No.408676

異世界冒険譚 魔法生徒ユエま! 五時間目!

RYOさん

交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。

2012-04-15 01:46:48 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3632   閲覧ユーザー数:3471

yukito side

 

風呂から上がった俺は部屋でゲームをやっていた。おっと、もちろん持って来たらいけない物だからネギには内緒だぜ?

 

「雪人!」

 

急に部屋に刹那が入ってくる。様子を見ると相当焦っているようだ。

 

「どうした?」

 

「お嬢様が攫われた! 急いで来てくれ!」

 

「わかった」

 

俺は立ち上がり月の服を纏う。

 

「行こう!」

 

「え、ええ!」

 

刹那は少し驚いたようだがすぐに旅館の外に出る。

 

「桜咲さん! って! 何その服!?」

 

待っていたのか明日奈が話しかけてくる。俺の服に驚いたようだ。

 

「戦闘装束だ。とりあえず時間が惜しい。刹那。近衛の場所は分かるか?」

 

俺が質問すると刹那は頷いて走り出す。俺と明日奈も刹那を追いかける形で走る。

 

旅館から少し走るとネギがサルの式神に張り付かれていた。ネギは何とか剥がそうとするが数が多くて剥がせない。カモも戦っているが一体だけしか倒せていない。

 

俺たちはネギから式神を剥がす。

 

「に、逃げられました!」

 

「追うぞ!」

 

「ええ!」

 

俺達をネギが連れて走る。明日奈が一般人なのにかなり速かったのですぐに近衛を連れ去った犯人に追いつけた。サルの式神を着ぐるみの様に着ている。どうやら女性のようだ。

 

「待てーーー!」

 

「お嬢様!」

 

「このか!」

 

明日奈たちが叫ぶ。犯人は少し振り向いたが構わず走る。その先は駅。俺達も犯人を追って駅に入る。

 

「ちょっとおかしいわよ。終電間際にしても乗客も駅員も一人もいないわ」

 

「人払いの呪符です! 普通の人は近づけません!」

 

明日奈の疑問に刹那が答える。

 

駅のホームに走り電車に飛び乗る。そのまま、犯人を追いかける。

 

「待てーーー!」

 

その声に犯人が振り返り何かを取り出す。

 

「ふふ、ほなもう一枚いきますえ。お札さんお札さん。ウチを逃がしておくれやす」

 

犯人がそう唱えるとお札から大量の水が出てくる。まるで鉄砲水だ。

 

「肉体変化! 呼吸器・魚人!」

 

俺は水が来る前に水の中で呼吸が出来るようエラが出来る。そして皆の後ろで両手を広げる。

 

「ガボガボ!」

 

電車内はすぐに水で溢れる。鉄砲水の威力で俺達は吹き飛ばされる。俺は皆が気絶しないように抱きしめる。次の瞬間、俺は意識を失った。

 

side out

 

 

setuna side

 

このちゃんを攫った犯人が札を使い水が放たれる。その瞬間、雪人が私達を抱きしめてきた。

 

「な、何をモガ!」

 

驚いたので文句を言おうとしたが水の圧力で吹き飛ばされ私達は壁に叩きつけられた。

 

「ごぼっ!」

 

かなりの勢いで叩きつけられたが雪人が抱きしめていてくれたおかげで気絶はしなかった。

 

車両を繋いでいるドアに斬撃を放ってやりたかったが眠っているこのちゃんがいる。水を向こうに流してこのちゃんが溺れるのは避けたい。ネギ先生たちを見る。……まだ、大丈夫そうだ。雪人を見てみる。

 

「っ!?」

 

私は目を見開いて驚いてしまった。雪人の首に魚のエラの様な物がある。雪人は私と同じ烏族だと思っていた。白い羽の禁忌の子なのだと……。だが雪人の首にあるエラは何だ? 雪人、あなたは一体……

 

電車が駅が近くなり電車の速度が遅くなる。

 

ここから駅までの時間ならこのちゃんがおぼれる事も無い。そう判断した私は剣を振るいドアに斬撃を飛ばす。ドアが吹き飛び犯人とこのちゃんがいる列車に水が流れ込む。私は雪人を掴み。壁にぶつからないようにする。

 

駅に着きドアが開く。それと同時に水と一緒に私達が流しだされてしまう。

 

私は着地して雪人を見る。……良かった生きている。他の皆も気絶はしていないようだ。

 

私は犯人のほうを見る。犯人も水で駅のホームに押し流されたようだ。このちゃんも犯人の式神が保護している。

 

「見たかデカザル女。嫌がらせはあきらめて大人しくお嬢様を返すがいい」

 

私はサルの式神を着ぐるみのように着ている犯人に言う。

 

「ゲホゲホ! ハァハァ……なかなかやりますな。しかし、このかお嬢様は返しまへんえ」

 

そう言って犯人はこのちゃんを抱えて走って行ってしまう。

 

「あ、待て!」

 

「待ってください刹那さん! 雪人さんが!」

 

私は犯人を追いかけようとするがネギ先生に止められる。

 

「……置いていきます!」

 

「ええ!?」

 

「雪人は体を張って私達を庇ってくれました。ここで犯人を逃がす事になれば雪人が怪我をしたのが無駄になります」

 

私は二人にそう言ったが二人は納得していないようだった。

 

「嫌ならばここで雪人を見ていてください。私は一人で行きます」

 

「うぅ……行くわよ! ネギ! 刹那さんだけに任せておけないわ!」

 

「はい! ……雪人さん。すぐ戻ってきます」

 

ネギ先生も神楽坂さんもついてくるようだ。

 

「急ぎましょう!」

 

そう言って私は走り出す。ネギ先生たちも私の後をついてくる。

 

「桜咲さん! 今日の事ってただ嫌がらせじゃなかったの!? 何であのおサルこのか一人を誘拐しようとするのよ!」

 

神楽坂さんが聞いてくる。

 

「じ、実は以前から関西呪術教会の中にこのかお嬢様を東の麻帆良学園にやってしまった事を快く思わぬ輩がいて……おそらく、奴らはこのかお嬢様の力を利用して関西呪術教会を牛耳ろうとしているのでは」

 

「え?」

 

「な、何ですかそれ~~!?」

 

私の言葉にネギ先生も神楽坂さんも驚く。

 

「私も学園長も甘かったと言わざるを得ません。まさか、修学旅行中に誘拐などという暴挙に及ぶとは……しかし元々、関西呪術教会は裏の仕事も請け負う組織。このような強硬手段に出る者がいてもおかしくはなかったのです」

 

話していると駅の改札口に着く。見るとここにも人払いの呪符が柱に貼ってある。やはり、計画的な犯行か。くっ、私がついていながら!

 

私は速度を上げる。

 

 

階段の途中で犯人が待ち構えていた。

 

「ふふ……よーここまで追って来れましたな」

 

そう言った犯人は式神を脱いでいた。

 

「そやけどそれもここまでですえ。三枚目のお札ちゃん行かせてもらいますえ」

 

そう言って犯人が札を取り出す。

 

逃げる気か!

 

私は犯人の術を止めるために走り出す。だが……

 

「お札さんお札さん。ウチを逃がしておくれやす。喰らいなはれ! 三枚符術京都大文字焼き!」

 

犯人のほうが速かった。私の目の前に小さい大文字焼きが現れる。

 

「うあっ!」

 

「桜咲さん!」

 

危なく大文字焼きに自分から入ってしまう所だったが神楽坂さんが私を後ろに引っ張ってくれたおかげで助かった。

 

「並みの術者じゃその炎は越えられまへんえ。ほな、さいなら」

 

犯人は笑いながら言う。

 

まずい。このままでは……

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル! 吹け!一陣の風!(フレット・ウネ・ウエンテ) 風花・風塵乱舞(フランス・サルタティオ・プルウエレア)!」

 

ネギ先生の風の魔法が大文字焼きを吹き飛ばす。

 

「逃がしませんよ! このかさんは僕の生徒で大事な友達です!」

 

そう言ったネギ先生の手にはカードが握られていた。そのカードには神楽坂さんの絵が描かれていた。

 

「契約執行180秒間! ネギの従者『神楽坂明日菜』!」

 

ネギ先生がカードを掲げながら唱えると神楽坂さんに魔力が供給される。

 

「桜咲さん! 行くよ!」

 

「は、はい!」

 

「もー、さっきの火下手したら火傷しちゃうじゃない。冗談じゃすまないわよー!」

 

神楽坂さんとネギ先生が走り出す。私も駆け出す。

 

「そこのバカ猿女! このかを返しなさーい!」

 

「明日菜さん! パートナーだけが使える専用アイテム(アーティファクト)を出します! アスナさんのは『ハマノツルギ』! 武器だと思います!」

 

「武器!? そんなのがあるの!? よーし。頂戴ネギ!」

 

「はい! 能力発動! 神楽坂明日菜 『ハマノツルギ』!」

 

ネギ先生がまたカードを掲げて唱える。どうやらあれで強化などをやっているらしい。

 

「き、来たよ! なんか凄そう!」

 

神楽坂さんの手の中に光が現れる。それは剣のような形をとる。……が。出てきたのはただのハリセンだった。

 

「な、何これ! ただのハリセンじゃない!」

 

神楽坂さんはネギ先生に文句を言うがネギ先生も不思議がっている。それより神楽坂さんの目の前にはもう敵がいる。

 

「神楽坂さん!」

 

「ああ、もう! しょうがないわね!」

 

武器があるだけましと神楽坂さんは敵に向けてハリセンを振り下ろす。私もタイミングを合わせて切りかかるがそれは急に私達の前に現れたクマとサルのぬいぐるみによって防がれた。

 

前鬼と護鬼か……

 

「神楽坂さん! 間抜けなのは見てくれだけです。気を付けて!」

 

「ウチの猿鬼と熊鬼はなかなか強力ですえ。一生、そいつらの相手でもしてなはれ!」

 

犯人はこのちゃんを担いで去ろうとする。

 

「このか! っ! このぉ!」

 

神楽坂さんがハリセンを振るう。その攻撃を受けた式神はかき消されるように消滅してしまった。何かの力が働いたようだ。

 

すごい。あのハリセンの力か?

 

「な、なんかよく分かんないけど行けそうよ! そのクマは任せてこのかを!」

 

神楽坂さんが私に言う。

 

「すみません! お願いします!」

 

神楽坂さんに熊を任せて私は犯人を追う。

 

 

犯人にはすぐ追いついた。

 

「このかお嬢様を返せ!」

 

そう言って犯人に斬りかかろうとするが何者かが私に攻撃を仕掛けてきた。私は仕方なく新しく現れた敵と打ち合う。

 

ま、まずい。この剣筋。私と同じ神鳴流剣士か。

 

「どうも~~神鳴流です~~おはつに~~」

 

相手の神鳴流剣士は何とも間延びした声で話しかけてきた。私は相手を見る。可愛い感じの洋服を纏った二刀流の少女だった。

 

「え……お前が神鳴流剣士?」

 

「はい~~月詠いいます~」

 

私は思わず聞いてしまった。剣士特有の鋭い気を持っているわけでもなし、対妖怪用の武器でもなく細身の刀。どう見ても神鳴流剣士には見えなかった。

 

「見たところあなたは神鳴流の先輩さんみたいですけど、護衛に雇われたからには本気でいかせてもらいますわ~~」

 

「こんなのが神鳴流とは……時代も変わったな」

 

私は私と月詠とやらの間にいる犯人に斬りかかる機会を窺うが月詠が私を牽制して思うように動けない。

 

「ではいきます。一つお手柔らかに~~」

 

そう言うと月詠は間延びした声からは想像もつかない速度で私に斬りかかってくる。

 

「え~~~い」

 

月詠が右手の刀で強力な斬撃を放ってくる。

 

私はそれを刀を両手で構え防ぐ。

 

「やあ」

 

今度は打って変って上半身狙いの連撃。

 

私は刀で捌く。

 

「たあ」

 

かと思うと足元を右手の刀で狙ってくる。

 

片手で月詠の手を掴み防ぐ。

 

「とおーーー」

 

次は左手の小刀で足を狙ってくる。

 

今度は刀で防御する。

 

い、意外にできる。

 

「ざーんがーんけーん」

 

「くっ!」

 

かなりの威力の斬岩剣が放たれる。

 

私はそれを飛んで避ける。

 

「これで足止めOKや。しょせん素人中学生に見習い剣士や」

 

そう言いながら犯人はこのちゃんを式神で運んで逃げようとする。私は神楽坂さんを見る。

 

…………小さい猿の式神に足止めをされていて動けないようだ。けっして式神に服を脱がされかけているとかはない。

 

ネギ先生は……私はネギ先生を見る。

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル」

 

詠唱を始めていてくれた。何とかしてくれるだろうか? ネギ先生の詠唱に気が付いたのか犯人が止まる。

 

風の精霊11柱(ウンデキム・スピリトウス・アエリアーレス)縛鎖となりて敵を捕まえろ(ウィンクルム・ファクティ・イミニクム・カプテント)!」

 

「しまった!? ガキを忘れてた!」

 

「もう遅いです! 魔法の射手(サギタ・マギカ)戒めの風矢(アエール・カプトゥーラエ)!」

 

ネギ先生が魔法を放つ。魔法の矢は一斉に犯人目がけて飛んでいく。これで捕えたそう思った。だが……

 

「あひぃ! お助けーー!」

 

あろう事か犯人はこのちゃんを盾にしたのだ!

 

「あ、曲がれ!」

 

ネギ先生はこのちゃんが傷つかないように魔法の矢を逸らす。結果、このちゃんには傷一つなかった。

 

「……あら?」

 

「こ、このかさんを放して下さい! 卑怯ですよ!」

 

「はは~ん。なるほど……読めましたえ。甘ちゃんやな……人質が多少怪我するくらい気にせず打ち抜けばえーのに」

 

く、おのれ! 月詠と戦ってさえいなければすぐにでも斬りかかってやれるのに!

 

「ホーホホホ! まったくこの小娘は役に立ちますなぁ! この調子でこの後も利用させてもらうわ」

 

「このかをどうするつもりなのよ」

 

神楽坂さんが犯人に聞く。

 

「せやなー。まずは呪薬と呪符でも使て口を利けんようにして、うまい事ウチらの言うこと聞く操り人形にするのがええな。くっくっくっ」

 

犯人の言葉に怒りが込み上げてくる。

 

「ウチの勝ちやな。ふふふ……このかお嬢様か……なまっちょろいおケツしよってからに。かわええもんやなぁ」

 

そう言って犯人は肩に背負ったこのちゃんのお尻を撫でる。

 

「ほななー。ケツの青いクソガキども。お尻ペンペーン」

 

犯人がこのちゃんのお尻を叩く。

 

――ブチッ!

 

「このちゃんに何をするかああああ!」

「このかに何するのよ!」

 

私は後先考えずに全力で月詠に攻撃する。月詠も急な全力攻撃で驚いたようで受けてしまう。

 

神楽坂さんも熊の式神を一撃で消し去る。

 

私と神楽坂さんは敵を倒すとすぐにデカザル女に向かう。

 

風花(フランス)武装解除(エクサルマティオー)!」

 

ネギ先生が魔法で犯人からこのちゃんを離す。その代りデカザル女もこのちゃんも服が脱げてしまったが。

 

「てりゃあああ!」

 

神楽坂さんがハリセンでデカザル女を叩く。デカザル女が神楽坂さんに気を取られている隙に私はデカザル女の背後に回り込み剣を振るう。

 

「秘剣・百花繚乱!」

 

剣に気を大量に籠め、振るうと同時に気を放つ!

 

デカザル女は吹き飛び地面を転がっていき、壁にぶつかる。

 

「何でガキがこんなに強いんや」

 

デカザル女は驚いたようだが式神を新たに召喚しそれに捕まって飛んで逃げた。月詠もそれに捕まって逃げている。

 

「あ、待て――!」

 

「追う必要はありません神楽坂さん。深追いは禁物です」

 

デカザル女たちを追おうとした神楽坂さんを諌める。

 

「そう言えばあいつ、薬や呪符を使うって言ってたな。このか姉さんは大丈夫か?」

 

そうネギ先生の頭の上にいるカモさんが言う。

 

私はすぐにこのちゃんに駆け寄る。

 

「このかお嬢様! お嬢様! しっかりしてください!」

 

私はこのちゃんに呼びかける。

 

お願い!起きて! このちゃん!

 

「……ん……あれ……せっちゃん?」

 

このちゃんが目を覚ます。少し寝ぼけたような感じだ。

 

「あーせっちゃん……ウチ、変な夢見たえ……変なおサルにさらわれて……でもせっちゃんやアスナやネギ君やユキト君が助けてくれるんや……」

 

……大丈夫だ。ちょっと寝ぼけているだけでデカザル女に変な事をされた形跡はない。

 

「……よかった。もう、大丈夫です。このかお嬢様」

 

「あ……」

 

このちゃんが私の顔を見て驚く。

 

「よかった……せっちゃん、ウチのこと嫌ってる訳やなかったんやな―」

 

このちゃんが笑顔で言う。

 

「えっ……そ……そりゃ、私かてこのちゃんと話し……はっ!」

 

私はそこまで言って気が付いた。このちゃんを影から守るためにこのちゃんから離れたのに……

 

「し、失礼しました!」

 

私はすぐにこのちゃんから離れる。

 

「わ、私はこのちゃ……お嬢様をお守りできればそれだけで幸せ……いや、それもひっそりと影からお支えできればそれで、あ、あの……御免!」

 

「あっ……せっちゃーーん」

 

自分で言っていて何を言っているか分からなくなってしまった私はこのちゃんから逃げる。

 

これで良いんだ。このちゃんは私と裏の人間と一緒に居ない方が良いんだ。

 

「桜咲さーん!」

 

私が逃げ帰っていると神楽坂さんが私を呼んだ。

 

「明日の班行動。一緒に奈良回ろうねーー! 約束だよーー!」

 

私はその言葉に少し立ち止まってしまうがすぐにその場を去った。

 

 

「やあ、刹那。その様子だと。近衛は無事、奪還できたみたいだな」

 

私が駅に行き電車で旅館に帰ろうとしたところ、雪人に止められた。

 

雪人も何事もなく起きたのか。良かった。

 

「雪人。ああ、何とか……っ!? 止まれ!」

 

私は近づいてくる雪人に刀を向け止める。

 

「おろ? どうした?」

 

「雪人……お前、何故お前から大量の血の臭いがする?」

 

これが私が今、雪人を警戒している理由。私は潔癖ではない。これでも裏に属している身だ。戦いで人を殺める事に抵抗はあるが、いつか私もそんな事態に陥るかもしれない。

 

だが、問題は雪人が人を殺めたとかそういう問題ではない。雪人から雪人の血の臭いがする事が問題なのだ!

 

「ああ、これ? ちょっとやらかしちゃってさ」

 

私の質問に雪人は何でも無いように答える。それがますます怪しい。まさかこの雪人。死霊術か何かで動かしている死体ではないかという疑問が浮かぶ。

 

「あ、一応言っておくと俺は死体とかじゃないぞ? 敵に襲われてさ、かなり大怪我負ったんだけど何とか回復してきたんだよ。いやー。久しぶりに死ぬかと思ったぜ。はははっ!」

 

雪人は笑う。

 

「……確かに気は確認できるし、鼓動も聞こえる。本当に生きているようだな」

 

「やっと信じてくれたか。とりあえず刀下してくれ」

 

そう言われて私は刀をしまう。

 

「それじゃあ、帰るか。後始末はネギに任せていいのかな?」

 

「大丈夫だろう」

 

「よっし! 俺は早く宿に帰って風呂で臭い落とすかな~~」

 

そう言って雪人が背伸びをする。

 

「そうしろ。かなり臭うぞ」

 

「うわっ。意外とショックデカいな。女の子にそう言われると……」

 

雪人は大きく肩を落とす。

 

「ふぅ。私も帰ったら風呂に入るかな」

 

「じゃあ、一緒に入ろうぜ刹那ちゃん! 大丈夫! 何もしないからさ! げぇへっへ!」

 

私の言葉に雪人が冗談で鼻息を荒くしながら言う。

 

「誰が一緒になど入るか馬鹿者」

 

そんな冗談を言いつつ私は雪人と一緒に旅館へ帰ったのだった。

 

 

次回予告

 

ふっ! ようやく私の出番が来たようね! このまま、ゆっくりとメインの座を勝ち取ってやるわ!

 

そ、そうですね。神楽坂さん

 

むー。何よ桜咲さん。その気の無い返事は、そりゃ桜咲さんに比べたら出番なんて無いけどさ……

 

い、いえ……そのっ!

 

ふふっ……冗談よ。その程度で僻んだりしないわ。なんたって原作のヒロインよ? 私

 

そ、そうですよね……あはは……

 

そうよ。僻んだりなんか…………僻んだりなんかしないもん…………くすん

 

か、神楽坂さん!?

 

 

次回

 

 

 

魔法生徒ユエま! 六時間目!

 

 


 
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