No.340313

真・小姫†無双 #30

一郎太さん

という訳で#30です。
最後の拠点はこの娘で。
タグにすべてが書いてあります。
ではどぞ。

2011-11-27 19:20:29 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:7278   閲覧ユーザー数:5107

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(`・ω・´)フォォォ』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#30

 

 

「「「ごちそうさまー」」」

「はい、お粗末様でした」

 

流琉が作ってくれた料理を鈴々・季衣と共に平らげ、腹をさする。うむ、いつもと違わず流琉は料理が上手い。満足じゃ。

 

「おなかいっぱいなのだー」

 

鈴々も隣で丸くなった腹を撫でている。

 

「僕もー。ふわぁ…おなかいっぱいになったら眠くなっちゃった。兄ちゃん、お昼寝しよー」

 

反対側でも季衣が同様にし、大きな欠伸をひとつした。

 

「あー、ずるいのだ!鈴々も一緒に寝たいのだ!」

「ダメだよ!僕の方が先に言ったんだから!!」

「なにをー!」

「やるのかー!」

 

はいはい、2人共喧嘩しないの。流琉の片づけが終わったら4人で一緒に昼寝しような。

 

「「うん!」」

 

俺が2人の頭を撫でると、元気よく頷いてくれる。あぁ、可愛いなぁ、もう。

 

 

 

 

 

 

拠点 流琉

 

精々大人2人が横になれる程度のベッドで丸くなる3人を眺めながら、俺は肘をつく。

 

「にゃにゃー、もう食べられないのだ」

「違うよ、季衣…それはピータンじゃなくてピーマンだよぉ」

「んー…どっちも緑なんだからいいじゃんかー………」

 

まったくどんな夢を見ているのやら。

でも、相変わらず3人は食べ物の夢ばっかだな。うち1人は作る方が専門だけど。

 

「でもなぁ」

 

そう、最近思う事がある。

 

「流琉って………お尻見えてるよな」

 

違くて。

 

「食べたいなぁ…」

 

そう、食べたいのである。この可愛らしい幼女3人を。

 

違くて。

 

「作れるかなぁ」

 

そう、この世界にはない味がひどく懐かしいのだ。

 

「味噌汁食いたいなー。寿司……は無理にしても醤油は日本人のDNAにまで浸みこんでるからな。恋しくなるのも仕方がない。カツオとか昆布の出汁も久しく味わってない。あとは………」

 

食後だというのに、こんな事ばかり考えている。流琉の一流の料理を食べていながらそういう発想になるのは、恵まれてる事の証だとは思うんだけど。

 

 

 

 

 

 

「という訳で、本日より料理研究月間とする」

 

軍議で俺が発した言葉。朱里や雛里はまたかと溜息を吐き、鈴々や季衣、そして恋は内容も聞かずに目を輝かせている。美羽は新しい蜂蜜が食べたいと無茶な事を言い、七乃がそうですねー等と同調していた。

 

「おぉ、ついに来たのか!」

「せやな。ようやくって感じか」

「そうだな。ようやく我らの手であの愛らしい幼女たちを料理する時が―――」

 

とりあえずお前らは1度死んで来い。

 

「で、何なの、料理研究月間って?」

 

ただ1人真面目な詠が、手を挙げる。よくぞ聞いてくれた。

 

「あぁ、皆もいまの南陽の現状は知っていると思う」

「そうですね。内政も順調ですし、最近では領内で賊が出たという報告も滅多に聞きませんし」

「そういう事じゃない」

「あわわ!?」

 

雛里が見当違いの事を言っていたので、抱き締めて頬擦りしておく。

 

「俺が言いたいのは文化の話だ。内政は俺の天の知識で他所にはないものを取り入れられているし、隊の陣形も同様だ。服装(ファッション)も俺が企画(デザイン)したものを各服屋に配布しているし、娯楽に関してもいろいろと広まっている。だが、料理だけは違うんだよ」

 

俺の話に皆が聞き入るなか、再び詠が手を挙げた。なんだ、お前は俺に構って欲しいのか。

 

「ちょっと待って………いま、一刀の口から聞き慣れない言葉が出てきた気がするんだけど」

「そんなのあったか?」

 

こっちに来てからは言葉に気をつけてる筈なんだけどな。

 

「ボクの聞き間違いでなければ、『天の知識』って聞こえたんだけど………何、それ?」

「詠だって知ってるだろ?管輅だっけ?あれの占いに『天の御遣い』って出てきたじゃん」

「それは知ってるけど………え、まさか一刀が『天の御遣い』なの!?」

「言ってなかったっけ?」

 

周りを見渡せば、皆が目を丸くしていた。おっと、とんでもない事実を発表してしまったらしい。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、俺が誰であろうと、俺が古今随一の(ろり)(こん)であるという事実は変わらないからな。話を続けるぞ」

「ちょっと―――」

 

メンドクサイなぁ。

 

「俺が言いたいのは料理の話だ。流琉のおかげで街の料理屋や食事処の水準は上がっている。でも、それだけじゃダメなんだ」

「あの、兄様…何か私に落ち度がありましたか?……ひゃわぁ!?」

 

しゅんと項垂れる流琉を抱き上げて頬擦りする。可愛いなぁ、もう。

 

「違うんだよ。既存のものの水準が上がるのは大歓迎だ。でもな、新しいものも欲しいんだよ。新しいものなくして発展はない。という訳で、料理研究月間の間俺と流琉は仕事を離れて新しい料理や調味料の開発を行う事にした」

「聞いてないですよ!?」

 

いま言ったじゃん。

 

「『天の御遣い』の名において命ずる。此処南陽の地を漢の食文化の中心とせよ!………という訳で行くぞ、流琉」

「え?ちょ?………ひゃぁぁああぁぁあ――――――」

 

呆気にとられる面々を置いて、俺は流琉を肩に担ぎ上げて玉座の間を出るのだった。頬に当たる生尻がぷにぷにでした。

 

 

 

 

 

 

「ここが入り口か………」

「誰も戻らない山、ですか……私達は大丈夫なんでしょうか………」

「大丈夫だよ、流琉は俺がきっと守ってやる」

「………はいっ!」

 

ある時は泰山に登り。

 

「俺に構わず先に行けっ!」

「ダメです兄様!兄様を置いてくなんてっ!!」

「くっ…くくっ、愛する妹に言われたら生きなきゃいけないよな」

 

ある時は山の頂上に生息する龍を倒し。

 

「もっと脚を挙げろ!リズムに乗れ!」

「はいっ!」

「そんなザマでは一流の踊り子(ダンサー)になれないぞ!」

「はい、頑張ります!」

 

ある時は目的を見失い。

 

「………さて、新しい料理でも考えるか」

「そうですね」

 

そしてある時に正気に戻った。

 

 

 

 

 

 

「――――――それで、新しい調味料って言っても何を作るんですか?」

 

という訳で、俺と流琉は食糧庫にやって来た。必要な食材を手に入れなければ。

 

「いろいろとあるが、やっぱり醤油と味噌だよな」

 

言いながら俺は必要な材料を選別する。大豆に塩、あと小麦粉だっけ?豆板醤もあるし、種麹はあるだろ。

 

「兄様の故郷の調味料ですか?」

「あぁ、そうだよ。流琉がこの大陸での第一人者になるんだ。期待してるぞ」

「はい!」

 

最近拠点で構って貰えなかったのが相当寂しかったのか、俺の言葉に笑顔で抱き着いてくる。すべての幼女を幸せにすると言ってるくせに、情けないよな、俺………。

と、シリアスな空気を出すのも終わりにして、早速作りますか。

 

「まず、大豆を一晩水に浸けるぞ」

「………」

 

さて、また明日来るか。

 

「次に大豆を煮る。落としぶたを入れて、灰汁が出てきたら取り除いてくれ」

「はい」

「次に圧力鍋に入れます」

「圧力鍋って何ですか?」

「…………………」

 

2日目にして行き詰った。

 

 

 

 

 

 

「流琉、ちょっと俺は出かけてくる」

「えっ?」

「だから、料理研究月間はしばらく中止だ。俺が帰ってきたら再開するぞ」

「はぁ……?」

 

首を傾げる流琉を撫でて、俺は旅に出た。目指すは北だ。

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

「いいから止まれぇ!!」

 

しがみついてくる黒髪の赤チャイナを引き摺りながら、俺はその部屋の扉を開けた。

 

「え!ちょ、何!?」

 

いきなりの愛しい男の登場に、金髪カールの女が声を上げる。そうか、そんなに俺に会えるのが嬉しいのか。

 

「久しぶりだな、曹操。宣戦布告に来たぞ」

「はぁ!?」

 

間違えた。

 

「冗談だ。今日はちょっと頼みごとがあってな」

 

いまだ眼を見開いたままの曹操に、俺は事情を話し始めた。あと夏候惇、いい加減離れろ。俺は()()()()に興味はないんだ。

 

   *

 

「なるほど、上の記号は後ろの穴というわけね」

「さすが曹操だな。話が早くて助かる」

 

閑話休題。

 

   *

 

「呆れた……そんな事の為に、わざわざ城に押し入ったの?」

「別に強盗に来たとか暗殺に来たとかじゃないんだからいいだろ?それに俺にとっては死活問題なんだよ」

「どの辺りが死活なのか分からないのだけれど………まぁ、構わないけどね」

 

流石曹操、器がデカい。胸は小さいけどな。

 

「殺すわよ」

「行間を読むのはやめてくれ」

 

いつの間にか巨大な鎌が首元に突き付けられていた。

 

「曹操って人材蒐集が好きって有名じゃん。だから、そっち方面で詳しい人がいたら紹介してくれないかなーって」

「仕方がないわねぇ。わざわざそんな事の為にはるばる来たというのだから、無下に返す訳にもいかないじゃない。いいわ。手伝ってあげる」

「マジか!」

「えぇ。春蘭、北郷に真桜を紹介してやりなさい。真桜には北郷の手伝いが終わるまでは他の仕事を止めてもかまわないと。でも、出来るだけ早く終わらせるように、とも言っておいて」

「御意」

 

こうして俺は、曹操が抱える研究者―――李典の力を借りる事に成功した。

 

 

 

 

 

 

そして月日は流れ―――。

 

「ついに……ついに完成したぞ!」

「やりましたね、兄様!」

 

出来上がったものを少量口に含み、俺は成功を確信した。この味なら、新しい道も開けるだろう。

 

「じゃぁ、今日はこれを使って何か作ってみるか。流琉も初めてで分からないだろうから、俺が簡単なものを作るよ」

「いいんですか?兄様の料理は初めてです!」

 

そういえばそうだな。

 

「あぁ、鈴々にも食べさせた事ないからな。初めては流琉だ。みんながヤキモチ妬くから、2人だけの内緒だぞ?」

「あ…えへへ…内緒ですね、兄様!」

 

『2人だけの』という言葉に、流琉が頬を染める。可愛いなぁ、もう。

俺が流琉を抱き上げてくるくる回っていると、横合いから声がかかった。なんだよ、邪魔すんなよ。

 

「なぁ、兄さん……ウチ、もう帰ってもえぇ?」

「あぁ、いいぞ。助かったよ。少し持たせるから、曹操にも礼を言っておいてくれ」

 

手伝ってくれた李典だった。曹操も俺の手伝いが終わるまでは他の仕事をしなくていいと言ってたから、南陽まで連れてきたのだ。圧力鍋以外にも必要なものがあるかもしれなかったからな。

 

「こんなんで華琳様の機嫌治るんやろか」

「大丈夫だって。曹操も食通なんだろ?新しい味をきっと気に入るさ。なにせ、この大陸にはない味だからな」

「せやとえぇんやけどな……」

 

土産用に醤油を持たせてやると、李典はとぼとぼと蔵を出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「あの……ただいま戻りました………」

「………………」

 

曹操の本拠地に戻った李典は、おそるおそる華琳の執務室の扉を開いた。

 

「………えぇと、その」

「遅かったわね」

「すんません」

「すんませんじゃないわよ!なに?1年以上も人のところの将を拉致っておいて、向こうは何の誠意も謝意もみせないの!?」

 

醤油の仕込みには年単位の時間がかかる。よくもまぁ、あの曹操がこれだけ我慢したものだ。

 

「えと…これ、北郷の兄さんから………」

「何よ、これ」

 

激昂する曹操に、李典はおずおずと一刀からの土産を手渡した。陶器の徳利のような容器だ。

 

「………真っ黒なんだけど?」

「なんでも、新しい調味料だそうです………」

「………………」

 

特にオチもないまま終わる。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

あぁ!痛いっ、痛いです!お願いだから石を投げないで!!

 

というわけで拠点も終わり。

次回からサクサク進めます。

#40くらいには終われそうな気がします。

 

ではまた次回。

 

バイバイ。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
96
5

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択