No.433388

ハルナレンジャー 第四話「魔剣襲来」 B-7

ナイアルさん

B-6続き 4話終了

2012-06-06 12:26:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:362   閲覧ユーザー数:362

 

Scene13:ダルク=マグナ極東支部榛奈出張所 AM9:00

 

「白銀英次、か。まさか貴様が関係者とは……謀ってくれたものだな」

 シェリーはジルバの物らしい身上調査書をつまらなそうに一瞥すると、鼻で笑う。

「必要性を感じませんでしたので」

 向かい合うジルバは平然と返す。

 組織の性質上、メンバーの過去に関する詮索は一種のタブーである。

 採用時に通り一遍の身上調査はあるものの、犯罪歴や除隊歴程度はかわいいもので戸籍や前歴そのものが存在しないような連中も数多い。

 畢竟、能力や実績以上の詮索は無駄とされがちなのだが……

「それにしても、こうも実働部隊が損耗するとな。それに見合うだけの収穫はあったのだろうな?」

 ジルバが一礼して、懐から取り出した二振りの刀を机の上に置く。

「まさか『鍵』がこういう形状をしていようとはな……こちらの好きにしてもいいんだな?」

 一瞥して脇へどける。提出されていたデータに目は通したが、現物を見て何かわかるわけでもない。

「ご随意に」

 かつての師の家宝をあっさりと明け渡すような返答をしたというのに、ジルバの表情は読めない。

 組織そのものも一枚岩というわけでもない。素性を隠していたところを見ても、ジルバ自身が何かしらの目的を隠して行動していることは想像に難くないが、それが何か、他に黒幕はいるのかと考えても答えは出ない。

 ともあれ少なくともこの男の有能さに関しては疑いようのないところかと肩をすくめる。

 が、嫌味の一つも言いたくなるのは人情という物。

「惚れた女のケアくらいはマメにしておけよ」

「御意……経験則ですか」

「一般論だ」

「ではレミィとともに、閣下の私室から『参考資料』をお借りするといたしましょう」

「……っ!好きにしろ!」

 苛立たしげに返すシェリーの頬は赤くなっていた。

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
0
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択