No.276215

真・恋姫無双~軍神VS覇王~運命の分岐点~

アインさん

前回のお話
曹操は周瑜に策を講じる。
しかし、周瑜はそれを逆手にある策を展開するのであった。

2011-08-17 08:07:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1497   閲覧ユーザー数:1425

第三話

 

『周瑜の策、諸葛亮の策』

 

曹操を神のように崇拝する男がいた。

男のは名は曹否、曹操の息子である。ただし、血は繋がってはいない。

曹操に拾われて養子として育てられた。その影響か曹操を深く尊敬し、少しでも障害になるものはすぐに排除している。

「李典が敵と内通している?」

先日、周瑜に降伏してもらおうと説得に行った女性からの情報だった。

「はっ。曹操様もあの李典殿が裏切りとは信じられず半信半疑のようです」

しかし、その影響か兵士達に動揺が起こっているのも確か。

「なら、殺せばいい。李典もその周瑜に降伏してもらおうと説得に行った女も」

曹否は刀を抜き、剣の斬れ具合を確かめる。

「お待ちください曹否様っ! 李典殿は黄巾の乱から曹操様の部下として歩んできた方。それを新参者のあの女性を信じるのですか!?」

「………何を言っている?」

「え?」

その瞬間、彼の首が飛んだ。

「私は李典もその周瑜に降伏してもらおうと説得に行った女も殺すと言ったのだ。それに曹操様を困らせる時点でそいつらは罪だ。もはや生きることさえ罪なのだ」

もう何も言わぬ彼に曹否はそう呟くと二人を殺しに動くのだった。

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「どうぞ。お味に合うかわかりませんが……」

周瑜は諸葛亮の手料理を食べていた。

ちなみに本来、客人の手料理を同盟中とはいえ相手は敵なのだから毒など入っている可能性もあるので食べるべきではないのだが、諸葛亮がそんな低俗的な人間ではないと知っている周瑜は、あえて認めて食事を受けたのだ。

それにそれもまた、周瑜の策の一つであるから。

「ふむ。うまいな……朱里殿はお料理も上手とお見受けします」

「いえいえ……そんな……」

諸葛亮は褒められた事に驚きつつも嬉しそうに笑顔を見せながら、二人は今後の作戦会議をする。

「私の古い友人と李典が殺されたそうです」

「………そうですか」

沈黙。

策とはいえ、友人を亡くしたことはやはり周瑜には堪える情報。諸葛亮もあえて口には出さないが、その辺りは心中を察してくれているようだ。

「……だが、李典は死んだ。これで曹操軍の兵器は愕然と低下する。彼女が生み出される兵器はまさに脅威としか言いようのないものばかりだったからな」

もちろんその兵器は赤壁でも使われるはず。しかし、その兵器達は彼女がいなければ役に立たないと調べがついていたのでならばと排除した。

「でも……まだ、百万の兵が残っています。どうするんですか?」

諸葛亮が困った顔で尋ねてくるが、周瑜はそれを一切の動揺も見せることもなく微笑んだ。

「お戯れを朱里殿。貴方もすでに策を考えておられるのでは?」

「あわわ……」

周瑜は筆を諸葛亮に渡した。

「ぜひともその策を手に書かれてはどうかな? 無論、私も書こう」

「………わかりました」

諸葛亮は頷くと手に文字を書き、周瑜もそれに続く。

「では……同時に」

「はい」

二人が一斉に文字が書かれた手を見せ合うとそこには『火』という字が書かれていた。

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それから二日後。

諸葛亮の指示で作った船が曹操軍に進入してきた。

「……霧が濃いな。これでは敵に進入されれば危険かもしれない」

楽進は兵士達に矢での迎撃を指示する。

「沙和……もう泣くな。それ以上、泣いたところで真桜は帰ってこない」

泣きじゃくる于禁。先日敵の策略で殺された友人である李典に悲しんでいるのだ。

「だって……だって……何も悪いことしていないのに真桜ちゃんが殺されるなんて信じられないのっ!」

「……そうだな。でも……それは戦争だ」

「!? 何それ? 凪ちゃんは真桜ちゃんが死んだことに平気なのっ!?」

「平気なわけないだろう!!」

「………っ!」

そうこうしている間にも敵はどんどん近づいてくる。

「討て!」

楽進は感情を隠すかのように兵士達に一斉に矢を放つ合図を送る。

矢は雨のように船に突き刺さる。

「討てっ! 討てっ! どんどん討つんだ!」

それ仲間を殺された恨みを晴らすような声だった。

「凪ちゃん……」

それを于禁は傍観するしかなかった。

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「あの……本当に大丈夫なんでしょうか?」

「大丈夫ですよ。亞莎さん」

矢が次々と突き刺さる中、その室内では諸葛亮と呂蒙が茶会をしていた。

「矢が傾きかけてきたら、今度は反対側にまわってください」

「はっ!」

兵士は諸葛亮の指示の元、矢で重くなった所を反対にする。

「……なるほど。重くなった部分も反対にしてまた矢で重くしてしまえば平等になるということですね」

「はい♪」

勉強熱心な呂蒙に諸葛亮は笑顔で答える。

「今度の戦は、矢がいくつあっても足りません。だから少しでも足しにしようと曹操さんからもらうという作戦です」

霧が深いというだけで敵も不用意に近づいてこない。

「……勉強になります諸葛亮様」

呂蒙は諸葛亮の凄さに関心する。しかし、その反面ある危機感を覚えた。

(もしかすると諸葛亮様は周瑜様より上かもしれない。……それは)

呂蒙は思う。

曹操との戦いだけでなく、さらなる戦が始まるのではないだろうかという想いを。

 

 

最終話へ続く……


 
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