No.423635

Black dream~黒い夢~(3)

C-maさん

PSO2「ファンタシースターオンライン2」の自分の作成したキャラクターによる二次創作小説です。
(PSO2とその世界観と自キャラが好き過ぎて妄想爆裂した結果とも言う)

はい。すいません。「書かない詐欺」はもうしません。俺は開き直るぞジョジョォぉぉぉおお(撲殺)
今後の展開は「あくまでCβ時点での予想」で構成されています。実際とは違うと思われますので、ご承知ください。

続きを表示

2012-05-16 01:46:34 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:570   閲覧ユーザー数:549

それから幾日かが過ぎ、ようやく新人達が「アークスとしての任務」に慣れてきた頃。

 

地響きを立てて崩れ落ちた大きな身体。

硬い岩盤のような身体を持つ「ロックベア」と呼ばれていたエネミーが地に倒れ伏した。

巨体が未だ唸り声を上げているが、もはや立ち上がる力も無い。

 

「ひーえー…怖かったなぁ」

「二人とも大丈夫?」

「こっちは問題ない」

 

アフィンが高台の上でライフルの照準機から目を離すと、エリが振り返った。

リュードが大剣を背に戻して頷く。

大きく息をしてから、アフィンはその場で胡坐をかいた。

 

「こんなヤツまで凶暴化するなんてなぁ」

「…本当は大人しいのよ、ロックベアは」

 

倒れ伏している巨人のような原生生物に、エリはふと哀れみの視線を落とした。

本来、ロックベアはもっと森林の奥に生息している。

エリが以前ロックベアに出くわした時、こちらが身構える前に逃げるように森の奥へと姿を消したほど、臆病で気の優しい生物だったはずなのだ。

 

「これも、ダーカーが発生するようになったせいなんですかね?」

 

高台から飛び降りて来たアフィンは、エリやリュードを見て呆然とする。

 

「って、先輩傷だらけじゃないですか!相棒も!」

「あ」

 

擦過傷だらけのエリ。

リュードもやはり体のあちらこちらに傷が見えた。

巨体に似合わぬ俊敏な動きをするロックベアが、何度もその巨体を空に躍らせ彼らを下敷きにしようとした。

それを避けつつ、ぎりぎりの場所で戦っていた結果がこの状態。

慌ててエリはディメイトを二つ取り出し、一つをリュードに手渡そうとすると。

 

「大丈夫、持っている」

 

小さく頷いてリュードが自分のディメイトを飲み干すと、細胞単位での組織修復が始まった。

傷口が塞がって行く様子を見ながら、アフィンが思わず呟く。

 

「やっぱりフォースを仲間にした方がいいのかなぁ」

「え?」

「基本のチームが4人じゃないすか、まだオレら一人余裕がありますし、誰か仲間にした方が今後よくありません?」

「そ、そうよね…」

「今みたいな時も、フォースだったらぱぱっと回復してくれるだろうし」

 

アフィンに言われずとも、それは判っていた事。

ハンター二人に、レンジャー一人。

あまりにもアンバランスな編成。

エリは小さく頷いた。

 

「そうね。アークスカウンターに申請を出してみるわ」

 

しかし、思い当たる友人がいない。

ナベリウスに警戒態勢が敷かれてから、単独行動をしているフォースは殆ど見なくなった。

回復やテクニック攻撃に優れたフォースはどこのチームからも引く手数多。

エコーはゼノと組んで、他の新人達と共に別行動を取っていると聞いた。

 

アークスシップに帰還して、チームの二人と別れてからも。

エリはロビー中央のベンチで、ずっと考え込んでいた。

 

残る手段は一つ。

目の前に、クラスカウンターがある。

そこは、「戦う手段」を決める場所。

「ハンター」「レンジャー」「フォース」という、大まかに3つに分けられた戦闘術。

各々の適正を確認し、場合によってはそれを変更する。

頭の中に看護士のローラの言葉が幾度と無く繰り返し響いた。

 

『フォースになりなさい。貴女のその力はその為のものなのよ』

 

己の戦闘時にいつも腰に下がる、使い込まれたクシャネビュラ。

今となっては、それが無ければ戦えない程手になじんでいる。

これからフォースになったところで、その戦い方に慣れるまでどれだけ時間が掛かるか。

勿論エコーや他のフォース達の戦い方を見ているので、どう立ち回ればいいのかは大体判っている。

だがエリはどうしても、その一歩が踏み出せなかった。

「惑星アムドゥスキア?」

「そうです、そこに向かって欲しいと要請が」

 

さらに数日後の朝。

エリはアークスカウンターで驚きの声を発していた。

カウンターの係員に食って掛かるように身を乗り出す。

アフィン達は少し離れたロビーでその様子を見ていた。

 

「何故?まだ私のチームには早いはずよ?」

「貴女の力を買っての事だ」

 

振り向くと、科学者風の二人の男女が立っていた。

セミロングの黒髪、釣り上がった目をした女性が男性を従えている。

怪訝そうにエリが見つめるのにもかまわず、その眼鏡を左手で引き上げた後、手元のホログラム資料を見た。

 

「私はアキ。貴女のその『探知』の能力をお借りしたい」

「探知…??」

「知っているか?今アムドゥスキアにダーカーが異常発生している。ナベリウスなど比較にならない程に」

「ダーカー!?」

 

惑星アムドゥスキア。

探索を許可された恒星系の中で、ハピタブルゾーン(生存領域)の内側ぎりぎりの場所に位置する惑星。

星全体が強力な地磁気に覆われており、かつ恒星に近いためその表面の殆どは生物が存在しない。

未だに地殻変動が激しく、唯一の居住空間である筈の地下空洞には絶えず溶岩が噴出し、地割れや岩盤落下が起きている。

そんな劣悪な環境に適応している「龍族」と呼ばれる種が住んで居る事も確認されていた。

中には、人語を解する種族も居る。

独自に進化してきた龍族は、その環境から自身が戦闘種族だった筈。

そんな場所にまで、ダーカーが?

 

「でも、あそこはまだ彼らには厳しい場所かと…」

「勿論あなた方だけではない。もう一組チームを派遣する。そこでダーカーの侵食状況、場合によってはその討伐も含めてデータを収集して欲しい。勿論龍族達からも、だ。別ルートで私も龍族の居住空間へと向かうつもりではある」

「龍族からも、ですか」

「そうだ。これは私からの『クライアントオーダー(個人的依頼)』ではあるが、私もこれは『上』から依頼されて調査している。そのあたりを承知していただきたい」

 

その口調には、有無を言わさぬ強さがあった。

ちらり、とチームの二人をエリは見る。

先日のロックベア討伐の時に露見した「回復力の無さ」。

とはいえ、他のチームも同行するというならば、その辺りも少しはフォローされるだろう。

エリは眉間に右拳を当てるようにして考え込んでから、アキに向き直った。

 

「わかりました。お引き受けします。ただし出来るだけ他チームは「回復能力の高いメンバーを持つ」チームを選抜してください。それが条件です」

「承知した。出発は午後。急がせるが宜しく頼む」

「了解」

 

敬礼をしながら、エリは立ち去って行くアキ達を見送る。

探知の能力は「使うな」とローラに念を押されたばかり。

しかし依頼は命令と同等の力を持つ。

断る事は、出来なかった。

「確認するわ。今回の目的は『ダーカーの出現状況の調査および、その時点で発生するダーカー殲滅。決して無茶はしないで。危ないと思ったら遠慮なく他チームの回復要員の所に逃げる事」

 

キャンプシップで、二人の顔を交互に見ながら念を押すように語る。

首の後ろで、アークスの命令およびデータ収集の全てを司る「戦略OS」が起動する音が微かに聞こえた。

今回の依頼の全容が、二人の腕のホログラムモニターに映し出された。

 

「武器の選択は出来れば『凍結』の属性の物を。絶対に単独行動はしないでね」

「了解した」

「わかりました」

『モニター同期が取れました。危険な場所ですからくれぐれも気をつけてくださいね』

 

ブリギッタの心配げな声に、彼らは頷く。

テレプールへ次々に飛び込み、次に視界が開けた時。

あまりの熱風に彼らは思わず口を押える。

 

「うわっちっ!!!」

『アムドゥスキアに転送を確認。個別に対熱フォトンフィールドを展開させます』

 

ブリギッタが各々のOSへコマンドを打つと、一気に体感気温が下がった。

見えないフォトンの壁が、彼らを守っている。

 

「うわぁ…地獄ってのはこういう所を言うんですかね」

 

アフィンが言うとおり、その環境の劣悪さはエリの知るものより更に悪化していた。

到るところに溶岩の川が流れ、地面には数え切れない亀裂が走り。

その隙間から亜硫酸ガスの蒸気が立ち上り、絶えず赤光りしている溶岩が見え隠れする。

時折、炎が噴出している場所もあった。

地鳴りが絶えず、頭上からは溶岩が剥離して落下する様が見て取れた。

 

「ようエリアルド、元気そうだな」

「ルーキー君たちも、頑張ってるみたいね」

 

ふと振り返ると、そこにエコーとゼノが、見た事の無い新人アークスを二人引き連れていた。

 

「やっぱり貴方達が来たのね」

「お互い様だろそれは。依頼が来た時に何となくエリアルドのチームじゃないかって思ってたんだ」

 

何となくそんな気はしていた。

他チームと組む場合、その殆どは「気心の知れた者同士」で組まされる事が多い。

お互いに自己紹介を済ませると。

 

「補助は私にまかせてね!」

「頼むから先行するなよなー?」

「何よ、ゼノが遅すぎるんじゃない」

 

胸を張ってエコーが主張すると、すかさずゼノが横槍を入れる。

相変わらずの仲の良さ。

同じチームの新人達も苦笑している。

エリはほんの少し笑みを浮かべてから、目の前に広がる光景に一瞬にして表情を切り変えた。

冗談を言っている場合ではない。

依頼を受けたリーダーとして、エリは号令をかけた。

 

「行くわよ、みんな」

「おう!」

「任せて!」

 

流石に7人のアークスが居ると、その安定感は抜群。

たとえその半分が新人とはいえ、フォローに回るベテランの動きが良いお陰か殆ど怪我もせず、トカゲのような原生生物達を蹴散らしていく。

ある程度進んだ所で、エリは特有の「首筋に走る悪寒」を感じた。

その様子に気付いたのは、他ならぬエコー。

 

「エリアルド?」

「ダーカーが来るわ!みんな警戒して!」

 

言い終わらないうちに、彼らを取巻くように「黒い渦」がそこかしこに発生し始める。

ゼノが指で鼻を弾いてニヤリと笑った。

 

「来やがったぜ…!!」

『ダーカー出現を確認!直ちに殲滅行動に移ってください!』

 

ブリギッタの声と共に、黒い渦の中心から四ツ足の真っ黒い「うごめくもの」が現れる。

胴体の中心に赤黒い「核」を持つ「ダーカー」。

まるですばやい蜘蛛のように、奇怪な動きで近づいてくる。

エコーのチームの新人は女性フォースと機械の身体を持ったレイキャスト。

その二人とアフィン、エコーを守るように、ゼノとエリ、リュードはダーカーと正対した。

 

「ちょ、ちょっと待って!なんだこの数!!」

 

アフィンが悲鳴を上げた。

彼らがナベリウスで遭遇したダーカーとは比較にならない程、地面を埋め尽くし始めていた。

原生生物達も含めると、相当な数にのぼる。

 

「騒いでる暇があったら一発でも打て!ヤツらは待っちゃくれねぇんだぞ!」

「わ、は、はい!!」

「どおりゃあああああああああ!!」

 

ゼノが雄たけびを上げ、黒い破片を撒き散らしながらダーカーを殲滅していく。

アフィンは隣同士になったレイキャストと頷きあい、砲撃を開始した。

エリもリュードも、同じように迫ってくる黒い集団に刃を向けた。

 

「いーくーわーよぉ!!」

 

超特大の氷の嵐が、前衛をフォローするようにダーカーを巻き上げ、凍りつかせた。

新人の女性フォースが必死に回復テクニック(レスタ)を唱えると、戦う彼らの廻りに癒しの風が吹く。

 

「助かるわ、ありがとう!」

 

エリはそう叫びながら、もう一度ダーカーの集団へと斬り込んで行く。

ほっとしたように、青い髪のフォニュエールは頷いた。

エコーが攻撃の合間に、補助テクニックで彼らの防御力や攻撃力を補ってくれた。

居るのと居ないのとでは、安心感が違う。

やはり、フォースは必要なのだ。

頭の片隅でそう考えつつ、エリはダーカーを殲滅し続けた。

首筋のチリチリした感覚がふと消えた。

戦うのに必死で、周りを見る余裕があまり無かったのだが。

それでも「ダーカーの気配」が消えた事がわかる。

 

『ダーカーの消滅を確認しました。各自の状況を確認してください』

 

ブリギッタの報告に、思い出したようにエリはリュードへと目をやった。

最後に残っていたダーカーを叩き潰すように切りつけたその顔は、至って普通の「必死な顔」。

「あの時」の表情とは違う。

少しほっとして、エリはようやくクシャネビュラを腰に収めた。

 

「みんな大丈夫?」

「オーケーオーケー。全然問題ない」

「怪我も殆どしていないみたいね」

「問題ないです」

「あの数を倒せるなんて、先輩方ってやっぱすげえや」

 

各々の報告に、エコーが特大の「レスタ」を放った。

全員を取巻く、フォトンの風。

少なからず付いていた裂傷が一瞬で消えてしまった。

 

「これでよしと」

「すっげぇ、エコー先輩すっげー!!」

「でしょー?」

 

大げさなアフィンの反応に、エコーは胸を張って笑う。

その一方で、ゼノがリュードに歩み寄った。

 

「大したもんだな、リュードとか言ったっけ。あんたが後ろを守ってくれたお陰で存分に戦えたよ」

「いや、こっちこそ助かった。強いんだな」

「まあねー、確かにオレ強いよ?」

 

握手を求めてくるゼノに、リュードは頷いて握手を返す。

素直にお互いの力を認め合える。

ある意味、エリにはその光景が羨ましかった。

 

「さあ、龍族の住処まではもう少しよ」

 

そう言って歩き出そうとした瞬間。

目の前に、音を立てて「壁」が立ち上がった。

 

「…えっ!?」

 

まるで、彼らが進むのを阻むように。

それは到底乗り越えられない高さの「隔壁」。

 

『そこまでにしてもらおう』

 

どこからともなく、声が聞こえる。

翻訳機を通したその異質な響きの声は、彼らを立ちすくませるに充分な力を持っていた。

 

「誰だ!」

 

ゼノの叫びに呼応するように。

岩の上、岩盤の影、そこかしこから現れた「人影」。

 

「ディーニアンだわ」

 

エリの言葉に、全員がその姿をまじまじと見つめる。

 

ディーニアン。

龍族の中でも「人のような姿」を持つ、独自の文明を持った好戦的な種族。

炎の中に住んでいる為、その全身は硬い鱗のような皮膚で覆われている。

杖のようなものを持った者、剣と盾を持っている者。

数多くのディーニアン達が、いつの間にか彼らを取巻いていた。

 

『それより先に進まれては困る』

 

その中から、一際存在感の大きなディーニアンの一人が前に出た。

ディーニアンの「長」。

杖を地面に突き立て、鋭く見据えてくる。

エリがそれを受けるように、一歩前に。

 

「…私達はあなた方と敵対するつもりは無いわ。ここに出現したダーカーの調査に来たのよ」

『断る』

「…何故?」

『早々に去れアークス。貴様達と交わす言葉は無い』

 

拒絶、そして「殺気」。

そのあまりにも一方的な言葉に、思わずゼノが前に出た。

 

「そりゃねえんじゃねえか?俺たちはアイツらを退治したんだぞ?」

『その「ダーカー」を呼び込んだのは貴様達だと、何故気付かぬのだ?』

 

エリは思わず身を乗り出した。

 

「私達が…ダーカーを呼ぶ…ですって?」

『調査と称して我々の領域に入り込み、穢した者共。それが貴様達アークスだ。我らの掟すら守ろうとしなかった愚か者共…』

 

領域?

掟?

表情は良くわからない。だが、その言葉には怒りが満ちている。

 

『掟を破りし者…悉くカッシーナの元へ。去らぬというなら、貴様達にも会わせてやろう…我らの神に』

ディーニアンの長が杖を高く掲げると。

その場に居たディーニアン達が一瞬にして姿を消した。

そして。

 

「上だ!!!!」

 

ゼノが叫ぶ。

振り仰いだ瞬間、空から炎の塊が無数に降り注いだのだ。

 

「きゃぁああああああああ!!」

「うわぁーーーーっ!!」

 

悲鳴を上げ、彼らは必死に「火炎の球」から逃げ惑う。

それが収まった瞬間、雷鳴のような地響きが洞窟の中に響き渡った。

 

「ヴォル・ドラゴン!!」

「何だと?!」

 

エリは、自分の発した言葉が信じられなかった。

伝説だと思っていた。

龍族の神と呼ばれる、ヴォル・ドラゴン。

データ上に神話としてしか書かれていなかった「生物」が目の前に舞い降りたのだ。

描かれていたその姿のとおりの大きな爪翼を持つ「巨大龍」。

身体は紅蓮の鱗に包まれ、額と背中の二つの角が凶悪な輝きを放っている。

 

『思い知るがいい。我らの神の力を』

 

ディーニアンの長は高笑いし、何処へかと姿を消す。

残された彼らの前に、炎の神が居た。


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