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IS インフィニット・ストラトス ~転入生は女嫌い!?~ 第十話 ~ブラスタ起動~

Granteedさん

第十話です。

2012-07-05 16:28:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:12313   閲覧ユーザー数:11704

そこには銀色を基調としたISがいた。

装甲は全身にあるが、決して重装甲と言うイメージではなく関節部には必要最低限の装甲、他の部分の装甲も洗練されていて機動力を重視しているフォルムであった。顔の部分には透明なバイザーが装備されており、胸部には緑色の鋭角的なクリスタルがはまっている。腰の両側には一つずつ、細い棒のような装備がマウントされていて、左腕には縁が剣の様に鋭くなっている黒い盾を装備している。更に目を引くのはISの全長程もある背中に装備された、横長のスラスターだった。全体のイメージとしては高機動と言う所だろうか。

 

「・・・これがクロウのISか」

 

「ああ、こいつが俺の相棒のブラスタだ」

 

と無事にブラスタを展開できたクロウに千冬からアドバイスが入る。

 

「ブルースト、ほかの装備を出したい時はISを出した時のようにイメージするだけでいい。試しに何か武装を出してみろ」

 

「ああ、じゃあ・・・」

 

クロウがイメージすると右手に光が集まり、次の瞬間クロウの右手にAX-55 EAGLE(イーグル)が握られていた。

 

「おお、何か変な感覚だな」

 

「それには慣れろ、と言うしか無いな。それより時間だ。カタパルトまで移動しろ。移動するときもイメージするだけでいい」

 

「分かりました。」

 

ガシャガシャと音を立て、カタパルトまで移動するクロウ。到達すると、脚部がロックされた。管制室にいる麻耶からオペレーターとしての声が届く。

 

≪発進準備完了です!≫

 

「クロウ、頑張れよ!俺の敵を取ってくれ!!」

 

「ああ、任せろ」

 

すると、秘匿回線

プライベートチャンネル

で通信が入った。

 

≪聞こえるか、ブルースト≫

 

≪ああ、聞こえているぜ織斑≫

 

≪対戦中は私が通信でサポートに入る。適度に手を抜くんだぞ。準備はいいか?≫

 

≪OKだ。いつでもやってくれ≫

 

そう言うとクロウはバイザーを引き下げ、両目の位置に持ってくる。

 

≪発進どうぞ!!≫

 

≪ゲットレディ!行くぜ!!≫

 

その瞬間、カタパルトが作動し、クロウは青空の元へと、飛び出して行った。

 

 

~アリーナ~

 

アリーナは運動場の様な場所だった。クロウが肩慣らしのために、空中を飛んでいると

 

「逃げずによく来ましたわね」

 

という声が上から聞こえてきた。そこには蒼いIS「ブルー・ティアーズ」に身を包んだセシリアがいる。

 

「全くその余裕はどこから出てくる事やら。負けても恨むなよ」

 

「お黙りなさい!貴方を倒して、プライドを取り返しますわ!」

 

セシリアが持っているスナイパーライフルの銃口をクロウに向けると、バイザーに「注意 敵機IS射撃体勢へ移行」と表示された。クロウもその文字を確認するとシールド「バンカー」とEAGLE(イーグル)を構える。

 

「ふん。準備万端って事か?」

 

「ええ、そうですわね」

 

「かかって来い。先に倒れるのはどっちかな?」

 

「っ!減らず口をっ!!」

 

その言葉と同時にセシリアが発砲を開始する。クロウは回避しようと体を捻るが・・・

 

「っ!(反応が鈍い!)」

 

このままでは直撃コース。咄嗟の判断でクロウはバンカーで防御する。しかし、衝撃自体は防ぎきれなかった様で地面に落下していく。

 

「こなくそっ!」

 

地面に激突する寸前、スラスターを吹かし、なんとか体勢を整える。その間にもセシリアの狙撃は絶え間無く続き、クロウは開始十秒で防戦一方に追い込まれていた。

 

「(くそっ。あの女口だけじゃねえ!)」

 

「さあ、踊りなさい。私セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで!!」

 

そんなふざけた台詞を吐きながらも、狙撃は正確にクロウを狙い、近づくことすら出来ない。こちらもEAGLEによる射撃で対抗するが、何分距離が開きすぎているのでEAGLE(イーグル)の弾が上手く届かない。

 

「(懐に入れさえすれば・・・。試してみるか!)」

 

クロウは左手にEAGLEのカートリッジ、煙幕弾を呼び出し、手早く切り替える。

そしてクロウとセシリアを結んだ直線上に煙幕弾を射出した

 

「正確な射撃程、軌道は読み易いんでな!!」

 

イーグルが射出した弾丸にセシリアのレーザーが当たるとアリーナが白い煙に包まれる。

 

「っ!!」

 

そう、セシリアの弾道は正確すぎる。例え的が動いていたとしても、一定速度以下なら正確に当ててくる。この事象はセシリアの技量が高い事を意味するが、同時に、発射した弾丸は確実に自分の所にとんでくるのだ。その直線上に物体を置けば、確実に当たる。クロウの読みは当たっていた。

 

「(ISがレーダーで敵機を捕捉していたとしても、目が塞がれれば隙は出来る!!)」

 

クロウはこのタイミングで最大速度で突撃し、接近戦に持ち込もうとするが

 

「狙いは悪くないですわね。しかし!!」

 

煙幕を抜け、セシリアに突貫すると、バイザーに「注意 ロックされています」という文字が躍り出た。

 

「なにっ!?」

 

「遅いですわ!!」

 

セシリアが何かに指示を出すとクロウの背中にレーザーが直撃した。

 

「ぐあっ!(何だ?何が起こっていやがる!?)」

 

スラスターを最大限に吹かし後方へ退避。煙幕が晴れた時、クロウの目に飛び込んで来たのは、セシリアの周囲に浮いている4つの細長い物体だった。

 

「これこそ、私の「ブルー・ティアーズ」。機体の由来ですわ!!」

 

「(ちっ!まずったな。おそらくビット兵器みたいな物らしいが・・・)」

 

クロウは距離をとり、思考する。

 

「(回避するだけだったら簡単だ。だがあいつの射撃の腕は生半可なものじゃねえ。同時攻撃でもされたら・・・そうだ。何故あいつはさっき正面から撃たなかった?)」

 

「いつまで考え事をしていらっしゃいますの!!」

 

するとセシリアが再度狙撃を開始した。

 

「(そうだ、今もビット兵器は使ってこねえ。もしかして・・・)」

 

クロウは一つの仮説を立てると、回避に専念。その状態が一分以上続いた。

とうとうセシリアがしびれを切らし、

 

「ああ、もう!貴方、勝つ気はありますの!?」

 

「ああ、もちろんあるぜ。そのために回避に専念したんだからな。」

 

「あら、まだ勝てる気でいらっしゃったのですね?その根性だけは褒めて差し上げますわ」

 

「そんなもんはいらねえな。これからお前を倒すからよ。」

 

そんな台詞を吐くとセシリアは呆れて

 

「ふう、貴方何をそんな冗談を」

 

「お前の弱点その一。お前はその兵器による攻撃と狙撃を同時にこなせない」

 

「っ!!」

 

今度はセシリアの表情が変わる番だった。クロウはセシリアの返事を待たずに続ける。

 

「お前の練習不足か、元々一緒の運用を想定していないのか、おそらく前者だろうな」

 

「フ、フン!仮にその通りだったとしてあなたにはもう活路はないはず!」

 

「じゃあ弱点その二だ。お前、その兵器使ってるとき、完全にその運用に集中しなきゃ満足に動かせないだろう?」

 

「っ!!な、なぜそれを!?」

 

「お前の行動を見てればわかるんだよ。経験の差って奴かな?」

 

「し、しかしその事が分かったとしても貴方の不利は変わりませんわ!!」

 

「残念だったな。俺の相棒がたった今目を覚ます所だ。」

 

クロウがバイザーの端に目を向けると、「フォーマット フッティング完了しました。」という文字が煌々と輝いていた。

 

「さあ、目覚めろブラスタ!!」

 

その言葉と共にブラスタから淡い光が発せられブラスタが消えた

 

 

~セシリアside~

 

「お前の行動を見てればわかるんだよ。経験の差って奴かな?」

 

セシリアは内心で歯噛みをしていた。何しろクロウが仮説として言っていた事は全て図星だったのだ。

 

「し、しかしその事が分かったとしても貴方の不利は変わりませんわ!!」

 

そうだ、その事実がバレても、今までと同じように戦っていれば負けはしない!

 

「残念だったな。俺の相棒がたった今目を覚ます所だ。」

 

「(??一体あの方は何を言って・・・)」

 

「さあ、目覚めろブラスタ!!」

 

その瞬間、目の前からブルーストさんが消えた。

 

「(え!?一体何処に!?)」

 

「こっちだ」

 

声のする方向からいきなり衝撃が体を襲う。

 

「きゃあああああ!!」

 

体勢を立て直して声の正体を見るといつの間にか、私の上空にブルーストさんがいました。

 

 

~クロウside~

 

一次移行が完了したあと、俺は全力でスラスターを吹かし、セシリアの後ろに回り込み、蹴りを入れた。

 

「(うおっ!さっきとは段違いだぜ、これがブラスタの力か・・)」

 

と感慨に浸っていると

 

「あ、あ、貴方!一体何をしましたの!?」

 

「何って、一次移行とやらが終わっただけなんだが・・・」

 

「嘘!という事はあの動きで初期設定だったと言うのですか!?」

 

「まあ、ブラスタは元々機動兵器だしな・・」

 

とぼそっと呟くと秘匿回線(プライベートチャネル)

 

≪おいブルースト!手加減しろと言っただろうが!!≫

 

と千冬から手痛い叱責を食らった。クロウは一応弁明をする。

 

≪たった今一次移行したんだ。手加減がわからなかったんだよ≫

 

≪む・・。まあいい。これ以降はちゃんと手を抜けよ≫

 

と言い残して回線は切れた。

 

「さてオルコット、仕切り直しと行こうか」

 

とセシリアの方を振り返ると、

 

「・・・はっ!ま、まだ負けた訳ではありませんわ!」

 

と言いつつ、スナイパーライフルでの狙撃を再開する。クロウはそれを回避しつつ

 

「(さて、回避し易くなったのはいいが、あの兵器をどうにかしないとな)」

 

と考え、武装を再確認すると、新たに項目が一つ追加されていた。

 

「(ん?追加されている武装は・・・)!これか!!これなら行ける!!」

 

セシリアはブルー・ティアーズによる全方位攻撃に切り替えていた。

 

「セシリア、そろそろ終わりにしようか!!」

 

「ええ、貴方の敗北によって!!」

 

「悪いがそのリクエストは却下だ!来い、SPIGOT(スピゴット)!!」

 

するとクロウの周りに、直径一メートル程の戦輪(チャクラム)が出現した。

 

「その様なただの輪が何の約に立つと?」

 

「そんなセリフはこいつの能力(ちから)を見てからいいな!SPIGOT(スピゴット)、起動!」

 

その掛け声と共にSPIGOT(スピゴット)の円周部分に、青い光が浮かび上がった。

 

 

~セシリアside~

 

「(あの輪は一体?)」

 

そんな事を考えているとブルーストさんが、

 

「フォーメーション・ショットガン!!」

 

と叫ぶと次の瞬間、私の周囲で爆発が。しかも目の前のモニターには「BT(ブルーティアーズ) 4機撃墜」の文字。

 

「い、一体何が!?」

 

「悪いが決めさせてもらうぜ」

 

クロウが勝利を確信したかの様な口ぶりでセシリアに言い放つ。しかしセシリアには最後の秘策があった。

 

「(まだですわ!懐まで引き寄せさえすれば・・・)」

 

 

~クロウside~

 

ビット兵器をSPIGOT

スピゴット

で堕としたあと、すぐにSPIGOT(スピゴット)をしまった。なぜなら恐ろしくエネルギーをもっていかれたからである。

 

「(そうそう多用は出来ねえな)悪いが決めさせてもらうぜ」

 

そう言うとクロウはEAGLE(イーグル)の弾倉を交換し、突貫する。

 

「アサルトコンバット!パターンファイズ!!」

 

そう言うが早いか、クロウは加速を始め、その間にもセシリアに向けてEAGLE(イーグル)

からグレネードを発射する。それが全弾セシリアの周囲、もしくはセシリア自身に命中。

 

「ううっ!くっ!」

 

次にクロウはバンカーを射出し、セシリアの左肩へ突き立てる。

 

「ターゲットを中央に固定!」

 

セシリアの周囲を旋回しながら、EAGLEを撃ち込み続ける。セシリアの後ろを取ると

 

「そのまま速やかに火力を集中!」

 

グレネードの残弾を全て撃ち込み、

 

「最後は中央を突破!!」

 

クロウはEAGLEを乱射して接近しつつ、バンカーを構える。ふとセシリアを見ると心底嬉しそうな顔をして、

 

「かかりましたわね!!」

 

と言って、腰に付いている棒状の物をクロウの方に向けると、そこからミサイルが射出された。

 

「さあ、落ちなさい!!」

 

 

~セシリアside~

 

周りは爆風の嵐。下手に動けない状態になっている。

 

「(まだですわ!接近してきた所をミサイルで!!)」

 

そう、セシリアの最後の手段とは、腰のBT兵器からのミサイル攻撃だった。初見でこれは避けることはまず不可能。そのチャンスをじっと待っていると

 

「最後は中央を突破!!」

 

その声と共に一気に加速して近づいてきた。

 

「(やりましたわ!!これで!!)かかりましたわね!!」

 

そしてセシリアは残ったBT兵器をクロウの方へと向け、ミサイルを射出した。

 

勝ちを確信したセシリアはクロウの顔を見た。信じられなかった。

彼は笑っていたのだ。

 

「甘い!!」

 

と同時にクロウがバンカーでミサイルを撃墜したのだ。

 

「(何故!?一体どうして見切られましたの!?)」

 

「これで終わりだ!」

 

クロウを見ると、もう目の前に迫っていた。

 

「くっ!インターセプ」

 

「遅え!!」

 

その瞬間バンカーがセシリアの体を袈裟斬りにし、ブザーが鳴る。

 

≪勝者 クロウ・ブルースト≫

 

そして試合終了を告げるアナウンスが流れた。


 
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