No.277852

複雑な、感情

白森 秋さん

複雑な、感情

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2011-08-18 21:59:20 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:526   閲覧ユーザー数:526

ああ、ネットの向こうにいる、憧れのあなた。

あなたは、どんな顔をしているの?

あなたは、どんな声をしているの?

 

会いたい。

一度でいい。一度でいいから。

このネットの壁を越えて、あなたという存在に、触れてみたい。

 

でも、もしも。

私のイメージと違ったら、どうしよう?

私の中の、あなたが崩れてしまったら、どうしよう?

 

私の中のあなたのイメージが崩れてしまったら。

私はこれまで通り、あなたと接することができるのかしら。

憧れの人であるあなたに、憧れ続けることができるのかしら。

 

それは私の問題だけじゃない。

あなたが私に会って、イメージを崩してしまったらどうしよう。

あなたと会った、その日から。私に対する態度が変わってしまったら。

 

私は、どうすればいいのだろう。

 

そんなことを、考えれば考えるほど。

あなたに会いたい気持ちが、膨れ上がっていく。

あなたに会いたくない気持ちが、膨れ上がっていく。

 

私はどっちを取ればいいの?

心の天秤に揺れる、ふたつの気持ち。

会いたい気持ちと、会いたくない気持ち。

どちらを選べば、正解なんだろう…。

 

ううん、正解なんて、無いのかもしれない。

だって、この会いたい気持ちも、会いたくない気持ちも。

私の、正直な気持ち、だから。

 

あなたに会いたい。

あなたに会って、直に、私の名前を読んでほしい。

あなたの声を、私の中に響かせてほしい。あなたのその、優しい声で。

 

でも、あなたに会いたくない。

あなたに会わなければ、あなたは憧れのあなたのまま。

あなたに会うことを夢見続ける、少女な私でいられるから。

 

 

私自身と、あなた自身のために。

 

私は、あなたに会いたいの。

私は、あなたに会いたくないの。

やっぱりあなたは、あなただった。

私が憧れていた、あなた。あなたそのものの、あなた。

あなたに会ってよかった。あなたに会えてよかった。

 

あなたと初めて、交わした言葉。

ネットの世界では、知っている人なのに。

実際に会うと、また恥ずかしい。

 

お互いに、どことなく、よそよそしくて。

遠慮しながら、相手の様子を窺って…。

 

でも、そんなもどかしい空気が、また心地よかった。

ふたりの間にある、新しい歯車が動き出したように。

温まっていない潤滑油が、機能し始めたときのように。

 

私と、あなたの間にある、歯車は。

いま、動き始めたばかりだから。

 

恥ずかしくて、面と向かっては言えないけれど。

私は、あなたに会えてよかった。

あなたに会えて、本当に良かった。

 

あなたは、どう思っているのかな。

私のことを、どう思っているのかな。

 

嬉しかった?

残念だった?

それとも、なんとも思っていない?

 

その答えは、あなたの心の中にしかない。

きっと、私にはわからない答え。

 

だから、私は悩まない。

本当はとっても怖い。でも。

 

今は、今だけは。

その怖い想いを、心の奥に隠しておこう。

 

"あなたに会えて、よかった。"

この幸せな気持ちに、浸るために。

あなたに会った、あの日から。

私は、あなたばかり想ってる。

 

もう一度、あなたに会いたい。

あなたと、お話ししたい。

あなたの、笑顔が見たい。

 

でも、あなたと私はすれ違い。

チャンスはあったのに、会えなかった。

私とあなたは、会えなかった。

 

とっても、残念。でも、仕方ないこと。

 

あなたには、あなたの暮らしがある。

私には、私の暮らしがある。

 

だから、私は我慢してるんだ。

きっと、またあなたに会えるからって。

あの日、あなたに会えた時のように。

また、あなたに会えるからって。

 

それにね。

私とあなたの間には、ネットという世界がある。

あなたと私を、繋ぎとめる、ネットという世界がある。

 

有名なあなたは、ネットの世界では人気者。

私だけのあなたじゃないのは、よくわかってる。

 

あっちこっちからちやほやされて、嬉しそうにしているあなた。

それを見て、不満に思っている私がいることも、わかってる。

 

でも、私は我慢するよ。

あなたが、誰と笑っていたって。

あなたが、誰と話していたって。

私はじっと、我慢するよ。

 

あなたと、どこかで繋がっていたいから。

あなたとの関係を、壊したくないから。

 

だから、だからね。

私の秘めた、この想いも。

あなたには、内緒にすると思う。

 

だって、話してしまったら。

きっと、あなたとの関係が壊れてしまう。

あなたと私の、回りだした歯車が。

噛み合わなくなってしまう。

 

それはとっても、苦しいこと。

それはとっても、哀しいこと。

 

それでも、私は。

いまの、あなたとの関係が大事なの。

それを、どうしても壊したくないの。

 

臆病ものって、言われてもいい。

勇気がないって、言われてもいい。

 

私は、なによりも。

あなたが好きで、あなたが大事だから。

 

あなたと、どこかで繋がっていたいの。

 

 

もしも、もしもだよ。

あなたが、私の気持ちに気付いたら。

私の気持ちに気付いて、それを受け止めてくれるなら。

 

いつか、また会えた時に。

私の手を、握ってほしいな。

 

何も言わなくていいの。

ただ、私の手を握ってもらえれば…。

 

私は、一歩を踏み出せるから。

胸の中に隠していた、この想いを。

口にすることが、できるから。

 

「あなたのことが、好きです。」 って…。


 
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