No.394369

水を司る海の王とフルイクイップメント

十河さん


IS・・

料理している唯、テーブルに料理を並べる一夏。
ビールを飲む千冬。

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2012-03-19 12:40:06 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2164   閲覧ユーザー数:2124

その夜

 

買い物から帰った唯は牛スジを煮込んでいた。

食堂で丁寧に下処理を行い、今は自室でコンニャクを加えて焦げないように丁寧に甘辛く煮つけていた。

 

「うーん、相変わらずいい味だね~♪ゆいにゃんの牛スジ煮込み♪」

 

味見した束が上機嫌に言う。

唯に小皿を返しながら束はそういえばと思い出す。

 

「今日箒ちゃんから電話きたよ。」

「そうか、紅椿だろ?」

「うん、ゆいにゃんの言ったとおり渡さないって伝えたよ。一応臨海学校には持って行くって言っておいたけど。」

「今はそれでいい。」

 

唯は鍋の火を止め束に向き直る。

テーブルには冷えた飲み物があった。

 

「あいつがどこかおかしいと思ったのはラウラのヤミーの時。一夏はしっかり鈴のサポートをした。箒もサポートしていたが心のどこかで力を求めていた。」

「今の箒ちゃんに紅椿を渡しても浮かれて自分の周りを見る目が曇ってしまって判断を誤り誰かを傷つける。さらに紅椿は世界各国が到達していない第4世代のIS。」

 

束はそこで一旦言葉を切りお茶を飲み干す。

唯もジンジャーエール(自家製ショウガのシロップ漬けのソーダ割り)を飲み干す。

炭酸の爽快感と喉の奥がポカポカと温まる感じが心地良い。

 

「各国は第3世代を作ってトライアルの真っ最中。そんな中で第4世代が登場したとなれば各国は血眼になってそれを求める。力を持つということは責任が伴う。今の箒ちゃんはその意味を理解していない。」

「そう、俺はかつて力だけを求めて溶けるようにこの世から消えた男を知っている。俺は箒にそうなって欲しくない。力の意味をちょっとでもいいから理解したら渡すつもりだ。」

「さて、箒ちゃんは答えを見つけられるかな?」

 

そう言って唯はこの話を切り上げる。

部屋にあるバッタカンに気付かぬまま・・。

 

唯は短期間だがWと共闘したことがある。

その時にウェザーの使用者・井坂の最期を見たのだ。

井坂はミュージアム首領の持つテラーを手に入れるために本来なら一人一つしか使用できないのだがどういった方法か知らないが様々なメモリを取り込み実験と称して多くの人を殺したりメモリの複製も行った。

だが家族を殺された憎しみを振り切り、何のために戦うのかの答えを見つけた仮面ライダーアクセルトライアルのマキシマムドライブ技・マシンガンスパイクを受け、本来ならメモリブレイクで済むはずがメモリの過剰摂取で溶けるようにこの世から消えた。

だからこそ唯は箒に力の意味を見誤って欲しくないからこそ紅椿を渡さないと決めていた。

 

「唯、束。臨海学校に重なるようにアメリカとイスラエルの合同製作ISのトライアルがあるみたいよ。」

 

資料を抱えつつ(藤丸が極秘に送ってきた)愛琉が部屋に入ってくる。

 

「そうか、何事もなければいいんだけどな・・。」

 

唯と束は愛琉から資料を受け取り目を通す。

 

「銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)・・。武装を見る限りでは広域殲滅タイプか。アレと同じだがアレには天候に左右されない武装と試験的とはいえ特殊な動力と簪のブルーフレーム以上のマルチロックオンシステムを積んでるからインパクトに欠ける。」

「ふーん、でも第3世代のスペックではトップクラスに入るんじゃないかな?」

「操者はナターシャ・ファイルス。アメリカの軍人よ。」

「まあ暴走でもしない限り大丈夫だろ。」

 

資料を愛琉に返しパソコンを操作して一夏のデータを開く。

そこには白式の状態が出ていた。

 

「一夏、貰った時からかなり動かしたみたいだな。もうすぐ二次移行できそうだ。」

「いっくん、かなり努力したみたいだね。作った側としては嬉しいよ。」

 

束は自身が手掛けたISが大切に扱われていることに嬉しく思い笑顔になる。

唯も簪が放課後に黙々と特訓している姿を度々見ている。

各ミサイルのマルチロックオンシステムとフォームGの狙撃型ビームライフルと強化センサーユニットの特性をマスターし、今はフォームLのマルチユニット・タクティカルアームズの遠隔操作の特訓を頑張っている。

その姿を見て託して正解だったなと心から思う。

 

「あ、そうだ。今日新しい仮面ライダーに会ったんだけど。」

「「ゑ?」」

「名前はフォーゼっていうらしい。」

 

第一アリーナ

 

その簪は今日もブルーフレームに慣れるための特訓を行っていた。

タクティカルアームズの遠隔操作はある程度わかってきた。

 

「難しい・・。投擲した後にガトリングに変形させるのは・・。」

 

そう、簪は今投擲したタクティカルアームズを遠隔操作でソードモードからガトリングモードに変形する特訓を行っていた。

これをマスターすれば投擲した後、背後からガトリング攻撃が仕掛けられそこから接近戦に持ち込める。

簪は背後から何者かの気配を感じ振り向く。

 

「・・!?」

 

唯の部屋

 

「・・!?」

 

唯の目が紫に光る。

それが意味することは・・。

 

「ヤミー・・!愛琉は保健室に連絡!束は俺と来い!」

「ええ!」

「うん!」

 

愛琉は保健室に行き2人は気配を頼りにヤミーがいる第一アリーナへと急行する。

 

箒の部屋

 

「私は・・。」

 

箒はさっきの唯たちの会話をバッタカンを通じて聞いていた。

話を聞き、自分は何のために紅椿を求めるのか・・。

箒はその事を考え鈴からの連絡に気づかなかった。

途中で鈴たちと合流。

 

第一アリーナ

 

「うう・・。」

 

カメレオンキツネヤミーの攻撃を受け絶対防御が発生、ISが解除。

タクティカルアームズは破損、フレームは曲がってしまい簪は何とか立ち上がって逃げるが追い詰められる。

 

(死ぬのかな・・。こんなときヒーローが現れて助けてくれるのに・・。)

 

「守ルノハ私ダケデイイ・・。」

「かんちゃん!危ない!」

 

そう言ってヤミーは近づく。

布仏本音ことのほほんさんは声を上げるが間に合わない。

 

「でりゃぁ!」

「キャァ!」

「おりむー!?」

 

その時唯が現れダッシュキックでヤミーとの距離を離す。

 

「簪、のほほんさん、大丈夫か?・・束!一夏!シャルにラウラ!簪とのほほんさんを頼む!」

「オッケー!」

「二人とも大丈夫か!?」

「ラウラはそっちお願い!」

「更織さん、布仏さん、しっかりしてくださいまし!」

(ああ、織斑くんがヒーローだったんだ・・。)

「ありがとーみんなー。」

 

簪の肩を束と一夏、シャルとラウラは本音を保護、セシリアはISを展開して二組を守るように立ち通路へ向かい到着と同時にISを解除。

 

「・・・。」

「・・・。(コクッ)」

 

唯と鈴は互いに頷きドライバーを装着して唯はコアメダルをセット、鈴はセルメダルを指で上に弾きキャッチしてセット。

唯はスキャン、鈴はダイヤルを回す。

 

『変身!』

 

(タカ!・トラ!・バッタ!)

(タ・ト・バ♪・タトバ♪・タ・ト・バ♪)

 

唯はオーズに変身。

 

カポーン!

 

鈴はバースに変身。

 

「それじゃ行くわよ!」

 

バースはメダルをセットしてダイヤルを回す。

 

(ショベルアーム!)

 

バースは左腕にショベルアームを装着してオーズは肉弾戦を挑む。

 

「クッ、ナゼ邪魔ヲスルノ!?」

「あんたを放っておくと大変なことになるからよ!」

「友達を傷つけたんだ、許しはしない。」

 

オーズとバースの強烈な一撃がヒット。

するとヤミーは姿を消す。

 

「消えた!?キャァ!」

「鈴!ぐわぁ!」

 

姿を消したヤミーの攻撃を受けオーズたちは転がる。

 

「姿を消す・・ならこれだな!」

 

オーズは立ち上がってタカメダルを外しシャチをセットしてスキャン。

 

(シャチ!・トラ!・バッタ!)

 

オーズはシャトラバにフォームチェンジ。

バースもメダルをセット、ダイヤルを回す。

 

(ブレストキャノン!)

 

バースの胸部に大型砲・ブレストキャノンが装着。

さらにメダル二枚をセットしてダイヤルを回す。

 

(セルバースト!)

 

「唯!いつでもいいわ!」

「よし!」

 

ラインドライブからシャチヘッドにエネルギーが供給、周囲の反響を探ると揺らぎを発見。

オーズはバースの後ろに行き位置を正確に伝える。

 

「反響を捕らえた!・・鈴!撃て!」

「ブレストキャノンシュート!!」

 

ブレストキャノンから大出力のビームが発射、ヤミーにヒット。

しかしとっさに尻尾で防御したせいか思ったほどダメージが与えられていなかった。

 

「フフ・・。」

「なぜ簪を狙った?」

「簪チャンハ私ガ守ル!ナノニ・・アナタガ簪チャンニ力ヲ与エルカライケナイノヨ!」

「・・!?こいつの親は・・。」

 

オーズはヤミーの親が誰かわかった。

そしてその親がここにいることも。

ヤミーは再び尻尾を広げて攻撃体制に入る。

 

「ならお前のその幻想・・この俺が破壊する!」

 

オーズはトラとバッタを外しウナギとタコをセットしてスキャン。

 

(シャチ!・ウナギ!・タコ!)

(シャシャシャウタ♪・シャシャシャウタ♪)

 

オーズが水に包まれる。

水が弾けるとそこにいたのは全身が青のオーズだった。

これが水を司る海の王・・シャウタコンボ。

 

BGM:Shout out(唄:織斑唯&セシリア・オルコット)

 

「スキアリ!」

「・・・!」

 

ヤミーは背後から攻撃を仕掛けるがオーズは体をシャウタの固有能力・液状化を発動して攻撃を避け背後に回り込む。

 

「ナ、水ニナルナンテ!?・・シビレル・・!」

「あばばばば!」

 

ウナギウィップでヤミーを拘束しつつ電流を流しタコレッグを分裂させて変則的なキックで攻撃。

 

「アタシも取っておき行くわよ!」

 

バースはメダルを次々投入してダイヤルを回す。

 

(カッターウイング!・クレーンアーム!・ドリルアーム!・キャタピラレッグ!)

 

バースは武装を次々装着して攻撃力と機動力を兼ね備えた重武装形態であるバース・デイに変わる。

 

「はぁ!」

「クゥ・・。」

 

ついにヤミーは膝をつきオーズはドライバーをスキャン。

 

(スキャニングチャージ!)

 

オーズは液状化して高く飛びウナギウィップでヤミーを拘束して引っ張る。

 

「捕らえた!」

「クッ!?」

 

そしてタコレッグをドリル状に変化させてヤミーを貫こうとするがヤミーは尻尾で体を覆って貫かせないようにしている。

シャウタコンボの必殺技・オクトバニッシュを受け止めヤミーはオーズを嘲笑う。

 

「残念ダッタワネ!」

「戦いで気を抜くとは二流だな。誰が俺だけで決めると言った?」

「ハッ!?」

 

空中で拮抗している中ヤミーはバース・デイの存在を忘れていた。

 

「ハアァァァ・・。」

 

地上ではバース・デイがブレストキャノンのエネルギーをチャージしていた。

 

「シューーート!!」

(セルバースト!)

 

必殺技のバース・デイ・アタックが炸裂、無防備になった背中に暴力的ともいえるエネルギーを受け背中が爆発。

 

「貫けー!!」

「ワアァ!」

 

ズガーン!!

 

前からはオクトバニッシュを受けヤミーは爆散。

 

地上に降り立ちオーズはある方向を見た後変身を解く。

バースもドライバーのメダルを引き抜き変身を解く。

 

「近い内に話をしたほうがいいか・・。・・!?」

 

唯の手に持つシャウタのメダルが霞んで見えた。

それの意味することは・・。

 

(いよいよ浸食が進んで来たってことか・・。)

 

唯の身体にいる紫のグリード・ユリもといギル・・。

その浸食を止める術はあるのだろうか・・。

 

そして臨海学校が幕を明け箒は答えを見つけられたのだろうか・・。

 

現在の唯の侵食度

 

10段階の3段階(たまに景色が霞んで見えたりする。五感と第六感(経験に基づく勘)を研ぎ澄ませた千里眼が使用不可。)

 

千里眼についてはマンガの示談交渉人・ゴタ消しを参照。

 


 
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