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魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第十一話 月村家の新たなメイドさん

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2012-07-06 23:17:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:56341   閲覧ユーザー数:50231

 西条をそのまま放置し、再び翠屋に戻ってきた俺達。

 

 「じゃあ、さっき無傷だった理由を教えてくれる?」

 

 早速聞いてくるフェイトちゃん。

 

 「まあ一言でいうとレアスキルだな」

 

 「「「「「「「「レアスキル?」」」」」」」」

 

 聞き返してくる魔導師組と長谷川家の面々。

 

 「ああ、どんな攻撃も通さない防御系能力、それが俺の『鋼鉄乙女(アイアンメイデン)』だ」

 

 『鋼鉄乙女(アイアンメイデン)

 

 自分自身を守る防御能力。その効果は物理的な攻撃だけではなく精神的な攻撃も含め完全に無効化出来るため、正に絶対防御能力……と言いたい所だが毒物やガスなんかは防ぐ事は出来ない。

 

 俺が『鋼鉄乙女(アイアンメイデン)』の効果について説明し終えると

 

 「でもアイツの攻撃が効かんなんて凄いなあ」

 

 はやてちゃんが感心していた。

 

 「そうか?」

 

 「凄いと思うよ。彼、魔力だけは私達以上だから実際耐え切るのは難しいんだ」

 

 フェイトちゃんも感心している。

 

 「うん。それに西条君の障壁も簡単に破ってたよね?」

 

 「アイツの障壁は近距離では多少固い程度だからな。中・遠距離で攻撃するよりかは簡単に破れるんだ」

 

 「そうなの!?」

 

 「知らなかったのか?高町」

 

 「うう…私はフェイトちゃんやアリシアちゃんと違って中・遠距離で闘うタイプだから」

 

 そういえばそうだったな。

 

 「しかしお前は一体どれだけのレアスキルを持っているのだ?」

 

 ディアーチェが不意に聞いてくる。

 

 「ん?ん~…10個以上はあるんじゃないか?」

 

 「「「「「「「「10個以上!?」」」」」」」」

 

 俺の発言に驚く魔導師組と長谷川家。あっ、そういやシュテル達も俺の持つレアスキルの全てを知っている訳じゃなかったっけ。

 

 「10個以上って凄いの?」

 

 アリサちゃんが皆に尋ねるが

 

 「レアスキルっていうのは私達が使う魔法とは違う所有者限定の特殊な能力の事だよ」

 

 「少なくとも2個以上持ってる人なんて聞いた事無いけど」

 

 テスタロッサ姉妹がそう言うとアリサちゃんはこっちを向き

 

 「アンタ、実は凄い奴なの?」

 

 そう聞いてきた。

 

 「そんな自覚は無いけどなあ。自分でも大して強いとは思わないし」

 

 「いやいやいや!レアスキル10個以上って充分チートやって!!」

 

 すかさずはやてちゃんが俺の言葉を否定する。

 

 「10個以上って事は僕達も知らないレアスキルがあるって事だよね?」

 

 「そうですね。私達が知ってるのは『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』『高速思考(ハイパーハイスピード)』『拒絶観測(キャットボックス)』『修正天使(アップデイト)』『悪魔図書館(あくまとしょかん)』の5つ…そして今回使用した『鋼鉄乙女(アイアンメイデン)』で合計6つですね」

 

 「少なくともあと4個はあるって事ですよね?」

 

 レヴィ、シュテル、ユーリも残りのレアスキルについて気になっているようだ。

 

 そんな話をしていると

 

 「桃子、何か手伝う事はあるかい?」

 

 一人の男性が店の中に入ってきた。

 

 「あ、お父さん」

 

 なのはちゃんが声を出す。

 そう、先程サッカーで相手チームの監督をしていた高町士郎さんだった。

 

 「なのは、店にいたのか?それに皆も?今日は臨時休業なんだが…」

 

 「お母さんには許可をもらってるから大丈夫だよ」

 

 「そうなのかい。おや?君は…」

 

 士郎さんが俺に気付く。

 

 「初めまして、長谷川勇紀です。先程は相手チームの助っ人としてMFやってました」

 

 「これはご丁寧にどうも。僕は高町士郎。そこにいるなのはの父だよ」

 

 お互いに自己紹介する。

 

 「それでこっちがうちの家族です」

 

 そういって四人に自己紹介させるが

 

 「……………………」

 

 シュテルを見て再び固まる士郎さん。

 

 「あの、士郎さん?」

 

 「……はっ!!な、なのはが二人いる!?」

 

 「お父さん、私はここにいるよ。彼女はなのはじゃないの」

 

 そう言ってなのはちゃんは士郎さんに説明する。魔法関係の事も。そういえば原作では高町家の人はなのはちゃんが魔導師って事知ってたんだっけ。

 

 「そ、そういう事か。相変わらず魔法ってのは色んな事が起きるんだな」

 

 なのはちゃんに事情を聞いた士郎さんは、シュテルがなのはちゃんとソックリな事に納得してくれた。

 

 「まあ、何も知らない人からすれば絶対に双子だと勘違いすると思いますよ」

 

 「ハハハ、そうだね」

 

 事情を知らない人から見たら髪型で見分けないとまず分からないんじゃないだろうか?シュテルとなのはちゃんの場合。いや…瞳の色や髪の色をちゃんと見たら見分けはつくが。

 

 「そういえば長谷川君」

 

 「はい?」

 

 不意に士郎さんが俺を呼ぶ。

 

 「君に聞きたい事があるんだが」

 

 「何です?」

 

 俺が魔法関係者って事はさっきなのはちゃんが説明してたし……はて?

 

 「君のお父さんについてなんだ」

 

 「父さん?」

 

 「ああ、もし間違っていたら悪いんだが君のお父さんの名前はもしかして『泰造』じゃないかな?」

 

 「確かに父さんの名前は『泰造』ですけど、もしかして父さんの事知ってるんですか?」

 

 「そうか、やっぱりね。…いや、君の名前を聞いた時にもしかしたらと思ったんでね。泰造は僕が昔していた仕事の同業者でね。何度か会う内にすっかり仲良くなったんだ。その時に彼の息子の名前を聞いた事があるんだ」

 

 そういえばこの人、昔は父さんと同じボディーガードやってたんだったな。

 

 「泰造は元気なのかい?久しぶりに会ってみたいもんだが」

 

 「ここ最近は手紙も来ないですね。まあ毎月お金は振り込んでくれてるんで生きてはいるんでしょうが」

 

 最後に手紙が来たのって俺が8歳の誕生日迎えた時だったかな?世界中飛び回っていて同じ場所にあまりいないからこっちから連絡つきにくいんだよなあ。

 

 「そもそもあの父さんを殺す事なんて出来ないと思いますし」

 

 「泰造も人間なんだから普通に銃弾とか受けたら血を流すだろうし死ぬ事だってあり得るだろ?」

 

 「じゃあ士郎さんは父さんを殺す事が出来ます?」

 

 「……無理だね。何度か手合せもしたが殺すどころか勝てる気が全くしないよ。もう引退した僕なら尚更だ」

 

 「……ですよね」

 

 転生者で色々能力を貰ってる俺でも勝てる気しねえもん。あれは人外にも程がある。

 

 「まあ泰造が帰ってきたら教えてくれないかな?」

 

 「分かりました」

 

 それからしばらく俺は士郎さんと雑談を交わしていた…………。

 

 

 

 …気付けばそれなりに時間が経っていた。

 すっかり仲良くなった原作組と長谷川家一同。皆と携帯番号とアドレスも交換し、今日は解散しようという話になった。

 

 「今日はお昼ご馳走様でした桃子さん」

 

 「どう致しまして。またいつでも店に来てね」

 

 「そうだね。歓迎するよ」

 

 桃子さんと士郎さんに挨拶をして翠屋を後にする。

 

 「すずか。アンタも乗ってくでしょ?」

 

 車で迎えが来ているアリサちゃん。

 

 「え!?ええと…」

 

 チラリと俺を見るすずか。そして…

 

 「私はいいよ。この後勇紀君が家に来る予定だし」

 

 アリサちゃんの申し出を断った。

 

 「そういえばそんな事言ってたわね…長谷川!」

 

 突然俺を呼ぶアリサちゃん。

 

 「何だバニングス?」

 

 「すずかをちゃんと家まで無事に送りなさいよ」

 

 「分かってる。すずかは大切な友達だからな」

 

 「なら良いわ。じゃあねすずか…………って聞こえてなさそうね」

 

 そういってアリサちゃんを乗せた車は行ってしまった。

 

 「じゃあ私達も帰ろうか」

 

 「そうだね姉さん。なのは、すずか、長谷川にレヴィ達もまたね」

 

 テスタロッサ姉妹も帰っていく。

 

 「八神も帰るんだろ?途中まで一緒に行くか?」

 

 「ええよ。私はもう少しなのはちゃんと話してから帰るし、買い物もせんとあかんしな~」

 

 「そうか。まあ気を付けて帰れよ」

 

 「心配してくれておおきに。今度はわたしの家にも遊びにきてな~」

 

 「そうさせてもらう。高町もまたな」

 

 「うん。シュテル達もまた来てね。お兄ちゃん達とお姉ちゃんにも紹介したいから」

 

 「そうですね。近い内に必ず」

 

 「じゃあすずか、行くか」

 

 「……………………」

 

 「すずか?」

 

 「ふぇ!?なな、何!?」

 

 「いや、すずかの家に行く約束してただろ?」

 

 「そ、そうだったね!じゃあ行こうか!!(大切な『友達』かあ…。嬉しいけど私としてはそ、その…///)」

 

 「ああ」

 

 そういって俺、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、すずかの6人は翠屋を後にした……。

 

 

 

 「…ところでユウキ」

 

 不意にユーリが声を掛けてくる。

 

 「すずかの家に行くなんて私達は聞いていませんが?」

 

 「そういう事は僕達にもちゃんと教えてくれないと」

 

 「そもそもこんな時間から何をしに行くのだ?」

 

 黒いオーラを若干出しながら聞いてくる三人。

 

 「……俺、今日朝メシ食った後にちゃんと言ったぞ?お前等が試合を観に来ると言った後すぐに」

 

 「「「嘘ですね(嘘だね)(嘘だな)」」」

 

 「ちゃんと言ったよ!?君らが聞いてなかっただけじゃん!!」

 

 人の話聞かずに何かブツブツ言ってたしな。

 

 「そ、そんな訳ありません。ユウキは絶対言ってませんでした!!」

 

 「そうだよ!嘘をついてるよユウは!!」

 

 「我等に内緒ですずかの家に行こうとしてたのだな」

 

 人の話を信じない三人。

 

 「…………ユウキ」

 

 そこへさっきから黙っていたシュテルが口を開く。

 

 「何でしょうか?シュテルさん」

 

 「あまり遅くならない内に帰ってきて下さい」

 

 あれ?

 

 「???どうかしましたか?」

 

 「い、いや…別に」

 

 てっきりシュテルも黒いオーラを出して何か問い詰めてくるかと思ったんだが…。

 

 「だがシュテルよ。ユウキは…」

 

 「ユウキがすずかの家に行くと言ってたのは事実ですよ」

 

 「「「ええっ!?」」」

 

 驚くレヴィ、ディアーチェ、ユーリの三人。コイツら……。

 

 「三人共何か考え事をしていたみたいですから聞いてなかったんですね」

 

 アンタもしてたよアンタも。一番ブツブツ言ってたよ。

 

 「とにかく私達は先に帰りますからユウキも遅くならない内に帰ってきて下さい」

 

 「わ、分かった…」

 

 「でもシュテるん…」

 

 ギロリッ!

 

 「「「ひいっ!?」」」

 

 「か・え・り・ま・す・よ?」

 

 「「「ラ、ラジャー!!」」」

 

 シュテルの後に着いて行く三人。残ったのは俺とすずかだけ。

 

 「…じゃあ俺達も行くか?」

 

 「そ、そうだね」

 

 俺達も月村邸に向かって歩き出した………。

 

 

 

 ……で、月村邸に着いた訳だが。

 

 「うう~、にゃんこ可愛いよにゃんこ~♪」

 

 子猫を抱きスリスリと頬ずりしている一人の女性に目が釘付けになる。

 服装はこの屋敷で働いている人が着るメイド服を着用し、赤いヘアバンドを着けた金髪の女性。

 

 「にゃんこにゃんこにゃん………」

 

 ご満悦な表情をしていた女性と目が合うと、その女性は凍りついた様に動かなくなった。

 

 「……………………」

 

 「……………………」

 

 そしてしばらくお互いに沈黙していたが、ついには俺から口を開く。

 

 「……猫が好きなのか?イレイン」

 

 「~~~っっ!!//////」

 

 顔が真っ赤になるイレイン。そう…今、目の前にいるのは先日俺が戦った自動人形のイレインだった。

 

 「何つーか…意外な一面を見てしまったんだが」

 

 「きききき、貴様!!!いいい、いつから見てた!!?」

 

 「今来たとこだからそんなには見てないぞ」

 

 イレインは真っ赤な顔のまま抱いていた猫を解放し、構えてこちらを睨んでくる。

 

 「こここ、殺す!!アタシの秘密を見たからには殺してやる!!」

 

 物騒な事を言ってるがあまり怖くはない。

 

 「死ねえ~~~~っ!!」

 

 こっちに向かって突撃してきた。とりあえず攻撃をかわそうとしたら

 

 「イレイン!勇紀君はお客様だよ!!失礼な事してはいけません!!」

 

 俺の後ろにいたすずかがイレインに向かって喋る。

 すると途中で止まったイレインが

 

「だけどすずか。コイツはアタシの秘密を知ったんだ!口を封じなければ世間にバレるんだよ!!」

 

 すずかに反論する。

 

 「いや、別に言いふらしたりなんかしないぞ」

 

 「はんっ!そんな言葉を信用しろってのかい?」

 

 再び襲い掛かろうとするイレインだが

 

 「イレイン。勇紀様はすずかお嬢様が招待したお客様ですよ」

 

 ノエルさんがイレインの後ろから声を掛ける。

 

 「だけどノエル…」

 

 言い訳しようとするイレインを無視し、俺とすずかの前に立ち一礼するノエルさん。

 

 「おかえりなさいませすずかお嬢様。それとようこそお越し下さいました勇紀様。イレインが失礼な事をして申し訳ありません」

 

 「ただいまノエル」

 

 「おじゃまします。俺は別に気にしてないからいいですよ」

 

 むしろイレインの意外な一面が見れてビックリしたぐらいだし。

 

 それから軽く会話を交わしてから俺はすずかの部屋にいた。食事の準備にもう少しかかるという事でどうしようかと思っていたらすずかが自分の部屋で待たないか?と提案してきた。別に断る理由も無いので今こうしてここにいる訳だ。

 

 「しかしイレインが起動してメイドさんやってるとは思わなかったなあ」

 

 俺はさっきのイレインの姿を思い出しながら思った事を口にする。

 

 「お姉ちゃんが危ない武器とかを取り除いて再起動させたんだよ」

 

 「暴れなかったのか?」

 

 「暴れようとしたけどノエルが抑えててくれたから」

 

 それからイレインについて聞いた。

 イレインは一族の勝手な理由で封印された事。そんな一族達を許せなかった事。自分は自由に生きたいという事等々。

 まあ。とらハの原作知識で知ってはいるんだが。

 

 「…で、この世界で生きるための常識とかを教えるついでにメイドさんとして働かせてるの」

 

 「へ~。じゃあ、いつかはここを出て行くのか?」

 

 「多分。本人は自由に生きたいって言ってるからね」

 

 「まあ、俺達がイレインの生き方にあれこれ言うのも何だしな」

 

 周囲に迷惑さえかけなければ問題無いだろう。

 

 「うん。それにしても今日は色々あったね」

 

 「ん?そうだな」

 

 原作組に出会ったり転生者と戦ったり…。

 

 「その…ゴメンなさい」

 

 「何が?」

 

 いきなり謝られた。

 

 「勇紀君が魔導師ってバレちゃったでしょ?」

 

 ああ、その事か。

 

 「別にいいって」

 

 「でも…」

 

 「元々自分が魔導師っていう事を隠してたのは、もしバレたら管理局の勧誘が来るだろうなと思ってたからだし。まあ、それは断ればいいだけなんだけどシュテル達の事とかを説明するのが面倒臭いだろ?」

 

 「シュテルちゃん達はこの世界の子達じゃないっていう事?」

 

 「あと人間になった事とかな」

 

 そんな事になったら俺のレアスキルとかも説明しなければいけないし(実際はレアスキルなんかじゃないが)、それにあの四人も魔力値はかなり高いので万年人手不足の管理局が勧誘しない筈が無い。

 

 「まあ、過ぎた事を言っても仕方ないって」

 

 「…うん」

 

 「それにアイツらに新しい友達が出来たんだ。そう考えると高町達を連れてきたすずかには感謝しないとな」

 

 シュテル達もすぐに原作組とは打ち解けてたし全てが悪い事だけじゃない。

 

 「……………………」

 

 「だからそんなに気にしなくて……ってすずか?」

 

 「(シュテルちゃん達、私に対しては少し敵対心みたいなものを出してた。それも私が勇紀君と話している時に限って…。これってシュテルちゃん達も私と同じで勇紀君の事……)」

 

 どうしたんだろ?何やら考え込んでいるみたいだけど

 

 「なあ、すずか…」

 

 「……………………」

 

 「お~い、す~ず~か~」

 

 すずかに近付き声を掛けるが反応は無い。

 

 「……………………」

 

 「てい!」

 

 ぷにっ

 

 「ふぇ!?ななな、何!?」

 

 すずかのほっぺを指で軽くつついてみる。

 

 「呼んでも反応無かったけど大丈夫か?」

 

 「だ、大丈夫だよ!!(ゆ、勇紀君の顔が近いよ///)」

 

 顔が赤くなっていくすずか。

 

 「体調悪いのか?ノエルさんかファリンさん呼ぼうか?」

 

 「本当に大丈夫だから。心配してくれてありがとう//」

 

 「そうか?無理はするなよ?」

 

 「うん。そ、そうだ!勇紀君、ゴールデンウィークはどうするの?」

 

 突然そんな事を聞いてくるすずか。ゴールデンウィークか…。

 

 「特に予定は無いんだよな。かといって家でゴロゴロするのもアレだからシュテル達と何処かへ行こうかなとは思ってるんだけど」

 

 「そうなんだ」

 

 「そういうすずかは何処か行くのか?」

 

 「私もまだ何処かへ行く予定は無いんだ。アリサちゃん達と何処へ行くか考えてるんだけどね。なのはちゃん達もお仕事は無いみたいで皆都合が合うのは久しぶりなんだ」

 

 「そっかあ」

 

 それからファリンさんが呼びにくるまで俺達は色んな事を喋っていた…………。

 

 

 

 晩ご飯をご馳走になり、またノエルさんに家の前まで送ってもらった俺。

 

 「ただいま~」

 

 シュルル……ガシイッ!

 

 「ぬぁっ!?」

 

 家に入った途端にバインドで拘束された俺。これってシュテルのルベライト!?

 

 「おかえりなさいユウキ」

 

 そういって玄関にやってくるシュテル。レヴィ、ディアーチェ、ユーリもシュテルに続いて玄関にきた。

 

 「あの~シュテルさん。このバインドは一体?」

 

 「気にしないで下さい。ただユウキにO☆HA☆NA☆SHIをしたいだけですので」

 

 「何で!?」

 

 先に帰った時と違い、今は黒いオーラ全開で俺の前に立つシュテル。いや、後ろの三人も既に黒くなっている。

 

 「スズカと何してたの?」

 

 「何って…。普通に話をして一緒に晩ご飯を食べただけだぞ?」

 

 「ほう…。まだしらばっくれるのか」

 

 「しらばっくれるも何も…」

 

 「じゃあこれはどういう事ですか?」

 

 そう言いユーリが一つの映像を見せてくれる。そこにはすずかの部屋にいた俺とすずかが映っていた。

 

 「何でこんな映像あんの!?」

 

 まさかサーチャー使って俺の監視でもしてたのか!?

 

 「そんな事はどうでもいいです!!何故すずかとキッキキキ、キスしてるのですか!!?」

 

 シュテルが声を若干荒げて聞いてくる。

 

 …………キス?

 

 俺とすずかが?

 

 ……………………。

 

 ………………。

 

 …………。

 

 ……。

 

 はあああああああああっっっっっっっっ!!!!?

 

 「ちょちょちょちょ、ちょっと待て!!俺はキスなんてしてないぞ!?」

 

 「嘘言わないで下さい!この映像はどう見てもキスしてるじゃないですか!」

 

 確かに映像に映っているのは俺とすずかはキスしている……様に見えるが、

 

 「これは俺が呼んでるのにすずかが全然反応しないからほっぺをつついただけだぞ」

 

 サーチャーの監視位置が悪かったせいで俺とすずかがキスしてる様に見えるだけだ。もう少し別角度から見ていたらキスなんてしてないとすぐに分かる。

 

 「言い訳無用だ!こ、こんな卑猥な…(羨まし過ぎる。ユ、ユウキとキスだと!?)」

 

 「そうです!破廉恥です(ううっ…すずかズルいです)」

 

 「ユウ…見損なったよ(僕だってユウとキスしたいのに!)」

 

 「……O☆HA☆NA☆SHIです!!(こうなったらユウキの寝込みを襲ってでも私もキ、キキ…キスをした方がいいのでは…)」

 

 「だから違うって!!キスなんてしてないんだって!!!」

 

 頼むから信じてくれよ!!!

 

 「「「「問答無用です!!!(だよ!!!)(だ!!!)」」」」

 

 そのままシュテルの部屋に連行される俺。一体どうしてこんな目に……。俺が何をしたんだよ……。

 そして四人からO☆HA☆NA☆SHIを受け、今日が終わるのだった………。


 
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