No.350651

真・恋姫無双 蘇芳伝 第一話

もがみさん

当作品は恋姫無双シリーズの二次創作小説です。

久方ぶりの投稿でキーを押す手が震えておりますが
温かな目で見守ってやって下さい(ぇ

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2011-12-22 00:54:32 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2398   閲覧ユーザー数:2332

 
 

『漢』 その起源は、劉邦が楚の項羽を垓下で滅ぼし長安で即位した時に遡る。

 

その帝位は二百年の後に重臣王莽によりされたものの 

 

後漢の光武帝によって再興され 数十年は大陸に栄華を極めた。

 

だがその隆盛も今は昔 後漢朝廷は宦官により牛耳られ権力争いの巣窟となっていた。

朝廷の乱れは民心の喪失へと繋がり やがて辺境の地では賊が跋扈し始める。

 

賊を討伐しない朝廷に対し、最早 民の不満も頂点に達しようとしていた。

 

 

 

 

ここは冀州 南皮城外。砂塵の吹き荒ぶ中、この場に似つかわしく無いのんびりとした声が響く。

 

「星ちゃ~ん 稟ちゃ~ん 道の真ん中で女の人が倒れているのですよー」

 

すると、その声に反応したかのように砂煙の中から二つの人影が浮かび その姿を現す。

 

そして見事な綱捌きで馬を操り 金髪の少女と倒れている女性の下へ駆けつけた。

 

近寄ってみると彼女は赤紫の文官服を着ており その懐からは何本もの鈍色の短刀が覗いていた。

 

「むむ 行き倒れか。村人にしては服装が華美すぎるし 何処かの官吏かもしれんな。」

 

「そのようですね。放って置くのも気が引けますので介抱しましょう。」

 

星、稟と呼ばれた二人はすぐさま馬を下りると 倒れている女性の頬を軽く叩き

 

僅かに反応したことを確認すると、防砂用の外套の中から水筒を取り出して口に含ませた。

 

その後暫くして息を吹き返したが、彼女はまだ少し苦しそうな表情を浮かべていた。

 

だがここで金髪の少女は驚くべきことを口にする。

 

「大丈夫ですかー 風が思うに貴女は山陽郡太守の『満寵』さんだと思うのですよー

 

 その身なり、服の中に隠し持った短刀は知る人ぞ知る有名なものですからねー」

 

それを聞いていた稟は一群の太守がこんな所で寝ている筈がない

 

と思いながらもやはり彼女の正体は気になるらしく、眼鏡の奥の怜悧な目は

 

自らの太腿に横たわる括れた だが仕込まれた暗器の質感を感じさせる体に向いていた。

 

「何があったのかは存じませんが もう大丈夫です。此処にいても埒が明かないので

 

 城までお連れしましょう。」

 

彼女はすっくと立ち上がると肩口に伸びる髪についた砂を振り払い、力強く稟の手を握った。

 

その時イタッという声が稟の口から漏れたような気がしたが 満寵は一向に気付いなかったりする。

 

「お助け頂いた事、真に感謝する。そこの少女の言った通り 私の名は満寵 字は伯寧と言う。

 

 突然ですまないが、助けて頂いた礼に真名を受け取って貰いたいのだが...。」

 

行き倒れ改め満寵の言葉を聞いた途端、出立する準備をするべく立上がりかけた星と

 

満寵に手を掴まれたままの稟は、動きを止めて彼女の顔を穴のあくほど見つめた。

 

 

 

「貴殿 今なんと言った?確か満寵と聞こえたような気がしたが...

 

 満寵といえば、任地で横暴を振るっていた役人を粛清したり 立場が上のはずの刺史に対して

 

 一刻近くも政の何たるかを説いた、公明正大で有名な能吏だぞ。それが何で此処にいる?」

 

一瞬の静寂の後 星が褒めているのか貶しているのか分からないことを言い、

 

傍らで稟が呆れながらも驚いた表情をするという芸当をやってのける。

 

そんな二人を見た後 満寵は少しだけ悲しげな顔をし、目線を逸らして呟いた。

 

「その話には続きがある。説教が終わった後私に刺客を送ってきたのだ。

 

 私は暗器を得意としているからな、分けなく撃退してやったのだが.....

 

 彼奴め怒り狂って館を取り囲んだ挙句、火を放ちおった。結局 此処まで逃げのびれたのだが

 

 遂に力尽きて倒れ 今君達に助けられたという訳だ。」

 

満寵の壮絶な逃避行を聞き終えた二人は刺史の横暴に眉を顰め、そして彼女の侠気に驚きを深める。

 

並みの武官以上に剛毅な人とは思っていたが、まさか此処までとは思っていなかったからだ。

 

そんな中、今まで会話に加わらなかった風が、突如満寵の前に立つと思い掛けない事を口にした。

 

「大変だったのですねー それと、これからは風のことは風と呼んで欲しいのですよー。」

 

あまりの突然の自己紹介に、何時もは冷静な稟でさえも困惑の色を隠せていない。

 

だが、星は何か思い至ったようにポンと一つ手を打つと、

 

「そういえば まだ名乗っていなかったな。某の名は趙雲 字は子竜 そして真名は星だ」

 

風と同じように、何の逡巡もなく真名を授けたのだった。

 

稟は簡単に真名を授けた二人を驚いた表情で見たが、最後には諦めたような表情で

 

「私の名は郭嘉 字は奉孝 真名は稟です。これからよろしくお願いします。」

 

「では 私も改めて、名は満寵 字は伯寧 真名は蘇芳だ。以後よろしく頼む。」

 

自己紹介を済ませた後も故郷や旅の目的等で話に花を咲かせた....のだが 突如蘇芳は

 

“兎も角も城下へと行こうではないか? 序に麗羽との旧交を温めるのもまた一興だな。

 

 かの元なら極上の酒もあるだろう、ククッ今宵が楽しみだ”

 

と言うやいなや馬に飛び乗って 南皮城目指して行ってしまった。

 

余りの突然の行動に星と稟はしばし唖然としていたのだが

 

消え去る彼女を見て二人は我に帰り、彼女に遅れまいと慌てて馬に飛び乗り駆けていくのだった。

 

そんな中 風だけは

 

「満寵というのがあの女性(ひと)の隠れ蓑なのですねー。一流な風はお見通しなのですよー。 

 

 でも面白そうなので稟ちゃんにも教えないで起きましょう。」

 

と夕日を背に一人 何やら呟きながら歩みを進めていた。

 

 

それから四半刻の南皮城内

 

「顔良さん、宮殿に満寵さんがいらしてると聞いて急いで来ましたわ!

 

 ボケッとしてないで、誰か早く満寵さんの下に案内して下さいな!」

 

「姫ぇ~ 蘇芳さんの他に三人居るんですけど、その方達も通しておきますか?」

 

「構いませんわ!満寵さんの知り合いなら悪い人は居ないはずですわ!」

 

「斗詩 さっさとアネキの所に行こうぜ!」

 

....袁家頭領とその二枚看板との間でテンションの高い会話が繰り広げられていた。

 

実は袁紹達が小さい頃、洛陽で私塾を開いていた満寵に教えを請うことになり

 

彼女達の課程修了後も真名を交換して親交を結んでいたのだ。

 

でなければ誇り高い彼女が態々会うはずもなかったが...

 

それは兎も角、このことを待たされていた部屋で蘇芳に聞かされた星達は

 

星:「蘇芳殿、貴殿はいったい何歳なのですかな? 袁紹殿が何歳かは知らぬが

 

   恐らく貴殿はさんじゅ......すまない その手を離して欲しい。」

 

稟:「私塾を開いてらしたのですね。他にどのような方が通っていたか教えて頂けますか?」

 

風:「(やはりあの方に間違いありませんねー。話し方もそっくりですしー。)」

 

三者三様の反応を示していた。

 

「星よ私はまだ二十後半だ。三十路などはまだまだ遠いな。

 

 それと私の私塾には 今の陳留太守 曹孟徳、その従姉妹の夏侯元譲、夏侯妙才

 

 今は袁術の客将となっている孫伯府、周公謹がおったな。皆成長しているようだ」

 

必死に反論する蘇芳は、漸く稟が傍らで倒れていることに気付く。

 

余りにも有名な諸侯達の名に興奮し、鼻血が止まらなくなっていたのであった。

 

 

初めまして もがみです。当サイトには初投稿ですが頑張って行きたいと思います。

その上 ブランクも長く、かなり文章が拙いことになっておりますのでご注意下さい^^

 

<本編について>

第1話のオチが稟の鼻血という残念?なものでしたが これからは気をつけます(ナニニ?

まぁ風さんが事後処理?をして下さってるはずなので大丈夫でしょうが。

一応 主人公は 満寵伯寧(真名は蘇芳)なのですが、風によると何か秘密がありそう....

 

 

 

ま 兎も角も『真・恋姫無双 蘇芳伝』第一話をお読み頂き有難うございました^^

 

次回は 満寵達 袁紹に仕える

    王佐の才 ここに来る

    袁家の日常        の3本でお送りします。(サザエさん風に読んでね)

 

 
 

 
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