No.303887

織斑一夏の無限の可能性25

赤鬼さん

第25話です。

変態は書きやすい。

自重という言葉は自分の辞書にはありません。

2011-09-20 01:24:08 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5012   閲覧ユーザー数:4623

 

 

 

 

 

 

 

Episode25:ラウラと愉快な仲間たち

 

 

 

 

 

 

 

 

【クラリッサside】

 

 

ある日の昼下がり。私、クラリッサ・ハルフォーフはドイツのIS配備特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」に与えられた部屋で隊員全員とISデータをまとめていた。

 

ドイツは欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』に参加しており、国防という名目のもと、第三世代型ISの実用化に向けて躍起となっているのだ。

 

現在の主力ISとして、日本が開発した打鉄、そしてフランスのデュノア社が開発したラファール・リヴァイブ等があるが、そのどれもが第二世代型である。

 

今やISは世界で最も性能の高い主力兵器となる。

 

第三世代型の開発・実用化を果たした国は未だに存在しないが、もしもこれが実現すれば、それだけで他の国に対して、アドバンテージが取れる。

 

世間的には平等を謳っても、国のお偉方はその心の内は自国が世界の中で一番を取る事しか考えていない。

 

まぁ、私も愛国心というやつか、ドイツで生を受けた以上、ドイツが世界のトップの国となる事を望んでいたりもする。

 

それに、そのお蔭で隊長のような存在が誕生する事になったのだ。

 

「シュヴァルツェ・ハーゼ」、ドイツでも精鋭中の精鋭のみが所属を許されるIS配備特殊部隊。私は自身の成績と優秀さで副隊長という座に就いている。そして私は出逢ったのだ。

 

運命の出逢い? そんな陳腐な言葉だけでは言い表せない出逢いを果たしたのだ。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ、煌めく銀髪をたなびかせるオッドアイの少女を一目見た瞬間、私は言葉を無くし、髪は逆立ち、涙し、そして鼻から純潔=赤いものを垂れ流した。

 

あぁ、神よ。私はあなたに感謝する。愛すべき存在を見付けられたこの幸運に私は身を震わせた。

 

私の中での隊長は強く、美しく、愛らしく。

 

常識を知らない、強さだけを追い求める様な人だった。

 

そんな隊長が遠い異国の地で恋に落ちた。

 

初めての経験に電話越しにあたふたしながらも一生懸命に私に助言を求めるラウラ隊長。

 

可愛かった。

 

近くにいたら、きっと襲ってしまっていただろう。返り討ちにされると思うが。

 

それでもよかった。それくらいにあの時の隊長は可愛かったのだ。だから私は全力で隊長を支援する。

 

私の心をこうまで鷲掴みにして離さない隊長が憎い。そして愛おしい。相反する二つの感情に私の鼻は限界知らずのように純潔を撒き散らす。

 

 

「ハルフォーフ大尉、純潔が垂れてます......」

 

 

「む? すまない。エルゼ中尉。隊長の事を考えると、どうしてもな......」

 

 

「ふふ、分かります。私なんか濡れちゃいますもの」

 

 

「あははははは」といつもの光景。「シュヴァルツェ・ハーゼ」に所属する隊員全員がラウラ隊長を愛している。

 

エルゼ中尉。肩くらいの長さの赤髪でまだ幼さを残す容姿をしている彼女だが、年齢は20歳を超えている。体の発育具合は顔に似合わず、胸はそれなりにある方だ。まぁ、私には負けるがな。

 

ちなみに隊員全員の机には隊長の写真(※主に盗撮もの)なり、デスクトップPCの壁紙にアップデートした隊長の写真(※これも盗撮もの)がある。

 

「シュヴァルツェ・ハーゼ」は別名、「ラウラ・ボーデヴィッヒを愛でる会」でもある。会長はこの私、クラリッサ・ハルフォーフである。

 

エルゼ中尉といつもの様に隊長の話にしていると、軽快なメロディーが鳴り響く。

 

 

~~~♪ ~~~♪ ~~~♪

 

 

はぅあ! この音はぁっ!

 

私は隊長からの着信音だけ変更している。直ぐに分かるようにするためだ。

 

 

「エルゼ中尉、今すぐ記録の準備をっ!」

 

 

「了解っ!」

 

 

そして私の指示のもと、エルゼ中尉を始めとした隊員が全員ヘッドセットを頭に付け、これから始まる会話の一語一句を聞き漏らさぬようにしながら、会話の記録を取るため、準備を始める。

 

それを見届けた私は直ぐに携帯端末を自分のPCに繋ぎ、会話を記録できるように準備をする。

 

あー、うー、ごほん、ごほん。

 

うむ、声帯調整良し!

 

ここまでかかった時間、五秒。

 

 

『クラリッサ、私だ!』

 

 

「受諾。こちらクラリッサ・ハルフォーフ大尉です。で、どうでしたか? 誓いの口づけは無事に済まされましたか?」

 

 

久し振りの隊長の声に身悶えてる隊員が数名いる。ふふふ、仕方のない奴らめ。まぁ、気持ちは分からんでもないがな。私自身、声は平静を保ってはいるが、「ピーーー」が「ピーーー」状態だ。

 

 

『うむ。まぁ、誓いの口づけはうまくいった。あれはいいものだな』

 

 

む、キスは上手く言ったみたいだが、言い淀んだという事は何かあったのだろうか?

 

 

「どうしました? 何かありましたか?」

 

 

『いやな......、誓いの口づけをした後に中国の代表候補生だったか』

 

 

「中国の代表候補生で今、IS学園に通っているという事は......凰鈴音ですか?」

 

 

『ああ、そいつだ。そいつも一夏を狙ってるらしく、一夏に誓いの口づけをしていた......』

 

 

悔しかったのだろう、最後の方は声のトーンが沈んでいる。ここは私が励まさねば。

 

 

「隊長、ご安心ください。隊長には私が、そして部隊の皆が付いております。何を怖れる事がありましょうか?」

 

 

『っ! あ、ああっ! そうだなそうだな。私には皆がいるのだな』

 

 

そう。隊長の冷徹な表情もいいが、年頃の少女のような表情をしているだろう隊長を想像するのもいいものだ。それだけで私は生きていける。

 

 

「それに次なる作戦も既に用意してます。ご安心ください」

 

 

『本当か!?』

 

 

「この作戦で織斑一夏を撃ち落としてみせるのですっ!」

 

 

『で、できるだろうか? この私に』

 

 

「できますとも! 隊長には私達がついているのですから!」

 

 

『そ、そうだな。すまない、大尉。どうやら私は弱気になってしまったようだ。それで、その作戦というのは?』

 

 

「その作戦というのは―――」

 

 

............

 

 

.........

 

 

......

 

 

...

 

 

ふう。隊長との通話を終え、私は一息つく。

 

先程までの会話を脳内再生する。あぁ、今日の隊長の慌てた声もよかった。先程から私は鼻から純潔の垂れ流しだ。

 

ふと室内を見回すと、全員が全員、身悶えてるようだ。それもそうだろう。基本的にあの隊長の冷徹な部分しか知らなかったのだから、このギャップはくるだろう。

 

隊長、あなたには私達「シュヴァルツェ・ハーゼ」がついております。

 

今回の作戦が上手くいけば、あの織斑一夏を見事落としてくれるでしょう。

 

 

 

 

*◇*◇*◇*◇*◇*◇*

 

 

 

 

【一夏side】

 

 

自室。もう時刻は夜も半ばだ。寮暮らしの生徒達は皆、自室でくつろいでる事だろう。

 

さて、今、俺が何をしているか、という事だが......正座しております。目の前には悪鬼と化したシャルロットさんがおります。

 

何でこんな状況になってるのか? だって、それは今日あったラウラや鈴とのキスの件らしい。

 

その件で箒もセシリアに女子達は皆、殺気立っていた。

 

シャルロットは男装しているので表だって怒る事ができず、二人きりになるまで怒りを胸の内に溜め込んでいたみたいだ。そのおかげで先程から説教されているわけである。

 

 

「ちょっと! 聞いてるの、一夏!」

 

 

「はい! 聞いてます!」

 

 

俺のほっぺを抓りながら、恨みつらみを並べる。うぅ、既に正座を始めて二時間......足が限界です。

 

むぅっと頬を膨らませ、俺の真正面で涙目交じりに説教するシャルロット。不謹慎ながらも可愛いと思えてしまう。

 

ちなみに今はプライベートな時間なので、シャルロットは俺が前にあげたシャツを着ている。しかも何故かノーブラで。

 

くっ、正座も辛いが、ノーブラは止めてほしい。我慢が出来ん。

 

唯でさえ、シャルロットのおっぱいは黄金星闘士《ゴールドセイント》クラスなのに!

 

慌てて視線を逸らす俺の顔を、シャルロットは両手を使って自身の方へ戻す。

 

 

「いーちーかぁー?」

 

 

シャルロットは怒っているようにむすっとしてる。

 

 

「......ずるいよ。ラウラや鈴ばっかり。僕だって、したいのに......」

 

 

「シャルロット?」

 

 

えっと......何かやばい雰囲気だ。

 

表情に陰を落とし、俯きながらブツブツ何か囁いているシャルロットに危機感を覚える。ここにいてはマズイ―――本能がそう告げている。

 

取り合えず、逃げよう。

 

 

「シャルロット、そろそろ......」

 

 

退散しようと思い、立ち上がろうとするが、長時間の正座が効いたのか、上手く立ち上がれない。

 

立ち上がるのに悪戦苦闘していると、両肩をシャルロットに掴まれる。

 

マズイマズイマズイ。

 

 

「何処に行くの、一夏。僕ね、いい事思い付いたんだ」

 

 

「そ、そうなんだ? 取り合えず、トイレに行きたいから離してほしいなぁ~......」

 

 

別にトイレに行きたい訳ではないのだが、ただこの場を離れたくて出た言い訳だ。しかし、目の前のシャルロットは目が据わっており、いわゆるレイプ目というやつで俺を見る。

 

ひぃぃぃぃぃぃっ!

 

 

「逃がさないよ」

 

 

そう言って、徐々に近付いてくるシャルロットの顔。

 

 

「待っ―――むぐっ!?」

 

 

「うむぅ......、はむっ......、むぐぅ......」

 

 

俺の肩を引き寄せ、そのまま唇を撫でまわしたかと思えば、その下を口内にねじ込んでくる。くちゃぴちゃと水音を立て、口内の歯茎をなぞるように舐め、そのまま舌を絡めてきた。

 

俺の唇を堪能したシャルロットは一度、俺の口から離れる。

 

 

「えへへ、一夏がファーストキスじゃないのがちょっと癪だけど、これって僕のファーストキスなんだよ」

 

 

あまりの事に俺は思考回路が止まる。

 

今日で何度目だよ......襲われるの......。あれだけ襲われないように、と思ってたのが遠い昔のように感じる。

 

 

「今日はこれくらいで勘弁してあげる。でもね、あんまり他の子といちゃいちゃしないでほしいな。僕って何気に嫉妬深いみたい......」

 

 

俺はコクコクと首を縦に振るしかできなかった。

 

 

「じゃあ、今日はもう寝よう? 明日もあるしね」

 

 

「あ、ああ。そうだな......」

 

 

そのまま、それぞれ自分のベッドに潜り込む。

 

今日は本当に色々あった......。

 

ラウラに鈴に、最後はシャルロットにまで唇を奪われてしまった。

 

 

............

 

 

.........

 

 

......

 

 

...

 

 

ダメだろっ! 俺は奪われる側じゃないっ! 奪う側なんだっ!

 

俺は誇り高きおっぱい戦士なんだっ!

 

明日からは絶対に負けないっ!

 

そんな決意を胸に、俺は夢の世界へと旅立っていった......。

 

 

 

 

 

*◇*◇*◇*◇*◇*◇*

 

 

 

 

窓の外、カーテンの隙間から朝陽が差し込んできているのを感じる。

 

 

「ん......」

 

 

もう少しだけ......。もう少しだけ......。

 

朝のまどろみの中、まだ眠りたいと思う欲求には逆らえず、ベッドの中で惰眠を貪る。

 

ふに。

 

......?

 

ふにふに。

 

腕の中に納まっているであろう、何かの感触を感じる。何だろう? このすべすべしてて柔らかい物体は?

 

まぁ、抱き締めていると気持ちいいものだし、問題でもないだろう。

 

ふにふにゅ。

 

 

「ん......」

 

 

抱き締めているであろう何かしらの物体から声が聞こえた。

 

んー、まぁ関係ないや。気のせい気のせい......。

 

 

............

 

 

.........

 

 

......

 

 

...

 

 

ちょっと待ってェェェェェェーーーっ!

 

え? 何、今の明らかな女性の声。

 

この作品、とうとう越えちゃった? 越えちゃいけない線、越えちゃった?

 

最近、そろそろ危ないかなぁ~って思ってたのに......、主人公自ら越えちゃった?

 

目を開けるのが恐い......。しかし確かめねばなるまい。恐る恐る瞼を開けると眩いばかりの銀髪が視界に映り、すやすやと眠るラウラの顔が目の前にあった。

 

そして恐る恐る布団をめくってみると......

 

裸じゃーーーーーーん!

 

何も纏ってないよ、この娘っ!

 

え? 俺、襲っちゃった?

 

昨夜寝る前に、確かに奪われる前に襲ってしまえとか思っちゃったけどさ、まだ何かした記憶もないよ、俺っ!

 

 

「ふぁ。おはよー、一夏。今日も―――」

 

 

隣のベッドで寝ていたシャルロットが起きたみたいだ。朝の挨拶の途中で言葉が途切れる。

 

ああ、この光景を見てしまったんですね......。

 

ベッドの中ではまだ夢の中なのだろう、すやすやと眠る一糸纏わぬラウラがいる。つまり何も隠しちゃいない姿を見られた訳で......。

 

 

「一夏」

 

 

「............」

 

 

恐くて返事もできない状態。

 

 

「一夏」

 

 

「―――と、取り合えず、ラウラが、お、起きる前に、胸、か、隠した方が......」

 

 

「............正座」

 

 

「......はい」

 

 

日本では悪い事をした罰則として正座をさせる事があるが、どうしてフランス人のシャルロットが知っているんだろう?

 

暫くすると制服姿になったシャルロットがラウラを起こす。

 

 

「ん......。なんだ......? 朝か......?」

 

 

目をこすりながら、起きるラウラ。ははは、可愛いじゃないか。

 

 

「取り合えず、服を着て。ボーデヴィッヒさん」

 

 

「ん? デュノアだったか......。ふむ、いくら一夏のルームメイトとはいえ、夫婦の営みを邪魔するのはいただけないな......」

 

 

ビキッ! 笑顔のシャルロットだが、口元は引き攣り、こめかみには青筋が浮かんでる。

 

 

「ははは。まぁ、いいから服を着なさい」

 

 

「う、うむ......」

 

 

シャルロットの醸し出すオーラに気圧されたのか、あのラウラが渋々といった感じに服を着る。

 

どうやら俺のベッドに忍び込む際に服をその場で脱ぎ捨てたようだ。

 

 

「よし、じゃあ、ラウラも一夏と同じように正座して」

 

 

「正座? そもそも一夏は何をしてるんだ? 床に座って」

 

 

ラウラは俺の横にきて、ちょこんと座る。もちろん、正座で。

 

時刻はまだ7時前なので、まだ時間的には余裕がある。つまり説教される時間があるという事だ。はぁ~......。

 

 

「じゃあ、ボーデヴィッヒさん。一夏のベッドに何で裸でいたのかな?」

 

 

「夫婦というものは包み隠さぬものだと聞いたぞ」

 

 

「へぇ~、その間違った知識は誰から?」

 

 

「我が自慢の副官、クラリッサだ。だから間違いはない」

 

 

横で聞いてる俺からすれば、間違えてると突っ込みたい。しかし、これまでのラウラの突拍子の無い行動の原因を作っているのはクラリッサさんというのか......。これは話し合う必要があるな。

 

その後、箒やセシリア、鈴が呼びに来るまで説教は続いた。

 

最後の方、さすがのラウラも正座は厳しかったのか、立ち上がった瞬間、足元がおぼつかなかったが。

 

 

 

 

 

*◇*◇*◇*◇*◇*◇*

 

 

 

 

【ラウラside】

 

 

「クラリッサ......。私だ......」

 

 

『受諾。こちらクラリッサ・ハルフォーフ大尉。どうしました、隊長? 声に覇気が感じられませんが......』

 

 

私の声を聞いただけで、いつもの調子でない事を悟られてしまう。

 

さすがだな。

 

 

「―――すまない。作戦は失敗した」

 

 

『なんですって!? 隊長の魅力が織斑一夏に通用しなかったのですか?』

 

 

「いや、ルームメイトのフランス代表候補生に注意されてしまった......」

 

 

クラリッサから聞いた話によると、日本では夫婦というものは常に同じベッドで裸のまま眠るらしい。そこでクラリッサは作戦として誓いの口づけを済ませたのであれば、今度は同じベッドで裸で添い寝をしてあげればいいというものだった。

 

しかし作戦はシャルル・デュノアの介入により中断されてしまったのだ。

 

 

『隊長、ご安心ください。隊長には我々がついています』

 

 

「そうだな。私にはお前達がいるからな」

 

 

『ええ。それでは作戦をプランBに移行させたいと思います』

 

 

「―――という事は一夏のシャワータイムを狙って突入という事だな?」

 

 

『その通りです。裸と裸の付き合い。これで間違いなく落ちる筈です』

 

 

私は今日ほどクラリッサが頼もしく思えた事はない。私は運がいい。こんなに優秀な副官が、そして「シュヴァルツェ・ハーゼ」隊員全員が私を支援してくれている。

 

私は想いに応えねばならない。

 

今度の作戦で一夏を撃ち落としてみせるっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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