No.305096

キュゥべえの営業日誌

tkさん

『魔法少女まどか☆マギカ』の二次創作。
そして他作品とのちょっとしたクロスオーバー的な何か。

2011-09-21 22:45:55 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3257   閲覧ユーザー数:3228

 やあ、僕の名前はキュゥべえ。

 年頃の少女と契約して魔法少女になってもらうのが僕の仕事さ。

 え? それだけ聞くとまるで犯罪者みたいだって?

 失礼しちゃうな。これでも真摯な仕事を心がけているんだよ?

 

 さて、いつもは鹿目まどかという女の子と契約をしようとするんだけど、暁美ほむらという鉄壁のガードがついているから難しいんだよね。だから今日は他の候補になりそうな子達を捜してみようと思うんだ。一つの事にこだわり続けていると視野が広がらない。もしかしたらとんでもない掘り出し物があるかもしれないしね。

 君もついてくるかい? 僕の営業は並大抵の事じゃないから安全は保障できないよ?

 …そうか。そこまで言うなら構わないよ。

 

 さあ、僕と一緒に新しい魔法少女を捜しに行こうよ!

 

 

 

 

 キュゥべえの営業日誌 一冊目

 

 

 

 

 さあ着いた。ここは海鳴市という所だよ。

 ………凄い資質を感じるね。契約できれば僕のノルマを達成できるかもしれないよ。

 

 見つけた、あの子だ。まどかよりも幼いというのに凄い魔力量だね。

 これは本当に大当たりだね。さあ、さっそく営業を始めよう。

「あなたは、誰?」

 僕の名前はキュウべえ。

「…えっと。私、高町なのは」

 

 僕と契約して魔法少女になってよ!

 

「いきなりそんなこと言われても… どうしよう、レイジングハート?」

『申し訳ありませんが売約済みです。他を当たってください』

「私売り物じゃないよっ!?」

『冗談です』

 大丈夫。多重契約でも僕は構わないからね。

 今なら僕と契約すればなんでも一つだけ望みを叶えてあげるよ。

「うーん、願い事って言われてもすぐに出ないよ。私、今が充実してるから」

 本当に無いのかい?

 どんな些細な事でもいいし、その逆でもいいんだよ?

「うーん…」

 本気で悩んでるみたいだね。それだけ今が幸せという事なのかな?

 それじゃあ他人にしてあげたい事とかどうだい?

「あ、それならあるかも…」

 それは、君の魂を賭けるに値するものかい?

「今の私じゃできない事なの。それが本当に叶うんだったら…」

 

「なのは! そいつの言葉に惑わされちゃだめだ!」

 

「ユーノくん!?」

 あれ? ユーノ先輩じゃないか。

 そうか、ここは貴方の管轄だったんだね。

「こいつは無害を装ったマスコット業界の風上にも置けない悪辣外道なんだ! 今すぐ追い払うんだ!」

 酷い言い草だね。『淫獣の代表』と呼ばれる貴方に言われても説得力がないよ。

「うぐっ! 確かに色々と美味しい思いはしたけど不可抗力だよ! だから離してなのは! ごめんなさい許して!」

「駄目だよユーノくん。その美味しい思いを具体的に聞くまでお話しようか」

 契約者から折檻を受けるとか、同じマスコットとして嘆かわしいよユーノ先輩。

「君はハチの巣にされていたよね!?」

 そんな事もあったね。でも正確にいうとあれは別の僕だ。

「屁理屈だぁ!」

 さて、取り込み中みたいだし今日は失礼するよ。

 高町なのは、返事は後日また聞く事にするよ。

「待って。君の話もちゃんと聞きたいな」

 それは契約してくれるって事かい?

「ううん。確かに言われてみると怪しい気がしてきたから。君、何者なの?」

「なのは、僕を信じてくれるんだね!」

「ユーノくんは確かにえっちで役立たずで淫獣と呼ばれても仕方ないけど、嘘はつかないから」

「………鬱だ死のう」

 事実を突き付けられだけで自殺を考えるなんて、ユーノ先輩はメンタルが弱いね。

 高町なのは、君の質問に答えよう。何が知りたいんだい?

「全部、かな。君と契約した子の事とか、その子が幸せなのかとか、全部」

 

 

 

 酷い目にあったよ。まさかあの短時間で4体も破壊されるなんてね。

 全部聞きたいって言ったのに、説明の途中で攻撃してくるなんて想定外だったからかな。

 え? ソウルジェムや魔女の真相を聞けば当然だって?

 彼女はまだ契約していないんだから実害なんて無かったよ。それで気分を害するなんておかしいじゃないか。

 

 

 

 

 さて気を取り直して次に来たわけだけど。君はまだついて来れるかい?

 そうか、君はなかなか見込みがありそうだね。

 

「おう、来よったか新入り」

 おや、ケルベロス先輩。いや、ケロちゃん先輩と呼んだ方がいいのかな?

「どっちでもええわ。それより自分、最近は色々と暴れとるみたいやな」

 まあね。

 ただ、これが一過性のブームで終わるのか、新しいスタンダードになるのかはわからないけどね。

「ワイはそんなスタンダード嫌やなぁ。とにかく、さくらにはワイが付いとるから諦めて帰りや」

 さすが先輩、僕の目的もしっかりと把握しているんだね。

「当然や、先輩舐めたらあかんで(ドヤ顔)」

 それじゃあ他の子にしよう。大道寺知世(だいどうじともよ)とかどうかな?

「ちょい待ち!? お前が契約したら誰だってえらい事になるやろ! 大人しく帰り言うとるんや!」

 それじゃあ僕も困るんだ。まどかと契約とするのが難しい以上、他の子との契約も考えないといけないからね。

「アホォ! 自分の営業力不足を他人のせいにしたらあかん!」

 うーん、僕の努力不足という事かい?

「そうや、一度や二度の失敗で諦めたらあかん。次に繋げてこその営業やないか」

 実際には一度や二度じゃないんだけどね。

 それと起きぬけに一発で契約を取り付けた先輩に失敗について問われたくないなぁ。

 

「あ、いた。ケロちゃ~ん」

「どこに行ってましたの。捜しましたわ」

「うわっ!? さくらに知世! よりによってこないな時に!」

 …へぇ、流石ケロちゃん先輩。凄い資質を持った子と契約したんだね。一目で分かるよ。

「うっさいわ! 二人ともこっち来たらあかん!」

 

 やあ、僕の名前はキュウべえ。僕と契約して魔法少女になってよ!(お仕事モード)

 

 

 ~外道説明中~

 

 

「どうしよう。私はもうケロちゃんと契約してるから駄目だよね?」

 僕は多重契約でも構わないよ?

「ワイが困るわ!」

「では、私ではいけませんか?」

「だからあかんて! 知世、こいつの説明は色々と省いとるだけで危険な代物なんや!」

 大道寺知世、君でも全然OKさ。さあ、願い事はなんだい?

 

「私を、男性にしてくださいっ!」

 

 ………それは無理だ。

「なんでですのっ!?」

 いや、君たちからエントロピーを回収するには年頃の少女が最適だから、それを変えちゃうのはちょっと…

「願い事は何でも叶えられると仰ったじゃありませんか! こんなの詐欺ですわ!」

 詐欺とは酷いな。

 こうやってちゃんと出来る事と出来ない事を説明してるじゃないか。

「知世ちゃん、男の子になりかったんだ…」

「…あー。小狼への対抗心ってやつなんかなー…」

 まったく、君たちはどうして同性の恋愛なんて非生産的な事を好むんだい? 訳が分からないよ。

「ですから男の子になりたいと言ったのです! こんなの、絶対おかしいですわー!」

 いや、だから、無理なんだって。

 それと、僕の耳(?)を持って、振り回すのは、止めてくれない、かな?

「私の願い事を叶えてくれるまで止めませんわー!」

 それはつまり、僕に死ねって、事かい?

 僕は、ケロちゃん先輩みたいに、頑丈じゃ、ないんだけどね。

「いやー。ワイもあれは堪らんわ…」

「知世ちゃん、そろそろ離してあげよう。ね?」

「嫌ですわー! 恥を忍んでお願いしたのにあんまりですわー!」

 

 

 ぶちっ←キュゥべえがマミる音

 

 

『あっ』

 

 

 

 酷い目にあったよ。まさかあんな形で数を減らされるとはね。

 まあケロちゃん先輩がいた手前、契約しても何らかの形で対処されたかもしれないし、仕方ないかな。

 え? 一般人に殺されるなんてマスコットとしてどうなんだって?

 いやいや、僕はこれでもか弱い存在なんだ。ケロちゃん先輩やユーノ先輩みたいに戦闘なんてできないしね。

 

 

 

 

 今度は気分を変えて変わった子に接触してみよう。

 ここはスィーフィードという世界の聖王国セイルーン。

 君たちに分かりやすい様にいえば中世ヨーロッパを基調としたファンタジーと呼ぶ所さ。

 ゲームのRPGで一度は目にした事があるんじゃないかな?

 

 …うん、ここから強い資質を感じるね。

 どうやらアルコールを主に提供する治安の悪い飲食店みたいだ。

 え? 素直に酒場って言え?

 悪いけど僕には好んでアルコールを摂取する君たちの習性を理解しきれていなんだ。

 どこが酒場かそうでないかっていう匙加減はよく分からないんだよ。

 

 それよりも見つけたよ。

 黒いマントを付けた長い栗色の髪をした少女、この世界じゃ魔道士という部類だね。かなり豪胆な性格みたいだ。

「おっちゃ~ん。パスタおかわり~」

「リナちゃん、そろそろ勘弁してよ。材料が無くなっちゃうよ」

「んー。じゃあこれで最後にするから、ね?」

「しょうがないなぁ…」

 それなりに大食漢でもあるみたいだね。

 ああいう脳筋…もといおおらかな子は意外としたたかだから気をつけないとね。

 

 やあ、僕の名前はキュゥべえ。僕と契約して魔法少女になってよ!(キラッ☆)

 

「………あんた何?」

 あれ? 最初の流れを掴みそこなったかな?

 マミが最近の流行りだって教えてくれたんだけど。

 

 

 ~外道説明中~

 

 

「ふーん… 契約、ね…」

 どうかな。君にとっても悪い話じゃないと思うんだけど。

「一言でいうと胡散臭いわね」

 酷い言い草だね。これでも契約に必要な事は全部話したつもりだよ。

「つまり必要じゃない事は話してないって事でしょ?」

 まあ、全てを説明したわけじゃないね。

「あんたも分かると思うけど。私ら魔法使いにとって契約は命に関わる大事なもんよ。それを信用できなやつと出来るわけないでしょ」

 こっちにも秘守義務があるのさ。最初から全部を話しても信用してくれない相手の方が多いしね。

「…んむ、確かにそうかもね。んじゃ聞くけど、願い事が叶う範囲は?」

 大抵の事なら可能さ。

 ただ、性別の転換や世界を支配したいとかになると限られてくるんじゃないかな。

「その基準は?」

 君たちの発する願いのエントロピーが既定値を凌駕する事、かな。

 つまり自分の資質に合った願い事をすることが望ましいね。

「うーみゅ…」

 願い事が見つかったかい?

「…えっとさ。ちみっとでいいんだけど、胸を大きくするとかできる?」

 もちろん可能さ。その程度、君の資質ならお釣りが来るくらいだね。

「1ミリしか大きくなりませんでしたとか、そんなオチじゃないわよね!?」

 それは無いよ。君の資質なら世界一にだってなれるさ。

「せ、世界一…!?」

 願い事はそれでいいのかい?

「あ、ちょっと待って。ちなみにどうやって、その、大きくするのか聞きたいなーって」

 簡単さ。

 まず君の魂を抜きとってソウルジェムにするんだけど、その際に君の体は抜けがらになるんだ。

 そうすれば君の魔力で胸部の修復から強化、変化だって思いのままさ。

「…おひ」

 なんだい? 分からない所があったかい?

「アホかぁぁぁ! 魂を抜きとるって、それじゃあたしはゴーストも同然じゃないのよ! つーか体まで抜けがらになるってまるでゾンビでしょーが! そんなん魔法少女って呼べるかぁぁぁ!」

 うん、仕組みは良く理解してるみたいだね。さすが魔法をかじってる子だ。それじゃさっそく―

「前言撤回! んな条件で契約なんてできるわけないでしょ!」

 それは酷いよ。契約の寸前で破棄なんてまるで詐欺師じゃないか。

「あんたが言うなっ!」

 仕方ないな。それじゃあ他に契約できそうな子を紹介してよ。

「……んっんっん。それよりも、もっと特別な物をプレゼントしてあげようじゃない」

 契約してくれれば僕はそれでいいんだけどね。

 それで、何をくれるんだい?

 

「黄昏よりも昏きもの、血の流れより紅きもの」

 かなりの量の魔力を集めているね。

 

「時の流れに埋もれし、偉大な汝の名において我ここに闇に誓わん」

 しかも指向性の熱量を発するタイプかい?

 

「我等が前に立ち塞がりし、すべての愚かなるものに」

 これなら山脈の一部を削り取る事も可能だろう。

 

「我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを!」

 …それで、君は何をする気なんだい?

 

 

 

「竜破斬(ドラグスレイブ)!」

 

 

 

 

 というわけで今日の収穫はゼロだったよ。

「…そう。わざわざ私に報告しにきた理由は?」

 とりあえず鹿目まどかとの契約を優先しようと思ったからね。君にも報告した方がフェアだろう?

「お前がフェアと言うとこれほどまでに胡散臭く感じる物なのね」

 いい気分展開になったよ。また気が向いたら他の所へ行ってみようかな。

 次回は君も付いてくるかい、暁美ほむら。

「お断りよ。それにしても、そこまで酷い目に遭っても懲りるという事は無いのね」

 まあね。あくまで気分転換だからね。

 

 

 

 これを見ている君は気分転換ができたかい?

 もしよかったら次に僕が営業に行って欲しい子の名前を教えてくれないかな?

 筆者の知識と力量次第だけど、可能な限り希望にそう事ができる様にするってさ。

 

 

 

「どこを見て喋っているの」

 今後を有意義にする為のちょっとした提案さ。

 

 

 

   ~了~


 
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