No.321018

真・恋姫†無双 外伝:幼なじみはイタズラねーさん

一郎太さん

今日2本目。先週まで忙しい日々を過ごしていた反動で、今週は時間に余裕があるからまた書いちゃったぜ。
ビール(ドンキの安売り)も4本目だぜ。平日なのにな!
まぁ、この程度じゃ二日酔いもしないからだいじょうぶだ。
という訳で、『幼なじみは~』シリーズの3作目です。
今回はこの人!タイトルからあてられるかな?

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2011-10-19 23:48:11 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:11298   閲覧ユーザー数:8369

 

 

 

幼なじみはイタズラねーさん

 

 

 

pppppp……―――。

「うぅ……」

毎朝耳にする電子音が鳴り響いている。もぞもぞと身体の向きを変え、その音源へと腕を伸ばした。

「……………朝、か」

時計を見れば、短針は時計盤の5を指している。窓へと顔を向ければ、まだ陽も射していない。これは別に、今朝だけ早起きをしたという訳ではない。毎朝の恒例行事だ。

いつものように布団から抜け出して軽く伸びをすると、いつものように着替える為に立ち上がり――――――

「………はぁ」

――――――そして、いつものように溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

今日も今日とてトレーニング。まずはランニングからだ。箪笥からトレーニングウェアを取り出す――――――

 

「どうしろと……」

 

――――――事が出来ない。画像でお見せできないのが残念だ。

部屋に備え付けの箪笥のど真ん中に、上から下へとガムテープが一直線に貼られている。しかも布ガム。

 

「だからいつの間にやったんだよ……」

 

ベリベリと力を込めて剥がしていく。布ガムは途中で千切れないから剥がすのは楽だ。これが紙のガムテープだったらびりびりびび………

 

「途中から紙じゃねぇか!手の込んだことしやがって!………あー、もう。引出しに残っちまったよ………」

 

剥がれきらなかった紙の部分を、ちまちまと手で擦りとる。めんどくさいんだよ。たくもー。

 

なんとか綺麗にテープを取り除いた俺は、今度こそ引出しを開け、そして閉めた。次の瞬間。

 

「あららぁ、一刀さん、朝からピーー(自主規制)ーーですか?引出しの中からえっちな本を取り出しちゃってぇ。おねーさんが一刀さんの恥ずかしい姿を写真に納めちゃいますよ………って、あら?」

 

ガラッと窓が開き、女が1人、部屋に押し入ってくる。ここは2階だ。どうやって上った。

 

「簡単な事ですよ。私の部屋から直接屋根に飛び乗ったんです」

 

そうだろうと思った。彼女は悪びれもせずに、さらりと言ってのける。溜息が漏れそうになるが、それよりも先ず、やるべき事がある。

 

「だからトレーニングの邪魔をするなと言っているだろうが!」

「痛いですよー。一刀さんの大好きなおねーさんのぷりちーなお顔が潰れちゃいますよー」

 

右手で彼女の顔を掴み、ギチギチと締め上げる。けっこう余裕があるじゃないか。

 

「………あぁ、痛かった。もう、相変わらずドSな一刀さんですねぇ。おねーさんは悲しいですよ?」

「うるさい。それよりも、コイツをさっっさと片づけろ」

 

言って、俺は引出しを開ける。そこには隙間なく詰め込まれた――――――

 

「あらら!こんなに溜めこんじゃって。いやぁ、思春期ですね、一刀さんも」

「お前だろうが!さっさと持って帰れ!」

 

――――――エロ本。人妻ナース制服スク水メイド義姉スッチーゴスロリOLSM………種々様々なジャンルのエロ本がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。俺のウェアはどこにやった。

 

「あぁ、一刀さんのウェアなら私の部屋にありますよ」

「なんでだよっ!?」

「そりゃぁ、一刀さんの匂いを堪能したいからに決まってます」

「………………もういぃよ」

 

 

 

 

 

 

ウェアの奪還を諦めた俺は、タンスの別の引き出しから学校のジャージを取り出す。今日は体育もなかったし、問題はない。いつものウェアがわりにそれを着ると、部屋を出た。

 

「さて、今日は河原にでもいくかな」

 

軽くストレッチをしてひとりごちる。

 

「そうですねぇ。でも、裏山なんかもおもしろそうですよ?」

 

1人ではなかった。いつのまに来たのか、隣には、隣家に住む幼なじみ。だぼだぼのトレーニングウェアを着ており、袖はまくり、裾は何重にも折り曲げている。

 

「いい加減、俺のウェアを返せ」

「いやですよ。私の匂いと一刀さんの匂いが混ざるまでは着させてもらいます」

 

人差し指を立てて、頬を膨らませる幼なじみ。俺より背も低いし童顔なのに、お姉さんぶりたいのか、口調は丁寧だ。ただし、内容はどうしようもない。

 

「まぁ、いいや。じゃぁ裏山にでも行ってくる」

「はい、頑張ってくださいね」

 

語尾に♪でもつきそうな明るい口調で俺を見送る。何の為に着替えたんだ?………と疑問を持っても益体もない。どうせすぐにわかるんだ。

 

 

――――――10分後。

 

「はぁ…はぁ………待ってください………もう、走れません……………」

 

後ろから息も絶え絶えな声が聞こえてくる。俺は軽く流しているつもりでも、彼女にとってはそうではない。俺に置いて行かれまいとしているのか、全速力で走り続ければそりゃ息もきれるさ。

 

「仕方がないなぁ……」

「おんぶですか。私としてはそのたくましい両腕に抱えて欲しいのですが」

「お姫様という歳でもないだろぅいだっ!?」

 

言った瞬間、髪を引っ張られる。

 

「女の子に向かってそういう事を言うもんじゃないですよ、一刀さん」

「わかったから、大人しくしていてくれ……七乃」

「七乃『さん』でしょ?」

「はいはい」

 

重しを背に、俺は再度走り出した。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

俺と彼女が初めて出会ったのは、0歳の時らしい。『らしい』と伝聞形なのは、文字通り婆ちゃんや七乃の母さんから聞いたからだ。覚えている筈もない。1日違いで生まれた―――七乃が先で、俺が後だ―――俺たちの母親は病室が隣同士だった。俺達のベッドも隣、家に戻ればお隣さん。婆ちゃんは知っていたが、母さんはその頃既に父さんと一緒に県外に出ており、里帰り出産という形で戻って来ていた為、知らなかったらしい。

「こんにちは、一刀さん。おねーさんですよ♪」

「は?」

記憶にある限りでは、これが最初の会話。3歳児の癖に人を『さん』付けで呼び、あまつさえ、同い年なのにおねーさんぶる少女。俺が最初に返した言葉は疑問符だった。

彼女は毎日のように………というか毎日俺の家に遊びに来ては、俺をおもちゃにしていた。

 

「一刀さんはお稽古頑張って、偉いですね」

「うん!俺は、大きくなったらこの道場を継ぐんだ!」

「それは凄いです!そんな頑張り屋さんの一刀さんに、とっておきのプレゼントがあります」

「プレゼント?」

 

そう言って彼女が取り出したのは、小瓶に詰まった赤い粉末―――より少し大きめの粒。

 

「何、これ?」

「これはですねぇ、強くなる薬なんですよ?」

「強くなる薬?」

「はい、そうです。これをガーッと一気飲みすれば、たちまち一刀さんも強くなれます」

「………でも、これ真っ赤だよ?」

「大丈夫ですよ。赤は3倍速いと言うでしょう」

「?」

「ま、それはいいとして。さぁ、飲んでください」

「うん、わかった………ガハッ」

 

その粉―――調味料は一味唐辛子だったわけだが。(ちなみに、この後おばちゃんや爺ちゃんにこっぴどく叱られたので、悪戯のレベルは若干危険度が下がっている)

 

「一刀さん、ガム食べます?」

「うん、食べる」

「はい、どうぞ」

「ありがとぅゎわぁっ!?」

 

小遣いをもらえるようになってからは、よく玩具で騙された。指が痛かったのを覚えている。

 

「一刀さんを私の部屋に招待するのは初めてですね」

「そうだね」

「ささっ、どうぞ座ってください」

「うん――――――」

 

BBBBBBBBBBB………―――

 

「あらあら、一刀さんったらお下品ですねぇ」

「……………」

 

クッションの下から取り出したブーブークッションを無言で引き裂く。俺が初めて自分の意志で物を壊したのはこの時だった。

 

「一刀さん、お勉強しましょう」

「うん。何の勉強する?」

「じゃぁ、今日は難しい本を読んでみましょうか」

「はーい………『ぶっ、無礼者!妾を何と心得るか!』『ふふふ、貴女様は帝ですよ』『分かっておるなら何故―――』さらに問う空のそれを捻りあげ、その言葉を遮る。『あぁぁあっ!?』それと同時に、空の喉から悲鳴が飛び出た。だが、俺にはわかってしまう――――――。『ふふっ…気持ちいいみたいですね、劉協様?』『そ、そんな事ふわぁっ!?』………………ねぇ、これよく分かんない」

「まだ早かったですかねぇ」

 

思えば、彼女は早熟だった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

そんなこんなで、はや十数年。彼女はいつも俺と一緒にいた。現に今も―――――

 

「はい、一刀さん。おしんこですよー」

「いや、恥ずかしいから」

 

――――――こうして、隣から俺に朝食を食べさせようとしている。

 

「せっかくお婆様が作ってくれたというのに、食べ物を無駄にしちゃいけませんよ」

「自分で食べるから」

「仕方がないですね。じゃぁ、お味噌汁はどうですか?はい、あーん」

「いや、それこそ無理無理無理あぢぢっぢぢぢぢっ!?」

 

舌が火傷しちまった。

 

 

「忘れ物はないですか?ハンカチとティッシュは?宿題は持ってますか?」

「全部あるから。大丈夫だから」

 

先程は彼女の暗黒面を紹介したが、その反面、こうして世話焼きな部分も持ち合わせている。いささか設定年齢が低い気がするが、そこには触れないでおきたい。

 

「一刀も七乃もしっかりやってこい」

「うーぃ」

「はーい、いってきます。お爺様」

「応っ」

 

爺ちゃんの声を背に、俺達は家を出た。え?七乃は家に帰らないのか、って?違うんだよ。俺がどれだけ急いでも、準備を終える頃には玄関に来てるんだよ。いったいどうやって準備しているやら………。

 

「おーす、かずピーに七乃さん」

「おす」

「おはようございます、及川さん」

 

登校の途中で級友と出会う。七乃は良くも悪くも腹黒い。俺にあれだけヒドイ悪戯をしておきながら、こうして外では笑顔を振りまいている。

 

「それにしても、かずピーが羨ましいわ」

「何がだ?」

「何がって、こないなカワイイ幼なじみと一緒に学校に来れるんやで?んなもんリア充以外の何ものでもないやろが!」

「そんないいもんじゃないと思うんだけどなぁ……」

 

及川のアホな戯れ言を聞き流していると、七乃も会話に加わる。

 

「そうですよ、及川さん。一刀さんったら、私が可愛い幼馴染である事をいいことに―――」

「自分で言うな」

「―――何かいいましたか?」

「いえ、何も」

「私に朝からあんな事やこんな事をさせるんですよ?」

「なんやて!?」

「今朝もヒドイんです。朝起きたと思ったら、引出しからえっちな本を出そうとして、それを私に見咎められると私に無理矢理………あぁ………………」

 

また、誤解を招くような言い方を。いつもの事だと俺は無視するが、級友はそうではなかったらしい。ぶるぶると肩を震わせていたかと思うと、次の瞬間。

 

「かずぴーの裏切り者ぉぉぉおおおおっ!!」

 

失礼な事を叫んで走り去って行った。

 

「七乃さんや」

「はい?」

「言葉には気をつけような?」

「何の事ですか?私はただ、無理やり片づけさせられた、って言おうとしただけですけど?」

「さいですか……」

 

日本語って難しいね。

 

 

 

 

 

 

昼休み。前の席に座ってる七乃が椅子ごとこちらに振り返る。

 

「あれ、七乃さんは弁当じゃないの?」

「それがですねぇ、忘れてしまったみたいなんですよ」

 

珍しい事もあるもんだ。普段はふざけた言動ばかりが目立つが、実際のところ、デキはかなりいい。というか良すぎる。授業で当てられればさらっと答え、悪戯をすれば抜け目ない。どんな悪事でも、バレた事などないような、そんな狡賢い女・七乃。その彼女が、まさか忘れ物をしようとは。

 

「仕方がないな。俺の半分上げるよ。今から購買に行っても売り切れてるだろ」

「いえいえ、そんな訳にはいきません。一刀さんは育ちざかりなんですから、しっかり食べてください」

「そうは言うがなぁ……」

 

相方が食事抜きなのに、自分だけ食べるというのも気が引ける。頬に手を当てて、食べさせてあげますから、なんて言っている女を見ていると、俺達の隣に椅子が置かれた。

 

「いやぁ、おまっとさん。今日は運がよかったわ。カツサンドに焼きそばパン、それとコロッケパンも手に入ったで」

 

嬉々として戦果を報告する級友だった。言葉の通り、手に持ったビニール袋には惣菜パンがいくつかと、紙パックのコーヒー牛乳が入っていた。こいつに頼んで、1つ分けて貰うか。そう考え、口に出すより早く動いた女がいた。

 

「そうそう、及川さん。及川さんに呼び出しかかってましたよ?」

「へ?」

「1年生の女の子が、体育館裏に呼び出して欲しい、って私に頼んできたんです」

「マジで!?」

 

そんな暇あったか?

 

「マジもマジマジ、大マジです。さ、お昼ご飯は私が頂いておきますから、会いに行ってあげてくださいな」

「せやせや!こうしちゃおれんわ!悪いな、かずピー。どうやらワイも、今日からリア充の仲間入りみたいや。待っててやーカワイ子ちゃーん!」

 

言うが早いか、及川は七乃にパンの詰まった袋を預けて教室を走り出た。

 

「………奇特な1年生もいたもんだ。まさか及川に告白とはな」

 

失礼な事を言っているが、どうせ及川だ。

 

「何言ってるんですか?嘘ですよ」

「は?」

 

と、目の前の少女はサラっとおかしなことをいいながら、ガサゴソと袋をまさぐる。

 

「ああやって言えば、及川さんなら他の事に目もくれずに行くことは分かってましたからね。お昼ご飯、ゲットです」

「…………相変わらず腹黒い」

「何言ってるんですか。私はちゃんといいましたよ、『頂いておく』って。字が似てるから『預かっておく』と間違えたんじゃないんですか?」

「またメタな事を………」

 

まぁ、及川だからいいか。

 

 

「七乃さん!女の子なんかおらんかったで!?」

「たぶん、及川さんに会うのが恥ずかしくなったんですよ」

「そかー、せやったらしょーがないわ………って、アレ?ワイのパンは?」

 

戻ってきた及川が自分の昼食がなくなっている事に気づく。

 

「あぁ、それなら及川さんのファンっていう3年生の先輩が持っていきましたよ」

「マジか!せやったらしょーがないわ」

 

やっぱ騙してんじゃん。

 

 

 

 

 

 

「さーて、一刀さん。お勉強の時間ですよ」

「いや、一人で出来るから………」

 

夜。稽古と夕食を終え、勉強をしようと自室の扉を開けたところで、部屋の反対側の窓が開かれた。何の断りもなくそのまま畳に降り、テーブルに勉強道具を広げていく。いつもの光景。

俺が断ろうとするも、七乃は人差し指を立てて頬を膨らませる。

 

「何言ってるんですか。明日は英語の小テストがあるんですから、一緒に勉強しようって約束したじゃありませんか」

「いや、してないよ」

「しました」

「してない」

「しました。証拠もあります」

「は?」

 

言うや否や、七乃はポケットから小さな機械を取り出した。

 

「………何、それ?」

「ICレコーダーです。ちゃんと、その時の一刀さんとの約束を録音してますので」

「……………」

 

そして、おもむろに再生ボタンを押す。ザー…というノイズの後に、七乃の声が聞こえてきた。

 

『(小声で)おはよーございまーす………ただいま朝の4時です。いかに早起きな一刀さんでも、さすがにまだ寝てますね。一刀さーん、起きてますかー?』

『んんん……』

『寝てますねー。ふふふ、可愛い寝顔です………いけませんね。なんか、こう…ムラムラしてきちゃいました。折角寝てる事ですし――――――』

   『………………ちゅっ………………ちゅ、ちゅっ………ちゅっ………………』

『――――――ふぅ、ごちそうさまでした。それじゃ、本来の目的を果たすとしますか。一刀さん、一刀さん』

『………んぅ、なんらぁ?』

『明日は、英語の小テストですよ』

『うぅ…マジ………?』

『マジマジマジも大マジです。という訳で、今日の夜は一緒にお勉強しましょうねー』

『するぅ…』

『はい、言質は取りました。さて、私もあと30分くらい寝なおしますかね………………あ、ふふっ』

   『ガサガサッ………』

『………ふぅ、あらかた詰め終えましたね。ジャージは貰って行きますね。あとは―――』

『ビビッ………ビイイイイイイイイッ………ペタペタペタ………………』

『これでよし、と。それじゃ、お邪魔しまーす』

   『ガサガサガサ………バフッ………………』

『んー…暖かいです。それに、一刀さんの匂いがします。………おやすみなさい………あらら、切り忘れてましたね………ま、いっか』

   『ザーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………』

 

「――――――と、いう訳です。そして顔が痛いです、一刀さん」

「黙れ。このまま顔を握りつぶされたいか」

「責任とってくれるならいいですよ♪」

「勘弁してください」

 

俺は右手から彼女の顔を解放した。

 

 

 

 

 

 

「ツッコミたい事がいくつかある」

「いやだ、一刀さんったら。まだ8時なのに突っ込みたいだなんて」

「黙れ。まず、ナニ録音してんだ、このストーカーがっ!?」

「ストーカーなんて心外ですね。私はただ、一刀さんへの愛に動かされただけですよ」

 

なんでお前が怒ってるんだよ。

 

「次に、途中に聞こえた湿った音と『ごちそうさま』の台詞の意味を教えろ」

「そんな恥ずかしい事言えるわけないじゃないですか。デリカシーがないですね」

 

だから、なんでお前が怒ってんだ。

 

「それに『詰め終えた』って言ってたよな。あれって朝のエロ本のことだろ!絶対そうだろ!それと『ビイイイイイイイイイイイ』って音は、アレ、ガムテープの音だな!?やっぱてめぇじゃねぇか!!」

「そんな音聞こえましたか?一刀さんって、もしかして霊感持ち?」

 

誤魔化してんじゃねぇ。

 

「最後に、なんでお前は俺と一緒の布団に寝てるんだ?男女七つにして同衾せずだ。この破廉恥女が!」

「失礼ですね。アレは私の部屋の布団にもぐりこんだ音ですよ」

「『お邪魔します』っつってただろうが!」

「これまた失敬な。あれは、布団の神様に言った言葉です。八百万の神様は、一刀さんだって知ってるでしょう?」

 

あぁ言えばこう言う。俺は脱力しきり、膝から崩れ落ちた。

 

「………もういいよ。さっさと英語の勉強しよう」

「最初からそう言えばいいんですよ。テキストとノート、出しますね」

 

俺の返事を聞くが早いか、彼女は嬉々として俺の鞄をまさぐるのだった。

 

 

 

 

 

 

勉強中―――。

 

「七乃……」

「『さん』です」

「七乃さん………」

「はい、なんですか、一刀さん?」

 

俺は教科書を指しながら、憔悴しきった声で問うた。

 

「なんで『aquarium』が『qquqrium』になってるのかな?」

「それ、どうやって発音するんですか?」

 

俺の幼馴染は、悪戯が大好きだ。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、今回は七乃ねーさんがやらかしてくれました!

『思春期』と『眼鏡っ娘』の※ですでに複数のリクがあったので、1時間で書き上げた。

とある方の※で、『七乃さんのSSはあんま見ない』とありましたが、確かにその通りなので書いてみた。

ここ最近で一番スラスラ進んだ作品な気がするwww

とまぁ、こんな感じで『幼なじみは~』シリーズは継続中です。

次こいつで!ってのがあれば、※してください。

『思春期』『眼鏡っ娘』と『イタズラねーさん』の投票を集計して、1番多かった奴は必ず書きます。

それと、ビビビっと来たやつも書きます。

『さらにこういう設定が欲しい』ってあれば、ビビビときやすいですwww

お待ちしておりますぜ。

 

ではまた次回。

バイバイ。

 

 


 
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