No.302198

一刀の記憶喪失物語~袁家√~番外編 蜀

戯言使いさん

お久しぶりです。PCが壊れてしまって、しばらく更新できませんでした。
お詫びということではありませんが、以前、要望があった番外編を作りました。懐かしい作品の番外編ですが、どうぞよろしくお願いします

これからも、少し更新が遅れてしまいますが、どうかよろしくお願いします

2011-09-17 23:09:31 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:5400   閲覧ユーザー数:4263

 

 

 

これは、一刀たちが蜀で過ごした何気ない一コマのこと。七乃も到着し、久しぶりで4人で楽しく過ごしているときの出来事である。

 

 

 

 

 

 

「(こんこん)失礼します。一刀さま・・・・」

 

まだまだ日が昇り切っていない早朝。月は一人静かに一刀の部屋へと訪れていた。本来であれば、これほど早い時間には仕事はないのだが、月は一刀が来てからというもの、この時間で起きることが日課になっていた。

 

月は足音を立てないように一刀の寝るベッドに近づくと、静かに一刀の寝顔を観察する。

 

 

「(くんかくんか)へぅ・・・・たまらないですぅ」

 

 

鼻を近づけ匂いを嗅ぎ、そしてベッドに落ちている髪の毛を、一刀が起きないように集める。

 

 

「今日は・・・・ない・・・・です?」

 

 

「ふっふっふ、あまいわ月!」

 

 

後ろを振り向くと、そこには詠がいた。そして手には一刀の髪の毛を握っている

 

 

「すでに僕が回収したわ!」

 

 

「詠ちゃん!?」

 

 

「これで今までの合計、僕は53本。月が49本。僕の勝ちだよ」

 

 

「へぅ・・・で、でも、詠ちゃんはこれがなんだかわかる?」

 

 

そういって取り出したのは、一枚の布。それは少し湿っており、かすかに汗の匂いがする。

 

 

「これは一刀さまの寝汗を噴いた布なの・・・・(くんかくんかぺろぺろ)へぅ・・・・よかった、おむつ履いてきて。床に水たまりを作らないですんだもの」

 

 

「くっそ~!ぼ、僕なんて直接汗を舐めちゃうもんね!」

 

 

「そ、それなら私は厠に潜んで一刀さまのおしっ・・・・・」

 

 

「うっせーぞごらぁ!」

 

 

当然というべきか、月たちのくだらない言い争いで目覚めてしまった。

 

 

「あ、おはようございます」

 

 

「おはようございますじゃねーよ!勝手に入ってくんな!」

 

 

一刀は体を起こすと、いつものように髪の毛をカチューシャでオールバックにする。

 

 

「一刀さま。さっそくですが、用を足しませんか?ちょうど、ここに便器が・・・・」

 

 

「何自分のことを指さしてんだよ!この変態どもが!」

 

 

「・・・・・へぅ。甘いですね。今更、「変態」程度で私たちが興奮をするとでも思っているんですか?(じょわぁ)」

 

 

「おい。音、音が漏れてるぞ」

 

 

「これは一刀さまと同じ空気が吸えることへの嬉し涙です。そして言い換えるなら一刀さまへの愛が溢れたもの。つまり、愛液です」

 

 

「結局興奮してんじゃねーかよ!・・・・はぁ。まぁいいや。もう俺は疲れたんだよ。俺に直接迷惑かけないで、それでいて、倫理的な行動なら我慢してやるから、だからもう朝早くきて騒ぐのだけはやめてくれ。これは命令だ」

 

 

「め、命令!月!僕は急いで桃花と朱里に話してくるから!急いで法案を作らないと!」

 

 

「わ、わかったよ詠ちゃん!私はその間に一刀さまの蒲団をはぁはぁと下着をくんかくんかしてるね!?」

 

 

「だめよ!今日は愛紗と星が蒲団、蒲公英と翠が下着くんかくんかの番よ!」

 

「大丈夫だよ。あの人たちは匂いを嗅いでも2番目だって分からないよ。私たちとは違ってね」

 

 

「ふっ・・・・さすが元王」

 

 

「へぅ・・・・それを言うなら、詠ちゃんこそさすが軍師」

 

 

「うっせーぞおめーら!今後一切、そういう行為は禁止だ!これも命令だ!」

 

 

「わかりました。では食べます。はむはむします。」

 

 

「あぁもう!あぁ言えばこう言う!」

 

 

一刀は頭を押さえて大きくため息をつくと、部屋を出た。当然、その後ろには月が付きまとう。詠は「私は急いで法案をまとめてくるわね」と、どこかに行ってしまった。

 

 

「ご飯に行かれますか?」

 

 

「あぁ」

 

 

「今日は鈴々ちゃんですね」

 

 

「へぇ、あんなガキが料理を作るとはな」

 

 

「いえ、鈴々ちゃんが一刀さまの使用済みの箸と食器を使うんですよ」

 

 

「あんなガキまでもか!?」

 

 

「最近は璃々ちゃんを教育しようかと思っております」

 

 

「やめろ!俺の癒しを取らないでくれ!」

 

 

「えっ?」

 

 

「・・・・・・・何でもない」

 

 

「ともかく、ご飯ですね。その次は?」

 

 

「あー、七乃たちとお茶でも飲みながらゆっくりするよ」

 

 

「分かりました。準備をしておきますね?」

 

 

月は性格はあれだが、仕事は有能なのだ。だからこそ、余計にたちが悪い。一刀がこうして快適に生活できるのも、月や詠の努力があるからこそ。

 

 

「・・・いろいろとありがとな」

 

 

少し恥ずかしそうにお礼を言う一刀。そんな一刀に月はにっこりとほほ笑んで笑顔を返した。

 

 

「いえ。一刀さまの身の回りの仕事ができて私は幸せです」

 

 

ニコニコ、と嬉しそうに笑う月を連れて、一刀は食堂へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事が終わった後、一刀は斗詩たちを誘って、中庭でお茶をすることにした。

 

それを聞いた蜀の武将たちは、自分も一緒したいと言い出したが「仕事を完璧に終わらせたら、参加させてやる」と言った一刀の言葉に従い、熱心に仕事をしていた。

 

なので、お茶会にいるのは一刀、斗詩、猪々子、七乃、璃々、そしてメイドの二人だった。

 

 

「それでねー、おかーさんが「いい?一刀さまを部屋に誘い込むのよ?そうしたら、あとはお母さんが仕留めるから。大丈夫よ。私の体を一度味わえば逃げられないわ」って言ってたよー」

 

 

「そっかー。それじゃあ伝言お願いしていい?「一刀さんは私みたいに地味だけど程よい巨乳が好きなの」って」

 

 

「斗詩は相変わらず嫉妬深いなー」

 

 

「そうですねー。私みたいに余裕を持ちませんとねー。一刀さん」

 

 

「・・・・そういいながら、俺の手を握るのをやめないか?七乃」

 

 

「ずるーい。璃々もおにーちゃんの手を握るのー」

 

 

「ま、まぁ璃々ちゃんならいいですよ」

 

 

璃々ちゃんは「わーい」と一刀の膝に座る。手を握ると言っていたのに膝に座った璃々に斗詩は何か言いたそうだったが、ぐっとこらえた。

 

 

「一刀さまー!お仕事終わりましたー!」

 

 

中庭に走ってきたのは桃花と愛紗、そして紫苑だった。それを見た月と詠はすぐさま机を椅子を準備する。

 

 

「ありがとねー。ふぅ、新しい法案も可決出来たし、お仕事も落ち着いたよ」

 

 

「そうですね。兵の鍛錬も順調ですし、少々の休憩を」

 

 

「そうか。お疲れ」

 

 

「あら、璃々ったら一刀さまの膝の上に座るなんて・・・・璃々?その姿勢のまま、腰を上下に動かしなさい?」

 

 

「こーう?(くいくい)」

 

 

「やめろ!」

 

 

「ふふ、それでは、私と一緒に閨で上下運動するか、それともそのまま璃々とするか・・・・」

 

 

「ふざけるな!頼むから璃々だけは汚さないでくれ!」

 

 

そんな光景をニコニコしながら見ていた桃花たちは、月の準備した椅子に座る。

 

 

「あー、ちょっと月ちゃん?私の椅子、濡れてるよー」

 

 

「それは桃花さまの股間が濡れてるからですよ。はい、おむつです」

 

 

「あ、ほんとだー。てへ♪」

 

 

「すまないが月。私にもおむつを。2枚重ねで」

 

 

「はーい」

 

 

「ちょっと待ちやがれ!そこ!興奮すんじゃねーよ!」

 

 

「まったく。ん・・・・これぐらいで興奮するなんて、考えられませんよ。あ、あ・・・・やっぱり、一刀さんには蜀の方々には似合いません。ね?七乃さん(くちゅくちゅ)」

 

 

「そ、そそそーですね・・・・・ま、まったく・・・・・これぐらいで・・・・んっ・・・・濡れるとか・・・・はぁん・・・・ありえないですよぉー(くちゅくちゅ)」

 

 

「おー、この菓子うめー」

 

 

「・・・・・俺の味方は猪々子だけだよ」

 

 

「んー?食うかい?」

 

 

「遠慮するよ・・・・・」

 

 

一刀は自分の膝の上でくいくいと必死に腰をふる璃々を引き離し、落ち着くためにお茶を一杯飲む。

 

 

「へぅ・・・ご主人様。お味はどうですか?」

 

 

「ん?そういえばいつもと違うな。葉を変えたのか?」

 

 

「はい。今回は健康に良いと噂のお茶にしました。えっと・・・・新陳代謝がよくなるとか。毒素を排出しやすくなるらしいです」

 

 

「へぇ。俺の健康を気遣ってくれてるのか。ありがとな」

 

 

「はい。お礼でしたら、一刀さまにたまった毒素を私に放出してくださるだけでいいですよ」

 

 

「しねーよ!・・・・・う、なんか言われたせいか、急に尿意が・・・・おい、俺は便所に行ってくるからな・・・・」

 

 

「あ、一刀さま!残念ながら、厠は故障する予定です!」

 

 

「予定って何だよ!とにかく、俺はいくからな!」

 

 

「へぅ・・・・・詠ちゃん。お願いね」

 

 

「僕に任せて!」

 

 

詠は全速力で建物の中に入ると、すぐさま「(どかばき)」と音がする。

そして詠は額にかいた汗を拭き、いい笑顔で戻ってきた。

 

「すみません、一刀さま。厠は壊れてしまいました」

 

 

「今あからさまに壊してきただろ!くっそ・・・・しょうがない、そこらへんの原っぱの隅でするか・・・・」

 

 

「ここに便器がありますよ?」

 

 

「だから自分を指さすなって」

 

 

「あそこにも便器がありますよ?」

 

 

「今度は自分の王を指さすな!」

 

 

「そちらにも便器がありますよ?」

 

 

「璃々だけはやめてくれ!頼むから!」

 

 

珍しく頭を下げる一刀を不憫に思ったのか、紫苑は少し思案顔をして、一刀に提案した。

 

 

「一刀さま。もしよろしければ、外れにある厠へいかれますか?」

 

 

「外れ?」

 

 

「はい。夜、見回りの兵がするために準備していた厠がありまして、そこは男女兼用ですので、心配はいりませんよ。璃々も行きたそうにしておりますし」

 

 

「んだな・・・・お前はこいつら違って変態じゃねーし、信用してやるよ。こいつらみたいなドM変態痴女集団と違ってな」

 

 

「へぅ・・・・変態なんかじゃないですよ。(ぽたぽた)」

 

 

「もぅ、月ったらおむつから垂れてるじゃないの(ぽたぽた)」

 

 

「・・・・・ふぅ。そういう詠ちゃんこそー。まったく、一刀さまに変態って言われた程度で興奮するなんてまだまだだねー。(すっきり)それより、どうして大陸は平和にならないんだろうね」

 

 

「・・・・・・ふぅ。桃花さま。さきほどご自分の股間を押さえてビクビクしていた理由を聞いてもよろしいですか?(すっきり)ですが確かに、なぜか急に大陸の平和について語りたくなってきましたね」

 

 

「おい、紫苑。案内しろ」

 

 

一刀はため息をつきながら、紫苑と璃々と外れにある厠へと向かった。

 

場所はそれほど離れておらず、後ろからも月たちは追ってきていなかった。

 

 

「んじゃ、璃々からで」

 

 

「いいえ。一刀さまからお願いします。璃々も女の子ですから、殿方に音を聞かれるのは恥ずかしいと思いますので。もちろん、一刀さまがしているときは外にいますので」

 

 

「ん・・・・そうだな。わりぃ。それじゃあ、俺から」

 

そういって一刀は個室へと入っていった。

 

流しと個室がひとつだけある小さな厠で、めったに人が使わないのか、清潔に保たれていた。

 

 

「そういえば、和式便所かと思ったけど、なぜか座椅子型なんだよな・・・・まぁ、いいや」

 

 

一刀は下半身に力を入れ、そして用を足す。

 

 

「あらー!璃々が急におしっこしたいと騒ぎ始めたわぁ。たいへーん(棒読み)」

 

 

「んな!?」

 

 

「あぁ、でも今は一刀さまが入っていらっしゃるし、邪魔は出来ないわー。でも、璃々がお漏らしするなんて恥ずかしいわー。仕方がないから、失礼しますわー(棒読み)」

 

 

がんがん、バキ!

 

 

扉が開かれると、そこには璃々を抱えた紫苑が満面の笑みを浮かべている。対して、一刀はまだ用を足す途中で動くことができない。

 

 

「で、でてけ!」

 

 

「あらー、服が扉に挟まってしまったわー。胸が出てしまいましたぁ(棒読み)」

紫苑はぽろん、と上半身を脱いで、大きな胸を一刀に見せびらかす。

 

 

 

―――当然、一刀も男だ。

 

 

 

いくら、性格が変わっていたとしても、男は男なのだ。

 

 

「あれー、おにーちゃんのがおっきくなったよー」

 

 

「や、やめて・・・・お願いだから・・・・・」

 

 

「あらあら、何かの病気かもしれないから、よくみてみないとー(棒読み)」

 

 

紫苑はにやけた笑みを浮かべて、一刀が動けないことをいいことに、近寄ってまじまじと見つけた。

 

 

 

 

 

 

そして、紫苑が一刀の一刀を見た瞬間、紫苑に電撃が走る。

 

 

 

 

 

 

紫苑はすぐさま厠を飛び出ると、お茶会をしている中庭に出て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一刀さまの一刀さまは、一じゃないわー!二刀・・・・いえ五刀ぐらい大きいわー!(じゅん)」

 

 

 

「「な、なんだってー」」

 

 

その叫びを聞いた武将たちは急いで厠へと向かっていった。しかし、下半身はおむつ一丁だった。おむつが耐えきれなくて染み出した汁が、スカートを汚してしまったからだ。

 

 

どたどた、と近づいてくる足音に、一刀は涙目になってうつむいた。

 

 

「もぅ、助けて・・・・・」

 

 

「おにーちゃん。璃々はおにーちゃんの味方だよ。元気だして(頭をなでなで)」

 

 

「璃々・・・・・ありがとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・あっれー、さっきよりもおっきくなっちゃったね?」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END


 
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