No.384778

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第50話

海皇さん

皆様お久しぶりです。あまりに待たせすぎてもう忘れてしまった方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。
今回ようやく最新話完成して投稿することができました!
お待ちになっていた皆さん、本当に申し訳ありません!!でも打ち切りにはしませんのでどうか見守ってやっててください!!

2012-02-29 13:11:40 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3905   閲覧ユーザー数:3368

 劉繇side

 

 会稽郡、反孫呉連合拠点、劉繇私室にて・・・。

 

 「・・・さてさて、厳白虎の野朗は今頃孫策とやりあってるとして・・・、束沙は今頃兵糧を焼いてるか強奪している頃かね・・・」

 

 劉繇は愛用の椅子にくつろぎながら太史慈に聞いた。

 数時間程前、自身の同盟者である王朗が孫呉軍の兵糧強奪、もしくは兵糧の焼却の為に二万程の軍を率いて出撃した。兵糧を運搬している軍は黄蓋、程普の率いる歴戦の精兵達ではあるが、それでもこれだけの大軍で奇襲をかければひとたまりもあるまい、劉繇はそうほくそ笑んでいた。

 

「そう簡単にはいかないでしょう。兵糧運搬を担当するのは孫呉の歴戦の将である黄蓋に程普の率いる隊、それなりに梃子摺るでしょうね」

 

 それに対して太史慈は、表情を崩さないまま、劉繇に返答を返した。

 太史慈の言うとおり、敵将は孫堅の代から戦場に立っていた、いわば戦の申し子とも言うべき二人である。多少の数の優位ならその経験や指揮でどうとでもなるはずだ。

 太史慈の答えを聞いた劉繇はそれでも余裕そうな表情を崩さなかった。

 

「なにも敵を全滅させる必要はねえよ。ようは敵の兵糧を奪い取るか始末してくれりゃいいんだからよ」

 

 そう、王朗の任務は敵の兵糧の強奪か破壊。敵の軍勢とわざわざ交戦する必要は無い。確かに兵糧破壊の際に敵と戦う場合も有るだろうが、敵兵ではなく兵糧を主に狙っていけば、敵もまともに戦うことが出来ないだろう。なにしろ兵糧は敵にとっては生命線のようなもの、その供給が途絶えたら戦うことすらままならなくなってしまう。

 無論敵が現地で略奪なり何なり行って兵糧を調達する可能性も無きにしも非ずだが、すでに敵の進路上にある村や町の食糧という食糧は全て処分するかこの会稽の城に移し、そこに住んでいた民衆も全員この城の城下町に保護してある。だからまず現地調達は不可能、あとは充分に伸びきった補給線を断ち切ってしまえば敵は兵糧が無くなり、それが原因で兵の士気も下がり、遠征どころではなくなるだろう。そこを一気に叩いてしまえば、たとえ孫呉であろうと一網打尽にできる。

 

「は、防衛戦は全く楽でいいぜ」

 

「そう油断するべきではないと思いますが・・・」

 

「大丈夫だって。兵は敵よりも多めに連れて行かせた。他の連中に横槍でも入れられない限り問題ねえって!」

 

 と、劉繇は笑い声を上げていた。太史慈もしばらく考えて、確かに劉繇の言うとおりだろうと考え直した。

 奇襲に向かわせた兵の数は兵糧の輸送部隊を少し上回る程度だが、敵を全滅させるのならともかく、奇襲で兵糧破壊ならばこれで充分だろう。問題は敵の本隊が奇襲に気がつき援軍を送ってきた場合だが、現在黄蓋、程普軍が進軍している場所は、本隊からかなり離れている。たとえ送ってきたとしても到着する頃には既に兵糧を始末し終えて王朗達は撤退している頃だろう。それに、この戦に横槍を入れてくるであろう第三者勢力も今の所誰も居ない。邪魔される確立も皆無だ。ならばまず心配する要素は無いはずだ。

 

「・・・そうだな、私の考えすぎか・・・」

 

 太史慈は苦笑いをしながら呟いた。

 

 

 

 

 黄蓋・程普side

 

 同じ頃、黄蓋・程普率いる兵糧運搬部隊は・・・。

 

 「ちい!!まずいのう!!段々抑えきれなくなってきたわい!!」

 

 祭は悪態をつきながら遠距離で火矢を射る敵兵目掛けて目にも止まらぬ速さで矢を放った。矢は寸分違わず次々と敵の額、若しくは喉笛を射抜いてその命を奪っていく。

 

 「ええ!!敵の目的は恐らく兵糧の強奪か焼却なのでしょう!こうやって私達を足止めしている間に兵糧を焼き払うつもりでしょうね!」

 

 六花は祭の悪態に返事を返しながら目の前に迫ってくる敵兵を両手の鉄扇で薙ぎ払う。一瞬で接近してきた敵兵三人の首が胴体と別れを告げたが、それでも敵軍にとってはほとんど影響が無い。しかもこちらに接近して攻撃をしてくるのは極僅か、ほとんどの敵は遠距離からの火矢での狙撃による兵糧焼却、近距離は長槍によってこちらの接近を妨害するという役割分担で、祭達の接近をゆるさない。一方の祭達の兵にも弓兵は少なからずいたが、敵の弓兵は木立の中に隠れながら狙撃を続けており、祭のような達人級の弓の使い手ならまだしも、並みの兵では生い茂った木立の中に隠れる敵兵に矢を当てるのはかなり困難である。かといって接近して弓兵を一網打尽にしようにも、目の前には長槍兵の槍衾が展開されており、下手に近づこうものなら串刺しにされてしまう。

 そして最も兵達の障害となっているのが・・・。

 

 「こ、黄蓋様!!程普様!!第二輸送部隊の兵糧の火の勢いが激しく、もはや鎮火は不可能です!!このままでは他の部隊にも飛び火する可能性があります!!」

 

 「なに!?やむをえん!!すぐにその兵糧は廃棄せよ!!他の兵糧は火が移らぬ場所に隔離するのじゃ!!」

 

 「は、はっ!!」

 

 皮肉にも彼女達が運搬している兵糧そのものであった。

 敵軍の本命は祭と六花の首ではなく、彼女達の護送している兵糧である。当然のことながら敵軍は兵糧を狙ってくる為、自軍の兵達は敵と戦うだけでなく、兵糧を守る作業も同時に行わなくてはならなかった。兵糧を奪いに来る敵兵を斬り捨てるだけならまだしも、兵糧目掛けて放たれる無数の火矢を防ぐのは並大抵のことではない。一発一発が当たったところでは大して燃えはしないだろうが、それが十発二十発と当たるとたちまち兵糧は消し炭になってしまう。故に兵糧に火がついたらすぐさま鎮火しなくてはならないのだが、これまた敵の槍兵が次々と妨害を繰り返してくる。そして敵の妨害を受けているところへまた火矢が兵糧に向かって飛んでくる、の悪循環が続いているのだ。

 現に今、八部隊がそれぞれ警護している兵糧のうち、二つが全焼してしまっており、残りもいつ焼き尽くされるか分からない状況だ。

 

 「まったく、絶体絶命とはこの事を言うのかの・・・」

 

 「祭、まだ諦めるわけにはいきませんわ。私達は、どんな事があってもこの兵糧を策様達のもとに送り届けなければなりませんのよ」

 

 「はっ・・、そうじゃな!!」

 

 六花の言葉に祭はにやりと笑みを浮かべると、再び矢をつがえ、敵兵目掛けて放つ。

 

 「我が兵達よ、きけい!!今此処で兵糧を守りきらねば、我等の敗北ぞ!!どんな事があっても此処を突破し、本陣に兵糧を送り届けるのじゃ!!この戦の勝敗は、貴様等の双肩にかかっていると思えい!!」

 

 祭の轟くような声に、兵達は士気を奮い立たせる。そして再び武器を構え、目の前の槍の壁へと立ち向かっていった。

 

 王朗side

 

 「敵軍兵糧に再び火の手が上がりました!!」

 

 「・・・・分かった、引き続き、作戦続行」

 

 「はっ!!」

 

 戦場から離れた場所で、王朗は伝令の報告を聞いて、指示を出した後、沈黙しながら戦闘が行われている方向に目を向けた。

 

 「歯ごたえなし・・・・」

 

 王朗は無表情で、だがどこかつまらなさそうに呟いた。

 王朗にとってこの兵糧破壊作戦は戦闘でもなんでもなくただの作業である。

 ただ近づいてくる敵兵を槍衾で防いでいる隙に、敵の兵糧を焼き払う。

 指揮する者が無能でなければそれこそ誰でも出来るであろう作戦だと、彼女は考えていた。

 

 「・・・あんなに馬鹿でかい声で叫んでも、結果は変わらない、馬鹿馬鹿しい・・・」

 

 黄蓋の雷鳴の如き声にうるさそうに眉を顰めながら呟いた。

 どんなに兵の士気を上げようとも、結果は変わらない。

 兵糧は焼き払われて、孫策軍の補給線は切断されて、壊滅する。

 幾ら叫んだところで、幾ら援軍を求めたところで何も変わりはしない。援軍が到着する頃には既に全軍撤退している頃だろう。無論、兵糧を全部焼き払った上でだ。

そういう展開にするため、わざわざ此処まで兵糧を野放しにし、見逃してきたのだから・・・。

王朗は冷静、かつ冷徹に戦場の状況を分析して、結果を出した。

 

 「・・・つまらない、さっさと終わらせて帰りたい・・・」

 

 王朗はあくびを噛み殺しながら頬杖をついて戦場の状況を見守っていた・・・・、

 

 が

 

 「グギャア!?」「ガハ!!」

 

 突然どこからか飛んできた矢が火矢をつがえていた兵士二人を射抜いた。

 いや、二人どころではない。突如放たれてきた無数の矢が、次々と弓兵達に雨霰と襲い掛かってきた。突然の襲撃に火矢を放とうとしていた弓兵達はとっさに反応できず次々と矢の餌食となっていった。

まさに晴天の霹靂ともいうべき事態に王朗はすぐには理解できず呆然とした。

 

 「え・・・・、何、が、起こって・・・」

 

 「も、申し上げます!!」

 

 王朗が愕然とした表情で次々と射抜かれていく弓兵達を見つめていると、突然陣幕に必死の形相をした伝令の兵士が駆け込んできた。その鎧のあちこちには矢が刺さっており、中には鎧を貫通した身体にまで突き刺さっているものもある。

 

 「な、何者かの軍勢が突然襲撃を仕掛けてきて、我々にむけて一斉攻撃をしてまいりました!!」

 

 伝令の言葉に、王朗の周囲に控えていた護衛兵達はざわざわと騒ぎ出す。王朗は依然として愕然とした表情をしていたが、すぐさま表情を引き締めると、伝令の兵士に質問をする。

 

 「・・・敵の旗印は?」

 

 「敵の旗印は・・・・、真紅の呂と、紺の張です!!」

 

 真紅の呂と紺の張・・・・、王朗の考える限りこれを旗印にしている将は二人しかいない。

 

 「・・・・呂布と、張遼・・・」

 

 名前を唱えながら王朗は歯軋りする。

 

 恐らく敵は初めからこの二将の軍勢を兵糧部隊の近くに潜ませていたのだ。

 万が一にも兵糧を強奪されそうになった場合、その敵を殲滅する為の護衛として。

 黄蓋達の軍勢にばかり気が回っていて他にも軍が潜んでいること等気が回らなかった。

 反孫呉連合の参謀としてあるまじき失態だ・・・。

 そうこうしている内に自軍の兵士達は突然の襲撃に浮き足立っており、総崩れとなっていた。

 

「王朗様!!ご指示を!!」

 

 焦った表情の伝令は、王朗に指示を仰いでくる。王朗はしばらく沈黙していたが、やがて口を開いた。

 

 「・・・総員撤退、全軍に伝えて・・・」

 

 「・・・・は、はっ!!」

 

 王朗の指示を聞いた伝令はすぐさま陣幕から出て行った。

 王朗は去っていく伝令の後姿を見ながらすぐさま周囲の兵士達に撤退準備を命じた。

 

 このまま戦っても勝ち目は無い、とりあえずは多少なりとも敵に被害は出せた、今回はこれでよしとしよう。

 

 王朗は自身にそう言い聞かせながらこの場所からの撤退の為の指示を飛ばし続けた。

 

 

 一刀side

 

時を遡り、ここは孫呉の陣営・・・・。

 

「さ、祭様と六花様率いる兵糧部隊が襲撃されております!!現在なんとか耐えてはいますが、崩壊は時間の問題です!!」

 

 明命の報告の内容に周囲は凍りついたものの、一刀と愛紗、冥琳はあまり驚いていなかった。

 

 「ついにきたか・・・。まあ予想はしてたけど」

 

 「はい、ですが多分大丈夫でしょうね」

 

 「ああ。恐らく壊滅することは無いだろうな」

 

 一刀達のあまりの平静な態度に雪蓮達と明命は逆に唖然としてしまった。

 

 「ちょ、ちょっと!!何のんきなこと言っているのよ!!はやく祭達に援軍を・・・」

 

 「ああ大丈夫だよ雪蓮。援軍は多分必要ない」

 

 雪蓮はあまり危機感が無い一刀達に詰め寄った。が、それに対して一刀は雪蓮を宥めながらも平静な態度を崩さなかった。

 

 「その通りだ雪蓮。兵糧は必ず運ばれてくる。祭殿達も無事だろうから援軍は送るだけ無駄だろう」

 

 「ちょ、冥琳まで、どういうことよ!!」

 

 一刀と同じく平静な態度をとっている冥琳に、雪蓮は訳が分からないとばかりに食って掛かる。一刀は愛紗、冥琳と互いに顔を見合わせると雪蓮に説明を始めた。

 

 「祭さん達の部隊には恋と霞の部隊が護衛でついてきてくれているんだよ。たとえ襲われても祭さん達だけじゃなくて恋達も一緒だから大丈夫ってことさ」

 

 「へっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!恋と霞は確か建業で留守番って」

 

 一刀の言葉になおも戸惑っている雪蓮に、愛紗が説明を付け足す。

 

 「あれは嘘ですよ。恋と霞には本当は祭殿達や敵兵に見つからぬように兵糧部隊についていかせるように指示を出していたのですよ」

 

 「万が一にも敵兵が兵糧を狙って襲撃してきた場合には、敵兵を撃退してもらうためにな。このことは祭殿も六花様もご存じないだろうし、この陣地の人間でも私と北郷殿、関平以外は知っている人間はそうはいないはずだ」

 

 一刀達の説明はこうだ。

 まず、出撃前には恋と霞は出撃しないと意図的に軍に伝え、恋と霞は参加しないと思い込ませる。その後兵糧輸送部隊の出発後、時間を置いて恋と霞の部隊を出発させる。無論敵の陣地に入ったときに、絶対気がつかれないように相当注意を払う必要があるが。そして兵糧が襲われた時、祭達の部隊に潜ませていた恋達の兵の一人が狼煙を上げて合図を出し、恋と霞の部隊に救援を請う、といった具合である。

 

 策の内容を聞いた雪蓮は感嘆したかのように溜息を吐いた。

 

 「はあ~・・・また随分と凝った策を考えたものね~・・・。でも別に私にくらい教えてくれてもよかったんじゃないの?」

 

 「まあまあ、『敵をだますにはまず味方から』って言うし」

 

 「味方も知らなければ敵軍に知られる可能性もそれだけ少なくなります。ましてや総大将が知らないのであれば、より効果的ですので」

 

 「まあこれはせいぜい万が一の保険として掛けておいたものだがな、ついでに一度ばれるともう使えない一回限りの策だから、念には念を入れておく必要があったというわけだ」

 

 冥琳の言うとおり、この奇襲はせいぜい一回までしか使えない。

 一度奇襲を行われれば、さすがに敵軍も警戒するであろうし、どの道これ以上本国に残してある兵を割くのは難しいのだ。

 

 「ふーん・・・まあいっか。でもこれでひとまず今回は兵糧も無事ってことね」

 

 「まあそうあればいいがな・・・。少なくとも全滅することは無いと思うがな・・・」

 

 雪蓮の言葉に冥琳はあいまいな口調で答えた。この作戦でも、さすがに被害を完全にゼロに出来るとは限らない。可能性として幾らかの被害は覚悟していた。

が、それでも全滅だけ避けられれば問題は無い。兵糧全てが無事なら御の字といったところである。

 

 「そういえば明命、あなた確か太史慈軍を追いかけて劉繇の本拠地の会稽に行ったんじゃなかったの?」

 

 雪蓮は突然気がついた口調で明命に質問する。確かに明命は、太史慈の襲撃の後太史慈の部隊をこっそり追跡して劉繇の本拠地に向かったはずだ。

その質問に明命はビクッと身体を震わせると、目を左右に泳がせながらどこか気まずそうに、

 

 「あ、あの・・・途中までは追跡できたのですが・・・川の中でお猫様が溺れそうになられていたので、それをお助けしていたら見失ってしまい・・・」

 

 明命の告白に一同は大きく溜息を吐いた。実に明命らしいといえばらしい理由ではある。

 

 「で、でも!!そのあと助けたお猫様のご飯をお探ししたりしていたら、いつの間にか祭様と六花様の率いられる部隊と合流していて、そのまま一緒に本陣に向かおうとしたら、突然王朗軍の襲撃にあったので、祭様の命で急いで援軍を要請に来たのです!!」

 

 しかもさらに猫の餌まで探してあげていたらしい、つくづく明命は重度の猫好きであると実感した一刀達であった。

 

劉表side

 

 「孫呉と反孫呉同盟との戦いはどうなっている?」

 

「今の所はどちらが優勢という情報はありません。ですが自身の領地という関係で劉繇軍が有利な状況のようです」

 

 玉座に座した劉表に、黄祖は粛々と自身の得た情報を劉表に話す。それを劉表と、その四人の子供達と四人の将達は黙って聞いていた。

 

「・・・それとついに曹操と袁紹との間に戦が始まりました。今はまだ小規模ですがいずれ戦火はさらに拡大するものかと・・・」

 

「予定通り、ですね・・・全ては」

 

 黄祖の言葉を聞き終えた蒯越は静かに呟いた。

 

「ですわね、いつか曹操さんと袁紹さんとの間で戦が起きるのは予期していましたし、後は孫呉の方達と劉繇さん達との小競り合いがもうちょっと長く続けばよろしいのですが・・・」

 

「ふふ・・・、それならもう手は打ってますよ。孫呉側にも、曹操側にも、ね・・・」

 

 蒯越の言葉に続けるように呟いた蔡瑁に、劉琦はにこやかな笑みを浮かべながら呟いた。その兄を劉琮は興味深げに見つめた。

 

「ほう・・・既に仕掛けを成されておられるとは・・・。それは如何なるものですか?兄上」

 

「それはまだまだお楽しみ、まあ楽しみに待っててよ、朱刃」

 

劉琮の質問に劉琦は笑みを浮かべてはぐらかす。劉琮はそれに対して何も言わずに引き下がった。恐らくこれ以上質問しても何も言わないだろうことは長い付き合いから分かっていたのである。

 

「とにかく、曹操と袁紹が始めたのであれば、余らも直ぐに始めねばな。・・・いや、もう始めておるやも知れぬが。・・・とりあえず菖蒲よ、すぐさま袁紹に同盟の使者を出せ」

 

「袁紹・・・、ですか?曹操ではなく?」

 

韓嵩は劉表の命令に戸惑った。それもそのはずだ。

劉表の予想では曹操と袁紹が争ったら確実に曹操が勝利すると断言していた。故にこの場合は曹操に同盟の使者を出し、曹操と共に袁紹を袋叩きにすると考えていたのだが、彼は逆に負けると予測した袁紹と同盟を結ぶといったのだ。

そんな韓嵩に劉表は怪しげな笑みを浮かべる。

 

「何、余にも余なりの考えがあるのよ・・・。まあ黙って見ておるがよい」

 

「は、はあ・・・・」

 

劉表の言葉には韓嵩以外にも玉座の間に居る人間全てに戸惑いの声が上がっていた。

 

何故負けると分かっている陣営に就くのか?我が主は何を考えているのか・・・等等。

 

一方で軍師、参謀からは一言も声が出なかった。むしろ自らの主の宣言を聞いて笑みを浮かべている者も居た。

まるでこれで勝利を得た、とでも言わんばかりの。

劉表は周囲を見回すと、まるで自らにいい聞かすかのように心の中で呟いた。

 

(・・・この大陸を制するのは、曹操でも、孫策でも、劉備でもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に笑うのは、この俺だ)

 

その表情には、何処までも獰猛な笑みが刻まれていた。

 

あとがき

 

お待たせいたして申し訳ございません!!

 

仕事とかで忙しくてつい投稿が遅れてしまいました!!

 

お陰で約5ヶ月ぶりの投稿という・・・、もう打ち切られたと思われても仕方ないわなコレ・・・。

 

他にも中々ネタが決まらなかったりだとかストーリーの肉付けが出来なかったりだとかいろいろあったのですが、ここは割愛。

 

まあとにかく本日何とか投稿できましたが、これから順調に投稿できるかどうかははっきり言って分かりません。

 

ひょっとしたら月に一度とかそんなペースになるかもしれませんが、それでも打ち切りはいたしませんので、どうか不詳ながら見守ってやってください!

 


 
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