No.429689

StarAngel第5話「異常事態」

カイトさん

舞台は違いますが、PSO2二次小説です。

2012-05-29 06:23:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:484   閲覧ユーザー数:483

 

 

雨が降り始めた頃、ミキアとリナペアは未だ森の中を歩いていた。

 

「ねぇ、兄貴・・・辺りも暗くなり始めてきたね・・・」

 

「ああ、そうだな。ちとみんなに連絡取って集合させた方が良いかもな」

 

 

ガガガガ・・・ガガガガガガ・・・プツン

 

 

「は?何でだ?」

 

「どうしたの、兄貴」

 

「通信出来ん」

 

「ええ!?」

 

 

リナも慌てて端末からメンバー達のリンクを確認してみたが、回線が繋がらない。

急いで本艦へ連絡を入れたが、こちらも連絡が付かなかった。

 

 

「調査初っぱなからこれじゃ、やばいな・・・」

 

「どうする、兄貴」

 

「よし、じゃあ~すぐに最初の地点に戻るぞ。スタート地点なら戻れるかもしれないしな」

 

「うん、そうだね」

 

 

二人は急いでスタート地点の座標まで走っていった。

だが、その途中辺りは真っ暗になり周囲からは得体の知れない鳴き声が聞こえてきた。

 

端末で生物検索をおこなってみたが、登録されていないようで“ERROR”の文字が出ている。

 

 

「くっそ、何なんだこの異様な雰囲気は・・・!」

 

「きゃ!」

 

「どうした!?」

 

 

ミキアは急いで明かりを付けリナの声がした方向を照らしてみると

そこにはリナに覆い被さる得体の知れない生物達がミキアの方をギロっと睨み付けていた。

 

 

「リナ!」

 

 

ミキアはマシンガンを的確に目標へ撃ち込み隙を狙ってリナはすり抜けた。

 

構えたままのミキアはリナに向かって

 

 

「そのままここからお前一人離れろ!」

 

 

そう叫び、近づいてくる謎の生物に向かって撃ち続けている。

 

 

「ちょ、兄貴!そんなこと出来ないよ!置いていけない!!」

 

「お願いだリナ!この場から離れて誰かと連絡が取れないか試してくれ!

もし、可能なら俺の座標とお前の座標を教えて抜け出せないか伝えてくれ!」

 

「りょ・・・了解!!兄貴!!私の任務完了まで踏ん張ってよ!!」

 

「ああ!!俺はヘマはしねーよ!リーダーだしな!!」

 

 

リナは必死に戦う兄の背中を名残惜しそうに眺めつつ、その場から走り去っていった。

 

 

(リナ・・・もし俺に何かあったら・・・妹を頼むぞ・・・カイト・・・!!)

 

 

 

その頃、カイトとクレディは地下深くに伸びていた長い階段を下りきっていたところだった。

 

 

「やっと、辿り着いたけど・・・こんな地下があるなんて、何か居るのかな?」

 

 

薄暗い通路を歩いてる所でカイトの端末から微弱な電波の受信があった。

 

 

「ん・・・?誰かから通信が来てる」

 

「誰!?」

 

『・・・ガガガガ・・・・・・・カ、カイト!?つ・・・つなが・・った!?』

 

 

即座に繋いでみると、暗くて顔がよく見えないが声は確かにリナだった。

 

 

「リナか。どうした?」

 

所々途切れがちだが何とか聞こえるようになった。

リナからこれまでの経緯を教えて貰い、ミキアの言うとおり座標を入力

カイトとクレディが同時に二人の転送を試みた。

 

 

目の前に現れたのは・・・

 

 

うずくまった姿のリナだった。

 

 

「リナ!大丈夫か?」

 

「あ・・・・か・・・カイト?」

 

「無事で何よりだ」

 

「よかったー!リナさん無事で・・・でも・・・」

 

「あれ・・・?」

 

 

リナが異変に気づく。

 

 

「兄貴は?兄貴はどこ??」

 

 

キョロキョロと周りを見渡すが何処にも居ない。

リナは必死にカイトに訴えるが、カイトは無言で首を横に振るだけだった。

 

 

「そんな・・・兄貴・・・」

 

 

体を震わせ立ち上がり、涙を堪え震える声でカイトに指示を仰いだ。

 

 

「カイト・・・兄貴が居ない今、あなたがリーダーよ・・・」

 

「・・・ああ・・大丈夫か?リナ」

 

 

カイトの言葉にふらついて倒れそうになったリナを受け止めるカイト。

受け止めた拍子にリナの腕を見ると負傷していることに気付いた。

 

 

「お前、左腕負傷してるじゃないか・・・脚にも傷が・・・何があったんだ?」

 

「暗闇であまり見えなかったから・・・私にも何なんだか・・・」

 

「リナさん、手当てしますのでじっとしておいてくださいね」

 

 

フォースのクレディがレスタを唱えると痛みが和らぎ動けるようになった。

だが、まだふらつく。それを見たカイトはリナを抱き上げ歩き出した。

 

 

「え?だ、大丈夫だよ。私一人で歩けるって!」

 

「・・・じっとしてろ」

 

 

暗闇に光るカイトの赤い瞳がリナを真っ直ぐ見つめる。

引き込まれるような瞳に見つめられるリナは堪えていた涙が流れ止めどなく溢れる。

 

 

「うっ・・・ううううあああ・・・」

 

「リナさん・・・」

 

 

クレディが心配の声を上げる中、カイトが優しくリナの頭を抱きしめた。

 

 

 

 

 
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