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真・恋姫無双 ~新外史伝第45話~

もうすぐパチンコ版恋姫無双が出るそうです、普段パチンコはしないけど、1度打ちに行こうかな。

ちなみに今回は雪蓮と桃香のターンで一刀たちは出ませんが、毎度ながら人の心情を上手く書くのは難しいね…。

では第45話どうぞ。

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2012-01-10 23:29:13 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7149   閲覧ユーザー数:5862

ちょうど一刀包囲網戦が行われるころ、再び東でも戦火が上がろうとしていた。

 

~孫策軍・建業~

 

呉郡の太守になった雪蓮は、素早く領内の不平分子を制圧して、袁術への復讐のため力を蓄えてい

 

た。

 

そんなある日、袁術から雪蓮に出頭命令が来たため寿春に赴き、そして帰って来るなり冥琳に対して

 

怒りの表情を見せながら

 

「冥琳あの子、まだ私たちを家来と勘違いしているんじゃない。よく私、我慢したわ、じゃないとあ

 

の場で袁術を殺していたわよ」

 

「そう言うな雪蓮、まだ私たちは正式に独立したわけではないのだ。取り敢えず命令を聞かないと仕

 

方がないだろう」

 

危険極まりない雪蓮の発言に冥琳は軽く聞き流し

 

「それで呼ばれた件は、やはり劉備の件か」

 

「ええ、そうよ」

 

「劉備と言う訳の分からない奴が、わらわの領地に攻め入るという噂なのじゃ、だからその前に攻め

 

るのじゃと。それで私に兵を出せと言ってきたわ」

 

雪蓮が美羽の真似をしながらそう言うと、冥琳の方に顔を向け微笑を浮かべながら

 

「それで冥琳、手回しがいいわね」

 

「当たり前だ。それに今回は私だけでは無く、劉備のところの龐統も協力している、簡単な仕事だ」

 

実は今回の劉備軍の袁術攻略の噂は、冥琳と雛里の手の者で袁術の領内において、噂を立てていたの

 

である。

 

事実劉備軍も雛里の指示で、軍を動かせる状態にしているが、これはあくまでも準備だけであり、狙

 

いはこの噂を聞いた袁術を徐州に誘き寄せ、そして雪蓮と共に出陣して、戦いの途中において、雪蓮

 

が裏切り、そして袁術軍を壊滅させることを2人の間で書簡を出し、すでに作戦を立てていた。

 

「それで、この件は承諾してきただろうな」

 

「勿論よ、あと領内不安定だから、兵は1万しか出せないと言ったら、張勲のやつが予想通り私に参

 

陣しなさいと言ってきたわ」

 

「フッ…それで私達を監視下におくと考えているつもりだろうが、まだまだ甘いな。私達にはまだ蓮

 

華様という雪蓮と同等に主としてもおかしくない人物がいることを頭に入れていないようだな」

 

「そうね。私達が出陣している間に蓮華たちの部隊が袁術の本拠地寿春を落とすということね。それ

 

で冥琳、部隊の振り分けはもう考えているの」

 

「ああ、既に考えているさ。劉備への派遣部隊は雪蓮に私、それに晶(しょう)で行く」

 

「それで小蓮様と穏を建業に留守として残り、あとは蓮華様と一緒に寿春攻略に向かって貰う」

 

「えー、2人とも真面目だからさぼること出来ないじゃない!」

 

因みにと呼ばれた人物は、名を太史慈、字を子義と言い、雪蓮が呉郡を平定した際に登用されたが、

 

武勇にすぐれ、また雪蓮と違い、仕事と遊びの使い分けが上手に使っており、その点においても冥琳

 

から厚い信頼を得ている。

 

そして雪蓮がぼやいていると、ちょうど晶が部屋に入ってきて、先程の雪蓮の会話が聞こえていたの

 

 

「雪蓮、失礼な言い方だな。私はそんな真面目な人間ではないぞ。仕事の時は仕事、遊ぶ時は遊ぶと

 

いう切り替えを心得ているだけだ。お前や祭殿みたいに仕事中に酒を飲まないだけだ」

 

「ぶーぶー、その言い方だったら、私が普段から仕事をさぼって酒ばかり飲んでいるみたいじゃな

 

い!」

 

「これは言い方が悪かったな。では仕事をせずにいつもさぼっているということにしておこう」

 

「冥~琳~、晶が虐める~」

 

雪蓮が泣き真似しながら冥琳に訴えるも

 

「雪蓮…事実だろ。ここにお前の味方はいないから諦めろ」

 

冥琳から見事に切り捨てられると雪蓮は一人うなだれていた。

 

そして雪蓮はすぐに気を取り直すと

 

「…まあいいわ。でもこれからようやく私達の本当の戦いが始まるわ。2人とも付いて来てくれるわ

 

よね」

 

「当然だ」

 

「ああ楽しみにしてるさ」

 

冥琳と晶も雪蓮の言葉に同意し、雪蓮たちは真の独立に向けた戦いが始めようとしていた。

一方、冥琳から「袁術軍動く」との書状を受け取った雛里は、直ぐに桃香に報告、そして袁術軍迎撃

 

のための評定を開いた。

 

こちらは既に軍を動かせる態勢は整えていたので、あとはどこで迎え討つかと検討されたが、結局徐

 

州と予州との州境で迎撃することが決まった。

 

その会議の間、愛紗は沈黙を守り続けていた。

 

愛紗は、依然として桃香や雛里に対して未だに様々な面で意見の食い違いを見せており、凪たち三羽

 

烏からの説得を受けて、お互い話し合うように言われていたが、愛紗が桃香の考えを翻意させる手立

 

てないことや愛紗自身の性格上、今の桃香や雛里の考えに対してどうしても妥協出来ないことも災い

 

となり、お互いの話し合いは実現していなかった。

 

そのため愛紗は、この会議において考えた末、現状での桃香と雛里との関係悪化を避けるため、ひた

 

すら沈黙を守っていたのである。

 

そして大まかな方針が決まり、雛里から

 

「愛紗さんから、発言はありませんが、何か意見とかありますか?」

 

「…別に意見はない。私は桃香様の指示に従うだけだ」

 

雛里からの質問にも愛紗は顔を堅くしたまま返事をしたが、正直、愛紗自身この戦にはあまり乗り気

 

では無かった。

 

愛紗の性格上、どうしても策とは言え、戦いの途中で寝返るというのが好ましいとは思えず、まだ反

 

董卓連合の時に行った一刀の「弱きを助け、強きを挫く」的な行為であれば良いと思っていた。

 

そして雛里が、対袁術軍との戦いにおいて出陣する人事に発表した

 

「今回の戦いは、総大将として桃香様に出陣していただきます。そして軍師としては私、あと兵を指

 

揮する将は鈴々さん、凪さん、真桜さん、沙和さんにお願いします。愛紗さんにあっては申し訳ない

 

ですが、この徐州を守っていて下さい」

 

これを聞いた愛紗は、流石に顔色を変え、怒気を放ちながら、沈黙を破り

 

「ちょっと待て雛里、何故桃香様を出陣させ、私が留守なんだ。説明して貰おうか」

 

雛里に対して、怒気を立ちながら話す愛紗を見て沙和と真桜

 

「何か愛紗ちゃん怖いの~」

 

「ああ触らぬ神に祟りなしやで」

 

2人はそう言っていたものの愛紗の今後について雛里からすでに話を聞かされて凪は無言を貫いてい

 

た。

雛里は愛紗の怒気を浴び顔色を変え青ざめてはいたが、予めこのことを予測していたこともあり

 

「はい愛紗さん。勿論説明させていただきます」

 

「もし桃香様をこの徐州に居ていただくと、桃香様の護衛のために将を何人か割かなければなりませ

 

んが、愛紗さんがこの徐州を守っていただければ曹操さんに対する備えにもなり、そして将も分散さ

 

せずに済みます。それに今回の戦い同盟を結んでいる孫策さん自ら出陣していますので、やはり礼儀

 

上、桃香様に出陣して頂かなければなりません」

 

雛里の説明に愛紗は

 

「むぅ…言うことは分からぬではないが…」

 

雛里の説明に愛紗は納得半分不本意半分という苦い顔をしていると

 

「それと…愛紗さんにはしばらくの間、軍の統括責任から外れ、代わりに凪さんにやっていただきま

 

す。理由は、私と責任者である愛紗さんとの間で色々な面での意思疎通が欠けている状態が将兵の間

 

からも疑問視されています。そう言った理由で一旦責任者から外れて貰います」

 

愛紗に軍の責任から外す雛里の発言に愛紗は、不祥事を起こしたならいざ知らず、意思疎通という中

 

途半端な理由では、当然納得出来る訳がなく

 

「ちょっと待て雛里…」

 

愛紗が言葉を告げようとしたところ、雛里はこれを遮り、そして桃香から預かっていると印を愛紗に

 

示し、そして毅然とした表情で

 

「愛紗さん、これは私が桃香様から預かっている剣と印です。これを示す意味は愛紗さんには分かっ

 

ているとは思いますが…」

 

雛里は最後まで言葉は言わなかったが、愛紗には桃香の愛剣である靖王伝家を雛里に預かっているこ

 

とは、桃香もこのことに合意していることが分かってしまった。

 

そして愛紗が自然と桃香に目で向けたが2人は一瞬目を合わせたものの桃香が申し訳なさから直ぐに

 

目を反らした。

 

すると横にいた凪が小声で

 

「我慢しろ愛紗。お前の言いたいことも分かるが、お前にも責任があるんだ。私達が桃香様たちと再

 

三話し合いするように言ってきたのに、それをしなかったからこのようなことになったんだ。私から

 

も早い内に話をするから今は命令に従え」

 

凪からそう言われると愛紗も自分にも非があることが分かったのか

 

「ああ…分かった。すまん凪」

 

「愛紗、安心するのだ。桃香お姉ちゃんは鈴々が守るから大丈夫なのだ」

 

「鈴々すまないが桃香様のこと頼むぞ」

 

「分かった、任せるのだ」

 

ここで鈴々が愛紗のことを気遣って、桃香を守ることを約束すると愛紗も少しは安堵の表情を浮かべ

 

た。

 

こうして微妙な空気を残したまま軍議を終えたが、そんな中愛紗が桃香に

 

「桃香様、この後2人きりでお話をしたいのですが、よろしいでしょうか」

 

桃香はこれを承諾したが、この話を横で聞いた雛里が止めようとしたが、後ろから凪が雛里の左肩を

 

押さえ、無言で首を横に振って「何も言うな」という顔をしていたので、雛里もそれを察し、こうな

 

れば一度2人で話し合った方が良いと思い、2人を部屋に残し、話し合いがもたれた。

 

2人きりになると桃香と愛紗はお互い無言であったが、先に意を決して桃香が

 

「愛紗ちゃんごめんね、私を恨んでもいいけど、雛里ちゃんを恨まないで上げて」

 

「雛里ちゃんは私のために良かれと思ってやったの。愛紗ちゃんと私がよく話し合って、お互いの誤

 

解が解けたら、直ぐに軍の責任者に戻すから」

 

「少しお待ちください桃香様、今、誤解と言いましたが、桃香様の理想が変わったのが誤解と言うの

 

ですか!?」

 

「私が軍の責任者の戻して欲しいからこんなことを言っているのではありません!私は桃香様が理想

 

を覆したことについて怒っているのです!」

 

桃香の誤解と言う発言に愛紗の琴線に触れてしまった。そんな桃香に愛紗は構わず発言を続け

 

「私は盲目的に周りから言われたことや目の前に見える物のみが全て真実でそれを正すことが正義だ

 

と思っていました。しかしそれは反董卓連合の時に北郷一刀殿や紫苑殿や趙子龍殿に、物事には様々

 

な見方があると色々と教えられ、今までの考えが間違いだと気付きました」

 

「まずは自分の物事の視野を広げ、そして考え、引いてはこれがいずれ桃香様の理想を成し遂げるた

 

めにお役に立てると思っていました。それが…桃香様が理想を変え、力による支配をするのでした

 

ら、曹操や袁紹たちと何ら変わらないですか!」

 

「ちょっと待って愛紗ちゃん!まずは私たちが力を付けないと生き残れない、今は理想より力を付け

 

ることを優先したの、だから…」

 

「だからと言って、あのような虐殺をする必要があったのですか!?他にも方法があったはずです!

 

桃香様のこの度のやり方は虐殺された人たちの家族や親族やその残党の怒りを買い、結果的には力を

 

付けるどころか衰退する可能性すらあります!」

 

「それに北郷一刀様も力がない理想は認めない厳しいことは仰っていましたが

 

これでも2人の事は期待しているのだから、頑張ってくれよ」

 

「決してあの方も桃香様の理想を認めていない訳ではないのです!」

 

「今からでも遅くはありません桃香様、雛里をいや…雛里だけではありません、今回の責任は私にも

 

ありますから、雛里と私を一緒に更迭し、心機一転を計り、理想に立ち返って下さい!」

 

「愛紗ちゃん…ありがとう。そこまで考えてくれて」

 

「では…桃香様」

 

桃香の返事に愛紗は自分の説得が届いたと思ったが、しかし桃香は首を横に振り

 

「愛紗ちゃん、その気持ちは凄く嬉しいけど、でももうこんなことをして私、引き返すことができな

 

いの」

 

「もうすでに皆のことを一度裏切っているのに、二度も裏切りたくはないの…」

 

「だからね愛紗ちゃん、もしこのまま私に付いて行くのが無理だったら、無理して付いて来なくいい

 

よ。愛紗ちゃんには愛紗ちゃんらしく生きて欲しいの」

 

「え?」

 

愛紗は桃香の言っている意図が分からなかった。そして引き続き桃香ははっきりとこう言い切った。

 

「今の私が、愛紗ちゃんの心の負担になるのだったら、私達の誓いを私から破棄してもいいよ。だか

 

ら愛紗ちゃん……もっと好きに生きたらいいんだよ」

 

桃香からそう言われると愛紗は

 

「桃香様!そんな寂しいことは言わないで下さい!私は桃香様を見捨てることは出来ません!」

 

「でもこのまま愛紗ちゃんには辛い思いさせたくないの、だから今すぐ結論出せとは言わないの。し

 

ばらく考えて欲しいの」

 

「しかし……桃香様、私はやはり貴女の義妹であり続けたいのです」

 

「それは分かっているよ、私だってこんなことは言いたくない、でも私、こうして苦しんでいる愛紗

 

ちゃんを見たくはないよ……」

 

桃香は説明しているうちに我慢できなくなったのか、徐々に目から涙が出てきて、そして

 

「だから……ごめんね。こんな頼りない義姉で……」

 

桃香は居たたまれなくなったのか、愛紗に詫びながら部屋から走り去り、愛紗は桃香を追い掛けるこ

 

となくただそれを見送っただけであった。

 

結果的に話し合いは物別れに近い状態で別れてしまい、そして2人の関係が修繕されないまま、袁術

 

軍との戦いが近付き、そして桃香たちは出陣するのであったが、出陣前の2人の会話も何処かぎこち

 

ない感じが見られ、何か不安を残したまま戦いに挑むのであった。

 


 
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