『改訂版』 第一部 其の七
定陶
【紫一刀turn】
「なんと風に稟ではないか。」
思いもかけない再会に星も驚いている。
「おお!星ちゃん、お久しぶりなのです。」
「元気そうですね、星。噂は聞いていますよ。」
俺がこの三人に会った時に前の外史の記憶が戻っていたら、また違った歴史を歩んでいたのかもしれないな。
「二人とも曹操殿の所に仕官したのだな・・・成程、曹操殿ならば二人の性格に合うだろう、特に稟は。」
郭嘉が特に?まあ、真面目な処は華琳に合いそうだけど。
「ねえねえ星ちゃん、お知り合いの方?」
桃香が興味津々で会話に加わった。
「桃香様。この二人は私が白蓮殿の所に厄介になる前に、一緒に旅をしていた者です。」
「はじめまして、私郭嘉奉考ともうします。劉備玄徳殿。」
「はじめまして~、程昱仲徳なのですよぉ。玄徳さん。」
「はじめまして~・・・って、私まだ自己紹介してないよ!?」
やっぱり天然だなぁ、桃香って。
「星が真名を様付けで呼ぶのは主君と認めた方、つまり劉備玄徳殿以外にはありえませんからね。」
「それに玄徳さんのお噂はよく耳にしてましたから、その容姿からも推測は容易でした~。」
程昱が桃香の胸を見つめながら言ってるのを見ると、どんな噂かは大体想像できた。
「あ、あはは~・・・じゃあ、改めて。劉備玄徳です、真名は・・・」
「それはお待ちください!」
郭嘉が鋭く遮った。
「我ら二名は曹操様の家臣、曹操様より先に他国の当主から真名をいただく訳には参りません。失礼とは思いますが今はご容赦ください。」
「あ!そうなんだ・・・・・こんな時は当主をやってるのが嫌になるなぁ・・・」
ションボリと肩を落としちゃったよ。
「風は名を変えたのか?昱とは何か意味があるのか?」
「おお!そう言えば星ちゃんにはお伝えしてなかったですねぇ。実は曹操様の所に仕官する日にお日さまを支える夢を見まして~。」
「成程、その日輪が曹操殿という訳か。」
そういえばそんな逸話があったの今思い出した。初めて会った時も本名を名乗ってくれてたんだ。
「なあ星、そろそろ私達も紹介してもらえないか?」
「おお、これは失礼した白蓮殿。稟、風、こちらは公孫賛白珪殿だ。」
「あぁ、袁紹さんにあっさり敗けちゃったあの・・・」
「風!その言い方はっ!」
郭嘉が慌てて止めたが時既に遅し。
白蓮はガックリと
ここは俺が気を利かせて話題を振ってやらないと!
「そういえば星は白蓮の所で客将をしてたよな!どういう経緯なんだ?」
俺の三国志関連の知識では趙雲が公孫賛を助けたとかいうのが多かったよな。
「あの時星ちゃんは路銀が尽きたから仕官して小金を稼いで来るって言ってましたねぇ。」
「・・・・・・・・・・・・」
ごめん白蓮。フォロー失敗した・・・。
「あ~、うん。後こちらが我が軍の軍師、諸葛亮と龐統だ。」
「は、はじめまして。諸葛亮孔明でしゅ!」
「は、は、はじめまして!ほ、龐統、し、士元でしゅ!」
緊張するとカミカミになるのはまだ治ってないのね。
「えぇ!?貴方達が伏龍と鳳雛!??」
「これは驚きましたねぇ・・・」
「ははは、二人が驚く姿を見るのは久方振りだな。」
「まさかこんなに可愛らしいお嬢さん達とは想像してなかったから・・・」
「風はお兄さんの鬼畜っぷりに驚かされました。」
「・・・・・・いい加減そのネタ、もう止めない?」
読者だって飽きるだろうし・・・・・・・。
「主よ、自分の存在価値を否定する様な発言はお控えになった方がよろしいですぞ。」
「星・・・・・真顔でそんな事言われたら、悲しくなるから本当に勘弁して下さい。」
「ほほう・・・星は本当に北郷殿を主と認めているのですね。」
今の発言ってそう思えるものか?
「でも今ひとつ解せないのが、このお兄さんが三人いるというお話ですねぇ。」
「まぁ普通はそうだな。だが私はこの方に仕える前に三人に会ってから決めたのだ。」
あ、そういえば星とは陳留でもう一回会ってたっけ。
あの時はまだ緑の所に仕官する前だったのか。
「それは星ちゃんが以前語ってくれたあの夢をお兄さん達が実現してくれると?」
「夢?」
それは程昱みたいに寝てる時に見たやつじゃないって事だよな。
「この乱世のご時世に民のことを一番に考え、皆が幸せに暮らせる世の中を目指す事。」
あぁ、そうだな・・・確かに俺の本質はそうだ。
「華琳には甘いって言われるけど・・・俺の・・・俺たち『北郷一刀』の目指す物だな。」
「愛紗から緑の主の文は受け取っておいででしょう。暫くは我らの事、お願いいたしますぞ。」
「いやまあ、任されるのはいいんだけど・・・・・・何か上下関係が複雑になってないか?」
緑は当主とほぼ同じ位置にいるけど、俺と赤はそんなに上の役職には就いていないぞ。
「ははは!この状況で皆のあたふたする姿が楽しみで私はこの場にいるようなものですよ!!」
全員が溜息を吐いた。
いかにも星らしい発言に何も言えない。
「一刀ぉ!お姉ちゃんの歌どうだったぁ!?」
「ねぇねぇ!ちぃの新しい振り付け決まってたでしょうっ♪」
天和とちぃが広間に飛び込んできたが、みんなの驚いた視線に動きが止まった。
「「・・・・・・ええと・・・まだ会議中だった?」」
「だから待ってって言ったのに、姉さん達は・・・」
人和も後から申し訳なさそうに入ってきた。
「いや、別に会議って訳じゃないから大丈夫だけど・・・次からはちゃんと部屋の中を確認するようにね。」
「さっきの歌すごく素敵でしたよ!私感動しちゃいました♪」
桃香は入って来たのが張三姉妹だと判ると笑顔で声を掛けた。
「うわぁ♪ありがとぅ~。お姉ちゃん達の歌、気に入ってくれたんだぁ~♪」
「ちぃ達の舞台って基本男の人が集まるから女の子の応援ってすごく嬉しいんだよねぇ♪」
「三人とも紹介しとくよ。こちらが同盟を結んだ劉備軍の当主、劉備玄徳だ。」
「劉備・・・」
「玄徳・・・?」
天和とちぃが固まってしまった・・・。
「どうした・・・もしかして河北の黄巾党討伐のこと・・・」
「いえ、それはもうしょうがないって割り切ってるんだけど・・・」
人和が間に入って説明してくれる。
「劉備さんの所にアレとアレとアレがいるって話を聞いてるから。」
「アレ?」
「・・・・・筋肉お化け・・・」
と、天和。
「・・・・・呂布奉先・・・」
と、ちぃ。
「貂蝉と卑弥呼にも会ったことが有るのか!?」
「私達を漢中から追い出したのはあの二人だと言って過言ではないわ・・・」
「ちぃ達は荊州に逃げ込んで、そこから洛陽を目指したら今度は呂布・・・さらに兗州に逃げたら閉じ込められたっていう流れよ。」
「・・・・・そういう事だったのか・・・・・まあ、今呂布は許昌の南で袁術を迎え討ってるからここには居ないよ。」
「貂蝉さんと卑弥呼さんなら華佗さんと一緒に街の人の病気を治しに行ってるよ。」
桃香が笑顔で教えてくれたけど・・・冷や汗をかいているのを見逃してないぞ。
「これから袁紹軍を撃退するまで連日の舞台になるけど、できるだけ貂蝉と卑弥呼は近づけないように気をつけるよ。」
「た、頼んだわよ一刀っ!!」
「ねぇねぇ一刀ぉ・・・沙和ちゃんと凪ちゃんの姿が見えないけど何処行っちゃったのぉ?」
少しでも知り合いが居れば安心出来ると思ったんだろうけど・・・。
「二人にはもう陳留に向かって貰った。劉備軍が到着したら移動するよう華琳から指示されてたからな。」
「ふえぇ~?お姉ちゃんもっとお話したかったのにぃ・・・」
ごねる天和をなだめて、俺達は明日の戦いに向けて軍議を始めたのだった。
豫州 許昌南方百五里(約42km)
【赤一刀turn】
昨日袁術軍に追いついた俺達は付かず離れずの距離で追尾していた。
緑ならこの先にある橋で待ち伏せをすると予測し、今距離を詰めているところだ。
万が一緑達が間に合わなかったとしてもここでなら北に逃げられる心配は無い。
「雪蓮様っ!前方砂煙の上がり方が変りましたっ!!」
明命の声に俺は望遠鏡を覗いて確認した。
「な~んか戦闘をしてるって感じの砂煙じゃないわねぇ。」
「まさか奴ら、本当に逃げ出して来てるのか?」
雪蓮と冥琳の呆れた言葉を裏付ける様に、袁術軍は隊列も何も無い状態でこちらに向かって来ていた。
「何にせよ時は来たわね。」
雪蓮は器用に馬の鞍に立ち、南海覇王を抜き放って采配代わりに前方を指す。
「孫呉の勇者達よっ!ついに我ら独立の仕上げの時だっ!!各々奮闘せよ!全軍抜刀っ!!」
雪蓮の声に武器を構える音が合唱の様に鳴り渡る。
「全軍突撃ぃっ!!」
雄叫びと共に袁術軍に突進していく兵達。
俺は雪蓮が真先に突っ込んで行くものと思っていたのだが、意外にもその場に留まっていた。
目を細め睨む様に
「・・・見つけた。今から地獄に送ってあげるから覚悟しなさい・・・」
そう呟くと雪蓮が駆け出した。
俺は自分でも理解できない衝動に駆られ、雪蓮を追って駆け出していた。
「おい北郷っ!!貴様まで行く必要は無いっ!!ええぃ、近衛!雪蓮と北郷を守れっ!!」
「はっ!!」
後ろから冥琳の声が聞こえた気がしたが、雪蓮を見失わない様に駆けて行くので精一杯の俺は無視した。
みるみる引き離されて行くがなんとかその姿を見失わずに付いていく。
「邪魔ぁっ!!」
雪蓮が敵軍に突っ込んだ時にスピードが鈍りある程度距離を詰める事が出来たが、それも束の間、またスピードが上がった。
それでも俺が離されない程度のスピードまでには落ちている。
敵兵を
何か?
そんなモン決まってるじゃないかっ!俺はバカか!?
雪蓮は袁術を目指している。
じゃあ俺は何で雪蓮を追いかけているんだ?
雪蓮が袁術の首を刎ねるのを見届けるため?
袁術を助命するため?
ワカラナイ
袁術を守るために雪蓮の前に立塞がった者は切り捨てられ、そうじゃない者は逃げ散って行く。
お陰で俺の前には敵兵がいない。
今気が付いたが敵はなんで弓矢を射ってこない?
こんな無茶な突進、いい的になるじゃないか。
射られて死ぬのは俺だけだろうから大変有難いが。
いつの間にか雪蓮は十数騎の集団を追いかけていた。
一人、また一人と雪蓮を足止めしようと向かって来るが、全てを南海覇王の一振りで薙ぎ払う。
終に最後の護衛が倒れ、残るは袁術と張勲を乗せた一騎のみ。
聞こえてくるのは泣き声と悲鳴。
その馬が突如棹立ちになり二人を振り落とした。
「「きゃああああああぁぁぁ!!」」
落ちた場所がちょうど砂地になっていたため二人は大きな怪我をせずにすんだようだ。
「さあ、いい加減観念なさい。もうあんた達には帰る場所も無いんだから。」
馬から飛び降りた雪蓮が二人に血濡れた南海覇王を突き付ける。
「・・・・・かえるばしょがない・・・・・?」
「・・・そ、それって・・・・・・もしかして・・・・・」
抱き合って脅えつつも聞き返さずにはいられなかったのだろう。
「あんたの城は全て落としたわ。ここの兵も散り散り。あんた達はもうおしまい♪」
俺は馬上で雪蓮の背後から見ている。
だから雪蓮が今どんな顔で袁術と張勲を見ているのかは分からない・・・。
緑は汜水関で鈴々と華雄の一騎討を決着が着くまで見守った。
俺はこの場で何がしたい?何が出来る?
「私達はこれから次の仕事が待ってるの。だから直ぐ殺してあげる。」
「ヒィ・・・い、いやじゃぁ・・し、しにとうない・・・うぇ・・うぇええぁぁあああぁじにどうないぃい!いやじゃぁぁあああぁぁああぁ!!」
袁術の泣く姿は見た目よりもさらに幼い子供の泣き方だった。
「お、おじょうさまぁ・・・・・おねがいです孫策さぁん・・・私の命は差し上げますから・・・どうかお嬢様は・・・おじょうさまのいのちだけはぁあああぁ・・・」
張勲も声を上げて泣き始めた。
「いやじゃあぁぁあぁ・ぅぐっ・・・ななのがいなぐなるの・・・・・うああぁぁああぁ!!」
「うるさいわねぇ!今更泣き落としが通用するとでも思ってるの!?」
切っ先を眼前に突きつける。
「ひぎぃ・・・ひぐっ・あ・・・ぁ・・ひぐぅっ」
袁術は息を詰まらせ、泣きながらその切っ先を見ていた。
「フンッ!!」
予備動作無しに南海覇王が上に向かって弧を描く。
「・・・・・・・ぁ・・・・・・」
口を大きく開けて固まっている袁術の頭から、何故か矢の刺さっていた冠が真二つになって地面に落ちた。
動きが止まったままの袁術のスカートにみるみる染みが広がり湯気を上げる。
「な~んてね。取あえずこれで許してあげる♪」
「え?・・・・・・・・え?」
張勲が戸惑いながら雪蓮の顔を見た。
袁術は完全に自失している。
「行きなさい・・・・・・・・・但し。」
「・・・た、ただし・・・・?」
「二度と戻って来ないコト・・・・・もし戻ってきたら・・・」
「・・・も、戻ってきたら・・・・・?」
「今度はあんた達の頭をその冠みたいにしてあげる♪」
「もどりませんっ!!絶対に戻りませんよぉっ!!」
「それじゃあさっさと行きなさいっ!!」
「は、はいいいぃぃい!!」
張勲は袁術を背負うと一目散に駆けていった。
「ねぇ一刀・・・」
未だに雪蓮は俺に背を向けたままだった。
「うん。」
「なんで私、袁術を殺さなかったんだろ?」
「・・・そうだな・・・・・でも、俺は正直に言うとホッとしてる。」
「一刀は・・・・・・私に袁術を殺して欲しく無かったの?」
「どうかな?俺は雪蓮を信じてるから、もし殺していたとしても雪蓮が殺す必要があると感じたからだと納得をしたと思う。」
雪蓮はここに着いてから初めて俺を振り返る。。
その顔は俺が今迄見てきた中で一番の笑顔だった。
「一刀って本当に・・・」
俺は黙って雪蓮の肩に手を置いて・・・。
「・・・ちょっと、いい処なんだからいい加減覗き見なんてしないでくれる!?」
笑顔から一転超不満顔・・・・・覗き?
「ありゃぁ、バレてたのだ。」
「・・・・・・バレてた。」
鈴々と恋!?
「よく言うわよ・・・・・全然気配隠して無かったくせして!」
「・・・・・・・俺は全然気付かなかったけど・・・」
まあ、雪蓮と俺じゃレベルが違うからしょうがないか。
「あの馬を止めてくれたのもあなたでしょ、恋。」
「馬に可哀相なことした・・・」
恋が申し訳なさそうな顔をしてるが、飽くまでも馬に対してだな。
「そのことはお礼を言うけど、こういう時は気を利かせて頂戴。」
「にゃはは、雪蓮お姉ちゃんみたいな大人の女のお勉強がしたかったのだ。」
鈴々が照れくさそうに言うと、雪蓮は溜息を吐いた後微笑んだ。
「うちの妹達もこれくらい素直だったら良かったのにねぇ。」
すっかり毒気を抜かれた雪蓮は鈴々の側に行って頭を撫でた。
その妹達が武将と軍師を引連れ、蹄の音と共にやって来る。
「姉さま!ご無事ですかっ!?」
「雪蓮!袁術はどうしたっ!?」
「袁術相手に私がどうかなる訳ないでしょ。で、その袁術だけど・・・・・」
みんなが固唾を飲んで雪蓮の言葉を待った。
「見逃してあげちゃった♪てへ♪」
全員がとても疲れた顔になっていた・・・。
「なぁにが『てへ♪』じゃっ!北郷ならいざ知らず、今更儂らにそんな手が通じるとお思いか?策殿!」
いや・・・俺もさすがに『てへ♪』はないと思うぞ。
「・・・見逃した・・ねぇ・・・」
なんで冥琳は俺を見てニヤニヤするんだよ。
「それで雪蓮。袁術は今後再起して復讐に来るのではないの?」
「それは無いと思うのだ!」
「鈴々!それに恋も!お前たちもここまで追撃してきたのか。」
「うん。雪蓮お姉ちゃんが袁術を脅す処もちゃんと見てたのだ。袁術のやつはおしっこ漏らして気絶してたくらいだから、きっとこれからは雪蓮お姉ちゃんから逃げ回ると思うのだ。」
「ふむ・・・成程・・・」
今度は真面目な顔で俺を見る。
「ああ、俺もそう思うよ。因みにあそこの濡れてる所がその跡。」
みんな嫌そうな顔をしながらも一応確認してくれた。
「ねえねえ一刀。この子達は?」
シャオは鈴々と恋に会うのは初めてだったな。
「劉備軍の張飛と呂布だよ。」
「へえ・・・はじめまして。私は孫尚香、雪蓮姉さまと蓮華お姉ちゃんの妹なの♪私とも真名を交換してくれる?」
「お安い御用なのだ!字は翼徳、真名は鈴々なのだ!」
「私の真名は小蓮、シャオって呼んでね。鈴々とはきっといいお友達になれるわ♪」
シャオが鈴々の胸を見て言ってるのは気にしないようにしよう。
「それなら恋・・・呂布ともいい友達になれると思うぞ。動物が好きだから周々と善々とも直ぐ仲良くなれると思うから。」
シャオの飼ってる白虎の周々とパンダの善々相手でも恋なら力負けしないだろうし・・・。
「へえそうなんだ♪シャオって呼んでちょうだいね♪今度周々と善々を紹介してあげるね。」
「うん・・・・・恋って呼んでいいよ♪楽しみ・・・」
・・・まあ、セキトが食われないよう気をつける必要はありそうだけど・・・。
【緑一刀turn】
袁術軍を追いかけてみたら赤をはじめ雪蓮達が集まっているのを発見した。
鈴々と恋もいる処を見ると、既に袁術軍は撃破してしまった後なのか・・・。
「おお~いっ!!」
声を掛けると恋の陰から懐かしいシャオの姿が見えた。
「一刀ぉ!?うわぁ本当におんなじだぁ・・・」
シャオが目を見開いて驚いている。
シャオに挨拶するために俺は馬から降りた。
「はじめまして、お姫様♪俺のことは緑一刀とでも呼んでね。」
「うわぁ~うわぁ~うわぁ~!ねえねえ一刀!こっち来て並んでみてよっ!!」
赤が俺の横に並ぶとシャオは更にハシャギ出した。
「こうすると両手に華ってヤツよね♪」
シャオは右腕で俺、左腕で赤の腕を組んでご満悦のようだ。
「小蓮っ!いい加減にしなさいっ!!」
やっぱり蓮華がキレたか・・・。
「え~!少しくらいいいじゃなぁいっ!!お姉ちゃんだって本当はやってみたいクセにぃ!」
「そ、その・・・それよりも緑一刀にも今の状況を説明しないとっ!」
「説明だったらこのままでも聞けるよね~一刀ぉ~♥」
こんな姉妹喧嘩に懐かしさを覚えつつも、俺は冷汗を流しながら現状の把握をすることとなった。
「そうか・・・袁術を見逃してあげたんだ・・・」
なんだろう?自分がすごく安心しているのが分かる。
自分の気持ちに疑問は残るが、今は早く次の行動に移らなければ。
「よし、鈴々!恋!軍をまとめてくれ。桃香たちに合流するぞっ!!」
「合点なのだっ!」
「・・・了解。」
「それじゃあ私達も早く北に向うわよっ!!」
雪蓮の声に呉の武将達も軍をまとめるため走り出した。
陳留
【華琳turn】
「沙和、真桜、あなた達から見て郭嘉と程昱の用兵はどう?」
「沙和はとっても動きやすかったのぉ。」
「はい、隊長の作戦を成功させる事が出来たのはあのお二方の力があったからだと思いました。」
うん、一刀の書簡と合わせても先ずは合格ね。
「ねぇ、あいつ郭嘉と程昱それに桃香達にちょっかい出してないでしょうね。」
「な~んか桂花って兄ちゃんの奥さんみたい♪」
「ちょ、ちょっと季衣っ!なんてこと言うのよっ!!気持ち悪いっ!!」
「そうねぇ、まるで浮気症の亭主を心配している様に聞こえたわね♪」
「華琳様まで!私は飽くまでも軍師候補の二人と明日の戦を控えて連携の心配をしているだけです!!あんな下半身先行男のことなど・・・」
「はいはい。それで一刀の様子はどうだったのかしら?」
「隊長は張三姉妹の舞台設営などで忙しそうでしたし、今朝の段階ではそのような事はありませんでした。ですが劉備軍の方々とは挨拶をする程度でこちらに移動してきましたからなんとも・・・・・」
桂花よりも凪の方がその手の心配してるわね。
「定陶は郭嘉と程昱に任せれば大丈夫でしょう。朱里と雛里には悪いけど、今回は補佐に回ってもらうわ。」
「あのう華琳様?劉備軍はその二人の言うことを聞くんでしょうか?」
「そこは大丈夫よ、春蘭。郭嘉と程昱は星の昔馴染ということだし、その為にも一刀に行ってもらったのだから。」
「華琳様、そろそろ我々も移動しませんと。」
「そうね、では沙和、凪。明日の作戦はこの書簡に書いてあるのでよく読んでおきなさい。」
「「御意!」なの!」
さあ、明日は官渡で麗羽と対面か・・・・・またあの高笑いを聞かされるのかと思うとウンザリするけど、これも腐れ縁と割り切りましょう。
官渡
【エクストラturn】
明けて曹操軍対袁紹軍二日目。
いや、今回の基本作戦では孫呉の独立も含まれていた。
ここは同盟軍対袁家軍二日目と言うべきか。
初日、袁紹軍は紫一刀の策に嵌り多くの兵を曹操軍に奪われた。
その数は約三万。
もう一つの戦場では袁術軍六万を緑一刀率いる二万と孫策軍三万が撃破した。
現在この合計五万が北上中であり今日の戦に間に合うかは微妙だろう。
華琳の下にも袁術軍撃破の報告はまだ届いていない。
当然今日の戦力としては数に入っていない。
そして寝返った三万も。
その兵や指揮官クラスの練度が低いため実戦への投入は見合わせられた。
董卓軍の時のように即座に実戦配備が可能なら袁家軍十五万に対し同盟側は曹操軍八万、劉備軍三万、寝返った兵三万を足し十四万となる所だ。
実際には同盟軍の配置が、官渡に六万五千、陳留に一万、定陶に三万五千である。
寝返り兵三万は数え役満☆シスターズの護衛と言う名の観客となっていた。
対して袁紹軍は官渡に十四万、烏巣に五千、白馬に五千となっている。
官渡に移動した華琳は倍以上の敵軍を相手にすることになるのである。
「麗羽も一応新兵器を用意してきたようね。」
華琳が敵陣を望遠鏡で確認すると巨大な
「成程、あれで相手の陣形を把握したり矢を射掛けるのにはいいわね・・・・・先頭の櫓の上に居るのは麗羽じゃない・・・馬鹿と煙は高いところに登るって言うけど・・・。」
華琳は呆れて望遠鏡から目を離すと控えている武将たちに振り返った。
「真桜、こちらの新兵器の準備は万全なのね。」
「昨日の内に戦闘のどさくさにまぎれて試射もしときましたから大丈夫ですぅ。」
真桜は自信たっぷりに大きな胸を張って応えた。
「では私と麗羽の
「御意ぃ!って、敵の大将が櫓に居るみたいですけど、ええんですか?」
「あそこから落ちたぐらいで死んでくれたら手間が省けて助かるのだけどね・・・・・どうせ怪我すらしないでしょ。せめて掠り傷を負うくらいの可愛気があればいいんだけど。」
そう言って華琳は季衣を連れて戦場へと向かった。
「おーーーーーーーーほっほっほっほっほっほっ!!よく逃げ出さずに来ましたわね、華琳さん!」
櫓の上で高笑いをする麗羽だった。
「(何か無性に腹が立つわね!)」
「(でもすごくバカっぽいですよ華琳さま。)」
季衣が麗羽を指差した。
「季衣、アレはバカっぽいのではなく馬鹿なのよ。」
華琳も麗羽を指差す。
「聞こえましたわよっ!人をバカと言う人がバカなんですわよっ!!」
早くも子供の口喧嘩になっている。
「普段は人の話を碌に聴かない癖してこんな時だけ地獄耳なんだから・・・」
「そんなことより!この度の戦はあなたに対する復讐ですわよっ!!」
「(あら?よく忘れずに覚えていたわね。)」
「洛陽では大長秋だけではなく、帝にまで総大将であったこのわたくしを差し置いてお会いになりましたわねっ!! それでちゃっかりご褒美までもらってっ!!」
華琳は腕を組み、悪役っぽくニヤリと笑って黙って聞く体勢に入った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何か言い返してご覧なさいっ!華琳さんっ!!」
華琳の顔から笑いが消え眉間に皺が寄った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それだけなの?」
「は?」
「それだけかと訊いているのよっ!!」
麗羽は目を点にして頭の上には大きな『?マーク』が浮かんでいる。
「あぁ、そうですわ。私塾時代に・・・」
「(前言撤回。よくここまで見事に忘れられるものだわ。)」
汜水関や虎牢関のことなどまるで覚えていない麗羽に、華琳は自分がやってきた挑発がまるで意味がなかったと思い知らされ虚しくなっていた。
「もういいわっ!あなたには何を言っても無駄だと分かったから・・・・・それでも最後に一つだけ言ってあげるっ!」
「な、なんですの!?」
「麗羽っ!下からだと下着が丸見えよっ!!」
「なっ!?」
麗羽は慌ててスカートの裾を抑えて真っ赤になった。
華琳はそんな麗羽を見ずに、踵を返して自陣に戻っていく。
「季衣、真桜に合図を。」
「はーい!華琳さま!!」
「お!合図やな!!そんじゃあ記念すべき一発目!発射やあああぁぁああっ!!」
真桜が新兵器のレバーを引くと直径一尺三寸(約30cm)長さ一丈(約2.3m)の木の杭が射出された。
風切音と共に飛んで行く杭は、見事に麗羽が乗っていた櫓の基部に命中した。
「きゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」
崩れる櫓から放り出された麗羽は『ドベッ!』っと情けない音を立てて落っこちた。
「何ですの?一体今のは!?」
すかさず起き上がって辺を見回す。
「おお!さすが麗羽様♪掠り傷一つないですねぇ!」
「敵の新兵器みたいです!」
猪々子と斗詩が駆け寄って来た。
斗詩はツッコミたいのを我慢して報告する。
「杭を飛ばして来たんですよっ!」
真桜の造った新兵器は西洋でカタパルトやバリスタと呼ばれる投石機、むしろ弩砲と呼ぶべきか。
弾は杭以外にも石を始め様々な物を飛ばすことが出来る。
「次弾装填終わりましたっ!」
流琉の報告を聞き秋蘭が狙いを付ける。
弓の名手である秋蘭は風を読んで微調整をした。
「よしっ!射てっ!!」
「はいなっ!!」
またも真桜がレバーを倒すと『バヒュンッ』と音を立て、鋼の板を組み合わせた弓の力で杭が飛んでいった。
これも見事に命中し、櫓を一つ粉砕した。
曹操軍から歓声が上がり、袁紹軍には動揺が走る。
曹操軍側前衛は敵の矢が飛んで来るのを警戒しながら櫓が全て破壊されるまで待機し、袁紹軍の櫓の上に居た弓兵は慌てて逃げ出している。
そこに昨日と同じように数え役満☆シスターズの歌が流れ始めた。
『乙女のチカラ』をBGMに櫓の粉砕ショーは続いた。
『射止めてね』とは非道い皮肉にしか聞こえない。
最後の櫓を破壊し終わった。
「流石秋蘭様や!全弾命中やで!!」
「本当です秋蘭様!!」
「それを言うなら真桜、お前の造ったこの新兵器。これの完成度が高かったおかげだ。流琉も弾込めご苦労だった。」
「桂花の発案に隊長の意見を取り入れたおかげですわ。」
「私もこれくらい全然平気です!」
一仕事終えてお互いを讃え合う。
「しかしこれは人に向けて射つのは
「本来攻城兵器やからなぁ・・・今日のところはこいつも仕事終わりやろ。」
「おっと、突入が始まった!私と流琉は部隊の指揮に行く。真桜はここでこれを守れ!」
「了解やっ!」
定陶
【紫一刀turn】
「烏巣に向かわせた斥候から敵の数は五千と報告が来ました。」
郭嘉の報告に俺達は絶句した。
「・・・・・・・・・・・」
いくらこっちの数を把握してないにしても少ないだろ。
「まあぁ敵の数が少ないのは有難いことですよ~。それじゃあちゃっちゃと烏巣を取り戻しちゃいましょう。」
「こっちの戦力なら白馬も落とせるんじゃないか?」
「ダメですよぉ。兵法にも敵の逃げ道を塞いではならないと在るんですよぉ。」
「あ、そうか。窮鼠猫を噛むって事だったな。」
逃げ道が無くなった兵は生き残るために普段以上の力を発揮する。
それ故こちらの損害を増やさない為にも必ず逃げ道を用意しなければならない。
「烏巣と白馬の敵を撃退しても数はまだ向うが上。それがそんな状態になったらこちらも被害甚大です。」
郭嘉の意見にゾッとする。
「我々が烏巣を抑えれば、官渡の袁紹軍は黄河沿いに撤退を開始し白馬を目指すでしょう。これが曹操様への支援に最適です。」
「みんなの意見はどう?」
朱里と雛里をはじめ劉備軍のみんなの顔を見る。
「私は大賛成です!」
「私もですぅ。」
反対意見は上がらない。
「それでは先陣を星ちゃんにお願いしましょう~。」
「よし任されよう!ふふふ、風と稟の指揮で戦う日が来るとはな。」
東から進撃した俺達は烏巣の西に回り込む形で烏巣に攻め込んだ。
これは風が西から東に吹いているためなのと、烏巣の袁紹軍を白馬に逃げやすくする狙いだ。
「常山の昇り龍!趙子龍の槍を喰らいたくなければさっさと逃げるがいいっ!!」
「西からこんな大軍が!?」
「まさか本隊が破られたのか!?」
西からの攻撃に俺達の予想以上の効果が有ったようだ。
敵はこちらの数に驚き早々に潰走を始めた。
「一応火矢を使うことも考えていたのですが・・・」
「なんかあっさり勝っちゃいましたねぇ・・・」
官渡
【エクストラturn】
烏巣奪還の報を聞いた沙和と凪が、陳留から官渡に攻め寄せはじめた。
「文醜将軍っ!!東から敵の援軍です!」
「にゃにいぃぃい!?」
「顔良将軍っ!!烏巣が落とされましたっ!」
「ええぇぇえ!?そんな、曹操さんの軍はこれで殆んどのはずじゃぁ・・・」
「劉備軍が参戦してきてその数は三万はあるかと・・・」
「劉備さんの所が!?」
「そういや昨日、関羽にぶっ飛ばされたっけ。」
「文ちゃああぁん!聞いてないようっ!!」
カラカラ笑う猪々子に泣きながら怒る斗詩だった。
「兵も完全に動揺してるし、こりゃあまた撤退するしかないなあ。」
「撤退って、烏巣は落とされちゃったから白馬まで引くしかないじゃないっ!!」
「この大軍団でここまで来ましたのにぃっ!!」
納得いかない麗羽がだだを捏ねそうな処にまた一騎で愛紗が寄せてきた。
「文醜っ!昨日の決着をつけてやるぞっ!!」
「げぇ!また関羽っ!?やってられるかっての!姫!斗詩!逃げるぞー!すたこらさっさーっ!!」
その逃げ足は早く愛紗ですら追いつけない。
「ほら!姫も斗詩も!逃げるときにこの呪文を唱えると無事に逃げられるんだぜっ!!」
麗羽と斗詩は溺れる者が藁をつかむ心境でその呪文を唱えた。
「「「すたこらさっさーっ!!」」」
すると馬の速度が更に上がった。
「な、なんだぁ?この私が引き離されるだとぉ!?」
愛紗の視界からどんどん遠下かって行く三人。
それを見ていた兵達も呪文を唱えて逃げ出した。
この日『すたこらさっさー』を連呼する大合唱が黄河南岸を白馬まで移動して行き、周辺住民と鳥獣達を恐怖に
あとがき
稟&風&星
真・恋姫でも萌将伝でも
この三人の会話が魏√の
最初しかなかったのが
欲求不満だったので
自分でやっちゃいましたw
袁術軍vs孫策軍
今回唯一のシリアスシーン
それも鈴々と恋によって
戻されましたが
恋&シャオ
セキト逃げてーーー!
麗羽vs華琳
麗羽のバカさに磨きがかかっていますが
華琳はなんだかんだ言って
麗羽を理解しているようですねw
麗羽のパンツが何色だったかは
皆さんのご想像にお任せしますw
弩砲
魏√では石を飛ばしてましたが
こちらは木の杭を飛ばしてみました
「すたこらさっさー」
「あらほらさっさ~」を蜀√で
言っていたのでここはやっぱり
コレですよねw
次回は遂に
貧乳党の決起大会の予定ですw
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大幅加筆+修正となっております。
対袁術軍戦後半
対袁紹軍戦二日目です。
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