No.389237

真・恋姫†無双~二人の王佐~第二章 第六話『賈駆の奇策<前編>』

syoukiさん

数々の思惑が渦巻く『董卓軍』対『反董卓連合』の戦い。その初戦である汜水関の攻防戦
が今幕を開ける…


ちょっと話しが長くなったので前後二部構成にしました。後編は一週間以内に投稿するのでお楽しみに!!

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2012-03-09 19:23:08 投稿 / 全27ページ    総閲覧数:7394   閲覧ユーザー数:5779

<注意>

 

この作品の桂花は一刀の妹という設定の為、恋姫シリーズでみられる一刀への罵声や毒は一切言いません。というよりもむしろ逆に甘えてきます。

 

 

 

それにオリキャラが何人も出てきます。一例として桂花の母や妹、華琳の母などまだまだ沢山出す予定です。

 

 

 

そしてキャラの仕官時期が違ったり所属が違ったりするかもしれません。(そのあたりはまだ未定です。)

 

 

 

あと一刀にオリジナル設定を設けていますので、恋姫シリーズの一刀とは身体能力や言葉遣いなど多少変わっています。ですが根本的な所は一緒のつもりです。

 

 

 

それと一刀には以前の記憶がありません。なぜ無いのかはそのうち出てきますのでそれまでお楽しみに♪

 

 

ですが一度読んでみてください!それで「おもしろい」と思ってさらに読み続けていただけたらうれしいです。

 

 

 

 

 

 

<王佐の才>

 

『帝王を補佐するにふさわしい才能(武・智)又はそれを持つ者のこと言う。(辞書引用)』

 

 

 

 

 

これは、平和な世を作ろうと乱世を駆け抜けた双子の男女の物語である。

連合軍を結成してから早数日、袁紹を総大将にした連合軍は二つの難関のうちの一つ、汜水関に到着した。

 

麗羽「おーっほっほっほっほっ!それでは劉備さん、白蓮さん、頼みましたよ」

 

桃香「は、はい…」

 

白蓮「まったく、無茶を言ってくれるよ…」

 

麗羽「何か言いまして?」

 

白蓮「いや、何でもないよ」

 

麗羽「まぁいいですわ。それよりも良い結果をお待ちしていますよ白蓮さん、劉備さん!見事わたくしの立てた作戦で汜水関を落とすんですわよ!おーっほっほっほっほっ!」

 

白蓮「あぁ、それじゃあ行ってくる…」

 

桃香「し、失礼します…」

 

桃香と白蓮は麗羽の天幕を出た。

 

白蓮「さてと、それじゃあ私は自分の陣に戻って出撃の準備をするよ」

 

桃香「うん……ごめんね白蓮ちゃん。私の所為でいきなり前線で戦うことになっちゃって…」

 

白蓮「前にも言ったろ?そんなの気にするなって。私達は共に魯植先生の下で学んだ友だ。だからその友が困っているのなら私は喜んで力を貸すだけだ。だから桃香も、私に謝るのでは無く今度私が困った時に手を差し伸べてくれればそれで構わないさ」

 

桃香「うん、わかったよ白蓮ちゃん!!白蓮ちゃんが困ってたら私、絶対に助けに行くね!!」

 

白蓮「ああ、その時は頼りにさせてもらうよ」

 

桃香「期待して待っててね♪」

 

白蓮「いや、期待してたら駄目だろう!!」

 

桃香「???」

 

桃香には白蓮の言っている意味がわからないのであった…

その後、劉備軍と公孫賛軍は戦の準備も終わり、ついに作戦開始の時が来た。

 

桃香「それじゃあ二人とも気をつけてね」

 

愛紗「御意。では鈴々、桃香様のこと頼んだぞ」

 

鈴々「任せろなのだ!!桃香お姉ちゃんには指一本触れさせないのだ!!」

 

星「頼もしいな。では朱里、合図のほうよろしく頼む」

 

朱里「はい!」

 

雛里「み、みなさんもご無事で」

 

愛紗「ああ、ありがとうな雛里。では行ってまいります」

 

白蓮「星、あまり無茶なことはするなよ?」

 

星「ふっ、それはお約束できかねますな」

 

白蓮「まったく…とにかく気をつけてな」

 

星「白蓮殿も。では私も先陣へ向かいます。桃香様、白蓮殿もご武運を」

 

桃香「いってらっしゃい愛紗ちゃん、星ちゃん!!」

 

白蓮「頼んだぞ!!愛紗、星!!」

 

桃香と白蓮が二人を送り出すと連合の本陣、つまり麗羽の所から攻撃開始の銅鑼が鳴った。

 

朱里「始まりましたね…」

 

桃香「うん……(愛紗ちゃん、星ちゃん、ちゃんと無事に帰ってきてね…)」

 

白蓮「(私は私の役割を果たす。だから星、お前も無事に帰ってこいよ)」

ジャ~~~ン!!ジャ~~~ン!!ジャ~~~ン!!

 

 

戦開始の銅鑼が鳴り響いた。

 

愛紗「鳴ったな」

 

星「ああ」

 

愛紗「では始めるとしようか。す~~~~~~…」

~曹操軍~

 

 

華琳「始まったようね。…で、あれは何をやっているのかしら?」

 

華琳は開始の銅鑼の音とほぼ同時に前に出て汜水関に向かって叫んでいる愛紗を見て言った。

 

茉莉「そうですね……おそらくここの関を守っている華雄を引っ張り出す作戦でしょう。我々が手に入れた情報によるとあの関を護っている華雄という者は自らの武に誇りを持っている将のようです。ですからそれを逆手に取って華雄に罵声を浴びせて彼女を怒らせ自分から関の外に出てくるよう仕向けるつもりなのでしょう」

 

華琳「なるほど、それは効果がありそうね…」

 

茉莉「はい…」

 

秋蘭「ですね…」

 

そう言うと皆春蘭を見つめた。自分たちの陣営にもその作戦に引っかかりそうな人間がいるので素直に納得したのだった。

 

春蘭「な、なんだ!?みんなして私なんかを見てどうしたんだ!?」

 

秋蘭「何でもないぞ姉者」

 

茉莉「そうですね」

 

華琳「そうね、別に何でもないわよ春蘭。ところで一つ質問なのだけど…春蘭、貴女の護る城の門の前に自分に向かって罵声を浴びせる人間がいたら貴女ならどうするのかしら?」

 

春蘭「もちろんすぐに降りていってそいつをたたっ斬りますね!!」

 

すると華琳の質問に春蘭は一切考えず、すぐさま答えた。

 

華琳「そ、そう…」

 

秋蘭「姉者ぁぁぁ~」

 

春蘭「???」

 

茉莉「はぁ、これだから脳筋は…」

 

春蘭「なんだとぉぉぉぉ!!!」

 

華琳「喧嘩するなら外でしてもらえるかしら?」

 

春蘭「も、申し訳ありません…」

 

茉莉「すみませんでした…」

 

春蘭と茉莉は今にも取っ組み合いの喧嘩をしそうになっていたが、華琳の鶴の一言で大人しくなった。

 

華琳「…まぁいいわ。桂花、貴女の意見も聞かせてもらえるかしら?」

 

すると華琳は隅っこにいた桂花にも茉莉と同じ質問を投げかけた。

 

茉莉「華琳さま!?何でそいつにも聞くんです!?私の考えだけでは不足なのですか!!」

 

華琳「別に貴女の意見を否定しているわけではないわよ茉莉。ただ桂花も客将とはいえ我が軍の軍師なのだから意見を聞いておきたいだけよ。いいでしょ桂花?」

 

桂花「しょうがないわね…」

 

華琳「ありがとう。それで?」

 

桂花「ところで聞いているのはどっちの策なのかしら?」

 

華琳「どちら、とはどういう意味なの?」

 

桂花「劉備の作戦のこと?それとも董卓の作戦のこと?どちらを私に聞いているのかということよ」

 

華琳「あら、劉備のだけでなく董卓の作戦までわかるの?」

 

桂花「別にわかるわけじゃいわよ。ただ、私だったどうするかっていう話よ」

 

茉莉「董卓側の作戦なんて時間を稼ぐことだけに決まってるじゃない。なにわかりきったことを言っているのよ!!奴らはそれぞれの関で籠城することで時間を稼ぎ、この即席の連合が勝手に解散するのを狙っているのよ!アンタそんなこともわからないの?」

 

茉莉が偉そうに桂花に説明するが当の桂花は軽く受け流して言葉を続けた。

 

桂花「……そうね。でも、たとえ汜水関と虎牢関という難攻不落の関二つと飛将軍呂布という三国無双の武将がいても向こうには猛将とはいえ挑発に弱い華雄という不安材料があるかぎり、そう簡単にいかないことくらいわかっているはずよ」

 

秋蘭「それはさっき茉莉が言っていたことだな。華雄は武に誇りを持っているから罵られれば怒って関から出てくるという」

 

春蘭「???」

 

桂花「ええ、だから…言っておくけれど、これから話すのは私の考えだから向こうが使ってくる確証はないわよ?それでも聞く気?」

 

華琳「ここまで話したのだから最後まで話しなさい」

 

桂花「わかったわよ。私だったら…」

 

桂花が話した内容は華琳達にとってとても驚くべきものだった。無論できるわけがないと皆が口を揃えて否定したが、のちにこの桂花の考えていた策が現実のものになろうとはこの時の華琳達には想像もできなかったのだった……

~孫堅軍~

 

緋蓮「おっ♪どうやら始まったみたいだな♪…でも何やってるんだ?」

 

冥琳「おそらく華雄を引きずり出そうとしているのでしょう。華雄はとても武に誇りを持っている武将のようですから罵って怒らせれば簡単に出てくるとふんだのでしょう」

 

緋蓮「あ~、あいつか!!確か昔に一度やりあったことがあったな。まぁ、そん時はコテンパンにしてやったんだったな!!……あれ?なら私がやったほうがうまくいくんじゃないか?」

 

冥琳「却下です」

 

緋蓮「だが!!」

 

冥琳「却下と言ったら却下です。自分のお立場をお考えください!」

 

緋蓮「…(シュン)」

 

雪蓮「なら私が…」

 

冥琳「もっと却下だ!!お前は次期孫呉の王という自覚を持て!!」

 

雪蓮「ちぇ~。んーー、でも確かになんか嫌な予感がするのよね…」

 

冥琳「えっ?」

 

緋蓮「おっ、お前も感じたか!!さすが私の娘だな。確かに何か胸騒ぎがするんだよな?何か不測の事態が起きるような…」

 

雪蓮「この戦、荒れるかもしれませんねお母様」

 

緋蓮「そうだな、こりゃあ何が起きてもいいように準備をしておくか!」

 

雪蓮「そうですね」

 

そう言いながら緋蓮と雪蓮の二人はさっさと戦の準備をしに行ってしまったのだった。

 

冥琳「相変わらず緋蓮様と雪蓮の行動には驚かされるばかりだな。それにしても勘、か…普通なら相手にしないが相手は緋蓮様と雪蓮だ。二人の勘は神ががっている以上、念のため準備をしておいたほうがいいな」

 

二人の突然の行動に一瞬驚いた冥琳だったが、二人の勘の鋭さと的中率を身をもって知っているため、すぐさま兵達に戦の準備をさせに動いたのだった…

~馬騰軍~

 

碧「あ?緋蓮のヤツ、突然自分の天幕に戻りやがった!……もしかしてあいつ何か感じたのか?」

 

翠「お袋?」

 

蒲公英「どうしたの伯母さん?」

 

碧は隣にいる元同僚が自分の天幕に戻っていったのでいぶかしんだ。

 

碧「いや、緋蓮の野郎がな、娘と一緒に天幕に戻っていったんだよ」

 

翠「孫堅殿が?別に不思議じゃないんじゃないか?」

 

碧「だが戦開始直後だぞ?いくら先鋒じゃないからといって“あの”戦闘狂が持ち場を離れるなんて考えられん!!」

 

翠「戦闘狂って……まぁ確かにそう言われてみればそうだな…」

 

蒲公英「二人共厠にでも行ったんじゃないの?」

 

碧「馬鹿野郎!!そんなわけあるか!!!」

 

 

ゴチン!!

 

 

蒲公英「うぎゃっ!?ご、ごめんなさい!!!」

 

翠「馬鹿、時と場合を考えないからだ」

 

蒲公英がふざけたことを言ったので碧は蒲公英に拳骨かました。

 

碧「う~む、もしかしたらあいつ何か嫌な予感でもしたのかもしれんな。それで急遽戦の準備しにいった、と…」

 

翠「予感って…そんな曖昧なことで軍を動かしていいのかよお袋?」

 

碧「いや、普通の奴のならそうなんだがな、あいつの…緋蓮のこういう時の勘はかなりの確率で当たるんだよ」

 

翠「いやいやいや、預言者じゃあるまいしそんなこと不可能だろ!!」

 

碧「だが実際に何度も奴の勘が当たるところを俺は見てるからな、信憑性は十分あるんだよ」

 

翠「そんな…」

 

碧「まぁ、ともかく。緋蓮が動いた以上、これから何かが起こる確率が高い。俺達もすぐに動けるよう準備をするぞ。翠、いいな!!」

 

翠「わかった」

 

蒲公英「いたたた、伯母さんたら本気で殴るんだもん瘤ができちゃったよ…」

 

碧「蒲公英もいつでも動けるよう準備をしな!!」

 

蒲公英「へ?」

 

碧「返事は?」

 

蒲公英「は、はい!!」

 

碧「あ!そうそう、言い忘れていたが今回の連合の戦俺は一切手を出さないぞ」

 

翠・蒲公英「「へっ?」」

 

碧「だから翠、この戦はお前が全ての指揮を執れ。いいな?」

 

翠「ちょ、ちょっと待てよお袋!?いきなりすぎるだろうそれ!!」

 

蒲公英「伯母さん出ないの!?」

 

碧「ああ、今回のことでこの国も相当荒れるだろうからな。おそらく俺抜きで戦をしないといけない時が来るだろう。そん時になって焦らないよう、今のうちに俺のいない戦に慣れて」

 

翠「だからって急すぎるだろうが!!せめてここに来る前とかに言えよ!!」

 

碧「そんな細かいこときにするな!!俺の娘なら誰に言われなくても突っ込んで蹴散らすぐらいの気概を見せてみろ!!」

 

翠「いや、そんな……はぁ~、わかったよ。とりあえずやってみるよ」

 

碧「おう、がんばれよ翠!がはははははははっ!!!」

 

こうして馬騰軍も孫堅軍に触発されてすぐに動けるよう準備を始めたのだった。しかも母の馬騰は戦の指揮をせず、娘の馬超にいきなりやらせたのだった。

愛紗が大声で華雄を罵っている頃、関の壁の上では当の本人華雄は飛び出して行きそうなのを張遼に必死に押さえつけられていた。

 

「ええい離せ!!あそこまで虚仮にされて黙ってなどいられるものか!!今すぐに降りていって奴の首を切り落としてくれるわ!!!」

 

「ちょ、ちょい待ちいな!あんな見え透いた手に乗ったらアカンで華雄!!」

 

「だが奴らは今も私の武を愚弄し続けているのだぞ!我慢なんぞできるものか!!」

 

「それはわかっとる!!だがこれは罠なんや!!出て行ったら籠城の意味が無くなるんやぞ!!それともウチらの役目を忘れたんか?ウチらの役目はこの関にできるだけ籠もって時間を稼ぐことや」

 

「くっ、うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

愛紗「出てこないな…」

 

星「ああ…」

 

一方、華雄を関から出させようとするものの、一向に出てくる気配の無いことに愛紗と星は困り果てていた。

 

愛紗「もしかして我々の策が見破られているのか?」

 

星「いや、たとえそうだとしても、情報通り自らの武に自信と誇りを持っているのなら、そんなもの蹴散らしてくれる!とか言って突っ込んできそうなものなのだがな?」

 

愛紗「そうだな、私の予想ではおそらくもう一人の守将の張遼が必死に抑えているのだろう」

 

星「ほう、愛紗お主まるで見てきたように言うな?」

 

愛紗「まぁな、私にも経験があるからな…」

 

星「なるほど、そういうわけか…

 

愛紗の一言で星は全てを理解した。そう、愛紗の側にも華雄と同じ猪の鈴々がいつも愛紗に押さえつけられている姿を思い出したからであった。

 

星「ふむ、では、今度はその抑えをしている張遼も一緒に揺さぶってみるとしようか。愛紗、次は私がやってみてもいいか?」

 

愛紗「わかった。では任せたぞ」

 

星「任せておけ。ふふふっ、腕が鳴るな♪」

 

愛紗「星、お主なんだか楽しそうだな?」

 

星「そうか?ふふふふふふっ♪♪」

 

愛紗「ま、まぁいいか…(触らぬ神に祟り無し、だな…」

 

愛紗は少し気になったものの本能的に聞くのを止めた。

 

星「では……コホン、汜水関守将華雄、ならびに張遼よ、聞こえているか!!我が名は趙子龍!劉備様に仕える将である!!お主らに一言言いたい!!なぜお主ら出て来ぬのだ!!我らはお主らとの戦闘を望んでいるのだぞ!!それなのになぜ応じぬ!!………そうか、わかったぞ!!お主らは怖いのだな!!我らの負けて董卓軍の武将は皆弱く、そして臆病なのだったと知られるのが!!そうか、それならばしかたない!!我々は諦めて帰るとしよう!!所詮董卓軍の武将は皆臆病で弱虫な奴らということか!!この分ではお主らの大将の董卓も大したことのない人物なのだろうな!!………と我らが総大将である袁紹様が言っていたぞ!!!!」

 

星はかなりの悪口を平然と、しかも相手の精神を逆撫でするような暴言の数々を華雄と張遼に放ったのだった。しかも最後に麗羽に全てを擦り付けて…

華雄「うがぁぁぁぁーーー!!!張遼よ、私はもう我慢の限界だ!!私だけではいざ知らず、我らが主であられる董卓様まで愚弄されては黙ってはいられん!!今すぐにでも降りていってあやつらと袁紹を切り殺してやる!!だから張遼、もしこれ以上私を止めるのであればお前とて容赦せんぞ!!」

 

華雄は未だ張遼に後ろから羽交い絞めにされているものの、少しずつ出口に向かって歩いていった。

 

華雄「どうした!!何か言ってみろ張りょ、って、うわぁぁ!?」

 

すると突然張遼の拘束が解けた。なので華雄は今まで力を入れ続けていた反動で前のめりに転んでしまった。

 

華雄「いたたたたっ。おい!!何をする張遼!!いきなり力を抜くんじゃない!!」

 

張遼「それはすまんかったな華雄。ウチも頭に血が上ってて加減が出来なかったんや」

 

華雄「張遼、お主…」

 

張遼「華雄、一人では行かさん。ウチも行くで?ウチも調子こいてるあの馬鹿共を叩き潰したくなったからな」

 

華雄「おう!!」

 

張遼「野郎共!!戦じゃー!!ウチらとウチらの主を馬鹿にしたことあのアホ共を死ぬほど後悔させるで!!!!」

 

董卓兵『うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!』

愛紗「せ、星よ。お主、結構エゲツないことを言うのだな?」

 

星「そうか?あれでもまだ抑えた方なのだがな」

 

愛紗「あれで抑えた方なのか…」

 

星「そんなことよりも、どうやら魚が餌に食いついたようだぞ愛紗」

 

愛紗「なに!?本当だ。し、しかも向こうは鬼気迫る勢いではないか!?お主の所為だぞ星!!お主があのような挑発をするから連中かなり頭にきているぞ!!一体どうするつもりだ!!」

 

星「それはしかたなかろう。忠誠心の高い者を釣るにはその主を愚弄するにかぎるのだからな。だが、そのおかげ華雄と張遼を引きずり出すことはできたのだから良いだろう?」

 

意気揚々と答える星だが、華雄と張遼の部隊は怒気を撒き散らしながらなおも近づいてきていた。

 

愛紗「まぁな。だがこのままいくと奴ら袁紹の首ではなく我らの首を狙いに来るぞ?」

 

星「大丈夫だろう。最後に袁紹の名前を出したから奴らは袁紹の下に向かうはずだ」

 

愛紗「そ、そこまで上手くいくだろうか?」

 

星「大丈夫だろう?」

 

愛紗「まったく、その自信はどこから来るのやら……ふぅ、ではそろそろ我々も参るとしようか」

 

一呼吸したあと愛紗は地面に刺していた青龍堰月刀を抜いた。

 

星「………ふっ。そうだな。では我が背中、お主に預けるぞ雲長殿」

 

愛紗「私の背中も同様だ、子龍殿」

 

星「うむ!」

 

愛紗「………聞け!勇敢なる兵士たちよ!」

 

星「いよいよ我らの戦いが始まる!この戦いは圧政に苦しむ洛陽の民と皇帝陛下を救う戦いである!!」

 

愛紗「恐れるな!勇気を示せ!皆の心にある思い、皆が持つ力……それらを全てを振り絞り、勝利の栄光を勝ち取るため、共に戦おうではないか!!」

 

星「我らに勝利を!!」

 

劉備軍兵士『勝利を!!』

 

愛紗「我らに栄光を!!」

 

劉備軍兵士『栄光を!!』

 

愛紗「全軍、抜刀せよ!!」

 

星「位置につけ!!」

董卓軍兵士「華雄将軍、張遼将軍、敵の先陣部隊が前に出てきました!!」

 

張遼「来よったな!!よっしゃあ!!全軍抜刀や!!」

 

華雄「お前ら!奴らに目にもの見せてやるぞ!!」

 

董卓軍兵士『応っ!!』

 

張遼「そんで奴らが怯んだ隙に一気に畳み掛けて殲滅するんや!!」

 

董卓軍兵士『応っ!!』

 

華雄「我々の恐ろしさを存分に思い知らせてやれ!!」

 

董卓軍兵士『応っ!!』

 

張遼「突撃じゃぁぁぁーーーーー!!!!!!」

愛紗「来たな!!全軍魚鱗の陣に移行!敵の突撃に真っ正面からぶち当たり

、その勢いをもって敵を後退させる!」

 

愛紗「そして、その後はすぐに後退する。時期を見失うな!合図を聞き漏らすなよ!一瞬の油断が命取りになることを忘れるな!」

 

星「我らの旗に付き従えば勝利は間違いなしだ!勇を奮え!名を惜しめ!勝利の栄光を掴むために!!」

 

愛紗・星「全軍……突撃ぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」

 

 

 

 

劉備軍兵士『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!』

 

董卓軍兵士『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

緑の旗と漆黒の旗、二つ旗のぶつかり合いにより汜水関の、ひいては連合軍と董卓軍の戦いは幕を開けた。

華雄「押せーーーーい!!!!」

 

張遼「この勢いのまま押し込むでぇーーーー!!!!」

 

劉備軍対董卓軍、状況だけを見れば華雄と張遼率いる董卓軍の部隊がじりじりと愛紗達劉備軍を追い詰めているように見える。だが…実際はそうではなかった。

 

 

 

星「愛紗!奴らが鋒矢の陣で吶喊してきたぞ! 」

 

愛紗「何!ならばこのあたりが頃合いだな!敵の吶喊に合わせて引くぞ、星!」

 

星「承知した!皆の者、我らは作戦通りに後退する!秩序を保ちつつ、我が旗に続け!」

 

劉備軍兵士『応っ!』

 

 

 

董卓軍兵士「華雄将軍!奴らが後退していきます!」

 

華雄「なんだと!?あやつらめぇぇぇ!!!あれだけ挑発しておいて逃げるとは許せんぞ!!!追撃だ!誰一人として逃がすんじゃないぞ!!特にあの二人と袁紹は我々の手で仕留めるのだ!!」

 

張遼「そうや!!あの二人と袁紹だけはウチ等で斬らんと腹の虫が収まらん!!絶対に逃がすんじゃないでぇ!!」

 

董卓軍兵士「応っ!!」

朱里「桃香様ーーー!!」

 

桃香「どうしたの!?みんなに何かあったの!?」

 

白蓮「星は無事か!!」

 

雛里「大丈夫です。みなさん無事です。作戦通り華雄将軍と張遼将軍は鋒矢の陣で突っ込んできているようです!!」

 

桃香「そっか、よかった~~~」

 

白蓮「ほっ」

 

桃香「よーし、それじゃあ今度は私達の番だね♪作戦通り迫ってきた董卓軍をみんなで避けて袁紹さんにぶつけちゃおう!!」

 

朱里「はい!それにはまずは愛紗さん達と合流しましょう。鈴々ちゃん」

 

鈴々「なんなのだ?」

 

朱里「鈴々ちゃんは自分の部隊を率いて愛紗さん達を援護してあげてください!」

 

鈴々「任せるのだ!!」

 

朱里「それでは我々は合流した時に備えておきしましょう!」

 

桃香「お~う!!」

 

劉備軍の目的は汜水関を開門させること、そして出てきた敵の軍勢を袁紹軍にぶつけて意趣返しすることにあった。だから今、董卓軍が押しているように見えるのは劉備軍の作戦の内であり、このままいけば董卓軍と袁紹軍がぶつかり混戦状態になるはずだった。……………しかし、ここで誰もが予想し得ない事態が起こる。

???「そろそろ頃合ですな。『   』殿、頼みましたよ!」

 

???「………うん。『  』行ってくる。……『  』も気をつけて」

 

???「御意ぃ!!では『   』殿、御武運をっ!」

 

???「……(コクン)」

 

???「よ~し、銅鑼を命一杯鳴らすのですーー!!」

ジャ~ン、ジャ~ン、ジャ~ン、ジャ~~~ン!!!!

 

 

突如大きな銅鑼の音が戦場に鳴り響いた。

~劉備軍~

 

桃香「何、どうしたの!?」

 

愛紗「何事だ!?」

 

鈴々「なんの音なのだ!?」

 

星「何だ!?」

 

朱里「な、なんでしゅか!?」

 

雛里「あわわ!?」

 

 

~白蓮陣営~

 

白蓮「な、なんだこの音!?」

~董卓陣営~

 

華雄「何だ一体!?」

 

張遼「何やこの音!?」

~袁紹軍~

 

麗羽「何ですこの音は!?」

 

斗詩「何ですか!?」

 

猪々子「何だ何だ!?」

~孫堅軍~

 

緋蓮「これが嫌な予感の正体か!?」

 

雪蓮「なるほど、これがそうなんだ♪」

 

冥琳「くっ、やはり当たってしまうのか…」

~馬騰軍~

 

碧「おや?なんだいこの音は?」

 

翠「一体何なんだ!?」

 

蒲公英「何が起きるんだろう?」

~曹操軍~

 

華琳「……まさか!?」

 

春蘭「なんだこの音?」

 

秋蘭「まさか本当に桂花の予想が当たったのか!?」

 

茉莉「そんな!?嘘よ!!」

 

桂花「まさか本当にやる奴がいるなんてね…」

~後方の本営にある劉備軍の馬車の中~

 

???「…………………………………うっ?…」

ジャン、ジャン、ジャ~~~ン!!!!

 

銅鑼の音が尚も鳴る中、突然汜水関の門がから新たな部隊が出てきた。そして、汜水関の上には“子供”が“ある”旗と共に登り、叫んだ。

 

陳宮「“遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よーーー!蒼天に翻るは、血で染め抜いた真紅の呂旗!”」

 

陳宮「“天下にその名を響かせる、董卓軍が一番槍!!”」

 

陳宮「“悪鬼はひれ伏し、鬼神は逃げる、飛将軍呂奉先が旗なりーーー!!”」

 

陳宮「“天下に逆らう悪党共め!その目でとくと仰ぎ見るが良いですーーーー!!”」

 

この声は銅鑼の音によって動きを止めた戦場にとてもよく響いた。そして部隊の一番前にいた女の子は口を開けた。

 

呂布「“……董卓軍所属、第一師団師団長、呂奉先、……参る”」

みんな『!?りょ、呂布―――――――――っ!!!!!!??????』

 

 

 

 

 

まだ初戦である汜水関に虎牢関にいるはずの三国志最強の武将、飛将軍こと『呂奉先』が姿を現したのだった…

 

 

 

 

 

 

後編に続く

 


 
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