No.413754

超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第八話 拒絶


2話連続投稿!

あーしんどかった。

2012-04-25 01:52:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1666   閲覧ユーザー数:1617

現在プラネテューヌ教会

 

ネプテューヌとネプギアは出かける準備をしていた。

行き先はラステイション。

そこが2人が最初に謝罪に行く場所として選んだ所だ。

イストワールに引き止められたとは言え、彼女達の他の女神に会いたい気持ちは思いのほか強かった。

今朝も起きるなりに大急ぎで準備をしていつでも出発できるようにしていた。

準備がほぼ完了し、目の前のドアを開けようとした直後にそのドアは手を触れることなく開いた。

 

イストワール「ネプテューヌさんに面会希望者がいらっしゃっています。」

 

扉を開けた張本人のイストワールはネプテューヌを見かけると同時に声を上げた。

 

ネプテューヌ「こんなに早く?」

イストワール「はい。今朝一番からいらっしゃいました。」

ネプテューヌ「だれだろう?」

 

イストワールの言葉にネプテューヌは首を傾げた。

 

イストワール「今呼びますね。お二人とも、入ってきてください。」

 

イストワールは面会希望者を呼んだ。

開いたままのドアの向こうから足音が聞こえ、二つの人影が姿を現した。

そこにはふたりの少女がたたずんでいた。

一人は白いセーターにチェックのスカートをはいて、カチューシャを着けている。

もう一人は青いコートを身につけ、茶髪の髪に若葉のリボンを着けている。

面会希望者のコンパとアイエフは今でも信じられないというような顔をしている。

最初に動いたのはコンパのほうだった。

 

コンパ「ねぷねぷ…ねぷねぷ~~~!!」

ネプテューヌ「こんぱぁ~~~!!」

 

コンパは泣きじゃくりながらネプテューヌに駆け寄り、互いに抱き合った。

 

コンパ「ねぷねぷ……なんで…あの時……うううぅ。」

ネプテューヌ「私にもわからないんだよ……でも今はここにいる、ここにいるから。」

コンパ「ウウウ…よかったですぅ~。」

 

泣きながら喜ぶコンパにネプテューヌは優しく語りかけ、背中をさすりながら宥めた。

するとスタスタとアイエフが歩み寄ってきた。

 

ネプテューヌ「あっ、あいちy『バギャッ!!』」

 

乾いた音と共に拳が振るわれ、ネプテューヌの頬を直撃した。

アイエフはその一撃に体中の力を振り絞った。

ネプテューヌが小柄とはいえ、体は宙を舞い、2m後方へ吹っ飛んだ。

頬を押さえながら立ち上がろうとするネプテューヌにアイエフがずかずかと近づいて胸倉を掴んだ。

 

ネプテューヌ「あいちゃ『この馬鹿!!!』」

アイエフ「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!! あ…あんたって奴は……あんたって奴は!! 私を置いてっ、勝手に死んでっ、どれだけ泣いたと思ってるのよ! どれだけ悲しんだと思ってるのよ!!!」 

 

殴りながら、泣きながら、アイエフはネプテューヌに向かって叫んだ。

普段、冷静な彼女はこの時完全に我を忘れて感情的になっていた。

抑えきれない感情、止まる事を知らない涙、そんなアイエフにネプテューヌはただこう答えた。

否、こうしか答えられなかった。

 

ネプテューヌ「……あり…が…とう…。」

アイエフ「……約束…ヒック…しなさいよ……もうどこにも行かないって……ハアッ…もういなくならないって…。」

 

涙で呼吸を荒げながらアイエフはネプテューヌに訴えた。

 

ネプテューヌ「……うん…もうどこにも行かない…いなくならない…だから…。」

アイエフ「…ばか……ううっううう…。」

 

涙でくしゃくしゃになりながら二人は抱き合った。

互いが互いの肩に顔を乗せ、強く抱き合いながらただひたすらに泣き続けた。

二人はもうそれ以外にどうしていいか考えも着かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして二人にも事情を話した。

その頃にはようやく涙も収まり、二人も冷静さを取り戻していた。

だが時間は思いのほか経っており、すでに正午を回ろうとしていた。

 

アイエフ「……で、何?あんた、何にもわからずに生き返ったわけ?」

 

近くの壁にもたれ掛かっているアイエフはネプテューヌの説明に腕を組みながら呆れ口調で言った。

 

ネプテューヌ「いやー、私にだってよくわかんないんだよ。気がついたらあの場所にいたんだし。」

 

いい加減な口調でネプテューヌは答えた。

そのいい加減さが少し癪に障ったのかアイエフは眉をしかめた。

 

コンパ「特に私たちが何かをしたわけでもないですし、どうしてなんでしょうね?」

アイエフ「まあ…いいわ。それは後々考えればいいとして、問題はその氷室って奴が言ったカタストロフィってやつの意味よ。そいつが大ホラ吹きじゃなければ一週間後に何かが起こるはずなんでしょ?」

ネプテューヌ「うーん、多分…。」

 

自信の無い面持ちでネプテューヌは答えた。

 

アイエフ「多分って…あんたねー!」

ネプテューヌ「だってー、私は聞いただけだし、わかんないよー。」

 

アイエフは呆れを通り越して怒り口調でネプテューヌに言い放ち、ネプテューヌは椅子に座ったまま足を宙でジタバタさせて子供のように駄々をこねた。

 

コンパ「そういえば、ねぷねぷ達、私たちに会う前にどうする予定だったですか?」

 

思い出したかのようにコンパは二人に尋ねた。

 

ネプテューヌ「ああ!!そうだった!!ネプギア!」

ネプギア「うん!急がないと!!」

 

直後に二人は顔を見合わせて声を上げた。

当初の目的を思い出したネプテューヌとネプギアは教会の出口へ向かって走り出した。

 

アイエフ「何よ? どうしたの?」

 

突然のことに戸惑いながらアイエフが二人に尋ねた。

 

ネプテューヌ「あっ、実は今からラステイションへ行こうと思ってね。」

コンパ「ラステイションに? 何をしに行くですか?」

ネプギア「ユニちゃん達に会いに行きます。そしてあの時のことを謝罪しに行きます。」

 

ネプギアの言葉にその場にいた全員がしばしの間言葉を失った。

しばらくしてアイエフが静かに口を開いた。

 

アイエフ「そういえば他の国の女神様たちも生き返ったって言ってたしね…。」

コンパ「じゃあ私たちも一緒に行くです。みんなで女神さん達に謝りに…。」

ネプテューヌ「ううん。これは私とネプギアだけで行くよ。」

 

コンパが提案するもネプテューヌはハッキリと断った。

 

コンパ「どっ、どうしてですか?」

 

コンパがネプテューヌに不思議そうに尋ねた。

 

ネプテューヌ「直接手をかけたのは私たちなんだし、まず私達だけで行くべきだと思うんだ。」

 

いつに無く真剣な表情でネプテューヌは返した。

コンパはいつの間にか返す言葉を失っていた。

 

 

コンパ「ねぷねぷ…。」

ネプギア「私も、お姉ちゃんに賛成です。ここは私とお姉ちゃんだけで行かせてください。」

 

ネプギアも同じように強い口調で言った。

 

コンパ「でも…。」

アイエフ「コンパ、ネプ子達にはネプ子達なりの考えがあるみたいよ。ここは行かせてやりましょう。」

 

未だに譲ろうとしないコンパをアイエフが宥めた。

コンパはため息をつきながらも頷いて二人の主張を受け入れた。

 

アイエフ「そのかわり、ネプ子!ヘマして話をこじらすのだけはやめなさいよ!」

 

ネプテューヌの性格をよく知るアイエフはネプテューヌを睨みながら釘を刺した。

 

ネプテューヌ「わかってるよ!じゃ、行ってくるね。」

イストワール「気をつけてくださいね。」

ネプギア「大丈夫です。行ってきます。」

 

笑顔でそう言い残すと二人はラステイションへ向かった。

一刻も早く着くために、女神化して空を飛んだ。

全ては友に会う為に、過ちを謝罪するために。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

現在ラステイション

 

二人はラステイションにいた。通常の移動方法だとかなり時間がかかるが、超スピードで空を飛んできたとあれば別だ。

ものの数時間でラステイションに着いた。

まず二人は教会へ向かった。足取りはひどく重かった。

自分達はなんと謝罪したらよいのだろう。

どんな顔で二人の前に姿を現せばよいのだろう。

皆目検討もつかなかった。

ふわりと風が二人の頬をかすめた。

出発のときに見せた目の輝きはもうそこには無い。

それでも二人は歩き続ける。一歩一歩、確実に。

 

約20分後、ラステイション教会へ着いた。

呼吸を整え、重々しい扉に手をかけ、ゆっくりと開けた。

 

ケイ「ようこそ、ラステイションの教会へ。…おや、君達か…。」

 

多少なりとも聞き覚えのある声が二人を迎える。

ラステイションの教祖、神宮寺ケイは軽く咳払いをして続けた。

 

ネプギア「えっと…あの…。」

ケイ「君達の要望はすでに把握している。ノワールとユニの面会、だろう?」

 

ネプギアの言動を先読みするかのようにケイが言う。

その表情はどこかに険しさを感じるが、ケイはそのまま続ける。

 

ケイ「残念ながら二人には会えないよ。」

ネプギア「…それは私達だからですか?」

 

ケイの言葉にネプギアがうつむきながら暗い口調で発言する。

ケイはため息を漏らし、少々呆れ気味の表情で言う。

 

ケイ「早とちりしないで貰いたい。あくまでそれは『ここで』の話だ。」

ネプギア・ネプテューヌ「?」

 

ケイの言葉に二人は首を傾げた。

 

ケイ「二人は今、街に出ている。自分達がいない間にどういう変化があったのかを把握するためにね。そこまで出かけてから時間がたったわけじゃない。そう遠くには行っていないとは思う。」

 

ネプテューヌとネプギアの表情が一気に明るくなり、二人は顔を見合わせる。

ケイはやれやれといった感じで二人を見ている。

 

ネプギア「ありがとうございます!」

ケイ「誤解しないでほしい。僕は君達に必ずしも友好的な感情を持っているわけではないよ。確かにこのゲイムギョウ界を救ってくれたことには感謝している。でも、なんだろうね。僕にも非はあるはずなのに、どうしても君達を素直には受け入れられない。」

 

ケイの言葉に二人は表情を曇らせた。

二人を見下すようにケイは視線を送り続けている。

やがてネプギアが静かに口を開いた。

 

ネプギア「…それh『ごめんなさい!』」

 

だがそれよりも早くネプテューヌがケイに向かって謝罪した。

深く頭を下げてありったけの声で謝罪したネプテューヌにケイは驚きを隠せなかった。

 

ケイ「…なんのつもりだい?」

 

いきなりの行動に少々驚いたケイだったがすぐに冷静さを取り戻したようだ。

目を細めて皮肉っぽくそう言った。

 

ネプテューヌ「どんなに謝っても許してもらえないことなんてわかってる。ノワールとユニを殺した事実が私達の責任だってこともわかってる。でも私には謝る事しかできないから。本当にごめんなさい!!」

ネプギア「わっ私からも、本当にすみませんでした。」

 

ネプテューヌとネプギアは謝った。

それ以外のことが出来ないことを十分に知っている。

それゆえにただひたすら謝った。

だがケイはその情をはじき返すかのように無言のまま後ろを向いた。

 

ケイ「…早く行ったほうがいい。じゃあ、僕も暇じゃないんだ。」

 

そう言い残してケイは教会の扉を閉めた。

ネプテューヌは頭を下げたままネプギアに視線を移した。

目が少し潤んでいるように見えた。

やがて二人ともが体を起こすとそのまま街へ向かって歩き出した。

視線は下を向いたままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すでに教会を後にしてから数時間が経った。

二人はあのときのまま、視線を下に向けて歩いていた。

足取りはさらに重かった。

自分達の精一杯の謝罪は何の効果も持たなかったのか

これからノワールとユニに会って、いったいどうすればいいのか

答えを掴もうとするたびにそれは霧のごとく消えてゆく。

一時とはいえラステイションを治めていた女神ネプギアが街を歩いている、そのために幾度と無く視線が注がれ、ひそひそと話している姿が見られたが、今の二人にはそんなことは全く気に掛けられなかった。

当ても無く街をさまようこと数十分。

 

「―――――――。」

 

声が聞こえた。

聞き覚えのある声。

間違えるはずの無い声。

微かではあるがそれは確かにノワールとユニの声だった。

考えるよりも先に二人の体は動いていた。

先ほどまでの重い足取りが嘘の様に二人は走っていた。

他人の視線も、息の乱れも全く気にならない。

ただ会いたい。素直な感情が二人の体を突き動かした。

 

ユニ「ネプギア…?」

ノワール「…ネプテューヌ?」

 

ノワールとユニも二人の存在に気づいたようだ。

すでに二人はノワールとユニの目の前にいる。

息を弾ませながらも二人の目にはハッキリと映っていた。

何もかも変わらない、あの時のままのノワールとユニが。

 

ネプテューヌ「ノワール…。」

ネプギア「ユニちゃん!」

 

体の疲れも忘れて、ネプギアはユニに向かって走り出した。

今ネプギアにはユニの近くに居たいという素直な思いだけがあった。

徐々に二人の距離が縮まる中で、ユニが口を開いた。

 

ユニ「近寄らないで!!」

ネプギア「ッ!!!」

 

ユニの放った一言は一瞬でネプギアの体を硬直させた。

同時にネプギアの胸中に秘められていたそれを跡形も無く破壊した。

呆然と立ち尽くすネプテューヌとネプギアに向けてノワールが重々しい口を開く。

 

ノワール「…姉妹揃って何しに来たの? また私たちの国を奪いに来たのかしら?」

 

酷く憎たらしげな口調で言葉を放つノワール。

明らかにそれは友人に向けてなどの口調ではない。

必死に首を横に振りながらネプテューヌが答える。

 

ネプテューヌ「そっそんなんじゃないよ!私達はただ二人に謝りn『どの口が言うのよ!!』」

 

先ほどよりも激しくノワールが言い放つ。

見るというよりは睨むような形で二人を見ている。

手には硬く拳が握られている。

 

ノワール「私は犯罪神を倒してとは言ったけど、国を奪ってくれなんて言った覚えはないわ!! それが私たちに対するどれほどの侮辱かわかってるの!!」

ネプギア「それは…でもだからこそ『うるさいのよ!』」

 

ネプギアの言葉を遮る様にユニが叫ぶ。

彼女の目はネプギアを必要に睨みつけていた。

 

ユニ「確かにアタシ達は強引に死んだようなものだけど、それはゲイムギョウ界を救うためにやったことなのよ! 国を奪われるためにやったわけじゃないわ! 大体さっきから謝りにきたとか言って言い訳みたいなことしか言おうとしてないじゃない!!」

ネプギア「ユニちゃん…。」

ユニ「もういい。帰って! 今すぐ私の視界の前から消えなさいよ!!」

ネプギア「待って!ユニちゃん!」

 

ネプギアは手を伸ばしてユニを引きとめようと駆け寄った。

 

ユニ「うるさい! これ以上話しかけないで!!!!」

 

ユニはネプギアの言葉を全て否定し、差し伸べた手を振りほどいた。

ネプギアの目には涙があふれていた。

それだけではない、確実に彼女の目から光が消えていた。

先ほどから黙っていたノワールも口を開く。

 

ノワール「…そういうわけよ。わかったらさっさと出て行って。」

 

先ほどの激しい口調から一転して冷たくなる。

言い残すと同時にノワールとユニは反転して二人の前から去ろうとする。

 

ネプテューヌ「待ってよ!私達はただ…。」

 

ネプテューヌは二人を追いかけながらそう言いかけて止めた。

いや、止めさせられた。

ネプテューヌの首元にはノワールが抜刀したショートソードが銀光を放っていた。

 

ネプテューヌ「…のわー…る…?」

ノワール「…今私はあなたと同じ空気さえも吸いたくないの。これ以上ここに居るなら呼吸をやめてもらうわ。」

 

ネプテューヌに背を向けたままノワールが冷たいままの口調で言う。

一切に変わらない口調、態度。

その瞬間にネプテューヌは自分がこれ以上何かをすべきでないことを悟った。

同時にここに自分の居場所など1つもないことも。

無意識のうちに一粒の涙が彼女の頬を伝った。

考えることをやめたまま立ち尽くしていたネプテューヌが涙声で言った。

 

ネプテューヌ「…わかったよ…今日はもう…帰るね……それから、確証とか全然無いんだけど…一週間後に……何かが起こるかもしれない…気をつけて……ノワール………最後に…ごめんなさい…。」

 

返事は沈黙だった。

ネプテューヌとネプギアは女神化してラステイションを去っていった。

二人が去って行った後にノワールとユニも無言のまま教会へと歩み始めた。

その姿はこの世界にただ二人、生き残った生物のように物哀しげだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教会の扉の前に二つの影があった。

その影の持ち主、ノワールとユニは重々しい扉をゆっくりと開けた。

 

ケイ「あの二人に会ったのかい?」

 

ケイは多少重い口調で二人に問いかけた。

返事は2秒と待たずに返ってきた。

 

ノワール「会ったわよ。それがどうかしたの?」

 

皮肉が混じった口調でノワールが言う。

いつの間にか二人とも足取りを止めていた。

 

ケイ「いや、別にたいしたことじゃない。彼女達は謝罪に来たといっていたからね。」

ユニ「余計なお世話よ。」

ノワール「まったくね。」

 

ケイの言葉に鬱陶しがりながら二人はボソリと呟いた。

 

ケイ「…二人とも、少しは自分の気持ちに正直になってみてもいいんじゃないかい?」

 

無言のまま二人は自分達の部屋へと入ってった。

ケイは呆れ顔でため息を1つした。

 

ケイ「……二人のことを言えた身じゃないか…。」

 

誰にも聞こえない小さな声でケイは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワール「……何やってるんだろう私…。」

 

カーテンを閉め切った薄暗い部屋でその声は響いた。

呆然と立ち尽くしたノワールは寂しげに呟いた。

その視線は下を向いており、生気が感じられない。

 

ユニ「お姉ちゃん…。」

 

床に座り込んだユニも生彩を欠いた様子で俯いていた。

 

ノワール「謝りに来たネプテューヌにあんなこと言って、おまけに剣を向けて、最低ね。」

ユニ「私も…ネプギアに酷いこと言った。何であんなこと…。」

ノワール「本当は…私たちがいけないのに……辛い役を押し付けて…なんで……私たちから謝れなかったんだろう……本心を、伝えられないんだろう…。」

 

両手を顔に当ててノワールが呟いた。

その声は大きく震えていた。

 

ユニ「差し伸べてくれたネプギアの手を叩いて…なんで…アタシは……アタシは…。」

 

両手を地面についてユニは悔やんだ。

同時にまぶたから涙があふれ、頬を伝いながら手の甲に落下した。

ノワールの両手の隙間からも涙があふれていた。

呼吸を乱しながら声を上げてただひたすらに泣いていた。

 

部屋には沈黙があった。

どんな変化よりも恐ろしい沈黙だった。

二人は窓から射す夕日の光を浴びて、決して得られない答えを待つ賢者のようにいつまでも立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カタストロフィまであと6日


 
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