No.369325

SHUFFLE!&リリカルストーリー 32

グリムさん

Q、キャロ達が大変な目に会っている中ユーノ達は何をしていたのか?
A、鳴海市に居ました。

ということでSHUFFLE&リリカルストーリー 第32話 嬉し涙 お楽しみください。

2012-01-28 05:17:58 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2003   閲覧ユーザー数:1864

 

第32話 嬉し涙

 

鳴海市-ハラオウン邸-

 

稟達が勉強会を行っているころユーノ、フェイト、亜沙の三人はなぜかハラオウン家のリビングでリンディの前に座らされていた。ユーノからすると完全に冷や汗ものである。

 

何せいまのユーノはいかに本人達(+亜沙の両親)が認め合っていると言っても二股をかけているのに変わりはない。もちろんフェイトの母親であるリンディからすると絶対に喜ばしい状態ではないと言えるのは明白である。

なんかこの状況は前にもあったなぁとか思いながらユーノは現実逃避に走りかけていた。

 

そうは問屋が卸すはずもなくユーノの意識はすぐに引き戻されることになるのだが

 

「さてユーノくん、なんで呼ばれたのかはわかってる?」

 

「……フェイトとのこと、ですよね」

 

リンディのいつになく真面目な声音にユーノはためらいながらも顔を上げリンディの目を見て答える、そこに絶対にフェイトと、亜沙と別れる気はないとの意思を込めてだ。

ユーノのそんな眼差しにリンディは少し驚いたような顔をすると、少しだけ柔らかい表情になった。

それはあたかも息子の成長を慈しむ母のような眼差し、亜沙を見る亜麻の眼差しに通じるものがあった。

少し昔話をしよう、リンディはクロノとフェイトの母親だ、だがもしかしたら息子はもう一人増えていたかもしれなかったそんな話。

 

リンディはユーノにも養子縁組の話を持ちかけたことがある、ユーノの返事はいまの彼の状態からもわかるように『否』だったが。

でもその話を持ちかけたときのことをリンディは一生忘れないだろうと思っている。

 

リンディがユーノにその話をしたのは、たまたま遅めの昼食を本局の食堂でとったときのことだ。

 

その時たまたまふたりは一緒で、食堂内には自分たち以外に人はおらず少し前から考えていたこの話をしたのだ、話を聞き終わったユーノをリンディが見るとユーノは信じられない話を聞いたように茫然としながら、その両目からはとめどなく涙が流れていた。

 

だれもユーノのそんな姿は見たことがなかった、そもそもユーノの泣き顔などたぶんいまでもリンディとフェイト以外は誰も見たことがないし、ユーノ自身も泣いた経験なんてほとんどないに違いない。

そんなユーノをリンディがその胸に優しく抱きしめたのは母性からくるものなのか、はたまた別の何かなのかいまでは知る由もないが、その時はそれが自然であるとリンディは感じていた。

しばらくするとユーノは泣きやんだのだが気恥ずかしいらしく真っ赤な顔で泣いたことについて謝罪した後、自分に『否』と伝えたのだ、『嬉しかったです、ありがとうございます』の言葉を添えて…。

 

それからはユーノのことをまえ以上に気にかけたのは当然の流れであった。その後も何回も話を持ちかけてはいたのだが彼の決意は変わることはなく、フェイトが無限書庫に通い始めたころからその話はしなくなっていた。

もっとも彼を息子にするのをあきらめたわけではなかったわけだが。

娘のフェイトは母の期待に見事こたえ、彼をリンディの目の前に連れてきた。呼びだしたのは自分だが、連れてきてたのは間違いなくかわいい娘なのだ。

 

リンディは思う、これから掛ける言葉でかれがどういう反応を示してくれるかがとても楽しみだと

 

「…女は恋をして変わるっていうけど、それは男もってことかしら?ユーノくん、いい表情をするようになったわね」

 

「ええっと…」

 

「素直に受けとっておきなさい、あなたは私の自慢の『息子』なんだから『ユーノ』」

 

リンディのその言葉を聞いた瞬間ユーノの胸にどうしようもなく大きな、こらえようのない感情の波が押し寄せてくる。

かたくなに家族になることを拒みつづけた自分をそれでも『息子』だとといってくれた人がいる、それがたまらなく『嬉しい』嬉しくて胸がはちきれそうだ。

収まりきれなかった感情は瞳をとおしてあふれてくる、嬉しい時でもそれがあふれてくることを自分はこの人から『あの日』教えてもらった。

前が滲んで見えないけれどそれでも前を見よう、そして自分の『母親』の顔を見たい心の底からそう思う。

 

「ありがとう、『母さん』」

『娘のフェイトも、わたしの新しい娘になる亜沙も幸せにしてあげて、『母さん』からのお願い。よろしくね、わたしのかわいい『ユーノ(息子』』

 

あれからリンディはそう言うとこのことに関しての話は終わりといって食事の用意に取り掛かった。それを手伝うと言うフェイトと亜沙の申し出に嬉しそうにしていたのが印象的で、この場所にエリオとキャロも連れてきたいと思ったのはユーノだけではないはずだ、たのしくて暖かくて永遠に続けばいい…そう思える光景だった。

 

だが食事の後、今日呼び出したことのリンディの本命の話を聞いた後、その光景はユーノにとってフェイトにとって亜沙にとって護りたい光景に姿を変える。

 

 

時は静かにだが刻一刻と動き始めていた。

 

 

あとがき

 

こんばんわグリムです。今回は久々に連続投稿となっています、文量自体はそんなに多くはないのですが場面が完全に切り替わってますはい。

久々の文章なのでおかしいところがあるかもしれませんがもしあればご指摘お願いします。

 

もしまだ見捨てずに読んでくれている人がいるのならば最大の感謝を、読んでみるかなぁと思ってくれた人にも大きな感謝を表して今日はここで失礼します。

 

 

 

 
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