No.421193

ISアスラン戦記3

タナトスさん

無限の正義対青い雫

今、激突する。

2012-05-10 23:34:27 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5773   閲覧ユーザー数:5500

 

 

 

俺はオルコットから決闘を申し込まれ早一週間が経過した。

 

その間、一夏のISがまだ到着しないとかでその長さになってしまった。

 

俺はその間取り敢えずISの訓練と肉体鍛錬を行った。

 

一夏は篠ノ之に剣道で叩きのめされていた。

 

一夏、骨は拾ってやるからな。

 

さて、俺と一夏と箒はアリーナの管制室横にある操縦者待機室に俺と一夏はISスーツを着た状態で座っていた。

 

『ザラ君、オルコットさんのISはブルーティアーズ、第三世代型ISで両肩のビット型射撃兵装『ブルーティアーズ』に大型特殊レーザーライフル『スターライトmkⅢ』に高周波振動ナイフ『インターセプター』です。解りましたか?』

 

山田先生の言葉に俺は無言で頷いた。

 

『ザラ、お前とお前のISが本気を出せばオルコットを殺しかねない。そこで今回、お前のISに追加のリミッターを設ける。リミッターの内容は全ビーム兵装の出力50パーセントカット、装甲強度の50パーセントカット、PIC起動出力50パーセントカット、更にセンサー有効範囲と感知能力の50パーセントカットだ。問題は?』

 

その内容に俺ではなく一夏と篠ノ之が納得できないと言わんばかりに詰め寄った。

 

「千冬姉!? 幾ら何でもソレはやり過ぎだ!!」

 

「そうです!! ザラに装備劣化した得物を持たせて両手両足縛り上げて重りまでして目隠しして戦場に出ろと!? 対等ではありません!!」

 

その言葉に千冬は憮然として答えた。

 

『学校では織斑先生だ! 馬鹿者! 正直、これでも手加減になるかどうか解らん。更にハンディをつけたいくらいだ。悪いが織斑、篠ノ之。ザラは下手したら学年最強どころか学園最強だろう。多分。そんな男に今のオルコットが挑んでも秒殺だ』

 

その言葉に一夏と篠ノ之が俺をマジマジと見た。

 

『ソレとザラ、決して殺すな。人死にはゴメンだ。殺しそうになったら止めに入る。いいな?』

 

俺は織斑先生の言葉に無言で頷いた。

 

さて、ジョンブルのお嬢様が首を長くしてのお待ちかねだ。

 

俺は右手を掲げる。

 

その瞬間、右手中指の赤い指輪が赤い輝きを放つ。

 

そして、俺の周囲から光が晴れた瞬間、其処にはインフィニットジャスティスを装備した俺がいた。

 

ソレを見た一夏と篠ノ之は驚きの声を上げた。

 

「か、かっこいい……何か騎士みたいだ……」

 

「ふ、全身装甲(フルスキン)!? しかし、PICが背中に一体化しているISなど聞いたことも見たことも無い。フェイスマスクも独特だな……それに色が灰色? 塗装がされていないのか?」

 

俺は一夏達の驚きを背に俺はジャスティスを歩かせる。

 

「見せてもらおうか……イギリス代表候補生の実力とやらを……」

 

俺はそんな事言いながらカタパルトのロックを思考制御でロックした。

 

俺はPICの出力を最大にする。

 

ジャスティスはそれに答えるが如くファトウム01のスラスタノズルが輝きを増す。

 

『進路クリアー、ザラ君、発進どうぞ!!』

 

その言葉に俺は前を見据える。

 

「アスラン・ザラ! ジャスティス出る!!」

 

俺はオルコットが待つ戦場へと飛び立った。

 

 

 

 

 

セシリアはアスランが来るのを待っていた。

 

眼窩にアスラン側のピットを見つめながら待つこと数分。

 

発進許可の青ランプが点灯する。

 

「来ましたわね……」

 

オルコットは自分に屈辱を与えた男をどう処断すべきかを考える。

 

しかし、彼女の思考は真っ白になった。

 

突如、灰色の全身装甲が速度で飛び立ったかと思えば、灰色は美しいローズピンクに近い赤に染まった。間接部は太陽に反射し白銀に光り輝く。

後ろのPICを広げたその姿は騎士がマントを棚引かせてる印象すら受ける。

 

赤い鎧を纏った騎士。

 

観客はそう思った。

 

「う、美しい……」

 

セシリアは我知らずそう呟いた。

 

一夏と箒はその様子を見ていて唖然とした。

 

「い、色が変わった……」

 

「何なのだ……あのISは……」

 

そう、コレこそが、アスラン・ザラが乗機にしてC.E.接近戦最強の機体。

 

インフィニットジャスティス。

 

今、異世界にISとして再誕した。

 

「な、何ですの!? そのISは!?」

 

セシリアが金切り声でその機体の名を問い出さした。

 

アスランは静かに、噛み締める様にその名を言い放った。

 

「インフィニットジャスティス」

 

「無限の……正義……」

 

セシリアはうわ言の様にその和訳を口にした。

 

 

 

 

俺は左腰のビームサーベルを引き抜き、右腰にあるビームサーベルの柄頭と握っているビームサーベルの柄頭を連結させソレを引き抜く。

 

その瞬間、桃色の超高熱の刃が左右のビームサーベルの先端から吐き出された。

 

そして、左腕に持たせた盾を正面にすると同時にビームサーベルを腰溜めにする。

 

そう、俺がアンビデクストラス・ハルバードで構える得意な構えだ。

 

オルコットもライフルを構える。

 

その時だった。

 

突如のロックオン警告。

 

刹那、俺は体を左に少しスライドし頭を左に傾ける。

 

「開始の戦鐘も鳴ってないのに発砲か? 余裕も優雅さも無いな……戦場ではないんだぞ? 少しは礼儀を守れ、オルコット」

 

俺のその言葉にオルコットは微笑みながらこう言った。

 

「あら、挨拶ですわ。挨拶。中々良い挨拶だったでしょ?」

 

不意打ちが挨拶とは、戦場では確かに儀礼的な物を持ちこまない。試合と戦場は違う。確かにセシリアはワザトロックオンをして馬鹿丁寧にユックリ狙いを定めて撃った。

俺の実力を測るためか。

 

味なマネを。

 

まさか5歳も年下に試されるとは。

 

『オルコットさん、競技は開始されていません。ペナルティーとしてシールドエネルギーを射撃分引いておきます』

 

「ご自由に……」

 

山田先生のペナルティー宣告にも優雅に答えたか。

 

余裕か?

 

だが、ソレが戦場では命取りと教えてやる。

 

『それでは、アスラン・ザラ対セシリア・オルコットの試合を行います』

 

俺は改めてビームサーベルを構え直す。

 

セシリアもライフルを構える。

 

『始め!!』

 

山田先生の声と同時に俺達は動き出した。

 

先手はオルコットだ。

 

光学兵器、粒子の尾を引いていなかった事からレーザーだろう。

 

ブリッツと比べるのもおこがましい程の低出力レーザーだ。

 

話にならない。

 

ジャスティスのVPS装甲が100パーセントの出力なら簡単に防げる火力だ。

 

50パーセントでも精々装甲表面に黒い焦げ目が付くくらいだ。

 

たいしたダメージにすらならない。

 

が、

 

このまま勝っても機体性能が良かったから勝てたと言われそうだ。

 

仕方ない。

 

圧倒的で言い訳が許されない程の勝ち方(インパクト)で勝つか。

 

そう思いながら俺はキラが飛んできたビームをビームサーベルで切り払っていた事を思い出す。

 

(フ、ソレもまた面白い)

 

そう考えた俺は飛んできたビームを回避するのを止めて相手の銃口、目線、腕や肩の筋肉の動きを備に観察しながらビームサーベルを振るう。

 

その瞬間、レーザーは弾き返され地面に激突した。

 

 

 

 

 

私ことセシリア・オルコットは今、とんでもない物を見た。

 

スターライトmkⅢから放たれるレーザー弾を事もあろうにあの男は光る剣で叩き落としたのだ。

 

(じょ、冗談ではありませんわ!? そんな事ある訳!!)

 

そう考えながら今度は頭部に狙いを定めて発砲した。

 

しかし、あの方は、光る刃を巧みに操りレーザーの起動を反らして見せました。

 

(何て化け物ですの!? 私の射撃をいとも容易く!!)

 

つまりは銃口や目線、肩の動きを読んでそれに合わせて剣を振るうをあの男はいとも容易くやってのけると言う事。

 

人知を超えた剣技ですわ。

 

私は覚悟を決めると同時に自分がアスラン・ザラを舐めていた事をこの場で詫びますわ。

 

 

 

 

俺はオルコットの気配が変わった事を感じ取った。

 

フン、やる気かいいだろう。

 

俺は一旦オルコットから距離を取った。

 

「貴方が初めてですわ。ここまで私を追い込んだのは……」

 

その言葉と共にセシリアはライフルの銃口を俺から反らした。

 

「だから……貴方に敬意を払い……」

 

次の瞬間、浮遊している左右のパーツから2本ずつの計4本の何かが高速で動き出す。

 

「本気を出させていただきますわ!!」

 

そして、ソレは俺の周りを高速に不規則に飛び回る。

 

成る程、これがビットか。

 

ドラグーンに似ている。

 

俺はそのビットのオールレンジ攻撃を全て回避してみせる。

 

正直、眠くなるオールレンジ攻撃だ。

 

フラガ少佐、いや今はフラガ大将か、やキラやレイと比べたら余りに単調で鈍重で効果的でないビット運びだ。

 

正直、あの3人のドラグーンの運びのレベルは未来予知のレベルに近い。回避するのも一苦労だ。

 

しかもセシリアみたいに棒立ちではない。ちゃんと此方の攻撃を回避しつつ本体も攻撃をするのだ。

 

それに比べると甘すぎる。

 

「当たらなければどうと言う事は無い」

 

俺はビームサーベルでビットを一つ切り払う。

 

切断と同時にビットに背を向け次のビットを破壊。

 

背中で同時に2つの爆発が響く。

 

「二つ!」

 

そして、俺の近くを通るビットを切り払う。

 

「三つ!」

 

そして、最後は頭部、胸部バルカンで撃破する。

 

「四つ!! 終了」

 

そう言いながら俺はオルコットに向かう。

 

後はコイツだけ。

 

しかし、オルコットは自分の切り札を落とされたのに微笑んでいた。

 

まだ切り札を隠しているらしい。

 

「残念でしたわね? ブルーティアーズは後2機あってよ!!」

 

そう言うとオルコットの腰から砲身がせり上がる。

 

そして、放たれる。

 

しかし、俺はソレをバレルロールしながら連結していたビームサーベルを引き抜き二刀流にして擦れ違い様に切り裂いた。

 

そして、オルコットのわき腹を横薙ぎにする。

 

緊急に絶対防御が展開されるがソレすらひび割れる。

 

そして、1秒後、ブザーが鳴り響く。

 

『セシリア・オルコットのシールドエネルギーエンプティーにより勝者、アスラン・ザラ!!』

 

フム、1分かまあ、時間が掛かったが許容範囲内。

 

俺はそう思いながらセシリアに手を差し出す。

 

「オルコット、大丈夫か?」

 

俺の問い掛けにオルコットは力なく頷いた。

 

そして、意を決した表情で俺に問いかける。

 

「なぜ腰のライフルを使いませんでしたの? そうすれば攻撃のバリエーションにも幅ききますのに?」

 

その質問に俺はこう答えた。

 

「ソレも考えたがやはり俺の得意分野で戦わないとお前も納得しないだろ? だからさ」

 

その回答にセシリアは目を大きく見開く。

 

「その為に戦略の幅を狭めたと!?」

 

「ああ」

 

その言葉にオルコットは笑った。

 

悲しくも可笑しそうに笑った。

 

俺はオルコットが心配になって声をかける。

 

「オルコット?」

 

「セシリア」

 

「へ?」

 

「セシリアで結構ですわ。その代わり貴方の事をアスランと呼んでも宜しくて?」

 

俺はそう微笑みながら問いかけるセシリアに笑顔を向けながら言う。

 

「ああ」

 

何故かセシリアが頬を赤くしているが本当に大丈夫だろうか心配になって俺の額を彼女の額に合わせる。

 

「ヒャン!?」

 

セシリアは可愛らしい悲鳴を上げる。

 

「フム、チョット熱いぞ? 大丈夫か?」

 

「だだだだだだだだ大丈夫ですわ!! どうしようもなく大丈夫ですわ」

 

言葉が怪しいがまあいい。

 

『コラ!! 貴様等何時まで其処にいるつもりだ!! オルコット、貴様は失格だから外へ出ろ!!』

 

織斑先生の怒声で俺とセシリアの会話はここまでとなった。

 

 

 

 

 

 

 


 
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