No.332663

真・小姫†無双 #21

一郎太さん

という訳で、小説ランキングが凄いことになってるので今回から1話ずつ投稿。
あまりにも『彼女』を悼む※が多かったので、救済企画。
どぞ。

2011-11-11 00:12:55 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8443   閲覧ユーザー数:5776

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『('∀`)カァチャン』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#21

 

 

予期せぬ来訪者がやって来たのは、反董卓連合の記憶も薄れ、思い出そうとすれば靄がかかるほどに月日が経った頃だった。

 

「………………」

「ふむ」

 

その来訪者を発見したのが俺でよかったのかもしれない。

次点は鈴々か季衣だ。あの2人ならば顔も知っているし、大して考えもしないから城に案内しただろう。

次いで琉流。彼女もこの顔を見知っている。何かしらの警戒心を抱くであろうが、琉流ならば俺か朱里たちに相談する筈だ。

華雄か霞も、顔は知らないがその姿から彼女の実力を見抜き、武官として登用したかもしれない。

 

「あの…」

「…………ふむむ」

 

朱里と雛里は最悪だ。あの2人は要らぬ事を勘繰り、下手をすれば軍さえ動かしかねない。

だからこそ俺は考える。彼女を見つけたのが俺でよかったと。

 

「北郷…殿?」

「───―――とまぁ、真面目ぶって適当な事を独白してはみたが、どうしよう?」

「適当だったのですかっ!?」

 

相変わらず生真面目な女だ。俺の冗談に彼女───関羽は眼を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

「はぐはぐ本当にむしゃむしゃ助かりもきゅますもきゅもきゅ───」

「分かったからさっさと食え。()()()()の大食いは萌えん。それにそのジャンルなら、うちにはすでに3人もいるしな」

「もきゅもきゅもきゅ───」

 

久しぶりに出会った関羽は、まったくの別人だった。どれだけ食べられなかったのか、頬は痩せこけ、三國志では美髪公と讃えられるほどの黒髪はくすみ、どれだけの行程を辿ったのか、全身砂埃に煤けている。

 

「うぅぅ……しょ、食事がこんなにおいひいものとは知りまへんれひたぁ」

「あぁもう、泣くな!」

 

街の片隅に座り込んで、俺と目があった途端に大粒の涙を流した瞳から、再び滝のように涙を流し始めてしまう。

 

「ふっ、ふぇぇえん…おいしぃ、おいしいれすぅ……」

「………………………………………………………………………あれ?」

 

退行してやがる。

 

   * ←あ○る

 

食事も一通り―――鈴々や季衣の半分くらいは食べていた―――終わり、関羽はようやく落ち着きを見せた。いまだ眼は真っ赤に泣き腫らしたままだが。

 

「それで、どうしてあんな事になってたんだ?お前は劉備と一緒じゃなかったのか?」

 

関羽は劉備の名前にビクっと身体を震わせる。なんだ?名前に反応してイクくらいに調教されたのか、この変態が。

 

「その事なのですが……お恥ずかしながら、劉備殿のもとを離れたのです」

「ふぅん。遠征か何か?」

 

………待て。いま、コイツは何といった?………………劉備『殿』?

 

「いえ……文字通り、劉備殿と離縁致しました………私には、あの人たちと共に生きる事はできないのです………」

 

言いながら彼女は両腕で身体を抱き締め、ぶるぶると震え出す。庇護欲が増した。

 

 

 

 

 

 

   *

 

「とってもたわわな?」

「「「「「玄徳ちゃーん!」」」」」

 

無垢な少女の問いかけに、むさ苦しい男たちの怒号が轟く。

 

「挟んでこすって?」

「「「「「子龍ちゃーん!」」」」」

 

青髪の妖艶な微笑みを零す少女に別の怒号。

 

「う…うずめて、みたいか?」

「「「「「雲長ちゃーん!」」」」」

 

最後の1人はつっかえてしまったが、男たちは気にする様子もないようだ。同様に名前を叫んでいる。

 

「「どーもーっ、(おっ)(ぱい)三姉妹(しすたぁず)でーす!」」

「………………」

「「「「「ふぉぉぉぉおおおおおっ!!」」」」」

 

とある街の大通り。3人の少女が見世物を行なっていた。少女達が上げる名乗りの通り、3人の胸には『巨』と接頭辞がつきそうな柔らかな果実が揺れている。

 

「いやー、今日もお客さんの入りは上々だね、子龍ちゃん」

「そうですな。いつもの如くしめやかな空気でござろう」

「なっ、なんでだ!?」

 

黒髪の少女が青髪の頭を叩く。途端にどっと沸き上がる観衆。

 

「それでね、子龍ちゃん。玄徳ちゃん最近悩みがあるんだけどー」

「ふむ、どのような悩みですか?また胸が大きくなったというのなら聞き飽きましたが?」

「そうそう、最近また()()がキツくなっちゃってー………ってそうじゃないよ!」

「違うので?」

「いや、違わないんだけど、そうじゃなくて――――――」

 

どうやらお笑い芸人のようだ。2人のボケ担当に1人のツッコミ担当。ツッコミ役はまだ慣れていないようだが、()()()()により、彼女たちの笑いのレベルに補正が入っている。

 

 

 

 

 

 

「今日もいっぱいお金貰えたね。お客さんもたくさん笑ってくれてたし」

「そうですな。これならば、昨日食べつくしてしまったメンマも補充できよう」

 

街中の計5か所で公演を終えたトリオは、宿で今日の売り上げを数えている。どうやら実入りはいいらしい。

 

「ほら、愛紗ちゃん。3人分の旅費をひいても、こんなに余ってるよ!きちんと3等分しようね」

「………………」

「………あ、愛紗ちゃん?」

 

劉備が関羽に声をかけるが、彼女は押し黙ったままだ。その様子に劉備が不安気な表情を浮かべ、趙雲も視線を向けた。

 

「どうしたのだ、愛紗?今日も今日とて、ドッカンドッカンであったではないか。この調子でいけば、すぐにでも大陸中に笑顔が満ちるだろう」

「うん、そうだよ愛紗ちゃん!3人で頑張ってネタを考えていけば――――――」

「………いい加減にしてください!!」

「愛紗ちゃん!?」

 

劉備の言葉を途中で遮り、関羽は怒声を上げる。その瞳は涙に濡れていた。

 

「私は…私はこのような事をする為に桃香様を主と仰いだわけではありません!私たちの……貴女は理想を捨ててしまったのですか?」

「そ、そんなわけないよっ!皆を笑顔にしたいから、こうして皆に笑って貰えるように頑張ってるんだよ!」

「何が笑って貰えるですか!客はみな男ばかり。その視線も大抵は我らの胸に向けられています!あのような下卑た視線に晒されるなんて耐えられません!」

 

ついには立ち上がって叫んでしまう。

 

「しかしな、愛紗。まだ駆け出しの我々では、すぐにでも客が離れて行きかねん。まずはしっかりと地盤を固める為に、こうして恥を忍んできゃらを作っているのではないか」

「お前もだ、星っ!我らの大義を忘れたのか!?」

「大丈夫だよ、愛紗ちゃん。人気が出たら、路線を変えて本格派でやって行こうと思ってるから――――――」

「もういいです!桃香様……いいえ、劉備殿。私は貴女のもとを離れます。此処は………此処は私の居場所ではないっ!!」

 

最後にひとつ叫び、関羽は偃月刀とわずかばかりの自分の荷物を手に取って、部屋から飛び出すのだった。

 

 

 

 

 

 

   *

 

「――――――方向性の違いから解散してしまったか………よくある話だな。まぁいい。それで、なんで南陽に来たんだ?」

 

駄目だ。憐れに過ぎて泣けてきた。

 

「その…えぇと………」

 

話し終えた関羽は、俺の問いに俯いてしまう。まぁ、かつての主を裏切ってしまったのだから、何か思うところでもあるのだろう。

 

「反董卓連合の時に貴方の武を見ました。妹君もたいそう強かったが、彼女含め3人を相手取っても一歩も退かなかった呂布と立ち会える実力に、その――――――」

 

待て待て。何故赤くなる。

 

「――――――その、北郷殿に惚れてしまったのです。どうか、私を貴方の臣下にしては頂けませんか!?」

「こらまた吃驚だ」

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、#21でした。

前書きにはあぁ書いたけど、ぶっちゃけコメントがメンドクサイので1話ずつ投稿に切り替え。

 

先に言っておく。

 

 

このシリーズが終わったら本編再開します。

 

 

だから本編マダー的なコメはなしでお願いです。

 

ではまた明日。

バイバイ。

 

 

 


 
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