No.391915

全ての終焉 26

ラグエスさん

ヘルマン編突入

2012-03-15 17:25:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2204   閲覧ユーザー数:2119

このSSのネギはあくまで、原作のオリジナル最終話以降より逆行してきたため、

原作以上のラスボスが存在しています。後、この話を出さないと後の展開が破綻します。

 

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第26話『権限の鍵』

 

 

修学旅行が無事に終わり、数日が経過していた。

エヴァの弟子入りすることが無いので数日経過したに過ぎない。

こんな事で後の展開が違う方向になるとか正直言ってどうでもいい。

 

まあ、それはそれとして、後は夏休みを除外してヘルマンと学園祭だけ。

 

今、僕がいる場所はエヴァの別荘で木乃香さんと明日菜さんを鍛えてもらっていた。

 

 

「ところでエヴァンジェリンさん」

「何だ?」

 

「木乃香さんは治療魔法重視で鍛えてもらえますか?」

「今も石化になってる連中を治すためか?」

 

学園長にでも聞いたのだろうか?

僕が話したという記憶すらない。

その話を知ってるなら父、ナギが生きてる事を知ってるはずなのに、それを知らない?

学園長すら知らないみたいだから無理もないか。

 

「神楽坂明日菜は刹那の稽古と私の指導をさせれば問題ないだろう」

「そうですね、僕も修行しますか」

「ネギに修行する必要があるのか?」

 

エヴァの言う通りなのだが、しばらく体を動かせてないと鈍る。

異世界に行き戦い、僕の別荘に帰還し、のんびりと寝ていたら鈍っていた。

寝ていた時間が長かった原因かもしれない。

 

「前に2日間寝ていたら体力が落ちてまして、それで」

「そうか……」

 

本当は2日じゃなく20年だったりする。

異世界に行った時、仮眠程度の時間しか取っていない。

残りはほとんど戦闘時間だったからだ。

2年以上戦い続けたら疲れるに決まっている、と懐かしく思い出していたネギ。

 

「ネギ、刹那さんが来てないんだけど…」

「そういえば、呼んでませんでしたね。どうしましょうか」

「私も剣術は知らないな。断罪の剣があるからって剣の基本程度だしな」

 

それでも強かった記憶がある。エヴァも伊達に、無駄に600年も生きてない。

明日菜さんがハリセンで素振りをしていた。

ブン、ブン、と音が鳴っている。

 

「ハリセンで素振りとはシュールだな」

「アーティファクトだから別に良いんじゃないですか?」

「ウチは何をすればええん?」

「!?」

 

木乃香さんの声が大きく響いた。

後ろから、耳元に近かったからそう聞こえたようだ。

それになぜ僕に聞くんだ?まあいいか、と思考を捨てた。

 

「木乃香、どうするか…ネギの父親サウザンドマスターの魔力を凌ぐお前なら最高の白魔法使いになるだろうな」

「白魔法使い? エヴァンジェリンさん、ゲームに影響されたんですか?」

「人気になってる魔法を使ってるゲームを買っただけだ」

 

エヴァがゲームに興味を持つなんて早すぎる。

最低でも魔法世界から帰ってからなのにさ。

素振りを終えた明日菜さんがこちらに近づいてきた。

 

「エヴァちゃん、素振り終わったわよ」

「あ、ああ」

 

エヴァが目を見開いて愕然としている。

理由が分からない。

 

「素振り何回にしたんですか?」

「1000回にしては早くないか?」

「ネギの修行時の素振りって魔法の矢が飛んでくるのよね、それで早く振るの慣れてしまって」

「魔法の矢だらけやったな~」

 

僕が明日菜さんを鍛えていた時、魔法の矢を無数にプレゼントしていた。

最初は苦労してたが慣れたみたいだから、速度を倍にすると直撃ばっかだった。

木乃香さんも明日菜さんの光景を見て青ざめていた。

 

やっぱり、この光景を失うのは嫌だな。

未来で起こる悲劇ほどではないが危険な状況を思い出し、アレを召喚しようと決めた。

 

僕は数歩ほど歩き、立ち止まり、ある武器を召喚させるために呟く。

 

「……最後、終焉、絶望、創生、世界創造を生み出しキーよ、我の手元に降臨せよ」

 

明日菜さん達は黙って僕の方へ見ていた。

エヴァは今から僕がやる行動に警戒する。

警戒するのも無理はない。

莫大な魔力が漏れてるし、エヴァ並みの魔力で何かを召喚させようとしている。

僕自身、忘れていた事があった。

今日まで忘れてしまっていた。

それは創造主の持っていた最後のカギ以上が存在していた事。

そのカギは世界を自由に創造、消滅ができる事だった。

 

それが今、ここに降臨する。

光の粒子がネギの目の前に集まっていき、鍵の形になっていく。

鍵のサイズがネギの持っている杖と同じだった。

 

「ネギ、何それ?」

「カギの形してるやん」

 

ようやく粒子が集まり終わったようだ。

鍵の形となり、光が消えた。

明日菜達から見れば、鍵の表面が綺麗に思えた。

色が虹色で見る場所によってはオーロラにも見えるほど綺麗だから。

 

「ネギ、それは何だ、というか何を召喚した!?」

「綺麗やな~」

「カギって事は特殊の扉を開くためのカギなの?」

 

エヴァはこの鍵の本質を知りたそうだ。

明日菜さんはRPG的な事を言っていた。

だから、僕は答える。

 

「このカギの名称はデウス・クレアートル・マスター・キーと言います」

「デウス・クレアートル…創造神と言う意味か」

「それって武器なん?」

「何言ってるのよ、木乃香。鍵なんかで戦える訳ないでしょ?」

「れっきとした武器ですよ」

(創られたと言われる魔法世界だけでなく、全てを自由自在に…ね)

 

明日菜さんの言葉を否定し、心の中で呟いた。

完全なる世界、創造主以上の者が偶然掘り出したと言われるオーバーテクノロジー

前に持ってた者がこの世界に干渉し、最後のカギもろとも完全なる世界の連中を滅ぼした。

僕の返事に驚く明日菜さんが空中に浮いてるカギに触りながら、

 

「これが武器ねえ、そうは見えない」

「創造神と意味が付いていながら何の力すら感じない」

「すごく心地ええな~」

 

いつの間にか明日菜さんとエヴァもカギに触っていた。

ネギ以外に触る事が出来ない訳じゃない。

この鍵はネギ以外に反応しない。

もしも、反応する者がいたとすれば掘り出した者のみ。

 

「エヴァンジェリンさん、修行はどうしたんですか?」

「ああ、バカレッド、木乃香、再開するぞ」

「再開するぞ、ってウチ何もしてない気がするねんけど?」

「魔力を最大まで高め、時間を長くさせろ」

「言ってる意味がわからへん」

 

エヴァはこう言っている。

魔力を常に開放し慣れさせておけば

消費も負担も無駄に掛けなくて済むと言う。

 

「どっかの漫画で見た事あるで」

「確かドr「確かに魔力でもできる事は出来ますが大丈夫なんですか?」……」

「気ができるんだ。魔力でできないという道理はない!」

 

拳を握りテンションを上げるエヴァ。

こんなエヴァ、見た事が無い。

 

「夕映ちゃんや本屋ちゃんも呼んどかなきゃ」

「とりあえず、ハルナは無視な」

「邪魔なだけよ」

「そやな」

「お前ら、酷い言いようだな」

 

ハルナさん、ひどい扱いですね。

エヴァまで憐れみな表情をしているから、僕も今回だけは同情します。

ハルナさんの今後が思い浮かびつつ、天に向けて合掌する。

 

「刹那も連れてこないと木乃香の修行をしてる時、誰が相手をするんだ?」

「ん? せっちゃん呼べるんやないん?」

「パクティオカードッスね」

 

僕の右肩に変な生き物、カモがいた。

何時の間にいたんだか、と呆れてました。

 

「パクティオカード……呼んでみますか」

 

胸ポケットから刹那さんのカードを取り出し

 

「召喚、桜咲刹那」

 

前方に赤い魔法陣が浮かび上がり召喚させると、何と!

 

「せっちゃん……」

「は、は、裸!?」

「アッハッハッハッハ」

「えっ、えっ!?」 

 

全裸で現れた刹那さんが慌てて胸と股の部分を隠す。

表情が赤くなっていた。

その光景にエヴァは笑っていると言う妙な光景。

 

「その格好だとネギに悪影響を及ぼすな」

「そやな~、せっちゃんも魅力あるし」

「エヴァちゃん、どうするのよ!?」

 

真面目な表情で考えてるみたいなエヴァは後方に振りかえり

 

「茶々丸、適当なゴスロリ服を持って来い」

「わかりました」

 

エヴァの背後から茶々丸さんが忍者の様に現れ、同じように消えた。

茶々丸さん、性格と能力変わってません?

一瞬だけ硬直してたが別の事を考える。

 

「刹那さんのゴスロリ服か……見てみたいな~」

「ネ、ネ、ネギ先生!?」

 

刹那さんが顔を真っ赤にして僕を呼ぶ。

木乃香さんと明日菜さんが面白くない、と雰囲気を漂わせて僕に視線を向ける。。

ここで、エヴァが助け船を出してくれた。

 

「お前達も着れば良いだろう?私は着るぞ」

「し、仕方無いわね」

「ウチも着る!それにしても、明日菜もノってきたな~」

 

楽しそうにはしゃぐ木乃香さん。

コツコツと距離がある右の建物の入り口から足音が聞こえた。

エヴァの別荘ってかなり前と違う。

前に無い物がチラホラとある。

入口の方へ視線を向けると服を持った茶々丸さんがこちらに向かってくる。

いい加減恥ずかしくなったのか茶々丸さんから服をひったくり森の中へ入っていった。

 

「せっちゃん、よっぽど恥ずかしかったんやな~」

「当り前でしょ!あれで恥ずかしくないとかあり得ないわ」

「戻ってきた」

 

森から出てきた刹那の服装は白と黒の色で合わさったゴスロリメイドだった。

スカートも見える様で見えない仕様になっている。

 

「そういえば、下着は履いてるんですよね?」

「あ、当り前です!!」

 

僕の言葉に刹那さんが慌てて答える。

服だけしか持ってきてないような感じだったのに。

 

「服の中に隠してただけです」

 

茶々丸さんが理由を言ってくれた。

なるほど、道理で見えない訳だ。

そんな事を考えてる場合じゃない。

そろそろ本題に入ろうか。

 

「刹那さん、明日菜さんと付き合ってくれませんか?」

「剣、ですね。いいですよ」

「じゃあ、刹那さん、あっちに行きましょうか」

 

カードからハリセンに姿を現し2人は森の奥へ消えて行った。

これで戦力が上がると良いけど。

 

「エヴァンジェリンさん、木乃香さん、あの2人も呼びますから魔法を教えてあげてくれませんか? 僕はちょっとこの鍵を完成させなければいけませんから」

 

何時の間に消したのか謎のカギがもう一度姿を現す。

エヴァは完成という言葉に引っかかり目を細めたが、

 

「ん? いいだろう。木乃香も手伝え」

「基本的な魔法だけで良いんやろ?」

「ええ、とりあえずは魔力を扱える程度で」

 

魔力を扱える程度じゃなきゃあの修行法も意味が無い。

それにこの鍵、良く見ると今の僕では使いこなせない。

暴走なんてしたらどうなるか想像したくない。

夕映さんとのどかさんを呼びますか。

 

「寝てたりしたらどうするん?」

「起こすに決まってるだろ」

「魔法の事を知ったんですから習得させて仲間に引き込んだ方が早いです」

 

木乃香さんにそう言ってから、スペースのある場所に魔法陣を展開させる。

位置はエヴァの右隣に茶々丸さん、木乃香さんという順だ。

 

「現在いる座標は……そこか。召喚、綾瀬夕映、宮崎のどか」

 

魔法陣の色が赤、青、緑と永遠に繰り返し輝き始める。

準備が完了した合図として白に変わった瞬間、2人がこの場に召喚された。

 

「こ、ここは?」

「アレ? ネギ先生」

 

夕映さんとのどかさんがキョロキョロと見回し、僕に気付いた。

そういえば、今、何時なんだっけ?

現実時間の存在をすっかり忘れていた。

2人の様子だと夜という可能性を捨てた。

 

「あの、ここはどこなんですか?」

「ここはエヴァンジェリンさんの別荘です。用件はお2人に魔法を教えようと思いまして」

「ま、魔法ですか!?」

 

興奮したように僕の右手を握る夕映さん。

 

「私達が……魔法」

「魔法使いになる時が来……ん?」

 

夕映さんが空中にある鍵を見る。

 

「あれは何ですか?」

「カギ?」

「アレは鍵です。普通のカギではありませんが」

 

夕映さんとのどかさんがじーっと虹色の鍵を見つめていた。

木乃香さんが僕の方を見て、

 

「何か、ウチら空気やな」

「そんな事ありませんよ」

「おい! 鍵を何時まで見ている! 魔法を知りたいのだろう? さっさと私の後へ着いてこい」

「あ、はい!」

「フフフ……」

 

エヴァは2人にそう言って大きな城の方へ歩いて行った。

2人はエヴァの後を追っていく。

木乃香さんだけが残っていた。

 

「木乃香さんも行ってください」

「ネギ君、聞いてもええ?」

 

木乃香さんの雰囲気が変わった。

誤魔化すことは誤魔化すが、話を聞こう。

木乃香さんは深呼吸をし、決心したのか頷いて、こう言ってきた。

 

「ネギ君って明日菜やエヴァちゃん、せっちゃんみたいな子が好みなん?」

「はいっ!?」

 

つい横にズルッとコケそうになった。

予想と違う事を言われて思考が停止してしまった。

 

「ウチも明日菜ほどスタイルは良くないんは自覚してるけど……」

 

指を絡ませながら僕を見る。

木乃香さんも魅力があると思う。

思った事をそのまま木乃香さんに伝えると、

 

「そうやな! ウチも今後に成長があるんやな!」

 

嬉しそうにはしゃぐ木乃香さんはよしっと何かを意気込み、

 

「エヴァちゃんの所行ってくるわ」

 

先ほどの雰囲気が消えて笑顔に変わった木乃香さんが城の方へ飛んでいった。

浮遊術を習得させたから飛ぶのは当たり前。

ちなみに、明日菜さんには習得させていない。

理由は、戦闘力を強化する事だけだったから。

木乃香さん達の性格を前と比較し、

 

「ふう、何か僕の知ってる歴史と違う方向に行ってる気がする」

 

僕は悩んでも仕方が無いと溜息を吐いた。

今まで空気だった鍵を持つ部分に魔力を送り込んだ。

鍵に魔力を送る理由はある。

この時間に戻る前のネギに設定されてたため、今の僕には使用できない事。

僕の魔力を同期させる事で再設定が可能である事。

以上の2つが理由。

 

「ふう、ヘルマンで試そうかな?」

 

エヴァの悪魔的な笑みに似た表情になる。

でもいいのか?っと一瞬考えたが、横に首を振る事で否定し、

ヘルマンを実験台にする事に対し、何が悪い。と口を歪ませる。

それはそれとして、僕は刹那さんと明日菜さんの所へ様子見に行こうと決めた。

 

「決して刹那さんのゴスロリメイド姿を見に行く訳ではないです」

 

誰もいないのに、そう言い残し、この場から無詠唱による転移を実行した。

 

 


 
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