No.352490

聖夜決戦~前夜~

奸螺さん

人には2種類いる。
光のものと闇のもの。
2つは交わることを許されず闇のものは光の国にいることすら許されない。
そして闇メシアを中心としたレジスタが動き出す。

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2011-12-25 12:46:28 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:456   閲覧ユーザー数:456

「え・・・どうして・・・どこに行くの!?」

 白い服に身を包み、華やかな衣装で実を飾った幼馴染が泣きながら叫んでいる。

「ごめん。僕は・・・闇だったんだ・・・。闇の王・・・魔王が僕には付いてるんだってさ。」

 ここ光の国聖庭アルカライズでは光の者しか住まうことは許されない。

 しかしまれにこの国からも黒い闇のものが生まれる事がある。

 彼らはそれが強く現れ始める13~15の間に国外から追放されるのだ。

「関係ないよ!セイルは私の夫になるんだ私がそうするって決めたんだ!それに私には聖王がいるっていってたから何とかするもん!!」

 彼女は聖人の式典の服を涙で汚しながらそう叫ぶ。

 近づくために一歩踏み出そうとするがそれは叶わない。

 兵に、槍をもって止められる。

「うん、ごめんねアシトラ。そう言ってくれて嬉しいよ。でもその約束は君が僕に勝ったら・・・だろ?それに・・・僕がやるべきことがわかったんだ。」

 僕と彼女は同じ同じ地区で生まれ共に育ち同じ剣の師を仰いだ幼馴染だ。

 そして僕らはその頃ある約束を交わした。

 小さい頃の約束、それはアシトラが言い出したことだ。

「セイル、セイルは王になるから誰とも付き合わないって言ってたよね?私とも?」

「なに?付き合いたいの?・・・でもアシトラだって聖女騎士団団長目指してるんだしそんな暇ないじゃん。」

 小さい頃の二人の夢。

「うん、だから一つ約束しよう!私はまだセイルに剣術で勝てないけど団長になったら私がセイルを守るんだ。だから私がセイルより強くなったら私と結婚しよう!」

「あっははは。いいよ、うんわかったそのときは結婚しよう。そのときには僕も一国の主だしね。」

 これが約束。

 幼い頃の夢のような約束。

「そうだけど・・・まだ勝てないかもしれないけどでも勝つもん!」

「分かった。じゃぁ契りを交わそう。僕らが再び出会えるための契りを・・・。」

 とたんにセイルは黒い闇に、アシトラは眩い光に包まれそして二つが交わり始める。

「契りを交わそう・・・アシトラ。」

「契り・・・婚姻の契り?」

「違うよ、でも近い・・・かな。」

「なにを約束するの?」

 セイルは思いを、力を乗せて声に発する。

「僕は君以外には殺されない。」

 言葉とともにセイルの後ろに黒い大きな影が現れる。

『その契り・・・我が承諾しよう。』

「魔王・・・ありがとう。」

「魔王・・・?」

 そしてアシトラの背後には光の中から白い影が現れる。

『その契り・・・アシトラさえ良ければ結ぶことを許可します。この子への害はなさそうですから。』

「聖王さん?・・・結ぶ、結びます!」

『契約肯定』

『契約成立』

 2つの影ががそういうと2人を包み込んでいた闇と光が引いていった。

「おい、お前なにをした!!」

「やめて!私は大丈夫です。」

 彼女のめにはもう涙は無かった。

 

『また・・・ずいぶんと懐かしい夢を見ていたな。』

「ハデスか・・・うむ。遠い過去だ。遠い遠い・・・そう、ここまで来るのに10年かかった。」

『汝は人だ。たかが15の童がたった10年でここまで来たのだ。早いほうだろう?』

 ハーデスこと魔王は問う。

 ハーデスとはセイルが決めた己に付く闇の名前だ。

「早い・・・そうだな・・・しかし遅い。そしてまだ成してはおらぬ。」

『道理だ。』

 2人で真っ暗な夜に一つ浮かぶ大きすぎる月を見上げて話をしていると不意に扉が開いた。

「なに用だ。」

 

「も、申し訳ございません魔王様。このような時間にお声が聞こえたもので・・・。」

「ルミエラか・・・眠れぬのか?」

「はい・・・いよいよ・・・明日ですから・・・。長かったですね・・・本当に。」

 彼女はセイルが聖庭アルカライズから追放を受け世界を旅し始めた先で始に出会い救った少女だった。

 今は時が経ち女性といえる年にまでなっている。

「聖夜決戦・・・怖いか?」

「いえ、私も含め我々はあなたと出会った事で救われ、命を永らえここにいます。今になって怖いなんて思いませんよ。」

「うむ。良き返答だ。その者達も入ってまいれ。気づいておる余を侮るな。」

 その言葉でドアの向こうから5人ほどが部屋に入ってくる。

「すいません。ドアが開いていたもので・・・つい。」

 代表して一人が謝り他のものと頭を下げる。

「良い、許す。」

 一つ間をおきセイル・ハーデスは片手を大きく振り窓のほうからそのもの達の方へと体を向ける。

『「汝らよ、終わりの・・・そして始まりの時は近い。我は成す!成さねばならぬ!明日の聖夜の決戦に勝利の轟をあげろ・・・さすれば我らの悲願は果たされる!」』

 その言葉に6人は手を強く握り締め、そして各々の誓いを、夢を成し遂げたい目的を強く思い出す。

「今は眠れ。我が崇高たる剣よ。そして明日。その力をもって我に勝利捧げよ。」

 「はい!」そう強く言葉に出し。彼らは頭を下げながら部屋から退出していった。

 そしてまた一人になった部屋で眩しすぎる月に向かって一人呟く。

「そう、余は明日必ず勝つ。そしてもっとも救いから遠い方法で必ず世界の全てを救ってみせる。」

 そうセイルは己と己に交わした誓いを胸に床に就く。

 


 
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