No.421368

ISアスラン戦記7

タナトスさん

クラスマッチ到来。
果たして一夏は優勝できるのか?
アスランの成果が試される。

2012-05-11 13:13:12 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:4557   閲覧ユーザー数:4384

 

 

 

俺達は何時もの如く放課後、訓練アリーナを借りて訓練を行っていた。

 

セシリアは高速動き回りながら高速で動く的を狙い撃つ。

 

最初は10ホールを確実に当てていくがやはり動きと射撃の荒さは目立つ。

 

「セシリア、射撃を意識しすぎだ! もう少しISの機動にも気を使え」

 

「わ、解ってますわ!!」

 

セシリアは一杯一杯なのか段々と10ホールから外れていく。

 

「クッ!?」

 

セシリアは歯噛みする様に舌打ちして射撃を続行した。

 

一方、一夏はランダムに動き回り攻撃するシーカーに苦戦していた。

 

「クソ!!」

 

「一夏! センサーと自分の目と両方で確認しながら動け。落とされるぞ!!」

 

「解ってるって!!」

 

そう言いながらもカス当たりする一夏。

 

次は箒だ。

 

「箒! 剣の方が雑だ! 方を知らない俺でも雑だと言う事が解るぞ!!」

 

「解ってる!」

 

箒も余裕無く答える。

 

量産機の箒は兎も角、一夏やセシリアの機体は高スペックなだけに機体に振り回されている。

 

その意味でこの慣らしの効果も狙っている訳だ。

 

まあ、前に比べて格段の進歩だ。

 

成る程、嬉しいもの生徒がスクスク育つと言うのは。

 

訓練が終わったその足で俺はセシリアに俺の部屋まで来てくれと伝えた。

 

セシリアは何故か顔を真っ赤にして喜び勇んで行くと言う返答を貰った。

 

俺の部屋に行く事がそんなに嬉しいのか?

 

果てしなく謎だ。

 

 

 

私、セシリア・オルコットは有頂天だった。

 

その理由はアスランさんが私を部屋に呼んだのだ。

 

その瞬間、気合が入った。

 

(よし!! ですわ!! よし!! ですわ!! アスランさんが自室に招いてくれた!! コレは“フラグ”と言う物ですわ!!)

 

そう思った私は身を清める為にシャワーを浴びて下着をチョイス。

 

(可愛らしい下着もいいですが大人の雰囲気のある下着もいいですわね……)

 

ア~~~~~~~~~~~~~~~~~~~もう!! 迷いますわ!!

 

服も気合を入れませんと!!

 

私はアスランさんの部屋へ私服に着替えて尋ねた。

 

胸が高鳴る。

 

私は意を決して部屋のドアをノックした。

 

木と指がぶつかる音を聞きながら私はアスランさんを待った。

 

「はい、今行く」

 

その言葉と共に益々胸の鼓動が高鳴る。

 

ドアが開かれた瞬間、アスランさんの私服姿を私はみた。

 

白いワイシャツに青いジーンズ姿。

胸元のボタンをはだけさせ美しい肌が見える。

 

(こ、これは……エロいですわ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!)

 

私は心で絶叫しながら鼻血をながした。

 

しかし、外の顔の私は済まして見せる。

 

ここでアスランさんに無様は見せられませんわ!

乙女の気合を舐めないで頂きます?

 

え、何ですの?

 

セシリアはエロいな~~~~~~ですって!!

 

私は健全ですわ!!

 

と、誰かのボケに対してツコミしたのが何故かむなしいですわ。

 

 

 

 

アスランさんに案内され入った部屋は何てこと無いIS学園の寮と同じ広さのワンルームでした。

 

其処にはベットと机とテーブルが置いてある。

 

アスランは備え付けの台所に行き、紅茶を私に入れてくれました。

 

いい香りですわね。

 

この香り、蘭の花の香りに近い香りと言う事はプリンス・オブ・ウェールズですわね。

 

ダージリン、ウバと並ぶ三大茶葉の一角、キーマン茶のブレンドですわ。

 

お茶の選択も悪くはありませんわ。

1日を締めくくるイブニングティーには最高ですもの。

 

アスランさんは紅茶が好きなのですわね。

 

「どうぞ」

 

そう言いながらアスランさんは私の前にカップを置いてくれた。

 

アスランさんはポットを持ちながらソレをテーブルに置き、こう言った。

 

「ウェールズは嫌いかな?」

 

その問い掛けに私は嬉しくなりました。

 

そして私は今自分が出来る最高の笑顔で答えます。

 

「大丈夫ですわ」

 

と。

 

私は福与かな香りを楽しみながらカップに口をつける。

 

「美味しい……」

 

自然とその様な声が出てきてしまった。

 

アスランさんは微笑みながら紅茶を飲み納得したようにこう言った。

 

「悪くは無いな。クッキーもある。食べるか?」

 

「頂きますわ」

 

クッキーを食べながら他愛無い話をする私達。

 

(あ~~……まるで恋人みたいですわ……)

 

そんな時だった、アスランさんが私を自室に呼んだ理由を説明した。

 

「君には俺とチェスと将棋と囲碁を同時にしてもらう」

 

その言葉に私は固まりました。

 

「理由はブルーティアーズはビット兵器を主眼に戦闘を構築する。つまり、三次元で将棋やチェスをしながら相手の陣地を脅かす囲碁の特性を持っている。つまり、君には戦術構築と誘導兵器戦術の基礎が学んでもらう」

 

そう言いながらアスランさんは箱を取り出した。

 

「コイツは球体方パズルだ。かなり難易度の高いパズル。コイツで空間把握認識能力の訓練を行ってもらう。つまりだ、空間把握認識能力とは世界を立体的に捉える世界だ。物を立体映像を回転さえたみたいに見る力だ。コレは宿題だな」

 

ソレを聞いた瞬間、私は心で絶叫していました。

 

(何でこうなるのですの~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!)

 

 

 

 

 

 

そして、時は流れいよいよクラス対抗戦。

 

しかし、一夏と鳳との仲が何故かギクシャクしている。

感じとして言えば鳳が一夏を避けて、一夏が如何したものかと言う顔をしている。

 

そんな感じだろうか?

 

「いいか、一夏。今回はのっけから鳳とだが自信は?」

 

その俺の挑発に一夏はにやりとして答えた。

 

「大丈夫。何とかするぜ」

 

気合は十分。

 

準備もしてきた。

 

体調も万全。

 

膏が載っている証拠だ。

 

俺は納得して頷きながら鳳の機体説明を行う。

 

「鳳の機体は中国の専用IS甲龍、第三世代型ISでパワーから繰り出される接近戦と中距離での射撃が出来る近中距離戦型のISだ。兵装は連結青竜刀型兵装、双天牙月に空気圧作用兵装、龍砲だ。コイツは目に見えない空気の砲弾を撃ち込むタイプだな。しかも砲身も見えないから回避はハイパーセンサーを多用しろ」

 

「解った」

 

俺の言葉に頷く一夏。

 

「よし、行ってこい」

 

「一夏、頑張れ!!」

 

「一夏さん、ご武運を」

 

俺、箒、セシリアの激励に背を向けて右手を上げながら答える一夏。

 

そして、カタパルトにロックされる一夏の白式。

 

「織斑 一夏、白式! 出るぜ!!」

 

そう宣言して一夏は空に舞い上がった。

 

 

 

 

俺こと織斑 一夏はアスランに習って自分の名前と機体名を言って飛び出していた。

 

何故こんな事しているかといえばカッコよかったからに他ならない。

 

アスランは俺にとって兄貴でもあり師匠みたいなものだった。

 

何をするにも一々カッコよくてどんな奴等より頭が頗るいい。

更に凄い技術と力と経験を持っていた。

 

だが、俺が最も心を引かれたのはアスランの心の強さと優しさ。

 

それに尽きた。

 

今の俺ではどう足掻いてもアスランにはかなわない。

 

あの強さも優しさも何もかも。

 

俺は……多分、超えたいんだと思う。

 

師匠であり兄であるアスランを。

 

その為にも俺はこの戦いに勝ちたい。

 

鈴に勝ちたい。

 

そう思った。

 

勝てば答えが得られるかも知れないアスランを超える方法が。

 

 

 

 

俺はモニターを見ながら腕組みをしている。

 

開始を告げる宣言から数十秒が経過した。

 

「いい試合運びですわね」

 

セシリアの言葉に俺も頷く。

 

「ああ、一夏の兵装は雪片弐型一本のみ。つまりソレしか攻撃オプションが無い。なら、接近して相手を切りつける有効なポジション作りから始まる。いいペースだと言いたい所だが鳳もそれを知っている。だからこそ無闇な接近戦を避けて龍砲の攻撃で間合いを取っている。このままでは一夏はジリ貧だ。シールドでエネルギーを持っていかれ、回避でエネルギーも持っていかれる」

 

その言葉に箒が噛み付く。

 

「何を言う。一夏にはイグニッションブーストがあるではないか!?」

 

その言葉に俺はこう反論した。

 

「そもそもイグニッションブーストは強襲、奇襲用の技術だ。しかも単一方向のみのだ。一度失敗すれば次からは相手も知る。避け方を考える。相手はマネキンでは無い。生きて考える人間だ。つまりは一回きりの一夏の切り札だ。ソレをおいそれと使えない。一夏もソレを理解しているから出さない」

 

そう、勝負の鉄則とは相手が嫌がる事をする事にある。

 

いかに相手の裏をかけるか、いかに相手の思考の外から戦えるか、いかに相手を困らせるか、いかに相手の情報を入手出来るかが勝敗の鍵となる。

 

しかし、どんなに準備をしても負ける時は負ける。

 

なら、相手を出し抜くには如何するか?

 

自分が持っている技術と相手の情報を上手く整理し戦うしかない。

 

「奇襲の鉄則は相手の予期しない方向から攻撃することにある。方法は幾らでもある。考えろよ一夏……」

 

 

 

 

 

俺は内心焦っていた。

 

鈴の奴……俺に接近させない為に龍砲を乱射しやがる。

 

「如何したの一夏? まさかこの程度とでも言うの?」

 

ソレで勝てると思ったの?

 

そんな小馬鹿にした鈴の罵倒が響く。

 

舐めやがって……

 

しかし、反撃のチャンスが無いのもまた事実。

 

クソ、そうしたら……

 

そうだ!!

 

アレ、やってみるか……

 

アスランがやっていた技。

 

でも初手っぱちで出来るのか?

 

ああ、もう!!

 

グダグダ考えるのは止めだ止め!

 

俺らしくやるぜ!

 

俺はイグニッションブーストで正面から鈴の前に加速する。

 

「ハン! 馬鹿の一つ覚えみたいに!!」

 

そう鈴は叫びながら簡単に回避した。

 

今だ!!

 

俺はPICを俺の周辺に展開する。

 

まるで無重力空間にいる感覚になった。

 

そして俺はその状態から足を蹴り上げ、体を捻った。

 

その瞬間、急速に体は鈴の方に向く。

 

そして、イグニッションブーストを展開した。

 

 

 

 

 

俺は一夏の行動に驚いた。そう、ソレは良く見慣れたもの。

 

C.E.世界では当たり前の技術。

 

「アン……バック……だと……そんな技術俺は教えていないぞ!?」

 

セシリアが疑問に思ったらしく俺の言葉に質問した。

 

「あの、アンバックとは……一体……?」

 

セシリアの質問に俺は説明する事にした。

 

「AMBAC、Active Mass Balance Auto Controlの略で日本語略は能動的質量移動による自動姿勢制御……そもそもアンバックは宇宙空間の様な無重力空間で可動肢の一部分を高速で動かすことで発生する反作用を機体全体の姿勢制御に使う技だ」

 

「でも、今は1Gつまり重力がありますわ。どうやって……」

 

「PICを機体周辺に展開して一時的に無重力空間を形成したのだろう。通常のISの飛行は旋回して回るか機体に急ブレーキを掛けて反転するぐらいだ。しかも、アンバックには美味しい得点がある」

 

「それは……?」

 

「エネルギー消費が少ない事だ。旋回するにしても急ブレーキを掛けるにしても違う方向にブレーキを掛ける。つまりそれだけエネルギーを食う訳だが、アンバックはほんの少し機体周辺に僅か0.1秒PICを展開するだけでいい。エネルギーのロスを少なく出来き更に即座に方向転換できる」

 

「それならPICをマニュアル操作に切り替えなければ出来ませんわ!! つまりは同時に機体制御を意識する必要がありますのよ!? それを一夏さんが出来るなんて!?」

 

その言葉に箒は誇らしそうに語る。

 

「当然だ!! 一夏は昔から一度教わった事は少し反復すれば出来るようになる!!」

 

俺は首を横に振って否定した。

 

「いや、俺は教えていない。確かにセシリアとの戦いと一夏との戦いで披露したがそれだけだ。一夏には高等すぎると教えていなかった」

 

その言葉に流石の箒も驚きの声を上げた。

 

「嘘であろ……ISに乗って数ヶ月の人間に出来ることか!?」

 

何であれ一夏の学習能力は驚異的だ。

 

コーディネーターと対等くらいに。

 

 

 

 

 

よし、成功!!

 

鈴も驚いてやがる。

 

「な!? もう反転してる!!」

 

慌てて鈴は双天牙月を構えるがもう遅い。

 

「もらった!!」

 

「チィ!!」

 

その時だった。

 

突如、アリーナを覆っていたシールドが砕け散った。

 

突如として俺も鈴も動きを止めた。

 

「何だ!?」

「何!?」

 

奇しくも俺と鈴は同じ様な言葉を発した。

 

 

 

何だ、アレは。

俺はそう考えながら体は動いていた。

 

「セシリア、篠ノ之、俺は教師専用管制室まで行く」

 

俺の言葉にセシリアも篠ノ之も着いて行くといった。

 

俺は仕方なくソレを了承し走り出した。

 

俺が教師用管制室の自動ドアを開けると其処にはオペレーターの先生が生徒に避難指示と避難経路の案内を行っていた。

 

俺は状況を確認すべく織斑先生に語りかける。

 

「状況は?」

 

その言葉に織斑先生は明確に答える。

 

「1分前、何者かが外部遮断シールドを破壊。その穴から1機のISが進入した」

 

敵勢力IS一機のみか。

 

「生徒の非難は?」

 

「現時点では70パーセント。残り30パーセントが誘導中だ」

 

「救出部隊の編成は?」

 

「現在、IS教官部隊を編成中だ」

 

「編成時間は?」

 

「後、10分」

 

遅すぎる。

 

「スクランブルが掛かってまだ飛び立たないとは、とんだ話だ」

 

俺が吐き捨てるように言うと山田先生が非難する。

 

「こんな事1度も無かったんですよ? それを即時対応などと」

 

俺はその山田先生の言葉にこう返した。

 

「非常事態は何時起こるか解らないから非常事態と言うのです。山田先生、IS学園は安全と言う概念は捨ててください。何せ、ここにはISと言う“兵器”がある。襲撃者もソレを理解している。被害があってからでは遅すぎます」

 

「お前はそんな説教を垂れる為に態々来たのか? 違うだろ?」

 

織斑先生の言葉に用件を述べる。

 

「救出命令を、俺に下さい。最悪、敵は“撃破”します」

 

その言葉に千冬は俺を睨み付けた。

 

「学園で人死にはご免だと言ったはずだが? ソレにお前は生徒だ。出すわけにもいかん」

 

俺は織斑先生を怒鳴っていた。

 

「今は非常事態だ!! ここで生徒が死ぬかも知れない状況を放置している場合ですか!? 今、即時に動かせる兵力は俺とセシリアだけだ!! なら貴女はこれ以上の被害を出さずにこの混乱を収拾する義務と責任がある!!」

 

俺は尚も怒鳴る。

 

「力と権利を持つものはその責任を果たせ!! 義務を果たせ!! 下らない論理はこの際切り捨てろ!! 少しの判断の遅れが取り返しのつかない結果を招く!! なら今は、行動の時だ!! ここで決断しなければ、もっと多くの人が傷つくんだぞ!!」

 

その俺の怒声に織斑先生は溜息を吐いた。

 

「ザラ、教師にそれだけデカイ口を叩いたんだ。死人ゼロで納める自信があるのだろうな?」

 

「少なくとも学園側の人的被害をゼロに出来る自信があります」

 

織斑先生が溜息を吐いて命令した。

 

「解った。緊急出入り口は開けておく。リミッター解除は時間が間に合わん。許せ。その代わり、織斑と鳳は助けろ。他の生徒は此方が面倒を見る。いいな?」

 

俺は背筋を伸ばし敬礼した。

 

「了解!」

 

「私も行きますわ!!」

 

セシリアはそう言いながら俺の後に続く。

 

「いいのか?」

 

俺の質問にセシリアは答えた。

 

「援護射撃くらい出来ますわ」

 

「解った。セシリアは俺の援護射撃と敵の牽制を頼む」

 

「了解ですわ」

 

その言葉に篠ノ之も続くが流石にISを持っていない彼女を生身で戦場に放り出すわけにも行かない。

 

「篠ノ之は生徒の避難誘導を頼む」

 

「何故!?」

 

その言葉に俺は怒鳴る様に言う。

 

「戦場に出る事だけが戦いではない。自分の出来ることをしろ!! いいか、戦いだけが全てを決めるのではない。俺達の勝利は人的被害ゼロだ。その実現の為には迅速に生徒を非難させる必要がある。それも立派な戦いだし、勝利にも貢献している!! だから、お前も今出来る戦いをしろ!!」

 

「……解った……」

 

篠ノ之は悔しそうにそう呟いた。

 

「よし!! セシリア!! セシリアはISを即時展開した後敵勢力に牽制射撃だ。一夏と鳳の撤退時間を稼げ」

 

「了解ですわ!!」

 

俺とセシリアは全力疾走で駆け出した。

 

 

 

 

一夏と鈴はどうにか動き回りながら敵と戦っていた。

 

「コイツ!! 硬すぎるわよ!! どうなってるのよ!? コイツのシールドは!?」

 

鈴の悲鳴に近い絶叫に一夏も同意した。

 

「クソ!! 硬え!! 何だよ!? 雪片が通らねえぞ!?」

 

敵のISは指からビームらしき物を撃ち込む。

 

何とか回避する一夏と鈴。

 

「どうすんの一夏!? 私たちにはパワーが……」

 

鈴の言葉に一夏も頷くしかない。

 

事実上、零落白夜は撃てて後一回。

 

イグニッションブーストは使えない。

 

(こうなったら……)

 

一夏は覚悟を決めて鈴を見据えた。

 

「鈴、すまないが、囮になってくれ。相手の注意が逸れた隙に零落白夜を叩き込む」

 

その一夏の言葉に鈴も頷く。

 

「それしか打開策がないわね……解った、出来るだけやってみる」

 

その言葉に一夏は嬉しそうに礼を言った。

 

「サンキュな鈴!」

 

鈴は一夏の笑顔に当てられ頬を染める。

 

「顔赤いぞ鈴?」

 

「五月蝿いわよ馬鹿! ミスったら承知しないんだからね!!」

 

「ミスるかよ馬鹿!!」

 

そう言いながら一夏は飛び立つ。

 

「馬鹿とは何よ!!」

 

そう叫びながら鈴も衝撃砲を乱射する。

 

案の定、敵は鈴の方に釘付けになる。

 

一夏はやはりと思った。

 

(コイツ、攻撃される対象にしか反応しない。脅威の優先順位が攻撃する奴が一番、二番目が動く対象か、ロボットだぜそれじゃあ)

 

そう、一夏は敵ISがAIではないかと思っていたが案の定だった。

 

その裏づけも鈴の攻撃で取れた。

 

(後は、零落白夜を叩き込む)

 

一夏は通常の加速で敵ISに迫り零落白夜を叩き込むが、敵がそれに反応し一夏のどてっ腹にその拳を叩き込んだ。

 

吹き飛ばされてアリーナ外壁に叩き付けられる一夏。

 

「一夏!?」

 

鈴の悲鳴が聞こえる。

 

しかし、一夏は笑っていた。

 

「おせーぞ二人とも」

 

その言葉と共に敵ISを囲む様に“五方向”から青いレーザーが放たれる。

 

敵は不意打ちだったのか絶対防御が発動し、その悉くが弾かれる。

 

「あら、コレでも早く来ましてよ?」

 

優雅にライフルを構えながらセシリアは違う位置に移動しながらブルーティアーズを操作しライフルを構える。

 

「特訓の成果見せてあげますわ!!」

 

そう宣言するとセシリアは不規則にブルーティアーズを操作する。

 

自分も移動しながら精密射撃を行った。

 

セシリアの不規則なビットの連続攻撃と本体のライフルによる攻撃で敵は翻弄される。

 

そう、まるで一夏と鈴から引き離されるように。

 

次の瞬間、一夏の前に一陣の赤い風が吹き抜ける。

 

其処にはジャスティス、アスランが立っていた。

 

「アスラン!!」

 

一夏はホットした様にその名を呼んだ。

 

「良く耐えたな。一夏と鳳は下がれ。後は俺がやる」

 

そう言うとアスランはビームライフを射撃しながら飛び出した。

 

 

 

 

一夏もセシリアも俺が教えた以上の事を見せてくれた。

 

なら、先生の俺が落第点は取れんだろ。

 

そう思いながらジャスティスを動かすが遅い。

 

(クソ!! リミッターの影響か遅すぎる!!)

 

射撃はシールド破壊は出来たが絶対防御は無傷だった。

 

しかも、俺のモニターにはエネルギー消費量が表示されていた。

 

そう、ハイパーデュートリオンの核エンジンジェネレーターをカットしてデュートリオンジェネレーターのみの機体仕様だ。当然、シールドエネルギーも無限ではない。

なにせ、ハイパーデュートリオンとは核エンジンとデュートリオン、2つのジェネレーターが相互補完しているので理論上パワーダウンは有り得ないハイブリットエンジンだ。

 

その内どれか一つがカットされればジャスティスの兵装供給電力を維持できない。

 

それだけジャスティスの兵装のエネルギー消費量はずば抜けて悪い。

核ジェネレーターだけなら旧ジャスティス並に出力が落ちてしまうし、デュートリオンだけならすぐガス欠だ。

 

だからシンも撤退せざるを得なかった。

 

その為、兵装消費電力を落とし、VPS装甲消費電力も調整された。

 

お陰で他のISみたいに燃費が悪い。

 

一応、ジャスティスにも絶対防御があるみたいだが、VPS装甲と相まってかなり消費量が激しくなる。

 

それでもフル充電のシールドエネルギーは1200と他のISを大きく引き離す。

 

俺は接近戦を仕掛ける。

 

ビームライフルとハイパーフォルティスビーム砲を撃ちながら牽制する。

 

ビームライフルは簡単に絶対防御に阻まれたが、ハイパーフォルティスは絶対防御を破壊した。

だが、相手には届かない破壊するだけだ。

 

(ならば、接近戦で叩く!!)

 

俺はそう思いながらビームサーベルを両方抜刀し、敵前に躍り出る。

 

敵のエネルギー砲をかわしながら両腕部を切断する。

 

そして、左手のビームサーベルの出力を最大にして相手の右わき腹に叩き込む。

 

その瞬間、絶対防御がひび割れていく。

 

(クソ!! 最大出力だとシールドエネルギーの消費が早い!!)

 

しかし、敵も俺を引き剥がす為に残った足で攻撃する。

 

「甘い!!」

 

俺は一旦離れ、相手の蹴りに合わせる様に右のグリフォンビームブレードを展開して相手の足を切断した。

 

敵の右足が火花を散らしながら吹き飛ぶ。

 

そして、体勢が崩れる。

 

俺はそんな決定的隙を逃さない。

 

右手のビームサーベルを最大出力にして突き入れる。

 

暫く絶対防御が拮抗した後、絶対防御を貫通し相手に突き刺さる。

 

まるで機械に突き入れた感触。

 

どうやら人間ではないらしい。

 

俺が桃色の刃を引き抜くと敵は力なく崩れ去る。

 

こうして、俺達の戦いは終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 


 
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