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真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-20

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-20
更新させていただきます。

血反吐が吐けるかもしれない……ゴパッ!!(~_~メ)

2011-10-17 23:26:58 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7713   閲覧ユーザー数:5501

 

 

この作品は恋姫無双の二次創作です。

 

三国志の二次創作である恋姫無双に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方は 次へ をクリックし、先にお進みください。

 

 

 

 

 

 

「それで一刀殿は結果的に皆の買い物は忘れてきたと」

 

「……面目次第もございません」

 

 

気絶した女の子を寝かせた部屋の前で星、舞流、燕璃に土下座する一刀。

プライドは無いのかと聞かれそうだが、頼まれていた買い物を忘れた挙げ句、女の子を連れて帰ってきた時点でプライドなんてものは無いに等しい。

 

 

「と、殿!顔を上げるでござる!仕えるべき主にそのようなことをさせたとなれば末代までの恥でござるよ!」

 

「まったく……まさか頼んでいた物の代わりに女の子を抱えて帰ってきた時はどうしようかと思いましたが。ま、今回ばかりは北郷さんばかりを責められませんか」

 

 

舞流は慌てふためいて、燕璃は至極冷静な態度で言いたいことを言うが、どちらの言葉の端々に取れるのはさりげないフォローという名の優しさだと思うのは自分の願望だろうか?――と考えながら一刀は申し訳なさそうな顔を維持したま立ち上がる。

 

 

「それにしても顔を見ただけで卒倒ですか。……北郷さん、なにか」

 

「してねぇよっ!?さっきのフォロー台無しじゃん!」

 

 

ふぉろー?という燕璃の疑問符に応えることも無くさっき感じた自分の脳内願望を消去するのに躍起になる。そんな一刀が悶絶してる中、部屋の扉が開いて中から白蓮が出てきた。

 

 

「白蓮殿、どうですかな容体は」

 

「私だって専門家じゃないから詳しいことは分かんないけど、多分過労だよ」

 

「過労でござるか……」

 

 

白蓮に容体を聞きつつ、手招きされて全員部屋に入る。

暇なのかと問われるかもしれないが、気を利かせた左慈がどこからか于吉を捕獲。

しばらくの間ならという条件付きで残っている仕事を二人に任せているといった構図だ。

自分以外全員女の子というデンジャラスな空間に足を踏み入れることとなっている一刀だが、この時はさすがにそんな考えが念頭に無く。ただ純粋に卒倒した女の子の安否を気にしていた。

 

少し寝台から離れたところで気絶したままの女の子の顔を覗き込む。

特に苦しいとか、そういった様子は見せておらず、白蓮の言う通り本当に疲労なのだろう。

安らかで、やはりどこか保護欲を刺激される寝顔だった。

 

――と、その眼が唐突にパチリと開く。

 

 

「お、気がついたか?」

 

 

その顔を白蓮が覗き込み、沈黙が数秒。

そして

 

 

 

 

「あわわわわわわわわわわわわわわわわ!!!!????」

 

 

 

 

自分に被せられていた掛け布団を胸に抱いたまま寝台の上で後ずさりをし始めた。

凄いテンパり様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一刀……私ってそんなに危ない人に見えるのかな……?」

 

「いやいや見えない。大丈夫だ白蓮、自身を持つんだ」

 

 

それから数分後、なにか勘違いして落ち込んだ白蓮を慰める一刀と、

 

 

「ほら、茶でも飲むと良い」

 

「あ、ありがとうございましゅ……」

 

 

朝に引き続き、珍しく穏やかな星が寝台の上に座る女の子に茶を出すという奇妙な光景が展開していた。ちなみに、舞流は状況について行けずあたふた。燕璃はいつも通り至極冷静に事の成り行きを傍観していた。

 

 

「え、えっとここ、どこですか……?」

 

「ここは幽州でござる」

 

「いや、そういうこと聞いてんじゃないから……ここは幽州太守、ぱ――じゃなかった。えーと公孫賛の居城だよ」

 

 

女の子の問いに、舞流が微妙に本質から外れた答えを言うも一刀がフォロー。

またもや一瞬、白蓮が公孫賛という名の太守であることを忘れ真名を言いそうになったが、なんとか言い直した。

 

 

「た、太守さんのお城ですか!?あわわわ……」

 

 

いきなり自分が起きた場所がお城だということに驚かない人もいないだろう。

女の子は起きた時と同じくらい取り乱していた。

 

 

女の子が落ち着くのをしばらく待ち、やっと数分後。

なんとか落ち着いた女の子が口を開く。

 

 

「あ、あの……幽州太守の公孫賛様はどちらに……?」

 

 

その言葉に部屋に居た全員の視線が壁にむかって体育座りしたままの白蓮に注がれる。

そしてその視線の意味を察したのか

 

 

「あわわわわ……きゅぅ」

 

 

再び女の子は卒倒していた。

 

 

 

 

 

 

「えーと、それで君は仕官しにきたと」

 

「は、はい。ホントは朱里ちゃんと一緒に来たかったんですけどどっちに行くか意見が分かれちゃってそれで朱里ちゃんは劉備さんのところに私は幽州の天の御遣いさんのところにそれぞれ行くってことになってえーっとえーっと――仕官させて下しゃっ!?……うぅ」

 

 

再び復活した女の子。

どこで息継ぎするか分からない早口言葉を言うようにしていた。

その無理が祟ったのか最後の最後で舌を噛んだ。

おそらく朱里という単語はちゃん付けからして友達かなにかのことだと推測したが、おそらく真名なので深く追求はしない。一刀としてはむしろ舌の安否の方が気がかりだった。

 

 

「だ、大丈夫か?」

 

「は、はい。大丈夫でしゅ……」

 

 

今度は噛んだのではなく、おそらく舌っ足らずになっただけだろう。

そしてなぜこちらを見て赤面するのだろう。

眼を逸らされる。

……嫌われているのだろうか?

 

 

「あ、あの……これ」

 

「ん、手紙?」

 

 

おずおずと差し出された紙を受け取る。

眼で問い掛けると、その意を汲んだのか女の子は頷いた。

それじゃあ、と失礼して手紙を開く。

まず眼に入ったのは――司馬徽という名前。

そしてもうひとつ――盧植。

 

 

 

 

 

 

「盧植?どっかで聞いたような――」

 

「盧植って――先生からか!?」

 

 

一刀の呟きに、未だ体育座りをしていた白蓮が反応した。

珍しく強引に一刀の手から手紙を奪い取り、真剣な面持ちで一字一句見逃すまいと眼を通し始める。時々手紙と女の子を交互に見ながら、へぇ…とか、ふぅん…とか、感嘆しているような、なにかに納得するような声を上げる。

そして、やっと読み終えたのか手紙を静かに畳んだ。

 

 

「ん。分かった。水鏡先生と盧植先生二人からの紹介なら疑う余地も無いよ。手紙には軍師希望って書いてあるけど、それで大丈夫か?」

 

「は、はい!よろしくおねがいしましゅ!?……うぅ」

 

 

……本当に舌は大丈夫なんだろうか。

既に噛みちぎられていてもおかしくないような様子にちょっとどころか、かなり心配になる。

いや、それよりも話に着いて行けてない。

多分この場にいる二人以外は。

 

 

「白蓮、結局どういうことなんだ?」

 

「あー悪い。勝手に話進めちゃったな。私と桃香が盧植っていう先生のとこで勉強してたのは前に言ったよな?」

 

 

その問いに頷く。

演義でも有名な話だ。

公孫賛と劉備は同門で、その師の名が盧植。

 

 

「その盧植先生の知己に司馬徽って人がいるんだけど、その人がやってる水鏡塾ってとこの門下生なんだ、この子。で、この手紙は紹介文。どっちか一人の紹介でも結構大事(おおごと)なのに、二人から頼まれたんじゃな」

 

「でもさっきチラッと見たら二人って書いてあったような気がしたんだけど」

 

「あ、あの!しゅっ朱里ちゃんは」

 

「あぁ。もう一人手紙に書いてあった諸葛亮って名前の子か?今朝届いた桃――じゃなかった。劉備からの手紙に、無事だって書いてあったよ」

 

「ほ、ほんとでしぃかっ!?……ひょ、ひょかった~(痛みに耐える様子で口を押さえながら)」

 

 

納得はした。

この子が仕官しに来て、無事仕官することになりそうだということも。

おそらくもう一人の子は義勇軍として名を上げつつある桃香の元へ行ったのだということも。

だがそれ以上に一刀は、たった今白蓮の口から出てきたあまりにも有名すぎる名に驚愕していた。

 

 

「白蓮」

 

「なんだ一刀――ってひゃぁっ!」

 

 

白蓮が振り向いたのと同時に、その肩をガシッと一刀の両手が掴む。

あまりに突然な行動だったので、悲鳴みたいな声を上げる白蓮。

そして自分がどのような状況下に置かれているのか理解し始め、みるみる顔が赤くなる。

 

 

「白蓮。今、なんて言った。誰が、何?」

 

「へ?え?」

 

 

一刀自身も若干混乱しているのだろう、具体性の無い問いが発せられる。

 

 

「桃香のとこに、誰が」

 

「あ、あぁえっと、諸葛亮――だったか?」

 

「諸葛亮――そうだよな。聞き間違えじゃないよな」

 

 

そのことを再確認し多少冷静になった一刀はようやく白蓮の方から手を離す。

そして今度は女の子の方をむいた。

 

 

「あー……不躾かもしれないけど、名前教えてくれるか?」

 

「す、すいません!すっかり忘れてました!」

 

 

一刀の言葉を叱責のような物とでも受け取ってしまったのだろうか。

恐縮しながら慌てて寝台の上で姿勢を正す。

そしておそらく大事な場面で噛まないようにと深呼吸。

 

 

「姓は鳳、名は統、字は士元、真名は雛里。皆さん、新参者ですけどよろしくお願いします!」

 

 

お、今度は噛まなかったな。と、部屋にいた皆が思ったと同時に。

 

 

「あー……」

 

「あわわわっ!?」

 

 

一刀が手で顔を覆いながら間延びした声を上げた。

その反応に自己紹介を間違えたとでも思ったのか、女の子――雛里が取り乱す。

一刀の、現状とは不釣り合いな様子に体調でも悪いのかと周囲が心配オーラを出すが、誰かが声を掛ける前に一刀は顔を覆った手を外して、雛里に微笑み掛けた。

 

 

「俺は北郷一刀。姓が北郷で、名が一刀な。ようこそ雛里、歓迎するよ――っていうかこれは白蓮の台詞か。……悪い、俺ちょっと左慈達が心配だから先に仕事戻るよ」

 

 

前半を照れたような様子で言うが早いか、一刀は不自然な話題の切り替えで、誰の返事を待つことも無く早足で部屋を後にした。

部屋に残されたのは呆気にとられた面々。

 

 

「私、なにか気に触るようなことをしてしまったんでしょうか」

 

「いや、そんなことはないだろう。一刀殿は基本的に女人に優しいからな。あの表情は気に触ったというより、なにか混乱しているような表情だったと思うが」

 

 

不安げな雛里の声に星が応えるが、雛里の表情は晴れない。

ふと、隣に立っていた燕璃が物珍しそうに星の顔を覗き込む。

 

 

「……?なんだ燕璃」

 

「いえ、表情がいつもより固いな、と。……ふむ、なるほど。さきほど北郷さんが公孫殿の肩に手を置いていたのを見て嫉妬でもしましたか」

 

 

燕璃なりの冗談。すぐ飄々となにかを言い返すだろう、と予想して。

しかし、その予想とは裏腹に星の表情が、よく見ないと分からないぐらいの変化だったのだが、ビキリと固まった。

 

 

 

 

 

 

 

書庫に続く廊下をゆっくりと歩く一刀。

その顔は部屋を出ていった時と同じく、混乱に彩られていた。

 

 

 

「諸葛亮が桃香のところ、鳳統が白蓮のところ――か。ふぅ……というか参入タイミングも三顧の礼も無視かよ。今に始まったことじゃないけど、色々と無茶苦茶だなこの世界。でもなんだったんだろうな、あれ」

 

 

首を傾げながら、雛里が名乗った時に感じた違和感を思い出す。

あの時、確かに雛里と何かが被って見えた。自分の記憶には無い筈の

雛里と同じくらいの背丈をした金髪の――

 

 

 

 

 

 

 

【 あとがき 】

 

 

 

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-20

【 鳳士元の仕官 奇妙な感覚 】

更新させていただきました。

 

 

 

今回は魔女っ子こと雛里の仕官話でした。

特になんの捻りも無い、変哲もないお話。

こういうのは次に繋げるのが難しいんですよね、自分で書いておいてなんですが。

 

 

 

おそらく次に一個か二個、拠点のような回を入れてから、本筋に移ります。

桃香達と別れてすぐにって言うのもなんですしね。

一応、雛里が入ったことによってバランスは取れてきました。

今後誰が参入するのか、どういう展開で物語は拡がっていくのか、予想も楽しい物かと思います。実際、大まかな本筋は出来ており、細かい設定が残るのみです。

一番難しいのはそれを文章にすることなんですけどね(苦笑)

 

 

 

ではでは

 

 

 

 


 
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