No.372573

【青の祓魔師】くらいもり【魔法学校パロ】

gigasan70さん

初投稿です^^

2012-02-04 00:03:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:607   閲覧ユーザー数:601

 
 

深い闇に包まれた『禁じられた森』の中、奥村雪男は無我夢中で走っていた。

 

森の中は普段人間が通るわけがないので道が整備されているわけもなく、一歩森に入れば月明かりすら入らないので、真っ暗で松明がなければ10歩先も見えないだろう。

 

そんな森の中を杖も持たず丸腰で雪男は疾走している。

自分がどこにいるのかも、どの方向に向かっているのかも分からない。

人の気配なんか当たり前だがなく、自分を助けてくれる人はいない。

それでも走っていた。後ろから迫りくるものから逃れるため。

 

足は痛いし、前もよく見えない。

雪男は恐怖と苛立ちで一杯一杯だった。

 

(だいたいなんで僕がこんなめにっ!)

これは雪男達に与えられた罰則だった。

 

元々雪男は品行方正成績優秀の完璧なスリザリン生として、優秀な人材を集められたホグワーツの中でも近年稀に見る才能の持ち主とされていた。苦手な教科は皆無といっても良いほどで薬草学や魔法史など知識を使う学問は勿論できるが、飛行訓練や変身術といった才能を必要とする学問も雪男は授業でほぼ毎回授業で加点されていてスリザリンに貢献していた。

そのような雪男が何故罰則を受ける羽目になってしまったのかというと。

 

 

雪男の双子兄・奥村燐は座学ではからきし駄目だった。だが彼は元々持っている魔力が普通の魔法使いと比べ卓越した能力も持っていた。その為実践的な授業や飛行訓練などでその才能を生かし、一年生の時からクイディッチのシーカーという役職を得て学校ではかなりの人気者になっている。

 

乱暴者で色々と無茶苦茶な兄だったが雪男そんな兄を誇りに思っている。兄は寮の中心人物として様々な友好関係を築き、その滅茶苦茶な授業態度により毎日減点されたりしていたがそれを上回る加点や素直な性格によって様々な人の心を掴んでいた。

 

(それに比べて僕は、暗くて、一人で、)

言うままでもないが、雪男は兄以上にモテていて熱狂的な信者や非公式ファンクラブもあったが、なぜか自分のことにだけ疎い性格のせいでその存在を知るのは後に兄や友人に言われるまで全く気付かなかった。

 

 

そんな兄が起こした事件が今日の罰則の原因である。

 

それは雪男が授業が終わったのでいつも通り図書館へ向かむときにおこった。

中庭が騒がしい。まあどうせ生徒同士のくだらない喧嘩だろう。そのようなことは日常茶飯事なので気にせずに進もうとしたが、今日はいつもとちょっと違うらしい。野次馬の数もいつもの倍以上だった。雪男が不思議そうに人の流れを横目で見ていると、渡り廊下の向かいからがやがやと数人の生徒達が雑談をしながら雪男とすれ違った、

 

 

『・・・それにしても今日の中庭はいつも以上に人集まってるよな~』

『なんか今日の喧嘩は奥村らしいぜ!』

 

 

その単語を聞いた瞬間雪男は立ち止まった。

 

 

 

『なんか今回の奥村はガチでキレてるらしいぜ!』

『まじか!本気の奥村とか相手マジで死ぬんじゃね?』

 

雪男はそのまま中庭まで全力で向かった。

途中すれ違う教師がいつもと様子が違う雪男を見てなにか声をかけたが雪男の耳には全く入ってこなかった。

 

(兄さんが何かやらかして、もし『正体』がばれたらっ)

 

雪男中庭についたときは野次馬たちで壁ができていた。

 

雪男はそのまま壁にぶつかり無理やり割って入るように入り込んでいった。最初は横入りするやつをうっとおしく思った野次馬立ちだったが、それが雪男で更にいつもと様子が違うことに気づき自然と道を作っていた。

 

(兄さん!)

 

人が避けたので兄とその喧嘩中、というより決闘中の相手の姿が視界に写る。

まだ距離があって二人の様子はよく分からないが、両方とも傷だらけで互いに睨み合っている。兄は顔から血を流していて、今は両者一定の距離を取って、相手を射殺すような目で見ている。相手は知らないグリフィンドール生で口が動いているのでなにか喋っているのは分かったが内容は全く聞き取れなかった。

 

ピリピリとした空気が雪男にも伝わってくる。

(・・・よし、なんとかそのまま)

雪男はありとあらゆる呪文を頭に浮かべた。この状況を打破できるものを探した。だが雪男が呪文を思い浮かぶよりも早く状況は変わった。

 

燐の向かいの生徒の口が動いた瞬間兄の耳がとがり杖を振りかざし襲いかかったからだ。

周りの人間は離れていたから気づかない。向かいあっている少年も気づいてないだろう。

おそらく頭に血が上っている兄でさえも。

 

きっとこの場で気づいたのは雪男だけだった。

 

『Expelliarmus!』

突然叫んだ雪男に驚いて二人はこちらを見るが雪男の術は正確に対象者・燐を吹き飛ばした。

 

 

その後は正直よく覚えてない。

先生方に腕を掴まれたことで意識が戻った。

気づいたら相手のガクガク震えているグリフィンドール生に馬乗りになって、杖を首元に突き付けていた。そして横目で見ると、失神している兄を介抱しているのが見えた。

 

 

雪男は『喧嘩を止めようとして、やりすぎてしまった』という無茶な理由をし、その理由が通り寮に減点がされなかったものの形式上の罰則を設けられた。

 

 

兄とその相手には一か月トイレ掃除を毎日行う、というものが課された。

 

 

雪男には一日だけ夜の見回りを手伝う、ということだった。

それは絶対に安全で命の危険性なんて全くないはずのものだった。

 
 

 
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