No.446257

魔法少女リリカルなのはvivid ‐ヒロイック・ホームレス

イーブイさん

この物語の主人公である青年はホームレスである。
何時もはクラナガンのとある川原に設置されたボロボロの小屋に住み、バイトは市立図書館の司書。そんな青年がちょっとした切欠で管理局のエース・オブ・エースの高町なのはの義娘で聖王の現身である高町ヴィヴィオと出会い、その出会いによって青年の運命が色々と変わって行く物語。

2012-07-05 05:01:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3275   閲覧ユーザー数:3219

青年の住む住居の中・・・

 

自宅に帰ってきた青年は女性から少女となったハイディをベッドで寝かして毛布を覆い被せ、自分はレジ袋内の買い物した商品を全て冷蔵庫に仕舞っていく。

 

<ズキッ>

 

「グッ・・・!」

 

青年は突然の胸の痛みに耐えかね、苦痛の顔を浮かべながら片足を付いて蹲る。

 

そう、実は先ほどのハイディの覇王断空拳は掌底が当たらなかったものの、代わりに強烈な拳圧が青年の胸に直撃し、大ダメージを受けてしまって居たのだった。

 

「チィ・・・!(アイツを馬鹿にした罰ということかな・・・?あの一撃、もし当たっていたら負けていたのは間違いなく俺だった)・・・全く、大人気無くガキを虐めるのは流石にダメだったか・・・」

 

正に因果応報・・・

 

青年は自嘲するように呟き、額から汗を出して苦渋に満ちた顔をするも、直ぐに痛みが引いたのか立ち上がり、ハイディが起きた時の為に何か簡単に料理でも作ろうと考え、料理作りを始めた。

 

☆★☆

 

「・・・ん」

 

ハイディはゆっくりと瞼を開け、目を覚ます。

 

何処からかトントンと何かを軽く叩く音が聞こえる。

 

ハイディはその音を聞きながら自分に覆い被さった毛布を見る。

 

その毛布は何時も使っている自分の毛布では無く、周りの家具や天井なども自分が知らない物ばかり。

 

そこで一気に意識が覚醒した。

 

「・・・ここは?私・・・どうしてこんな所に?」

 

「・・・起きたのか」

 

部屋に設けられたキッチンから青年が現れ、手には軽めのご飯が作られて居た。

 

「ッ貴方は・・・!」

 

ハイディは直ぐさま起き上がり、青年に対して警戒する。

 

「落ち着けバカ、此処は俺の家だ。俺がお前を気絶させた後、そのまま放置してやろうと思ったんだがお前がアイツと同じくらいのガキだと分かってな」

 

作った料理が入った鍋をハイディの前に有る机に置き、警戒して来たハイディにデコピンする。

 

「流石にお前のようなガキをあのまま放置するのは気が引けたからこうして仕方なく俺の家にまで連れて帰って来てやったんだ。言っとくが本来、別に俺を襲って来た襲撃犯にこんなことする義理は無いんだぞ? 感謝はされることはあってもこうしてお前から睨まれるような恩を仇で返されるような思いは無い筈なんだがな」

 

鍋の蓋を取り、皿に注ぐ。

 

「貴方は私の中に眠るクラウスの数百年の後悔と悲願を馬鹿にしたんです。私はどうしてもそれが許せないだけなんですッ!」

 

「・・・はぁ、そうかよ。だが俺は謝らないからな? こうしてお前を止めなければ他の関係の無いベルカの王達の子孫達が傷付いて居たからな」

 

青年は溜息を吐きながらも箸を並べる。

 

「全く、別に俺は関係の無い事だからほっといても良いんだが俺の中にある小さな良心がそれを許さなかったみたいなんでな、止めさせて貰った…っとお茶を出すのを忘れてた」

 

キッチンに戻り、ボロボロで使えなくなった冷蔵庫を無理矢理使える状態にしたようなオンボロ冷蔵庫をからお茶が入ったペットボトルを取り出す。

 

「良心・・・ですか」

 

「というか、言わせて貰うがアレくらいの言葉攻めに負けてどうするんだ?相手は自分にとって不利な情報を言って動揺を誘い、気持ちを揺さぶってくることなんてよくある。それに耐え、冷静さを欠かずに居なければ勝てる相手にも勝てねぇよ」

 

お茶をコップに注いで机に置く。

 

「そう・・・ですね。だから私は冷静さを欠き、貴方の口車に乗ってしまった。全て貴方の作戦だったのですね」

 

「まぁな。・・・飯食うか?」

 

「・・・頂きます」

 

ハイディは青年から朝ご飯が入った皿を受け取り、一口頬張る。

 

「あっ・・・美味しい」

 

「それはそうだ、川岸

ここ

の奴らにも定期的に振る舞ってやってるからな。美味しくなくてはならん」

 

「ここと言うのは・・・?」

 

「ん?・・・あぁ、この自宅は川岸にあってな? 俺と、この自宅の周りに住んでるホームレスのみんなで作った住居だ」

 

「ホームレス・・・?じゃあやはり貴方は・・・」

 

「あぁ、俺はクラナガンの市民権なんて持っちゃ居ないよ。それどころかこの川岸に住む奴らはみんな俺みたいに市民としてマトモに暮らせない者、他にも様々な家庭事情で流れ着いた者ばかりだ。この川岸で働いてるのはこの俺、たった一人なのさ」

 

「・・・そうなのですか」

 

「あぁ。・・・今は6時くらいか、ボロッちいが風呂にでも入るか?お湯とシャンプーとボディソープくらいはあるぞ」

 

青年は壁掛け時計を見て時間を確認し、ハイディに風呂に入ることを勧める。

 

「・・・それではお言葉に甘えて」

 

「じゃあそこの部屋だから・・・タオルは勝手に使って良いし、持ち帰ってくれても構わん」

 

「・・・分かりました」

 

ハイディは警戒しながらも青年の言葉に甘えて青年が指差した風呂に向かう。

 

☆★☆

 

青年はハイディは風呂に入ってる間、ご飯の後片付けをする。

 

「(はぁ・・・昨日は体をあまり動かさなかったから鈍って仕方ない。久しぶりに野郎共と喧嘩でもしてやろうか・・・っとやばいやばい、自分で考えてる事が野蛮過ぎる。『アイツ』にでも頼んで模擬組手でも頼もう、一昨日の飯のお礼もしなくちゃならんからな・・・そうと決まればハイディが出たらさっさと追い出して向かうとするか)・・・ん?」

 

「・・・お風呂ありがとうございました」

 

「ッあ、あぁ・・・」

 

お風呂から上がり、頭をタオルで拭きながらリビングに戻ってきたハイディを見て少し動揺する青年。

 

「(チッ、風呂上りだから妙に色っぽく見えてしまった・・・不覚だ、クソッ!ガキに動揺してどうすんだ!しっかりしろ!!)」

 

「? どうかしましたか・・・?」

 

「いや、何でも無い。ほら、まだ髪に雫が垂れてる。拭いてやるからジッとしてな」

 

「い、いえ・・・そんな」

 

「遠慮するな、ほら」

 

青年はハイディの頭を強引にハイディの持って居たタオルで優しく拭いてやる。

 

「んむぅ・・・」

 

「・・・くすぐったいか?」

 

「いえ、気持ち良いです」

 

そしてハイディの髪がよく拭けたと思い、タオルをハイディの首にかけてやる。

 

「ありがとうございます」

 

「いや、別に構わん。頭をよく拭かないままだと風邪を引く。風邪を引かれると罪悪感を感じてしまうからな」

 

「・・・その」

 

「・・・どうした?」

 

ハイディが呟くように青年に問いかけ始める。

 

「何故・・・此処までしてくれるのですか?」

 

「・・・・・・そう、だな。確かに俺もそれは正直分からん、自分でも此処まで他人に世話を焼くのはお前で2人目だ」

 

「・・・2人目?」

 

「あぁ、俺の妹だ」

 

「妹・・・ですか?その方は今どちらに・・・?」

 

そうハイディが聞くと青年は初めて顔に影を落とし、悲しそうな表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

「死んだよ、9年前にな」

 

 

 

 

 

「・・・えっ?」

 

その言葉にハイディは驚愕し、瞠目する。

 

「・・・俺の妹は体が虚弱でな?病気気味な奴だった。そして9年前のアイツの誕生日の1週間前にアイツは癌で逝っちまったよ・・・あっさりとな。・・・俺はその時に傍に居てやれなかった。傍に居てやるって約束したのにさ」

 

「・・・」

 

「滑稽だろう?惨めだろう?俺は妹の約束すら守れなかった愚か者さ・・・・ってなんで俺は此処までペチャクチャ関係無いお前に言ってんだろうな」

 

「・・・」

 

ハイディは一切青年の話に介入はしない。

 

ポツポツと話す青年の話を止める事は・・・したくなかった。

 

青年はフッと自嘲するように一息吐くと、心機一転したように表情を先ほどまでの暗い顔からまた無愛想に戻り、ハイディと向き合う。

 

「さて、俺はもう出るしお前も学校があるだろう。途中迄は送ってやるから此処を出る準備してろ」

 

「・・・はい」

 

ハイディは言われたように此処を出る準備を始める。

 

青年も財布などの貴重品を携え、自宅を出る支度を済ませる。

 

そして振り向くと準備が終わったらしいハイディが後ろに居てこちらを見ていた為、何も言わずに2人共自宅から出る。

 

自宅から出た2人は互いに無言のままゆっくり歩きながら階段を登り、道路が別れ道となってる所に着く。

 

「・・・それでは今日はありがとうございました」

 

「あぁ、もう襲撃なんてすんじゃねぇぞ?」

 

「・・・それは」

 

「『約束しろ』や『絶対守れ』なんて言う気は無ぇよ。でもな、一つだけ言っておく。お前が倒した奴にだって家族や仲間が居る、もしお前に倒された奴が傷付いたのを家族や仲間が知ったら・・・どう思うのか。それだけは考えておけ、それじゃあな」

 

青年は振り返り、ハイディの背を向けてその場を立ち去る。

 

「あのっ!ありがとうございました!!」

 

後ろからハイディが大きな声で青年にお礼を言い、頭を下げる。

 

青年はそのお礼に、振り返らないまま手を上に掲げて振るだけだった。

 


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