヤテ」

 

「わかりました!お嬢様!」

 

そんな感じで二人が慌てふためいてる頃、我らが主人公はというと、

 

 

「ふぅ~、いい湯ですね~。やっぱり温泉はいいですねぇ~」

 

お風呂でリラックスしていた。

 

「いや~、さすが天国式のお風呂。湯加減とか完璧に調節されていますね~」

 

自称天国式お風呂を満喫しているようだ。

 

「しかもこの広さで一人とは……驚きましたね。こんなところ昔よく入ってた銭湯以来ですよ」

 

確かにこの桂馬自称天国式お風呂場、もとい三千院家のお風呂はすごくでかい。しかも装飾も施されている。

 

「それにしても本当に癒されますね。僕としてはもう満足ですよ」

 

そんなことを呟いたとき、

 

「?なんだ、あの影?」

 

少し先の方に黒い影を見つけた。湯煙でよくわからないがそれは人間くらいのでかさの影だった。

 

(もしかして……ここに住んでる人?ということは誰もいないのは僕の早とちりで、実は他に先客がいたってこと?)

 

思考をめぐらせ考える。

 

「とにかく謝らないと……すみません、勝ってに風呂に入ってしまって……。次からは気をつけま」

 

「え?桂馬君?」

 

「え?」

 

聞き覚えのある声を見て下げていた頭を見上げるとそこには、マリアがいた。

 

「あ、れ?マリア……さん?」

 

「け、桂馬君……」

 

桂馬は理解できなかった。何故天国にマリアがいるのかと。逆にマリアも理解できなかった。何故ベットで寝ていた桂馬が目の前にいると。

 

「きゃぁぁー!!」

 

「わわ、ご、ごめんなさいー!!」

 

とりあえず自体の状況を把握した二人は体を湯船に沈める。

 

「す、すみません、マリアさん!!まさかマリアさんがいるなんて思っても……///」

 

「い、いえ。私も寝ている桂馬君がいるとは思ってもいなかったので……それに私も桂馬君のそばを離れたのがいけなかったのですから///」

 

二人とも顔を真っ赤にしながら話す。

 

「し、しかし驚きました。まさかマリアさんが天国の住人なんて……」

 

「え?」

 

桂馬が言ったことがよくわからなかったのできょとんとするマリア。

 

「すると三千院家とは天国の貴族様みたいなものですか。なるほどそれなら納得します」

 

「あの、何を言っているんですか?」

 

「いや~、何をとぼけたことをおっしゃっているんですか、マリアさん」

 

「?」

 

さらにわからない顔をするマリアをよそに桂馬は話し出す。

 

「僕にはとぼけてももう隠せませんよ。実はマリアさんは天国の住人で僕を迎えに来た天使とかそんなところでしょう。しかし本当に感謝していますよ。ここじゃなきゃたぶん天国でも変なところにいるところでしたから……」

 

「なんだか桂馬君の中ではとんでも設定があるようですが……」

 

どうやら色々と勘違いしている桂馬に気付いたマリアは桂馬に真実をはなしてやることにした。

 

「あの、桂馬君」

 

「はい、なんでしょうかマリアさん」

 

「あなた……死んでませんよ?」

 

「……え?」

 

いきなりのことを言われてびっくりしている桂馬。

 

「もう、何言ってるんですか。冗談はやめてくだ」

 

「冗談でもアメリカンジョークでもなく本当のことですよ」

 

アメリカンジョークはかましていないが、とにかくマリアの顔は真剣そのものであるため、桂馬もそれ以上何もいえなくなった。

 

「……じゃあ、こんなにお風呂がでかいのも」

 

「まあ、三千院家の権力なら簡単に作れますね」

 

「ベッドが雲のようなふわふわ感があったのも」

 

「まあ、最高級の綿生地を使っていますからね」

 

「実は作者が好きな女の子のタイプは清純派だということも」

 

「何故ここでそれを?」

 

「実は作者が最近になって、うたわれる○のにはまっていたりするのも」

 

「名作ですからね」

 

「全て、本当のことだというのかーーー!!」

 

いきなりの真実に驚愕の桂馬。というか僕をいちいち使うな。それと今更でもいいじゃないですか。

 

「まあ、最後の方は置いといて……とにかく全て本当のことです」

 

「そうですか。ま、天国に行くのはまだ早いということですか……」

 

「そういうことですわ♪」

 

少しがっかりしながら話す桂馬に対してマリアはフォローの意味もこめてニッコリと笑顔になる。

 

「……とりあえずこのままではさすがにまずいので上がりましょうか」

 

「……そうですわね」

 

確かにこんなところに誰かが入ったりしたら何か勘違いする可能性は否定できない。それこそ漫画的なお約束展開が待っているに違いない。

 

「先にマリアさんから出てください。僕はもうちょっとあとででますから……」

 

「そうですか?ではお言葉に甘えて先に上がらせてもらいます」

 

そう言うとマリアはお風呂から出て行き脱衣所に行った。

 

「……僕はまだ生きてるのか……。だったら精一杯生きましょうかね!せっかく助けていただいたんですから」

 

胸を張って堂々と決意を新たにした桂馬であった。

 

「あの、マリアさんそろそろいいですか?」

 

「あ、あの桂馬君……そ、それが」

 

「どうしたんですか?まさか何かあったんですか!?」

 

「い、いえ!なんでもないですからまだきちゃ!」

 

マリアの異変を感じた桂馬はすぐに風呂から出て脱衣所の扉を開く。するとそこには、

 

「け、桂馬君……///」

 

「お、おま、おま……///」

 

まだ下着姿のマリアとナギがいた。一方の桂馬はもちろん裸姿である。つまり二人には包み隠さず見えているということで。

 

「こ、このバカ者がーーー!!///」

 

「こっちの展開かよーーー!!」

 

二人の叫びが脱衣所にこだました。

 

 

 

 

 

―――三千院家リビング―――

 

「まったくびっくりしたぞ、まさかお前がいるなんて」

 

「す、すみません……」

 

(見られた……マリアさんたちに包み隠さず見られた……)

 

あの事件のあとマリアとナギと桂馬はハヤテと合流し、今はリビングにいる。

 

「あんなお約束展開、誰が望んでいると思っているのだ」

 

「それはまあ、そうゆうのも重要だということですよ、お嬢様」

 

「しかしなぁ~、もう少し考えられなかったのか?なんかこうもう少しハヤテのごとくらしくと言うか……まあ、この作者に何を求めてもだめなのはわかっているが……」

 

あれしかネタが思いつかなかった。後悔はしていない。

 

「とにかく、怪我人だというのに勝手にベットを抜け出してお風呂に行く桂馬が悪いのだ!」

 

「す、すみません……」

 

頭をペコリと下げる桂馬。

 

「ま、そこまで別に怒ってもいないから、別にもう気にするなよ?わ、私も一応マリアに確認をとらなかったのも原因だし」

 

「まったくナギは素直じゃないんだから」

 

「ま、そういうところもお嬢様らしいですけどね」

 

「う、うるさいぞ!二人とも!///」

 

二人の言葉に顔を赤くするナギ。

 

「ま、まあとにかく、色々あったけど、これでやっと願いを叶えてやれる」

 

「え?願いですか?」

 

覚えのないことを言ったナギに関して、首をかしげる桂馬。

 

「なんだ。覚えてないのか?」

 

「一体なんのことでしょうか?」

 

「仕方ないですよ、お嬢様。状態が状態でしたし……」

 

「それもそうか」

 

何かを思い出しながら話している二人に対して話がわからずまったくついていけていない桂馬の姿がそこにあった。

 

「桂馬君は覚えていないでしょうが、なんでも意識を失う直前、仕事がほしいと……」

 

「……言われてみればそんなことを呟いていたような」

 

目をつぶりながら桂馬は思い出すように呟く。

 

「というわけでだ、私はお前……桂馬に恩がある。だからそれも踏まえたうえでだ。

……私の……この三千院ナギの執事をやってみないか?」

 

「執事……?」

 

その言葉を聴いた瞬間、すごく懐かしい感じが頭の中に響いた。

 

「?どうしたのだ?嫌だったか?」

 

「いえ、そういうわけでは。ただ、なんだか懐かしい感じがして」

 

「懐かしい感じですか?」

 

ハヤテが質問をする。

 

「えぇ。なんだかとても懐かしい感じが」

 

窓の方を見てなんだか懐かしむようにしている桂馬。

 

「懐かしむのは後にしてとりあえずは私の質問に答えてくれないか?」

 

「あ、そうですね、ごめんなさい」

 

一言置いてナギをまっすぐ見つめながら桂馬は口を動かす。

 

「僕でよろしければ、その仕事お引きします!ナギさん……いや、ナギお嬢様!」

 

「うむ!これからもよろしくな、桂馬!」

 

「はい!」

 

張り切った声で返事をした桂馬は多分人生でこれほどなかったであろう輝かしい顔をしていた。それはきっと仕事をくれたナギへの感謝の意味も込めてであろう。

 

「桂馬さん、これからは執事通し、よろしくお願いします!」

 

「よろしくお願いします、ハヤテ君!」

 

二人は熱く握手を交わした。

 

「桂馬君、これからもよろしくお願いしますね」

 

「マリアさん……こちらこそ!」

 

そう言ってマリアとも挨拶を交わした。

三千院家に新たなる執事がやってきた。名前は御剣桂馬。ちょっぴりが会わないほど不幸で天然ででもいざというときには頼りになる18歳の青年である。


 
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