No.411235

《インフィニット・ストラトス》~二人の転生者~

菊一さん

第十五話です。
やばいです、書き溜めた分がなくなってきた……少し更新遅らせようかな……
ではどうぞ~

2012-04-20 00:12:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1310   閲覧ユーザー数:1217

第十五話 唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)

「悪いが俺は今誰とも付き合うつもりはない」

俺はそう言って食堂を後にする。

「……あ!ちょっと、待ちなさいよ!」

「……まだ何か?」

俺を追って食堂を出てきた鈴が再び呼び止める。いい加減教室に戻りたいんだが……

「何で付き合えないのよ?私を……その……か、かかかか、可愛いって言っておいて!?」

ふむ、鈴は相当俺に可愛いと言われたのが嬉しくて照れくさいらしいな。まあ想い人に言われたんだ、そうなるよな。しかしそれはそうと理由か……

俺は自分の両腕を見ながら少し考える。理由を言えばこいつは恐らく「関係ない」と言うだろう。事実関係はないし隠したまま付き合うことも可能だろうが、バレた時の反応や、俺のことを知った奴の視線や反応が怖い、そして何よりも付き合ってる相手が離れていくのが俺は嫌だった。そういう《ある事情》があるから俺は付き合えないのだ。

しかしそんなこと言えるわけもなく、こう答える。

「……なんていうかな、イマイチ付き合いたい!って気持ちにならないんだよ?」

「はぁ!?なによそれ?」

事実そういう気持ちも俺にはある、が鈴は意味がわからなかったらしい。ふむ、例え話が必要だな。

「お前、夏のことをどう思う?」

「え?どうって……まあカッコイイわよね。あと朴念仁で唐変木よね!小学生のときに思いを寄せてた子がいたけど全然気づかなかったし……」

夏、お前はどうやら小学校から変わってないらしぞ。いや、寧ろ進化して朴念仁ならぬ《朴念神》になってると思う俺がいる。

「で、それがどうしたのよ?」

おっと、話がそれてしまった。

「まあまあ、今夏のことをカッコイイって言っただろ?要はそこだよ、お前は夏の事をカッコイイと思ってるが俺に好意を寄せている。それと同じで俺はお前が可愛いと思うが付きあおうとは思わない。まあ他に好意寄せてる奴もいないし、付き合いながら相手のことを思っていくっていう方法もあるけどな……あ……」

やってしまった!くそう、最後の発言をしなければ上手く行ってたかも知れないのに!!いや、気づいてなかったらあるいは――

「じゃあやっぱり付き合いなさいよ!!付き合いながら私の事を思って行けばいい話でしょ!!」

無理でした~……しょうが無い……

「わ~ったよ。でもな、無理なんだよ、他の理由があるから」

「その理由を教えなさいって言ってんでしょうが!!」

「あのな、言いたくないから今の状況なんですが……」

いい加減疲れてきた……しかし《あれ》は話したくない、どうすれば――

その時、昼休み終了のチャイムが鳴った。ナイスタイミング!

「やべぇ!授業開始のチャイムまで時間ねえじゃんか!くそっ、トイレ行きてえのに!ちんちく鈴、おまえのせいだぞ。とりあえず俺は誰とも付き合わねえ!じゃあそういうことで!」

「あ、ちょっと!!」

俺は全速力でそこから逃げた。ふふん、ついてこれないだろう。

 

「あ~くそっ。休み時間だったのに休んだ気がしねえ……」

「何があったんだよ?」

俺が自分の席でうつぶせで倒れてるのを見てか隣の夏が聞いてくる。

「いや、鈴の奴がさ……付き合え付き合えってうるせえんだよ」

「別にいいじゃんか?買い物に付き合うぐらい?」

「……夏、そういう低次元の付き合うじゃないんだよ」

「え?」

相変わらずこいつは……まあいい。授業中は来ないだろうし、放課後は開発室へ行けばいい話だ。

そう思いながら授業が始まり、俺はノートを取っていく。

 

「よしっ!今日の授業は終わり……っと、夏と箒は今日も訓練か?」

「ああ、対抗戦までは特訓だ。今日は訓練機の使用許可も貰ったからな、ビシバシ行くぞ、一夏」

「おう!頼むぞ、箒」

「お前ら元気だなあ」

箒は夏と一緒にいるから嬉しいんだろうが夏の方は疲れないのだろうか?下手したらセシリアと箒VS夏っていう構図が出来るぞ?何故かって?そこはほら……女の嫉妬は醜いというか、なんというか。

「秋は今日も開発室か?」

「まあな、やること色々あるし」

「そっか、頑張れよ?」

「おう!」

俺はそう言うと鞄を持って教室を出る。

校舎を出て開発室に向かっていると、途中のベンチに座っている小柄で茶髪のツインテールの女子がいた……またか……

俺はそう思いながらも無視するわけにも行かず、声をかけた。

「お前はこんなところで何やってんだよ?」

「ふん、アンタを待ってたに決まってるでしょ!!」

鈴は顔をぷいっと背けた。箒もそうだが素直じゃねなあ。

「そうか。待ってたってことは要件があるんだろ?……大体わかるが、何の用だ?」

「私と付き合いなさい!!」

「断る。じゃあな、早く帰れよ~」

鈴の要件に俺は即答すると俺は開発に向けて足をすすめる。鈴は黙りながらもついてくる。身長差が結構あるので歩幅は違うはずなのについてくる。

俺は足並みを早める。鈴も足並みを早める。

更に早める。鈴もあきらめない。

「……あのな!何時までついて来んだよ!!」

「決まってるでしょ!あんたが付き合うって言うまでよ!」

まったく、こいつは~……

「じゃあ俺が今ここで付き合うって言ったらいいのかよ?」

「当たり前じゃない!」

「……どうせその場しのぎだ。それに心の通わない関係の相手を恋人とは言わねえよ。だから俺は恋人にはなれない。いい加減諦めろ、な?」

「そんなこと出来るならとっくにやってるわよ!!」

鈴はうつむきながらもそう答える。表情は読めないが恐らく涙目で目は腫れ、悲しみと苛立ちがまざったような顔をしているに違いない。しょうがないな……まあこいつと付き合うのも悪くはないが、ちょっと……な。

「……じゃあこうしよう。今度のクラス対抗戦の夏との戦闘、その時にお前が勝ったら付き合ってやるよ。ただし逆に夏が勝ったらもう付き合うなんて言って付きまとわないでくれ……まあ好意を寄せるなとは言わない。あまりしつこいのは困るってだけだからな」

俺はそう提案する。俺の専用機はまだ完成の目処が立たないし、かと言ってそんな長い間こうしとく訳にも行かないのでこうなった。勿論夏任せっていう不安要素はあるが。

「いいわっ!!後で無効とか言っても駄目だからね!代表候補生の実力を見せてあげるわ!」

「そっちこそ、夏を見くびるなよ?」

「軽く捻ってやるわよ!ふんっ」

鈴はそう言い残すと回れ右をしてスタスタと寮の方へ戻っていった。ふう、これで対抗戦までは大丈夫だろう……さてと、対話しに行きますか。

俺は屋内に入るとスロットにカードを通し、中にはいる。

「え~っと、電気電気っと」

俺が扉の近くにあるスイッチを弄ると電気がついた。現在、打鉄弐式は簪が待機状態で持ち歩いてるためここには俺と春華の未完成のIS二機とコアが一個、机の上の小型ポッドの中に入っていた。

「よう、先日の返事……決まったかな?」

俺は机の前の椅子に腰掛けながら話しかけた。するとコアが反応したかのように付いているモニターのスピーカーから女性――少女のような声が聞こえた。

『……まだ、決まりかねます。しかし私としてはあなたを嫌いではありません、創造主だからという訳ではなく、あなたは私達を命あるものとして見てくれるからです』

「う~ん、一応意志をもっているんだから俺としては当たり前なんだけど……やっぱり変なのかねえ?」

『私は素晴らしいものと考えます。普通は出来ないことだと想いますので』

「はは、サンキューな。でも……結果的にお前《ラファール・リヴァイヴ》を殺しちまった。お詫びのしようもねえな」

『お気になさらず。それにアレは私が反応出来なかっただけですから、あなたが悪いわけではございません』

「いや、俺ももう少し力を抑えればよかったんだ……まあ過ぎたことを言っても仕方ないか」

俺は立ち上がり、ISに手を触れる。

「俺としてはさ、このISを第五世代として世に出しても別に構わないんだよな~」

『なぜですか?』

コアの方には第五世代としての理由やその他すべてを話してあるので永久機関のことも勿論知っている。

「結果的にこのISを作るには資産は勿論、技術力が必要だ。それに操縦者は俺みたいな特殊な人間しか乗れないんだからな、だから正確には第五世代にはならずに欠陥機扱いかもな?」

『しかし他国がこの情報を握ったら完成させるはずです……そうすれば私たちは兵器としての可能性がまた上がってしまう……』

コアの言うとおりだった。俺としては複雑な心境だった。こいつらは生まれたくなかったのかもしれない、こいつらは兵器になりたくなかったかもしれない、そう考えるとISが兵器として最も完成されている俺の専用機に乗せる気にはならなかった。

「大丈夫、お前の心が落ち着いてからでいいさ。俺は何時までも待ち続けるからさ。さてと、俺はそろそろ寮帰るわ。じゃあまた明日な」

『おやすみなさい』

「ああ、おやすみ」

俺は開発室を出てアリーナへ向かう。

まだ夏達が訓練しているはずだ。あいつには出来れば勝ってもらいたいものだ。

俺はアリーナへ足早に向かう。

 

「お~お~、やってるやってる!」

「あ、お兄ちゃん!」

俺はアリーナの観客席にいる春華に近づきながらそう呟く。

「……しかしなんであんな編成なんだ?」

そう、訓練として模擬戦してる事は別にいいんだ、寧ろ喜ばしい事だ。しかし編成が……

「何で夏VSセシリア、箒ペアなんだよ?」

「え~っとね、最初は箒お姉ちゃんが教えるか、セシリーが教えるかで戦ってたんだけど、火の粉が夏お兄ちゃんまで飛んできて……」

「なるほど、詰まり流れに任せたらこうなったと……しょうが無いな」

俺はそう言うと観客席を出て、ピットに向かった。そして次に一応申請しておいたリヴァイヴを装着してスナイパーライフルを呼び出し、構える。

「スナイパーライフル……オートロック解除、全てをマニュアルに切り替え……目標、ブルー・ティアーズ……貫け!!」

全てをマニュアル操作に切り替え、照準をあわせて発砲したため、アリーナ内にいた三人のISにはロックされた、という警告メッセージどころかアリーナのピットから俺が狙ってたことにすら気づかなかったらしい。まあそれほどまでに模擬戦に集中していた可能性もあるがな。

そしてライフルの弾はビット四機を全て撃ち落としていた。

「あ、秋葉さん!何故!?」

「ふん、秋葉にはわかっていたらしいぞ、私のほうが教えるのに向いているとな」

「くっ……そんなことありませんわ!偶々わたくしのビットが攻撃しようとしていたからですわ!」

二人は俺の介入に一瞬意識が行ったが、所詮は焼け石に水だった。やれやれ、こいつらいい加減にしろよ。

「セシリア!箒!いくら何でも二対一はやりすぎだ!頑張って訓練することも大切だが夏の体力も考えろ!……まったく」

俺はその後、箒とセシリアが毎日交互に教えていくという計画を立てた。今日は偶々箒に訓練機の使用許可が降りていたので、箒の練習日となった。しかし箒に教えるのを頼んだのは間違いだったかもしれない。何故なら――

「一夏!何度言ったらわかる!ぐっ、とする感じだ!」

「いや、箒。今の説明でやれって言う方が難しいだろ!」

「ええい、だから貴様は!」

箒の教え方は独創的というかなんというか……

「感覚的すぎるんだよな。まあアレはアレで感覚的にはあってるんだか、唐変木で朴念仁の夏にわかるかどうか」

いや、さっきの会話では理解できてないのだろう。そして模擬戦に突入したが、訓練の成果はある程度あったようで、夏の白式の動きが以前の代表決定戦の時よりスムーズになっていた。まあ箒の打金も近接タイプでバランスがとれているからな、模擬戦相手には丁度いいな。しかし訓練機ぐらいは余り苦戦せずやってほしいものだが……それはまだ無理か

「箒、夏、降りてきてくれ!」

「ああ、わかった」

「お、おう?」

夏、疑問形はやめろ。わからんでもないが。

二人にISの通信回線で呼びかけ、降りてくるように指示する。二人はそれに従って降りてきた。

「さて、さっきセシリアと交互にやるといったばっかりだが、明日からは俺が夏のコーチをやる!」

「な!?」

「秋がか!?」

……何故だろう、二人の反応が妙にムカツク。

「そうだ。元々箒に教えるように頼んだのは失敗だったかもしれない」

「そ、そんなことはない!」

箒は即答で反論するがすかさず俺が言う。

「じゃあ今ここに同じクラスのやつ十人連れてくるから夏と同じようにISを教えてみろ。十中八九全員が理解不能を示すだろう、何故か?簡単だ、箒は感覚すぎるんだ。確かに教えるときは感覚的な表現も必要だろう、しかしその一片に偏ってしまったら教えてるつもりでも相手はチンプンカンプンだろう。夏、実際どうだった?」

俺は夏に聞いてみる。この唐変木ぶりだ、正直に答えるだろう。

「そうなんだよ、箒のやつ感覚的にばっかり喋るからどうすればいいかわかんないんだよ。なんだよ、ぐっ、とする感じって?」

「……ぐっ、とする感じだ」

「話を続けるぞ。まあ箒だけをやめさせるとセシリアが調子に乗るからセシリアも外す。俺の予想になるがあいつは恐らく箒と真逆の方法、論理的に教えてくるだろう、その分まだいいかもしれないが論理的すぎて夏の頭では理解出来ないだろう。そこで新しく俺が教えることにする。こんな感じだ、わかったか?」

「俺はわかった」

「……私も特に依存はない」

俺にはそうは見えないぞ……顔が仏頂面になっている箒がいるから。

「まあ安心しろ、箒には剣道の方の特訓を相手してやってくれ。間合いの取り方や戦闘の感覚を養うのには持って来いだからな。今日の所、箒は春華と一緒に部屋に戻っててくれ。観客は居ないほうが集中できるしな」

「わかった、そういえば春華は何処に?」

「もう外で待ってるよ」

「む、そうか、ではすぐ行くとしよう」

そう言って箒がアリーナから出たことを確認して、白式のエネルギーを補充してから中に戻った。

「さてと、それじゃあ始めるんだが……その前に冬姉のISでの戦いは見たことあるか?《暮桜》での戦闘をだ」

「千冬姉の戦闘?ハッキリとか生で見たことはないけど、こっそりと過去のビデオを見たことはある。それがどうかしたのか?」

「実は夏、お前には冬姉の戦術を真似る事が一番だと思うんだ」

「俺が、千冬姉を真似る?」

夏が少し、ほんの少しだが覇気がこもった声で言う。

「そうだ……といっても意味を取り違えるなよ、冬姉の物だけの物を夏が出来るようにしろ、と言ってるわけじゃない。まず最初は冬姉と同じ道を辿りながら自分にあった道を探していこう、って訳だ。理解できたか?」

「ああ、なんかホッとした」

「そうか」

胸をなでおろして笑う夏に、俺も笑みを返す。

実を言うと夏は冬姉の事になると周辺が見え無くなる傾向がある、というかこれは周辺の人間に対してもそうだった。恐らく箒や春華、俺に危害が加われば夏は危害を加えた奴……そいつに立ち向かうだろう。しかし夏はまだ精神状態が不安定だ。恐らく他人が冬姉のデータなどを使って人に危害が加えるような事態が起きて自分が死ぬような場所でもすぐに向かうだろう、そうしないために俺は夏を鍛えていこうと決心した。どんなことが起きても平常心を保てる精神を、どんな状況でも冷静な判断を下せる頭を、どんな敵でも立ち向かって守れる力を……事実、前世で俺はその三つを重要視して戦場へ向かっていた。何時になるかはわからないが、夏にもそうなってもらいたい。

「で秋、冬姉ってどんな戦い方してたんだ?」

「あ、ああ、冬姉が現役時代に使ってたIS《暮桜》は知ってるな?」

俺は考えていたことを一旦頭の隅に追いやり、夏に聞く。

「ああ、《雪片》を使っていたISだろ?」

「そうだ、で白式にはその後続の《雪片弐型》が使われている。夏、お前がセシリアとの戦いに負けた理由、わかるか?」

俺が早期聞くと夏は腕を組んで「う~ん……」と唸ったが答えはでてこなかったようだ。しかし総判断をした瞬間、夏は思い出した様に発言する。

「……そういえば冬姉が武器の特性を理解してないから、とかいってたっけ?」

なんだ、ちゃんと覚えてるじゃないか。

「そう、実は雪片にはある特殊能力が付いている。《零落白夜》……白式の《唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)》だ」

「唯一仕様の特殊能力?」

「そうだ。でその唯一仕様の特殊能力――零落白夜の能力は《自分のシールドエネルギーを転化してどんなエネルギーシールドも無効化する》……いうなれば《バリアー無効化攻撃》だな。ただしその攻撃はエネルギーを大量消費するから称揚する度にシールドエネルギーが減っていく。まあ零落白夜が相手に当たればシールドエネルギーを大幅に削る《絶対防御》を強制的に発動させれるからな、いわゆる諸刃の剣だ」

「なるほど、だからあの時シールドエネルギーが0になったのか」

夏は「うんうん」と頷いている。しかしISは本当にわからないことが多いな。

「唯一仕様の特殊攻撃は普通は《第二移行(セカンド・シフト)》した後に発動するんだがな……まあ発動しないほうが圧倒的に多いけどな」

「へ~、そうなのか」

「序にいうと第三世代はその唯一仕様の特殊攻撃――いろんな意味で呼びにくいからワンオフ・アビリティーな、その攻撃かまたは近いものや準ずるものを誰でも使えるように各国が開発したISだ。さて、そろそろ特訓を始めるぞ。時間が無いからな」

そうだ、勝ってもらわなければ……まあ鈴と付き合うのも本当にいいとは思うが、《これ》がバレてみんなが離れていく恐怖のほうが怖い……ともかく知ってるのが冬姉と束さんっていうのが幸か不幸か、冬姉はともかく束さんが怖いんだよな。あの性格だし。

俺は右手を見ながら拳を握る。

「で、特訓の内容ってなんなんだよ?」

「あ?ああ、夏にはこれから近接戦闘と急加速急停止という基礎移動技能を只管やってもらう。雪片弐型と零落白夜のおかげでどうせ《拡張領域(バス・スロット)》無いんだろ?そしたらもう近接特化になるしか無い。第一に夏の頭じゃ遠距離なんて無理だ」

俺は淡々と話し夏の眼を見ながら言った。それに対し夏は少し「ムッ……」と言った表情でつっかかってきた。

「おい、いくらなんでもそれは言い過ぎだろ?試してもないのに決めつけるのはよくないと思うぜ?」

夏の少し不機嫌気味の言葉に対し、俺は変らない冷静な声で返答する。

「そうだな、言い方が悪かった。夏には遠距離は向いていない。遠距離に必要な最低限のIS操縦技術はかなりある。そして俺は夏ではそれだけを理解するのは難しい、さらにそれだけ全てを特訓する時間も圧倒的に足りない。それだったらむしろ近接一筋にして何か一つを極めるほうがいいと俺が独断で判断した。すまなかった、全て俺の勝手な考えだ。実際お前の吸収力と上達速度には目を見張るものがある、上手く行けば対抗戦までは代表候補生とギリギリいい戦いをするかもしれないと俺は思った。俺はそれが見たくて焦っていたのかもな……」

「い、いや!秋に考えがあるのはわかってたけどまさかそんなに考えてたなんて思ってなかった。俺の方こそスマン!第一そんなこと言ったって射撃武器が使えないんだ、だから教えてくれ、近接武器での戦い方を!」

俺の言葉に焦ったのか、夏が少し苦笑いしながらそう言ってくる。いつの間にか落ち込んでた声になっていたのかもしれない、なにか悪い事をしたかもしれない。

「……なんか変なことでモメちまったな。よし!じゃあ特訓始めるぞ」

「おう!」

俺達二人は気を引き締め直して訓練に励んだ。しかし次の日、夏が全身にかなりの筋肉痛で普段の行動がマトモにできないという事件があった。

 

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どうも作者の菊一です

さて、次回はクラス対抗戦に突入するんですが……実はまだ十七話書いてる途中だったりorz

せめてシャルとラウラ編まで書き溜めたいな~と思ったり、ぶっちゃけ一巻の内容を早く書き終わって一夏と秋葉を一回自宅まで帰らせたいんですよねwああいう平和てきなほのぼのした話って自分的に隙なんですよwもちろん戦闘シーンとかも好きですがw

……さて、そんなこと言ってても仕方ないので書いてきます……目指せスランプ脱出!!

では感想や要望などまってま~す!


 
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