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No.392660
戦姫絶唱シンフォギア ~騎狼の絶咆~ プロローグ
岸辺_翔さん 2012-03-16 21:13:05 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2813 閲覧ユーザー数:2748 |
「がやがやと五月蝿いところだな……」
今、俺がいるのは大型コンサートホールの袖裏。
ここまで客の声が届くとは……どれだけ大声なのだ。
「仕方ないんじゃない? あたしらが出るってだけでも人が集まるんだしさ」
「自意識過剰と言うべきか、よく理解していると言うべきか……」
赤髪の活発女の五月蝿い声を聞きながら、思ったことをそのまま述べる。
嘘など言っていない。自信というのはそのどちらにも捉えられるからだ。
「ま、なんかあったときは頼むよ、オオカミさん」
「フン……お前らの警護は俺の任務だ。言われずとも
「おー、凄い自信。〝自意識過剰と言うべきか、よく理解していると言うべきか〟ってね」
「お前な……」
一本とられたな。
慣れないやりとりに心苦しさを覚えつつも、真っ赤なスーツに身を包んだ男に歩み寄る。
徒手格闘だけであれば俺とタメをはれる強者だ。
「なにか用か、
「様子を見に来た。その調子だと問題はなさそうだな」
「俺はこの状況を望んでなどいないがな。騒がしいのは苦手だ」
「またまた~。こんなお年頃の女の子を会話出来るだけ良いと思いなさいよ」
「…………弦十郎、こいつ殴り飛ばしていいか」
「ライブの後でな」
「
「行かないよ!? 殴られるとわかってて行くわけないじゃん!」
「ならば俺から会いに行くだけだ。覚悟しておけ」
奏の額を左手で小突き、恨めしそうな目を向けられているのを無視する。
今や話題の人気ツインボーカルユニット「ツヴァイウィング」の奏だが、正直……俺は苦手だ。歌が嫌いというわけではない。あいつ自信が嫌いなわけでもない。やかましいのが嫌いなだけだ。
……
今まさにそいつのところへ向かっているわけだが。
「…………なんですか、私に」
「片方が無闇に前向きであれば、方や残りは後向き。人間とはつくづく理解できんな」
「嫌味を言いに来たのなら、帰ってください……。今は、1人で考えたいから」
「存分に悩むといい。人間はそうして進化を遂げた生き物だ。俺のようにならぬためにもな」
「……貴方のようにって、どういうことですか」
「……………………お前は、俺に似通っているところが見受けられた。それだけだ」
片翼―――もとい風鳴・翼。
防人として生き続けてきた理念は俺に似ている。生きてきた時が違うからこそ言えるが、近い将来……こいつは俺のように、『考え』を無くしてしまう可能性がある。
「似てないっ。……私は、貴方のように強くないし、それに……」
「短絡的でもない、か?」
「そうじゃ……ないけど」
「いいさ、悪評は慣れている。俺は無慈悲な王……そう呼ばれたこともあった」
あれから…………あの大戦から、二百余年。
もうあいつらは、完全に消え去ったはずだ。俺だけが時間移動しているのなら……話は別だが。
「まあ、せいぜい後悔だけはしないようにな。悔いた人のやることは理解できん。怒りや絶望、憎しみの顔は……醜いものだ」
近くにあったコンテナの影で寄りかかり、持ち弾の確認だけしておく。
タフォリオ ラプター1丁にライフル弾18発。Desert Eagle 14inh Mk-XIX2丁と
合計丁度100発だ。はたしてこれで…………勝てるのだろうか。嫌な気配を出すあいつらに……。
市販品の通常弾ではないにしろ、アレに致命打を与えることはできない……。
「始まったようだぞ」
「む…………。いつのまに」
「お前が銃をいじっている時だ」
「武器の確認と言え。依頼である以上、俺はできうる限りを尽くさねばならないからな」
「戦力は期待している。頼んだぞ」
「任せろなどと悠長なことは言わんが……………善処はしよう」
「……ああ。俺は持ち場に戻る。帰りはエスコートしてやってくれ。頼んだぞ」
「
Client is My God'es.
直訳してしまえば……依頼主様は絶対の存在である、だ。
命令されたら従う他に無い。
俺は、あの2人を
―――何があろうと帰ってやるよ。2人揃って、また歌わせてやる。
世界規模の厄災……〝
―――さあ、
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