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仮面ライダークロス 第二十二話 Gの可能性/自分の生き方

RIDERさん

考えてみたら、ジーン・ドーパントってすごいチートですよね。
今回はエクストリームとアンリミテッド、戦ったらどっちが勝つかを書いていますが、微妙です。
あとバージルがキャラ崩壊をおこしております。ご注意下さい。

2012-05-14 06:06:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:846   閲覧ユーザー数:840

「やっと手に入れた。」

井坂は自分の手の中にあるDと書かれたガイアメモリを見て言った。メモリの名は、ダッシュメモリ。手にした者に超高速移動能力を付加するメモリだ。

「しかしまだ足りない。もっと多くのメモリを手に入れなければ…」

「ああ?ひょっとして井坂先生か?」

「!?」

突然かけられた声に気付いて振り返る井坂。

「君は…木林影斗君ですか?」

「久し振りだなぁ、昔はよくアンタの世話になったよ。」

「よくぞ無事で。君の噂は聞いていますよ?何でも、世界中で傭兵活動をしているとか。」

「まあな。それより、いいのかこんな所にいて?アンタ、死んだ事になってるんだろ?」

井坂は、トーレとクアットロの偽装工作によって、死んだ事になっている。生きていると知れたら、かなり面倒な事になるのは間違いないだろう。

しかし、

「それは君も同じでしょう?君はミュージアムにとって、間違いなく危険な存在。君がこの街に戻っていることを知られたら、厄介事は避けられないと思いますが…」

影斗はミュージアムに拉致され、それからベルセルクの力を得て、さらにはミュージアムの研究施設まで破壊した。しかも傭兵活動までしているので、世界中から命を狙われている。つまり、自分の居場所が知れるような目立つ行動は、本来なら避けるべきなのだが…。

「もうバレちまってるよ。」

「なら、お互い気を付けましょう。君にもまだ、やりたい事があるでしょうから」

「そうだな。」

言って別れる二人。

と、井坂は足を止めて影斗に訊いた。

「一つお伺いしたいのですが、君は園咲冴子という女性を知っていますか?」

「…ああ、知ってるよ。今は加頭とかいうやつに保護されてるけど、まさか、好きなのか?」

「…ええ。」

「なら急いだ方がいいぜ?加頭は財団Xの一員で、しかもその女の事が好きらしいからな。」

「覚えておきますよ。」

二人は今度こそ別れた。

 

 

(…彼の言う通り、急いだ方がいいかもしれませんね…)

井坂は歩いていった。

 

 

 

 

 

光輝の家。

「そういえば…」

一真はふと思った。

「光輝。」

「何?」

「もしかして、地球の本棚って所に入れたりする?無限の使徒だから、できるかもしれないよ?」

「…」

光輝は考える。なるほど、確かに。光輝は無限の使徒。アンリミテッドフォースが使えるのだから、できてもおかしくない。

「…うーん、やったことないからわからないけど、やってみる価値はある、かな?」

そう言って光輝は、地球の本棚に入ろうとする。ただどうやって入るのかはわからないので、とりあえず前にフィリップがやってみせたポーズを取り、念じた。

(地球の本棚…地球の本棚……)

 

 

 

 

 

気が付くと僕は、真っ白な空間にいた。何もない、本当に真っ白な空間だ。

(ここが地球の本棚?でも、どうすればいいのかな?)

そこで僕は、フィリップさんがいつも言っていることを言ってみる。

「検索を始めよう。」

次の瞬間、僕の呼び掛けに応えるかのように、おびただしい数の本棚が現れた。

「すごい!」

思わず口にする僕。

「どう?入れた?」

空間の外から、一真が問いかけてきた。

「うん、入れたよ。」

「じゃあ、試しに何か本を読んでみてよ。」

「わかった。」

しかし、これだけたくさん本があると、どれを読もうか迷うな…。

と、背表紙にローマ字で、クレイドールと書かれた本が目に止まった。

「クレイドール…」

どうにも引っ掛かるワードだったので、僕はこの本を読むことにする。

まず目についたのは、クレイドールの姿。

「これ…僕が前に戦った敵の幹部じゃないか。」

そのまま読む。

「高い再生能力を有し、この状態では死ぬことはない。倒すには、再生能力を無効化する必要がある…あれ、そこまで厄介なドーパントだったんだ…」

夢中になって読む僕。

 

その時、

 

「白宮光輝!?」

 

声が聞こえた。

見てみると、そこにはフィリップさんがいる。

「フィリップさん。」

「なぜ君がここに!?」

「…なんか、入れちゃいました。僕が無限の使徒だからでしょうか」

「…ありえない話ではないな…」

「フィリップさんこそ、どうしてここに?って、ここは元々フィリップさんのものですけど。」

「…実は…」

 

 

フィリップさんの口から語られたのは、僕が旅行に行っている間にあった、一つの依頼。

依頼人、山城博士から、フィリップさんの本名が園咲来人であるということ、園咲家はミュージアムの中枢であることを知らされたフィリップさんは、自分の姉である若菜さんと敵対してしまい、失意の底へ沈んでいた。

それで、気分転換に地球の本棚へ来たらしい。

「園咲琉兵衛…それがミュージアムトップの名前…」

もしかしたら、その人が僕の父さんと母さんを?

と、

「光輝、フェイトさんが来たよ。」

空間の外から一真が言ってきた。

「僕はもう帰りますね。話して下さって、ありがとうございました。」

「いや、構わない。君ならいつでも大歓迎さ」

僕は地球の本棚から出た。

 

 

 

 

 

話は、今から三日前にさかのぼる。

 

「次の日曜、部活が休みだから、一緒に映画、見に行かない?」

 

フェイトさんのこの発言が、発端だった。

「僕はいいけど…」

僕は受話器を手で抑え、フェイトさんに聞こえないようにしながら、一真を見る。

「俺の事は気にしないで、二人で楽しんできなよ。」

一真は、笑ってそう言った。

「いいの?」

「君とフェイトさんは恋人同士だろ?なら当然さ。」

 

 

というのが三日前の話だ。

「じゃあ、行ってくるね一真。」

「ああ、留守は任せて!」

「行こう、フェイトさん。」

「うん。」

僕はフェイトさんの手を引いて、家を出た。

 

 

 

 

 

光輝が家を出てから、一真は呟いた。

「そろそろ俺も、この世界から去るべきかもしれないな。」

 

 

 

 

 

「ねぇ、何見る?」

「じゃあ、あれは?」

「あっ、いいね。実は前から見たかったんだ!」

「ふふ…」

子供のようにはしゃぐ光輝を見て微笑むフェイト。

「早く行こっ!」

「あっ、待って光輝!」

フェイトは光輝に手を引かれて、劇場に入った。

 

 

 

 

 

「あー面白かった!」

「うん。大迫力だったね」

劇場を出てそれぞれ感想を言い合う二人。

と、光輝の目に、

「翔太郎さん?」

の姿が止まる。

「亜樹子さんもいる…」

フェイトの言う通り、亜樹子もいる。

次の瞬間、翔太郎はいきなり側にいた、この映画館のマネージャーを殴った。

「ちょっと翔太郎さ…?」

驚いた光輝は駆け出そうとしたが、目の前で起きた出来事を前に、足を止めてしまう。

 

マネージャーの姿が、豆のような形状をした頭をもつドーパント、ジーン・ドーパントに変わったからだ。

「「ええっ!?」」

二人して驚く光輝とフェイト。光輝は翔太郎の元へ行く。

「翔太郎さん!」

「光輝か!悪いが今は、あいつを倒すことが先決だ。詳しいことはそれから話す!」

「わかりました。」

話している間に、ジーンは近くにあったポップコーンのカップに何かを投入。さらに右手に付いている青い栓抜きのような器官、DNAミキサーを入れて、かき回す。やがて、ジーンはカップの中身をぶちまけて逃げた。

ぶちまけられた物は、まきびし。ジーンの能力は遺伝子操作で、遺伝子情報をいじって別の物にできるのだ。

「まてコラ痛っ!!」

「何やってんのよ!!あーっ!!」

「光輝!!痛たっ!?」

慌てて追いかけようとした翔太郎、亜樹子、そして光輝の元へ駆け寄ろうとしたフェイトはまきびしに引っ掛かった。

「あーもう!!」

見かねた光輝は手から衝撃波を出してまきびしを吹き散らし、全員で手分けしてジーンを追った。

 

 

 

 

 

間抜けにも屋上に逃げてしまったジーンは、光輝と翔太郎に追い詰められる。

「行くぜ、フィリップ、光輝!」

 

〈JOKER!〉

 

 

 

「ああ。」

 

〈CYCLONE!〉

 

 

 

「はい!」

 

〈CROSS!〉

 

「「変身!」」

「変身」

 

〈CYCLONE/JOKER!〉

〈CROSS!〉

 

翔太郎はWに、光輝はクロスに変身した。

二人は同時に攻撃するが、ジーンは腰が引けたような動きをするので、うまく攻撃が当たらない。

しかし、ジーンは弱かった。Wの攻撃だけでも簡単に追い詰められてしまったからだ。

「さぁ観念しな。」

ゆっくりと歩み寄るW。ジーンはWとクロスに向けて、遺伝子操作で生み出した小型爆弾を投げる。クロスはレイブンクロークで防いだが、Wにはレイブンクロークなんてないので、まともに食らってしまう。

「痛ぇな…!!」

 

〈HEAT!〉

〈HEAT/JOKER!〉

 

Wはヒートジョーカーにハーフチェンジ。なおも投擲される爆弾を右手で防ぎながら接近し、

「痛ぇなコラ!!」

左手でジーンの頭をひっぱたいた。そのまま、燃える右手でジーンの頭を掴む。

「熱っ!!」

「どうだ熱いだろ?」

「熱ち…」

ジーンは言いながら、Wの右手に取り出した葉っぱを遺伝子操作で融合させ、牛のぬいぐるみに変えた。

「うわあああああああああ!!!手があああ!!!俺の手がああああああ!!!牛くんにぃぃ!!!」

『翔太郎!?』

「翔太郎さん!?」

「俺の手が…ててて手が…」

『落ち着いて翔太郎!メモリチェンジだ!』

 

〈LUNA!〉

〈LUNA/JOKER!〉

 

Wはルナジョーカーにハーフチェンジ。同時に、右手が葉っぱと分離し、葉っぱは地面に落ちた。安心するWとクロス。

「これが俺の手だ。」

Wはこっそり逃げようとしていたジーンに右手を伸ばし、片足に絡みつけて転ばせた。まだ逃げようとするジーンだが、Wの右手に尻をはたかれ、ダメージの影響でメモリが排出される。

ジーンに変身していたのは、川相透という冴えない青年だった。

「お前…」

「知ってるんですか?」

「ちょっとな…」

透は排出されたジーンメモリを拾おうとするが、亜樹子がジーンメモリを拾う。

「君だったのね犯人は!没収!」

「か、返せ!」

すると、今回の依頼人である女性、虹村あいが、愕然と呟いた。

「そんな…川相くんが…怪物…」

「一体何なんですか?」

状況についていけないクロスが尋ねる。それについては、フェイトが説明した。

これはジーン、透を捜している間に亜樹子から聞いた話だが、どうもこの映画館では、全く身に覚えのないあいの主演映画が上映されていたらしい。しかもその映画の上映館に入ると、終わるまで閉じ込められるという始末。あいはそれを解決してもらうために依頼したのだ。

「で、その犯人がこの人…?」

『ああ。上映館のナンバーをすり替え、使っていない試写室に誘い込んでいたんだ。そして、壁を作って閉じ込める。』

亜樹子は尋ねる。

「じゃあ、映画の中のあいちゃんは?」

『そう。彼が自分自身を組み換えて演じていたんだ』

「ええええ!?じゃあ、監督も、主演女優も、全部君一人でやってたってこと!?」

「どういうことなの川相くん!?」

「それは…」

透は黙ってしまった。

「引っ込み思案にも程があるよ!!」

透の両肩を掴んで揺さぶる亜樹子。

「やれやれ、あとは照井の仕事だ。」

『そうだね。メモリに心を奪われた人間には、もう何を言っても無駄だ。』

言って透を掴みあげるW。

しかし、

 

「待って。」

 

それを亜樹子が止めた。

『えっ?』

「あたしに考えがあるの。」

 

 

 

 

 

ディガル・コーポレーションの社長室。

園咲冴子が失脚したことによって社長の座に就いた若菜は、社員に激を飛ばしていた。

「遅いわよ!報告書は前日までに!」

怒り狂う若菜は舌打ちをしながら、

「邪魔よ!!」

近くにあった清掃具のカートを押す。清掃員は何も言わずそれを受け止めた。

「会議が終わるまでに済ませておきなさい!」

若菜は社員とともに出ていった。

 

 

 

清掃員の正体が冴子であることにも気付かず。

 

 

 

冴子は誰もいなくなったのを確認してから、部屋にある隠し金庫に自分のIDガードを読み込ませる。中には赤い小箱が。

「…あった…」

小箱にはかつての夫の忘れ形見、ナスカメモリが入っていた。

 

 

 

 

 

「アクション!!」

翔太郎の掛け声とともに、張りぼての鎧兜に身を包み、張りぼての剣と盾を携えたあいが歩き出す。

そんな彼女の目の前に、かかしの姿をした照井と、天使の姿をした真倉が立ちはだかる。

「どこへ行く?ジェシカ」

片手を広げて行く手を阻む照井。

「どこ行くんすか!?」

持っているハープをかき鳴らす真倉。

そんな二人の問いに、あいは剣を掲げて答える。

「彼方へ!私の道を、切り、開く!!」

 

 

「カット…」

小さな声で言う川相。

「監督はもっと腹から声出す!!」

亜樹子から指摘され、川相は、

「…カッ!ト…」

少し声を出した。

「あのさぁ、何で俺、こーんなことしてんの!?」

再びハープをかき鳴らす真倉。

「はーい。僕も暇そうに見えて、暇じゃ、ないんだけど、なぁ…」

挙手して発言するウォッチャマン。

「おい亜樹子。こりゃどういうあたっ!!」

亜樹子はウォッチャマンと翔太郎の頭をスリッパで叩いた。

「亜樹子プロデューサー!!もしくは、可愛らしく亜樹Pと呼ぶこと。」

『亜樹P?』

 

一同は聞き返した。

ちなみに、ここには翔太郎やフィリップ、ウォッチャマンや照井、真倉の他にも、光輝や一真、ダンテやバージル、照山が来ている。

「うん。これは、映画作りを利用した透くんの社会復帰計画なの。彼、センスはあると思うんだよねぇ~。これを利用して、ガイアメモリの魔力に打ち勝つ心を作り上げるのよ。」

「この映画でか?」

照井は台本を出した。翔太郎が読み上げる。

「『聖戦士ジェシカ』?何だこりゃ?」

「ヒロイックファンタジーの決定版よ。無駄なシーンをなくして、理想の映画尺、90分にまとめ直したわ。」

その事に関して、透はスケッチブックに書いて答えた。

『問題ない。内容はとてもよくなった』

「だしょだしょ!?あいちゃん本人にも出演してもらって…アクション!」

亜樹子の声に合わせて、ランボーみたいな格好で銃を乱射するあいが登場。

「ギャグ!」

今度はカトちゃんみたいな格好のあいが登場。

「お色気も二倍増しよ!」

今度はマリリン・モンローみたいな格好のあいが登場。

「ちょっと恥ずかしいけど、頑張ってみます。」

やる気を見せるあい。しかし、

「ふざけるな。」

バージルが言った。

「バージル?」

「何だよノリが悪いなぁ。やろうよ!」

光輝と一真が言うが、バージルは、

「俺はまだ宿題を終わらせていない。今の俺にそのような余裕はないのだ」

と、拒否の姿勢を見せる。

「おいおいバージル。まだ夏休みは始まったばっかだぜ?宿題なんていつでもできるだろ?」

ダンテは気に止めていない。

次の瞬間、バージルは閻魔刀を召喚して、ダンテの頭を鞘で殴った。

「ぐあっ!!」

「何を言うか!!お前はいつもいつも夏休みの最後になって、俺に宿題の助力を乞うだろうが!!大体、宿題は夏休みの前半で全て終わらせろとあれほど…」

キレるバージル。

「と、とりあえず、透くんはあいちゃんと一緒に、先に次の現場に移動してて~」

亜樹子は気まずく思いながらも、次のシーンを撮影するために、透とあいを先に行かせる。

「はい、じゃあ移動。」

やる気なしの翔太郎は、指示を出して移動を促すが、

「待って!!」

亜樹子は止めた。

「みんな、協力して。これは、ラブラブムービー大作戦でもあるのよ!!」

 

『ラブラブムービー大作戦?』

 

一同は再び聞き返した。翔太郎に至っては、持っていた台本を落している。

「うん。今はロクに人と話せない透くんだけど、憧れのあいちゃんと一緒に撮影すれば……」

亜樹子の予想では、

 

 

 

 

 

「はい!以上で川相組オールアップです!!」

翔太郎の一言に歓声をあげる一同。透はあいに花束を渡す。

「虹村さん、お疲れ様。それから…好きです。」

「川相くん…」

抱き合う二人に、一同はさらなる歓声をあげた。

 

 

 

 

 

「ってなるのよ!!」

「くだらん妄想も大概にしろ!!」

ついにブチキレたバージルは、亜樹子に幻影剣の雨を降らせる。

「ぎゃあああああ!!!」

「まだ終わらんぞ!!」

さらに、閻魔刀まで抜こうとするバージル。

「オイよせバージル!!」

照山は慌ててバージルを羽交い締めにした。

「放せ!!俺はこの女を八つ裂きにする!!」

「だからよせって!!」

照山は必死でバージルを抑えている。

「バージル…なのはさんより怖いかも…」

「バージルはなのはさんより強いよ。だから絶対怒らせちゃ駄目だ」

光輝と一真は、怒るバージルを見ていた。

 

 

 

 

 

琉兵衛から贈り物があると聞かされていた若菜は、琉兵衛の持ってきたトランクを開ける。

中には、緑色に光るいびつなハート型の何かが入っていた。

「何ですのこれ?」

「有機情報制御器官試作体ガイアプログレッサー。」

「この輝き…前にどこかで…」

「これでお前は完璧になる。そのためには、あるドーパントの協力が必要だ。」

言ってパソコンを操作する琉兵衛。

「ようやく見つけた。ジーンメモリの力を引き出すことにかけて、彼は天才だ。」

パソコンの画面には、透の顔写真が映っていた。

 

 

 

 

 

同時刻。

冴子は自分の身体に生体コネクタを打ち込んでいた。

 

 

 

 

 

「彼方へ!私の道を、切り開く!」

その後も、亜樹子が岩を転がしたり、ダンテが火薬の量を間違えて全てを破壊しかけたりしながらも撮影は進み、現在に至る。

「うーん!いいんじゃないのあいちゅわ~ん!!」

「元気はつらつなヒロインになったな!」

ウォッチャマンと翔太郎の言う通り、あいはかなり元気なヒロインになった。

「やっぱヒロインはこうじゃないと…ね、監督!」

「…違う」

「えっ?」

透は亜樹子を無視し、どこかへ歩いていってしまう。そこへあいが駆け寄る。

「どうしたの川相くん?私、結構いいと思うよ?」

「違う…あれは違う」

「何?はっきり言って?」

なんとか透の要望を聞き出そうとするあい。

その時、

 

「あら?みんなで映画撮影?楽しそうね。」

 

若菜が現れた。

「園咲、若菜?本物!?」

軽い感動を覚えるあい。しかし、

「でもここまでよ。」

 

〈CLAYDOLL!〉

 

「私といらして、ジーンくん。」

若菜がクレイドールに変身したことで、悲鳴をあげる。

「どどど、ドーパント出たぁ~!!」

慌てるウォッチャマン。

「照井、マッキー。みんなを避難させてくれ」

「わかった!」

翔太郎の言葉を聞き、避難させる照井と真倉。

「一真、ダンテ、バージル、照山もお願い!」

「ああ!」

「おう。」

「すぐ戻る。それまで持ちこたえろ!」

「あとはまかせな!」

四人も光輝に言われ、照井達に協力する。

 

 

「あら?来人。奇遇ね」

「若菜さん…いや、姉さん。」

「ふふふ…」

「若菜姫、フィリップの気持ちも考えてやってくれ。今すぐミュージアムから離れるんだ!」

「不可能よそんなこと!だって、私自身がミュージアムなんですもの!」

「もう仕方ないんだ…戦うしか…ない。」

 

〈CYCLONE!〉

〈JOKER!〉

 

「「変身!」」

 

〈CYCLONE/JOKER!〉

 

Wに変身する翔太郎とフィリップ。しかし、光輝は変身しない。

「もうやめて下さい!家族同士で戦うなんて…こんなの間違ってます!!」

「ああ、そういえばあなた、お父様に始末された裏切り者の息子だったわね。」

「…やっぱり、父さんと母さんを殺したのは…」

「そうよ。それにしても、あなたのご両親は愚か者ね。素直にクロスメモリとクロスドライバーを渡していれば、殺されずに済んだのに。」

「父さんも母さんも愚かなんかじゃない!!僕が証明する!!」

 

〈CROSS!〉

 

「変身」

 

〈CROSS!〉

 

ついに光輝もクロスに変身。

「行くぜ…!」

Wとともに、クレイドールに立ち向かった。

 

 

 

 

 

Wはスピードと技で、クロスは瞬間移動を利用した攻撃で、それぞれクレイドールを翻弄する。しかし、クロスに比べてWはスペックが低いため、クレイにパワーで押し切られてしまう。

Wに狙いを定めて重力弾で攻撃するクレイドール。そこへエクストリームメモリが飛来。

 

〈XTRIEM!〉

 

Wはサイクロンジョーカーエクストリームに強化変身した。

 

〈PRISM!〉

 

間髪入れずにプリズムメモリをプリズムビッカーに装填したWは、プリズムソードでクレイドールを斬る。

「僕も!」

 

〈ETERNAL!〉

〈INFINITY!〉

〈CROSS/ETERNAL/INFINITY!〉

〈UNLIMITED!〉

 

クロスもクロスアンリミテッドに強化変身。アンリミテッドフォースを注入して強化した拳を、蹴りを、叩き込む。

「これがエクストリームとアンリミテッドの力!?」

ダメージを受けて倒れるクレイドール。

「クレイドールの能力は見切った。プリズムソードなら、再生能力自体を斬れる。」

「こっちもアンリミテッドフォースで無力化可能です。」

「メモリブレイクしてでも、彼女を止めるぞ!!」

クレイドールにとどめを刺そうとする二人。

 

その時、

 

「あっははははは!!」

 

笑い声が響いた。見ると、近くの岩の上に、冴子がいる。

そこへ、アクセル、ブレイド、ソウガが駆けつけた(照山はソウガが置いてきた)。

「園咲冴子!!」

「どうしてここに!?」

「何だ何だ?」

「…」

それぞれ反応するライダー達。

冴子はそれらを無視して、クレイドールに言う。

「無様ね若菜。あなたをいたぶりに来たのに拍子抜け。そんなのでよく自分自身がミュージアムだなんて言えたもんだわ。」

「何ですって!?」

「今見せてあげる。姉の意地を」

冴子はそう言って、ある物を取り出した。

「あれは…霧彦のナスカメモリ!?」

驚く翔太郎サイド。

「…井坂先生…!」

冴子は井坂を信じ、

 

〈NASCA!〉

 

メモリを起動させて、コネクタに挿した。

すると冴子の姿がマフラーを巻いた青い戦士、ナスカ・ドーパントに変わる。

 

だがそれも一瞬のこと。

 

ナスカの表皮はすぐ赤色に変化し、ナスカはRナスカ・ドーパントになった。

ナスカはマフラーを光の翼、ナスカウィングに変化させて飛来。

着地と同時に剣、ナスカブレードを出したナスカは、超高速で移動し、Wを斬った。

「ぐあっ!!」

「速い!!」

「なら…」

〈REQUIEM! ALLEGRO!〉

 

クロスはレクイエムサーベルのアレグロを発動し、ナスカを追い詰める。

 

〈TRIAL!〉

 

それを見たアクセルもまた、アクセルトライアルに強化変身。クロスと同時に攻撃を仕掛ける。

「俺も!!」

 

〈MACH〉

 

ブレイドはマッハジャガーのカードを使ってスピードアップ。クロスとアクセルに協力した。

「あっちは任せて大丈夫そうだな。」

「ならば、奴を倒すぞ。」

ソウガはクレイドールを倒すべく、群雲を抜く。だが、

「おおっと待ちな!」

そこへベルセルクが登場し、アームズベルセルク ソードモードでソウガに斬りかかる。

「貴様…木林影斗!!」

群雲で受け止めるソウガ。

「さぁ、悦楽タイムの始まりだ!!」

そのまま激闘を展開するソウガとベルセルク。

クロスとアクセルとブレイドはナスカを抑えつけた。

「今だ左!!」

「やって下さい!!」

「ここです!!」

「ああ!」

プリズムソードを振るうW。

しかし、ナスカはナスカウィングを出現させて拘束を解き、周囲にエネルギー弾をばらまく。

爆発する周囲。

 

 

 

 

 

現在冴子を保護している財団Xの一員、加頭順は、その様子を見て呟いた。

 

「…レベル3」

 

 

 

 

 

 

「ちょっと様子を見に来たら、面白いものを見つけたぞ?」

そこより離れた位置から、井坂が現在の冴子を見ていた。

「どうやら君も、直挿しの素晴らしさに気付いたようですね。私は嬉しいですよ、冴子君。」

 

 

 

 

「あっ!カメラが!!せっかく透くんが撮った画が…!!」

様子を見に戻ってきた亜樹子は、カメラが放置されていることに気付き、回収しようとする。

しかし、透がそれを止めた。

「何で止めるの!?君の撮った映画が、台無しになっちゃうよ!!」

透はスケッチブックに書いた。

『あんな画のために、危険を冒すことはない。』

「……えええっ!?気に入ってなかったの!?」

無言で頷く透。

「あたしが、余計なことしたから!?」

首を横に振る透。

「みんなで撮るの、やだった!?」

透はスケッチブックに書いた。

『一人で撮る。ジーンを返して!』

「何でぇぇぇぇっ!!?」

亜樹子は頭をかきむしって絶叫するのだった。

 

 

 

 

 

ビッカーシールドでエネルギー弾を受け止めるW。

「すごい…直にメモリを挿すとこんなに気分がいいなんて…」

「待ってくれ!!こんな戦いに何の意味がある!?」

懇願するフィリップサイド。しかし、ナスカはエネルギー弾を生み出す。

 

〈PRISM・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「「プリズムブレイク!!」」

対するWは、プリズムソードからエネルギーの刃を放ってエネルギー弾を破った。

互いに変身を解くWとナスカ。

「もうやめてくれ。あなただって、僕の姉のはずだろう?」

「勘違いしないで。お前はモノなのよ来人?家族じゃない。興が冷めたわ、これからは油断しないことね、若菜。」

冷たく突き放した冴子は、去っていった。同じく変身を解除した若菜も、唇を噛みしめ、舌打ちしながら去る。

「何だ、もう終わりか?乱戦で楽しかったのに。」

ベルセルクはソウガから距離を取り、

「じゃあな。」

スタングレネードを使って逃げた。

「園咲姉妹…か…」

「悪魔の女…だな。」

変身を解除した照井は、翔太郎と呟いた。

「無理だ…彼女達の目を覚まさせるのは…」

落胆するフィリップ。

「光輝!大丈夫か!?」

「うん。アンリミテッドフォースで防御力を強化してたから…一真は?」

「俺も大丈夫。俺、アンデッドだし。」

互いに身を心配する光輝と一真。

「あの野郎…逃げやがった!!」

「決着はいつでもつけられる。今は…」

バージルは、フィリップを見た。

 

 

「僕の大事なカメラちゃんが!!」

ナスカの攻撃にさらされたマイカメラを見て嘆くウォッチャマン。

亜樹子は哀れなウォッチャマンを完全に無視する。

「ジーンを返せなんて…駄目だよそんなの!!あいちゃんのことなら、あたしも協力するから!!」

透はスケッチブックに書く。

『勘違いしないで。彼女に対する恋愛感情は、ない。』

「…えええっ!?」

 

 

 

 

 

翌日、この日も撮影は行われた。

「で、俺らはやっぱり付き合わされんの?」

やる気ゼロのダンテ。

「暇なんだろ?付き合ってやろうぜ。」

「…面倒くせぇ」

照山が言ってもやっぱりやる気ゼロ。

と、亜樹子が照井を呼んだ。

「何だ所…亜樹P。」

「次、ジェシカとかかしのキスシーンに変えるから。」

「何だと!?」

「なんとかして、透くんのあいちゃんへの気持ちを刺激しないと!」

「監督は恋愛感情はないと言っていたはずだが…」

「恋する男の子はみんなそう言うの!さぁ、振り切れ!!こう、がばーっと、むちゅーっといけ?」

照井の中で、何かのスイッチが入る。

 

 

 

「絶望が俺のゴールだ。」

 

 

 

全速力で逃げ出す照井。

「あっ!逃げた!!あたし聞いてない!!追えマッキー!!」

「えっ!?うぇっ!?」

「確保ーっ!!」

「はい!!ちょっ…止まりなさい!!照井刑事逃げるんですか!?」

「バージルくんも追いかけて!!」

 

プチッ!

 

「黙れッ!!!」

「ぎゃあああああああああああ!!!」

幻影剣の雨を降らせるバージル。

「バージルストップ!!」

「落ち着くんだ!!」

「やめろって!!」

今度は三人がかりで止めに入る光輝、一真、照山。

「はぁ…」

透はため息をついた。

 

 

 

 

 

真倉が照井を追っている間、他のシーンを撮影する一同。

すると、透がスケッチブックに書いた。

『亜樹P、二人きりで話がしたい。』

「きたぁぁっ!!うんうん!!」

亜樹子は透とどこかへ行った。監督用メガホンを翔太郎に渡して。

「俺監督!?」

 

 

 

 

 

「それで、話って何?」

「…」

透は亜樹子の両肩を掴んだ。

「ええっ!?まさか、本命あたしだった!?や~だ~聞いてない~」

暴走する亜樹子。透はそんな亜樹子のポーチに手を突っ込み、ジーンメモリを取り出す。

「…あった…」

「…げっ!!始めからそれが狙いだったのね、この根性なしが!!」

亜樹子はいつものごとくスリッパを出すが、思いとどまった。

「ダメダメ…心で説得を…透くん!!返しなさい!!」

揉み合いになる二人。そのうちにジーンメモリがすっぽ抜けて、飛んでいってしまう。しかも、

 

 

なぜかいたクレイドールの足元に。

 

 

「あ…若菜姫…!!」

「ふふ…はっ!!」

クレイドールは透を誘拐し、去っていく。

「待って!!待ってよ!!」

亜樹子もあとを追った。

 

 

 

 

 

「違うなぁフィリップ。葉っぱのツヤが気に入らねぇなぁ」

「やれやれ…こうかい?」

フィリップは渋々、レフ板を傾けた。

 

 

 

 

 

どこかのスタジオ。

透は目を覚ました。

「映画、作るんでしょ?」

照明が照らされ、若菜が現れる。

「ここを使ってもいいわ。その代わりに…」

若菜は近くのテーブルに乗っていたトランクを開け、ガイアプログレッサーを出した。

「これを私の身体の隅々にまで融合させなさい。二度と離れぬように」

言って、透にジーンメモリを投げつける若菜。

「断れば命はないわ。この二択を迷う馬鹿はいないわよね?」

透の息が、恐怖で荒くなる。従うしか、なかった。

 

〈GENE!〉

 

「じゃあ、始めて下さるかしら。」

 

〈CLAYDOLL!〉

 

透はジーンに、若菜はクレイドールに変身。ジーンはガイアプログレッサーを受け取ると、クレイドールの胸に押し当て、DNAミキサーの力を発動し、クレイドールとガイアプログレッサーを、遺伝子レベルで融合させる。

「あああ……うああああああ!!!」

スタジオを、眩いばかりの光が包んだ。

そこへ亜樹子が追いつく。

「何、してるの…?」

「エステのようなものかしら?」

クレイドールはジーンを払いのける。

「私がミュージアムの女王になるための。」

「そんなことのために手を貸したの!?」

ダメージで変身が解除された透は、亜樹子から目をそらす。

亜樹子は透の頭をスリッパで叩いた。

「バカ!!」

「フンッ!」

クレイドールは鼻で笑う。

だが、亜樹子はそんなクレイドールにもためらうことなく、スリッパを振り降ろした。

「えっ!?」

「あんた達、それでいいの!?それがあんた達のやりたかったことなの!?」

二人に言ってから、亜樹子は透を見る。

「自分の意思はどこに行ったのよ!?それ…見せてよ……」

透は、再び亜樹子から目をそらした。亜樹子はクレイドールも見る。

「若菜姫もだよ。あたしが知ってる若菜姫は…今もフィリップくんが大好きな若菜姫は!!いつも風都のみんなに、130%の元気をくれる歌姫だよ!!お願い、あなたも心を開いて……」

「…」

黙るクレイドール。

しかし、

「言ったでしょ?私はミュージアムの女王。姫は卒業よ!!はああああああ!!!」

クレイドールは全身から光を解き放ち、同時に衝撃波を発生させる。

「透くん逃げて!!」

「えっ!?でも…」

「みんなに知らせて!!」

「…!!」

透は亜樹子の言う通り、逃げた。

そして、吹き飛ばされないようこらえていた亜樹子は、ついに吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

「見逃してくれ!!」

照井は木に縛りつけられ、キスを嫌がっている。

「さぁ、激しくいこう!!」

「川相透に見せないと意味ないんじゃ?」

翔太郎とフィリップがコント繰り広げていた、その時、

「!!」

光輝は何かを感じた。

「どうしたの?」

一真が尋ねる。

「…変な力の波動が生まれた。この力、どこかで…」

そこへ、透が来た。

「川相くん。」

透は亜樹子に起きたことを伝えるべく、スケッチブックに書こうとするが、スケッチブックがないことに気付く。

「ひょっとして所長に何かあったのか?」

照井の問いにも答えられない。

「ねぇ、黙ってる場合じゃないでしょ!?川相くん!!川相くん!!」

透の頭の中に、亜樹子の言葉が蘇る。

 

 

 

ーー自分の意思はどこに行ったのよ!?それ…見せてよ……ーー

 

 

 

「ああああああ!!!」

 

 

透は叫び、自分の伝えたいことを、言う。

 

 

「いい加減にしてよ虹村さん!!イメージが違うんだよ!!君は、元気よすぎなんだよ!!ジェシカもっと、ダークなイメージなんだよ!!」

 

 

言いたいことを全部言った透は、肩で息をする。

「…言えた。やっと本人に…!」

「…そんな…ことなの?私に、言いたいことって…」

「…うん…言えなかった。勝手に姿使って、ごめん。」

フィリップは驚いた。

「川相透が…変わった…亜樹ちゃんが変えた!?」

「そうだ!!亜樹Pが危ないんだ!!」

 

 

 

 

 

一同は亜樹子の危機を知らされ、スタジオへ急行する。箱にはまってもがいていた亜樹子を救出し、フィリップはクレイドールを見た。

「そうか、ジーンの能力を使って、クレイドールに新たな力を加えたのか!!」

「その通り。今、完全になじんだわ!!」

「行くぜ、フィリップ、照井、光輝、一真、ダンテ、バージル。」

「「ああ」」

「「はい!」」

 

〈CYCLONE!〉

〈JOKER!〉

〈ACCEL!〉

〈CROSS!〉

〈SLASH!〉

〈BLAST!〉

 

「「変身!」」

「変・身!」

「変身」

「変身!」

「「変身」」

 

〈CYCLONE/JOKER!〉

〈ACCEL!〉

〈CROSS!〉

〈TURN UP〉

〈SLASH/BLAST!〉

 

W、アクセル、クロス、ブレイド、ソウガ。並び立つ五人の仮面ライダー達。

五人はクレイドールに戦いを挑んだ。

 

 

 

 

 

ガイアプログレッサーと融合することで能力が底上げされたクレイドール。だが、やはり多勢に無勢。W、アクセル、クロス、ブレイドはなんとか圧倒できるが、ソウガは違う。最初から強化形態並みの強さがあるソウガの前には、クレイドールが放つ重力弾も全て撃ち落とされ、格闘でも圧倒され、勝負にならない。

そこへ、再びベルセルクが現れた。

「またてめえか!!」

「まぁまぁ、そう嫌がるなよ。遊ぼうぜ!!」

ソウガはベルセルクとの戦いに引き付けられる。仕方なくクレイドールは、残り四人で相手をすることに。

「確かに強くなってる…」

「押し切るしかない。」

Wはサイクロンジョーカーエクストリームに強化変身。プリズムソードでクレイドールを斬る。

 

 

「出番よ、若菜。また歯ぎしりをするといいわ」

その状況を見る冴子。

だが、

「うふふふ…あははは…!」

今度のクレイドールは、何やら様子がおかしい。Wはそれに気が付いていないようだ。

「今度こそメモリブレイクだ!!」

 

〈PRISM・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「「プリズムブレイク!!」」

Wはプリズムブレイクを放って、クレイドールを攻撃した。

 

しかし、メモリはブレイクされず、クレイドールは粉々に砕け散る。

 

「メモリは!?」

そしてライダー達が見る目の前で、クレイドールの破片が集まり、元の姿を取り戻した。

「そんな!これでブレイクできないはずはない!!」

「残念ね来人。私変わったの。見せてあげる。お姉様はそこで見てるといいわ」

冴子の存在に気付いていたクレイドールは、力を解放する。

 

 

「エクストリィィィィィム!!!」

 

 

 

クレイドールの中心線に、縦にひびが入った。

 

 

 

 

 

「真のクレイドール?」

加頭は琉兵衛に尋ねた。

「いかにも。クレイドール=土人形とは、古来人間が、神への祈りを込める器として造り上げたもの。それを極めた今こそ、若菜は、『地球という神の巫女』たりえる。」

「…クレイドールエクストリーム。」

「Wの戦いがいいデータになった。ここまで、泳がせていた甲斐があったな。ははは…」

「最初から若菜さんを、神の巫女としてお選びに?」

「ああ。君が冴子を焚き付けてくれたおかげで、若菜にも火がついた。」

楽しそうに話す琉兵衛。しかし、その目は突然、鋭くなる。

「あとは、忌むべき力を操る、もう一人の神、無限の使徒を倒せば…」

 

 

 

 

 

クロスは悟った。

(この力の波動…間違いない。エクストリームだ!!)

そのクロスの目の前で、クレイドールの表皮が、破片となって剥がれ落ちていく。その剥がれ落ちた表皮の下から新たな表皮が形成。さらにクレイドールはエクストリームの光に包まれ、4mもの巨体をもつ遮光土器のような姿のドーパント、クレイドールエクストリームとなった。

クレイドールは背中から二本のアームを伸ばし、そのうちの片方を冴子に向けて伸ばす。

とっさにナスカに変身した冴子だが、壁に叩きつけられて、地に落ちる。

「なんてパワー…!!」

たった一撃で満身創痍となったナスカは、その場を去った。

 

 

クレイドールはアームを振るってライダー達を吹き飛ばす。さらにアームを戻したクレイドールは、頭部から大量の巨大重力弾を放って攻撃した。

「なんだこいつ!?」

「圧倒的すぎる!!」

クレイドールエクストリームのパワーに驚くブレイドとアクセル。

クレイドールはそんな彼らに容赦なく重力弾を放つ。ライダー達はそれを跳ね返していくが、そのうちの一発が、様子を見に来た亜樹子と透のところへ飛んでいってしまう。

「亜樹子!!透!!」

翔太郎サイドが叫んだ。

しかし、

「危ない!!」

透が亜樹子を押し倒し、危機を脱する。

「川相透…」

フィリップサイドは透の変わりように驚きながらも、クレイドールを見た。

「消えるがいい…!!」

言って、巨大な重力弾を作り上げるクレイドール。

「おい、とんでもねぇのがくるぞ!!」

「だが、彼らを守らなければ…!!」

焦るW。

「やらせるもんか…そんな事、やらせるもんかぁぁぁぁぁ!!!」

 

〈ETERNAL!〉

〈INFINITY!〉

〈CROSS/ETERNAL/INFINITY!〉

〈UNLIMITED!〉

 

クロスは怒り、クロスアンリミテッドに強化変身。

 

〈INFINITY・MAXIMUM DRIVE!〉

 

左手にアンリミテッドフォースを集中。

「インフィニティーブレス!!」

さらにアンリミテッドフォースで強化。

「はっ!!」

「だぁぁぁぁぁぁっ!!!」

クレイドールの重力弾に合わせて、光を解き放つ。

 

 

クレイドールの重力弾を遥かに上回る光線が、クレイドールを呑み込んだ。

 

 

しばらくして、ボロボロの姿をさらすクレイドール。

「まだ…今のままでは…勝てない…」

ダメージを再生させながら呟いたクレイドールは、次元の裂け目、ワームホールを生み出して去っていった。

 

 

「翔太郎くん、フィリップくん、竜くん!!大丈夫!?」

駆け寄る亜樹子。

「ああ。」

「彼のおかげで助かったよ。」

 

 

 

 

 

「ぐおおっ!!」

零距離からフルオートの銃撃を食らって、ベルセルクは吹き飛んだ。

「ちっ、やっぱり強ぇ…今日はこのぐらいにしとくか…!!」

ベルセルクはスタングレネードを使って逃亡する。

「また逃げやがった!!」

「何度でも来い俺達は負けん。」

ソウガは変身を解いた。

 

 

 

 

 

冴子はトンネルの中を歩いていた。

「あれがクレイドールの真の力…お父様は最初っから若菜に最強のメモリを与えていたのね…見てなさい若菜。あなたを必ず玉座から引きずり降ろしてあげるわ…」

怒りと恨みの言霊を吐きながら、冴子は歩いていった。

 

 

 

 

 

透は亜樹子にジーンメモリを差し出す。

「透くん…」

「もういらない。仲間がいるし」

それを聞いた亜樹子は、メモリをWに渡す。

「ああ。」

「うっし。」

Wはメモリを握り潰し、亜樹子は透を見て微笑んだ。

 

 

 

 

 

「クレイドール…エクストリーム…」

地球の本棚の中を歩くフィリップ。

 

その時、

 

「あなた達と同じ力よ、来人。」

 

若菜が現れた。

「なぜここに!?」

「私も、地球の記憶と一体化したの。まだあなたに触れることも、本を読むこともできないけど…そのうち…」

邪悪な笑みを浮かべる若菜。

「姉さん。やっぱり僕は諦めない!僕は、僕の家族を取り戻す!!」

「ふふふ…」

フィリップの発言にも笑みを崩さない若菜は、

「馬鹿な子…」

と言ってからフィリップの身体をすり抜け、振り返って言う。

「地球一頭がいいくせに。」

若菜は地球の本棚から消えた。

 

 

 

 

 

家に帰ってから、光輝はフェイトに謝罪の連絡を入れていた。

「ごめんねフェイトさん。せっかく誘ってくれたのに、こんなことに…」

「いいよ。それより、次はどこ行く?」

「次?次は…遊園地なんてどうかな?」

「遊園地か…うん、いいよ。いつ行く?」

「そうだね…」

他愛のない会話。恋人同士なら当然の会話。

一真は嬉しそうに話す光輝の顔を見て、静かに微笑んでいた……。

 

 

 

 

 

 

 

************************************************

次回、

仮面ライダークロス!!

 

?「ダイヤの価値ってわかる?」

亜樹子「風都史上最悪の悪女よ!!」

クロス「教えてやる。傷付かないものなんて、ないってことを!!」

 

第二十三話

Jの迷宮/本当に必要なもの

 

これが裁きだ!!


 
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