No.338946

魏エンドアフター罪を背負いながらも…… 二話

DOWANNGOさん

こんにちわ~
二話目です。
今回は修行が終了する場面から始まります。
一刀にとある補正を付けました。
では、始まり~

2011-11-24 20:43:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3814   閲覧ユーザー数:3261

「はぁ……はぁ……まさかここまでとはね……」

 

走り近くの岩に隠れたのは一言で言えば筋肉だるま。

彼……いや彼女は強靭な肉体に女性物の下着を纏っていた。

その強靭な肉体にはあらゆる場所に傷が付いている。

その傷は今彼女が戦っている者に付けられた物だ。

 

「もしかしたら彼は昔以上になっているかもしれないわね」

 

そう言いながら彼女は微笑んだ。

彼が昔以上に強くなったことに……

 

「でも簡単には負けないわよ。

恋する漢女は負けないんだから♪」

 

そう言ってはいるが戦況は圧倒的に悪い。

相手が強過ぎるのだ。

力や速さ、反射神経、戦闘技術と言った戦闘に欠かせない物が彼女よりも圧倒的に上なのだ。

つまり、簡単に言えば彼女よりも強いと言うこと。

だから彼女は真正面から戦うことはせず周りの物を利用して戦っているのだ。

 

「さてと……様子はどうかしらね?」

 

そう言って彼女は岩から少し顔を出して周りの様子を見る。

彼女が見る限り対戦相手は居ない。

周りの岩に隠れているのだろう。

彼女はそう推測した。

そう思うと彼女は岩から体を出して周りを見る。

やはり対戦相手は居ない。

 

「さ~てどこかしら?」

 

そう言って彼女は警戒しながら歩き出す。

すると

 

ドゴォォォォッン!

 

「!?」

 

彼女は驚いて音がした方を向く。

それが人間の習性だ。

それを彼女の対戦相手は利用したのだ。

 

「どっちを向いてるんだ?貂蝉」

 

「!?」

 

ゴッ!

 

貂蝉と呼ばれた彼女に彼女の対戦相手は貂蝉の鳩尾に拳を入れた。

すると貂蝉はゆっくりと倒れた。

「流石一刀じゃの」

貂蝉の対戦相手を『一刀』と呼びながら彼に近づいたのは貂蝉と同じく

強靭な体を持ち女性物の下着を身に着けている筋肉だるま。

一刀は貂蝉の身体をゆっくりと横にして立ち上がりこう返した。

 

「貂蝉の敗因は俺の技を忘れていたことだね」

 

「気功術『気功爆』のことじゃな?」

 

その問いに一刀は頷いた。

『気功爆』

それは簡単に言えば気の時限爆弾の様な物。

一刀が物質に触れてその物質に気を潜り込ませると爆弾の出来上がり。

爆発は一刀がいつでも爆発させることができる。

 

「ま、忘れて無くても轟音がすれば人はその方に意識が行くからね。

それが管理人だろうが何だろうが」

 

一刀はそう言いながら貂蝉に手を翳す。

すると貂蝉の身体が光り彼女の傷が治って行く。

これは管理人同士が出来る治癒行為。

先程貂蝉が『一刀が昔以上成長した』と言っていたがこのことも含まれている。

大抵仲間を完治させる時は一週間以上かかるが今の彼は五分程度で完治させることができる。

 

「はい、終了」

 

そう言いながら一刀は立ち上がり貂蝉から距離を取る。

そして一刀は耳を塞いだ。

その理由はこの後いつものがあるからである。

そのいつものとは……

 

「ふっかぁぁぁぁぁぁっつ!」

 

これである。

貂蝉は完治したかと思うといきなり立ち上がり叫ぶ。

その騒がしさは貂蝉の声の振動で周りの岩が砕ける程である。

その叫び声が止んだ後は……

 

「ごしゅじんさまぁぁぁぁっ!ありがとうぅぅぅぅぅっ!」

 

そう叫びながら一刀に抱き付くのである。

一刀は叫び声が止んだのを見て近くに落ちている石を拾う。

一刀はその石を貂蝉の額に向かって投げる。

 

「甘いわ!」

 

貂蝉は拳を薙ぎ払いその岩を砕いた。

その瞬間一刀が目の前から消える。

貂蝉は慌てず後を向く。

そこには一刀が居る筈だった。

だが、そこには一刀の姿は無かった。

 

「!?どこに!?」

 

貂蝉は周りを見回す。

それでも一刀は見つからない。

すると

 

「ここだ!」

 

「!?」

 

一刀の声が上空から聞こえる。

まさかと思って上を見ると……居た。

一刀は上空に居たのだ。

 

「ご主人様!そこに居たのねぇぇぇぇぇっ!」

 

貂蝉はそう言って両腕を広げ一刀を抱きしめる準備をする。

一方一刀は拳を振りかぶっている。

貂蝉と一刀の居る場所の高低差は約百メートル。

突撃の衝撃は半端無いものになる。

それでも貂蝉はそれを怯えもせず腕を広げている。

一刀と貂蝉の高低差は少しづつ少なくなってくる。

そして……

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「どふぅぅぅぅぅっ!」

 

二人はぶつかり合った。

貂蝉は一刀の拳に耐え一刀は貂蝉を殴り飛ばそうとしている。

そして

 

「おらぁっ!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」

 

貂蝉はそんな悲鳴を上げながら飛んで行った。

着地した一刀は一言こう言った。

 

「飽きないな……」

 

一刀は飛んで行った貂蝉を回収する為貂蝉が飛んで行った方向へ走り出した。

一刀side

 

俺がここで修行をしてからもう百年経った。

え?嘘をつくなって?

本当だよ。この空間に居る間は何故だが知らないけど生命は永遠の命を得られるんだ。

だからここで修行している。

え?百年も修行する必要は無いだろうって?

昔の俺は管理人で普通の外史の人間と比べ物にならないほどの力を持っていたんだ。

百年修行してようやく昔の俺に追い付けた。

因みにここの時間は他の空間の時間と独立していて流れている時間が違うから百年間も修行していても

問題は無いんだ。

さて、さっきから皆気にしているだろうけど何でここに及川が居ないのかを説明しよう。

及川は今の華琳達の外史がどんな状況かを見に行ったんだ。

何も知らずに行くよりは良いからな。

 

「かずぴ~、貂蝉~、卑弥呼~、帰ったで~」

 

肉まんらしき物が入った袋を持ちながら及川が帰って来た。

今日の飯は肉まんか。

 

「及川どうだった?」

 

俺は及川に近づいてそう尋ねた。

すると及川は真面目な顔をした。

俺はそれを見て少し身構えてしまう。

だが、及川はすぐにいつものおちゃらけた顔になってこう言った。

 

「肉まん食いながら説明したるわ。

これ持ってくれ」

 

そう言って俺に肉まんを押しつけた。

俺は反射的にその肉まんを受け取ってしまった。

くそ……!この肉まんが無かったら思いっきり殴ってやれるのに……!

俺はそう思いながら及川に付いて行った。

「で?どうだったんだ?」

 

今はいつの間にか及川が用意したリクライニングソファ四つに座り肉まんを食べている。

てか、貂蝉と卑弥呼のソファがビキビキって危険な音を立てた様な気がするのはきのせいか?

 

「やっぱり外史の否定派が動いとったわ。

居た筈の人間が居なくなったりとか色々しとる」

 

肉まんを口の中に入れながらそう言う及川。

居た筈の人間が居なくなると言うのは外史の否定派が外史の存在を弱くしていく時に良く使う手だ。

人を殺し次にその者と繋がりのある者を殺していく。

その繋がりは外史の主人公と関わりがある者へと繋がっていき最後には外史の主人公を消す。

すると外史は存在意義が無くなり自然消滅する。

そこまでに導くのが外史の否定派の仕事。

 

「今はまだ大した人物は消えとらん。

精々民止まりや。でも……長くは続かん。

一刀の修行はもう終了した。

さっさとあの外史に行くで」

 

「ちょっと待て」

 

「何や?」

 

「何や?じゃない、俺は百年間の修行の間ずっと武器を持って無かったんだぞ!」

 

そう、俺はずっと素手で戦っていた。

武器の扱いの修行なんてしてない。

だから戦の時は素手で戦うことになる。

貂蝉や卑弥呼は別格の強靭な肉体を持っているから問題は無いが俺は二人の様な超人じゃない。

外史の否定派相手に素手で戦うなど自殺行為だ。

 

「それは必要無かったんや」

 

「何?」

 

武器の扱いの修行が必要無かった?

そんなことがあるのだろうか?

 

「かずぴ~はまだ外史の管理人だった時のことを完全に思い出しとらんけどかずぴ~には特殊能力があったんや。それこそ管理人の中で『戦闘の天才』と言われるに相応しい能力がの」

 

「その能力って言うのは?」

 

俺がそう聞くと及川は指を鳴らした。

 

パチンッ!

 

そんな音が鳴るとスクリーンが現れ映像が流れ始める。

これは確か……星空が見えない街に引っ越してきた少年とその街の名家の一人の少女が織り成す外史だ。

及川は何でこんなも物を?

 

「この外史の主人公が使こうとる能力知っとるよな?」

 

「何をいきなり……解対だろ?」

 

『解対』

人を傷つけるために生み出された道具であれば、刀剣から近代兵器まであらゆる武器・兵器を意のままに操ることができる能力。

また、逸話や伝説の残る武器を手にすることで、その武器が持つ伝説をそのまま現実のものとして利用することも可能だ。

この外史の中では、離れた場所にいた赤ん坊を斬った包丁を刀に打ち直した「北谷菜切」、雷を切ったと言われる日本刀「雷切」、北欧神話の主神・オーディンの持っていた槍「グングニル」を「解対」し、その秘めら

れた力を利用した。

彼は特別な修行をした武士では無かったから彼は敵の幹部と同等止まりだったがもし彼が特別な修行をしたなら彼はどんな者でも止められ無かっただろう。

 

「その能力がかずぴ~にもあるって言ったらどうする?」

 

「何?」

 

俺にもあの能力が?

もしかして……

 

「その為にお前は……?」

 

その問いに及川は静かに頷いた。

そう言うことだったのか……

 

「なら武器を調達しないとな」

 

俺がそう言うと及川はまた指を鳴らした。

 

パチンッ!

 

そんな音と共に周りの景色が変わり日本刀等の武器が収めてある棚が現れた。

 

「一つだけやで?多くても邪魔なだけやしな」

 

そう言った及川の顔は悪戯坊主の様な顔をしていた。

だが……

 

「ありがたいな」

 

そう言って俺は武器を物色し始めた。

二時間後

 

「駄目だ……」

 

どれも使い方を間違えれば無闇に人を傷つけてしまう……

俺は華琳達を守るための武器を探してるのに傷つけたら意味が無い……

 

「及川……お前、俺が前に使ってた武器はどこにあるんだ?」

 

『あれ』は俺に良く合っている。

あれがあれば怖い物は無い。

 

「あ~あれなら~」

 

及川は指を鳴らして棚を全て移動させた。

いや、一つだけ残った。

そこには一振りの刀があった。

俺はゆっくりとその刀に近づく。

この刀は有名では無いが俺と共に罪を背負ってくれた刀。

 

「『刹那』……」

 

俺の昔の愛刀。

俺はゆっくりとその刀に手を伸ばし刹那を取る。

すると

 

キィィィィッン……

 

「っ……そうか……待っていてくれたのか……」

 

俺は涙を流してしまう。

こんな俺を待っていてくれたことが嬉しかったから……

 

「刹那……俺の愛する人達が危機に瀕している。

その人達を守る為に力を貸してくれ」

 

俺は一生の願いをその願いに込める。

こいつで無ければ彼女達を守ることは不可能だ。

それだけ俺は刹那を信用している。

そんな刹那の解答は……

 

キィィィィッン!

 

了承だった。

 

「ありがとう……」

 

俺は礼を言って刹那を腰に下げる。

その感じは本当に久しぶりだった。

 

「さて、かずぴ~も懐かしの刀と再開出来た所でさっさと行こか!」

 

そう言って及川は次元の亀裂を創りだした。

 

「皆、先に言っておくことがある」

 

皆の視線が集まる。

そして俺は前々から思っていたことを言った。

 

「俺はあっちの外史では自分が『北郷一刀』であることを明かさない」

 

そう言った瞬間この世界の時間が止まった様な気がした。


 
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