No.336608

真・恋姫†無双~童貞伝?~2

ですてにさん

空の旅。稟は早く地上からパンツ丸見えってことに気づこうね。

2011-11-19 16:53:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7172   閲覧ユーザー数:5283

「まさかお姫様抱っこで空を飛べるとは、転生もしてみるものですねぇ~」

 

「攫われた状態なのに、えらく落ちついてるよね…」

 

はい、変な世界に無理やり落とされた一刀です。

高齢童貞の専用スキル『魔法使い』ならぬ、妖術使いになってます。

 

探知の魔法の備考欄で明らかに俺に向けた専用伝言を赤裸々に記していた、

程昱なる女性を上空に攫って、二人だけの会話と洒落こんでいるわけなんですが。

 

地上には、趙子龍や郭奉考もとい戯子才を名乗る女性や、盗賊三人組…馬元義とか波才とか張曼成とか、あれって黄巾の乱の指導者層だよなあ。

その辺りがこっちを見上げてる。三人組はまだ拘束の術が効いてるから動けないだけか。

 

…このお嬢さんの度胸満点の部分は見習うべきかも。実際動揺していたとしても、表に出さない女程昱パネェ。

 

「真名で呼んでもいいのですよ?」

 

「あれ、君も妖術使えるの? 読心術とか」

 

「お兄さん限定ですけどね~」

 

なんかこの争点がずれてるやり取りも、彼女の髪から漂うお日様のような匂いも。

なんだろう、どうして懐かしいんだろうか。

 

「真名って一体…」

 

「この説明をするのも懐かしいですね~。

本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前であり、

本人の許可無く“真名”で呼びかけることは、問答無用で斬られても文句は言えないほどの失礼に当たる、神聖なもの、です。

ま、お兄さんにはかなり前に許しているので、問題無いのですよ」

 

「確かに、君を知ってる、そんな感覚はすごくあるんだよ。身体が覚えてるっていうか、勝手に心が弾んでるっていうか」

 

「ふむ~。では、私だけを思い出してもらいましょうか~」

 

その言葉の直後。彼女が俺の頬を挟み、引き寄せ。柔らかい感触が唇に触れて───。

 

「ん、んんっ…」

 

絡む。唾液が混じる。心地よい、気持ちいい。

 

「おにい、さん…」

 

切なく呼びかける声が、口内で味わう悦楽が、何かの引き金を、確かに引いた。

 

「ふ、う…?」

 

「はいですよ、お兄さん…風の濃厚な口づけで、やっと思い出しました?」

 

「それはもう。しかし息子まであの感触を思い出して、かなり辛抱たまらんのですが」

 

「ふふふ、さすがは魏の種馬ですね~。大丈夫です、後でちゃんとお相手しますから」

 

耳元で囁かれて、背筋にぞくっと悦楽の波が走る。そうだ、風は馬乗りになって絞るのが好きだっけか…。

これ以上はプライバシーの問題があるので、触れないけどなっ!

 

「…ありがとう。って、あれ。俺、消えた後、記憶無くして、どうも元の世界で学生やってたみたいなんだけど、

こっちの世界、時間が巻き戻ってる?」

 

ちょっと冷静を取り戻せば、色んな疑問がわいてくる。

 

「それどころか~。お兄さんが消えて二十年ぐらいの記憶はしっかりと持ってますよ~。

ま、急に風も寝て起きたら、この時代に戻っていたわけですが。身体も若返ったので、妖艶な雰囲気が失われたのが残念です~。

この身体は身体で、お兄さんが喜ぶのは知っているので構いませんけど。

未亡人としてそれはそれは侘しい人生を送りましたので、たっぷり愛して頂かないといけませんね~」

 

「おおぅ。しかし、だ、風。重大な問題が…。

実は魔法使い、もとい妖術使いの能力は、童貞じゃないと使えないんだ…」

 

「それは只の種馬に戻ってしまうということですね~」

 

残念そうな口ぶりでありながら、瞳と表情で別にそれがどうしたと語る風。

 

「口ぶりと表情がバラバラだぞ、風」

 

「だって、お兄さんはお兄さんですから」

 

赤心の笑顔って奴を向けてくれる風に、俺は照れくささや嬉しさが入り混じってどんな顔をしていいのか判らなくなって、

ただ、強く、風を抱き締めて。風だけに聞こえるような呟きで『ありがとう』としか言えなかった。

 

「行きましょう、お兄さん。華琳さまの部隊の土煙りも遠目に見えます。この場を離れないと」

 

風の言葉で我に返った俺は、地上にいる女性二人に浮遊の術と物質生成で縄を作り出して、それぞれの腰に巻きつける。

盗賊さん達はそのままサヨナラである。

 

「一気に飛ぶぞっ!」

 

「それゆけ峨眉山、なのですよ~」

 

「なっなっなっなっ~! 何なのですか、これは~っ!」

 

「おお~。空からの眺めというのは爽快なものだ! はっはっは! ただ、しっかり裾は押さえておかんとなぁ」

 

「なぜに星は落ち着いているのですかっ! おまけに風! 貴女も妖術士の腕の中でしっかり落ち着いているなんてっ!」

 

一人騒ぐ稟を尻目に俺達は空の旅と洒落こむのであった。

ちなみに風曰く、『風と華琳さま以外は記憶は持ってないんじゃないですかね~。華琳さまは絶対に持ってるという確信があるのですよ~』とのこと。

 

「お兄さんの争奪戦にはそう簡単に参戦させて上げないのです」

 

いや、後の怒りが怖いんですが、風さん…。あの華琳さんだよ?

 

「被害を受けるのはお兄さんですから、大丈夫なのです」

 

ちらっと再度、風にアナライズしたら、能力って欄が新設してあって、『読心(一刀)』って書いてあったのは余談である…。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
45
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択