No.404467

【獣機特警K-9】今そこにある黒い影【交流】

古淵工機さん

さぁさぁさぁ盛り上がってまいりましょう。
とある製薬会社を中心に不気味な黒い事件のニオイ。
さあ、グズグズしてる暇はないぞ!K-9隊出動せよ!!

◆出演

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2012-04-07 22:12:53 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:888   閲覧ユーザー数:815

某日、ファンガルドプラネットポリスの本部ビル。

その最上階にある総監室では、警察総監のアイヴィー・ヒルトンとラミナ警察署長のマキ・ロックウェルが話をしていた。

 

 

「総監、私に話とは何ですか?」

「ええ、その事なんだけど…その前に、あなたは『インブル製薬』ってご存知かしら?」

 

インブル製薬。

表向きは数々の医薬品や健康食品などを一手に手がける製薬会社だが、

実のところはいろいろと黒い噂の絶えない会社である。

ファンガルド警察もこの企業に関しては神経を尖らせていたらしく、

マキ署長もしばしば噂を聞いていたので知らないはずがなかったのだ。

 

「あぁ、あのインブル製薬ですか。確かラミナ市の南西部、ネロス地区に工場がありますね」

「そう。その工場周辺なんだけど…」

そう言うなり、アイヴィー総監は壁面のモニターパネルのリモコンを操作する。

すると、ある映像が映し出された。

 

「…これはこの付近でのドラッグ中毒者の数を赤で、強盗事件や爆破事件が起きた場所を黄色で現したものよ」

「…それと工場とどう関係が…まさか?」

「そう、この工場を中心にこの点の密集度が高いのがわかるかしら?」

「でも、それだけでは捜査の決め手になる手がかりもないし…」

「…そう、だから今まで警察当局は捜査課の人間を何度も送り込んできたんだけど…」

 

アイヴィー総監は少しため息をついてから答える。

「…ほとんど帰ってこなかった。殉職した人も多かった。ある時には2人ほど帰ってきたけど、ドラッグ中毒の禁断症状でほどなく亡くなったわ」

「それじゃあ…まさか…」

「それが起こるのを恐れて、いつの間にか進んでこの捜査に乗り出す人間は少なくなった…」

「それで?」

「おかしいなと思って私もヴァイス警視やミンスター警部と協力してあれこれ調査を進めたわ。でも詳しいことはわからなかった。……このメモリー媒体が私の手元に届くまではね」

 

そう言ってアイヴィー総監が取り出したのは一つのメモリー媒体だった。

ラベルには『インブル製薬ならびに周辺区域の実情に関する報告』とだけ書かれていた。

「これは?」

「インブル製薬の従業員を名乗る男から渡されたものよ。もっとも、最初は私もその情報が信用できるかわからなかったんだけど…一応見てみることにしたのよ」

「それで、何かわかったんですか?」

マキ署長の言葉に、アイヴィー総監は深くうなづくと、ゆっくりと立ち上がりながら言った。

「ええ、例のドラッグ事件にはインブル製薬の工場が絡んでいること。そして送り込まれた警官が戻ってこなかった理由」

「戻ってこなかった理由?」

「ほとんどはドラッグ中毒が原因で死亡していたのよ。死因は禁断症状による中毒死、および精神障害による自殺…といったとこね。そして驚くべきこともわかったのよ」

アイヴィー総監はそういいながら、モニターパネルの前をゆっくりと歩き、さらに続ける。

「…付近にネロス警察署があるわね。そこの署長たちが一枚噛んでたのよ」

「なん…ですって…?」

「…彼らはとんでもないことにドラッグの取引をしていた。そしてそれをほかの警官に配っていただけでなく、バイヤーを通じて周辺の市民にも売りさばいていたのよ」

「それで、その売り上げは…」

「……ドラッグの密造、密売。とくれば、売り上げの流れとしてはほとんどが決まっているようなモンよ」

と、制服の内ポケットからさらにもう一枚のディスクを取り出した。

「…これはその売り上げルートが記録されたディスクよ」

「そんな…この売り上げルートってまさか!?」

「そう。ゴクセイカイがこの一連の事件に噛んでたってわけ。もっとも、向こうは気づいてないみたいだけど」

 

しばらく息を飲んでモニターを見つめていたマキ署長だったが、ふと疑問が浮かんだ。

「それで、先ほどから見せていただいたディスク、送り主はインブルの従業員って言ってましたけど…」

「そうね。インブルの従業員ならこんな不利なことはすると思えないし…でも、このディスクの最後にはこんなメッセージがあったのよ」

 

『以上、悪徳業者インブル製薬、ドラッグ利権に毒されたネロス警察署…』

画面にはメッセージの文字がスクロールされている。二人はそれを黙って見つめていた。

メッセージはさらに続いていた。

『…および一連の事件の元凶であるゴクセイカイに関する資料をここに送る。ぜひとも捜査に役立てていただきたく思う 怪盗ノワール』

「…怪盗ノワールですってぇ!?」

突然総監室のドアが開き、すさまじい形相でシーナ・ヴァイス警視が飛び込んできた!

「ヴァイス警視、部屋に入るときはノックぐらいしなさいと言ってあるでしょ?」

「す、すみません総監!でもノワールがこんなの送ってくるなんて…あいつはどこまでも警察をバカにして…!」

「……確かにノワールは憎むべき犯罪者かもしれない。でも彼が盗んできた『情報(モノ)』のおかげで、例の事件(ヤマ)が今片付きそうなのよ」

「あ、あはは、そうなん…ですか…、はは…失礼いたしました…」

ヴァイス警視は笑いながら総監室を後にしたが、その顔は明らかに引きつっていた。

そしてそれを見届けたアイヴィー総監は、マキ署長に一枚の依頼書を手渡した。

「それでマキ署長、あなたを呼んだ理由だけど…あなたのところのK-9隊にこれを渡してもらえるかしら」

「これは…」

「そう、例の事件に関する捜査依頼書よ。頑張ってね」

「了解しました。必ず犯人を確保し、事件を解決してみせます!」

そう言うと、マキ署長は敬礼し、総監室を後にしていったのだった。

 

一方、自室に戻ったヴァイスは、右手で握りこぶしを作りながら呟いた。

(ノワール…シャクだけど今回ばかりはアンタに礼を言ってあげるわ。でもいい気になるんじゃないわよ…ゼッタイ捕まえてやるんだから!)

翌日、ラミナ警察署K-9ルームに、マキ署長とK-9隊隊長エルザ・アインリヒトが入ってくる。

まず、エルザが口を開き、すでに集まっていたメンバーに言う。

「よし、みんな集まったな?ではこれより任務の概要を伝達する」

緊張感が走る中、マキ署長がさらに続ける。

「K-9隊には今回、ネロス地区にあるインブル製薬の工場周辺および周辺地域の捜査にあたってもらいます」

その言葉を聞いたメンバー一同は次々に思ったことを口にする。

「インブルか…黒いウワサがあるってのは聞いたことがあるが、やっぱりって感じだな」

「モニカちゃんも、インブルの薬は絶対買わないって言ってましたし」

「グーテもあの会社なんか怪しいと思ってたね」

そんなメンバーをよそに、マキ署長はスーツの内ポケットから捜査依頼書を取り出す。

 

「これがその…総監じきじきの捜査依頼よ」

「総監から?でも普通は捜査依頼書って署長の名前で出しますよね?」

質問したのはリクだった。リクはまだ幼い少年だったのだが、K-9隊での勤務に当たっていろいろと予備知識を身につけているようだ。

「普通はね。でも、普通じゃなかったりするんだなこれが」

「私も署長から話を聞いたが、この事件にはネロス警察署も噛んでいる。つまり警察内部にドラッグ利権を目当てにした内部犯がいるということだ」

エルザはそう言いながら、隊員たちの前を歩く。そしてさらに続ける。

「…しかもだ、この売り上げルートがゴクセイカイに流れているとのことだ」

「やーれやれ、またゴクセイカイですか。要はインブルとネロス署が奴らに活動資金を渡してるってことでいいんですね」

「まあ、アレクの言うとおりで間違いはない」

「でも、自分の名前で依頼書を出すあたり、やっぱりあの人らしいな」

そう言ったのはクオンだった。すかさずフィーアが質問する。

「…あの人らしい、って?」

「ほら、悪人(クロ)だってわかれば相手が警察(ミウチ)だろうが容赦しないあたりがさ」

「…あー、確かに」

「まったく、総監も随分徹底してるぜ」

「でも、そこがあの(ロボ)のいい所だってグーテも思うよ!」

「とにかく諸君。例の事件を解決するために我々K-9隊にに出動依頼がかかったんだ。すぐに現地へ急行するぞ」

「了解!!!!」

同じ頃、インブル製薬の社長室。

そこにはイタチ形ファンガーの男と、アナグマ形ファンガーの女。

男のほうはインブル製薬の社長であるガストン・インブル、

女のほうはネロス警察署の署長であるアグネス・デュポンである。

そして彼らが座っている席にはもう一人、銀髪のテラナーの姿があった。

ゴクセイカイの首魁、トラジ・キクガオカである。

 

「しかしお二方とも、上手く事を運んでくれているようですな」

トラジのその言葉に、アグネス署長は得意げに言い返した。

「なぁに、この街が荒れ果ててくれればアンタんとこの建設会社も儲かるだろ?お互い様さね」

「ちょっとちょっと、あちきらの会社も忘れないで欲しいんですがねェ?」

二人の会話に割って入ったインブル社長に、トラジは落ち着いた様子で答える。

「ええ、もちろん忘れてなどいません。インブル製薬は極秘に製造した麻薬を売って大もうけ。そしてそれを警察がばら撒くことで街はどんどん荒廃する…」

そして、トラジは煙草の煙をふかした後、さらに続ける。

「…そして街がいい具合に荒廃しきったところで我々が大規模なカジノを建設する。インブル社長、そのカジノが完成した暁にはスポンサーとしてあなた様の企業をお迎えいたしますよ」

「ああぁーん、これはこれはさっすがトラジ様!話がわかりますねー!」

「カジノがあればウチらとしても儲かるし、まさにゴクセイカイ様々ってとこさね。それまでの間は頑張ってドラッグを売りさばかせてもらうよ」

「フフ、期待していますよ…」

 

やはりこの事件にはゴクセイカイが噛んでいた。一体彼らは何を企んでいるのだろうか?

そしてK-9隊は、彼らの恐るべき企みを粉砕することが出来るのであろうか!!


 
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