No.264825

恋姫外史アナザー・とりあえず一刀第十六話

アキナスさん

魁に戻って一息つく一刀。
だが彼は、ある物を求めて旅人になる・・・

2011-08-08 15:28:36 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7129   閲覧ユーザー数:5699

「幸せって何だろうな?」

 

裸で寝台に横になっている一刀が唐突にそう言い出した。

 

「何だ?突然・・・」

 

一刀の隣で同じく裸で横になっている白蓮が聞き返してくる。

 

「いや、ただ何となくそう思った・・・で、どう思う?」

 

「急に言われてもなあ・・・」

 

う~んと考え込む白蓮。

 

「難しいか・・・だったら質問を変えよう。白蓮、お前の幸せって何だ?」

 

「わ、私の!?」

 

「それなら答えられるんじゃないか?」

 

「う、うん・・・まあ・・・」

 

白蓮は言葉を詰まらせたが、ンン!と喉を鳴らすと

 

「お前と・・・こうして一緒にいる時・・・かな」

 

顔を赤くして答えた。

 

「・・・なるほど」

 

一刀はジーッと白蓮を見つめた。

 

「な、何だ?」

 

「ありがとよ。参考になったし、今の一言で俺も少し幸せになった」

 

「そ、そうか?それは良かった」

 

「と言う訳で、礼も兼ねて・・・」

 

一刀は白蓮を右腕で引き寄せる。

 

「え?」

 

「第二ラウンドだ」

 

 

 

 

そしてこの時から日が昇るまで

 

 

 

 

 

白蓮の声が止む事は無かったという・・・

 

 

 

 

 

 

 

結局一刀の答えは見つからず、他の人間にも聞いてみる事にした。

 

その手には、突撃取材!一刀の幸せ探し!!と書かれた大きなしゃもじが握られていた。

 

 

 

一組目、春蘭・秋蘭

 

「華琳様にお仕えし、褒めていただく事に決まっているだろう!!」

 

胸を張って言う春蘭。

 

「・・・だよな」

 

やっぱりな、と言ったかんじで言う一刀。

 

「秋蘭は?」

 

「私か?私も、姉者と共に華琳様にお仕えする事だな」

 

「まあ、当然か・・・」

 

そして秋蘭は二人に聞こえない小さな声で呟いた。

 

「姉者の喜ぶ顔や困った顔を見る時も幸せを感じるがな・・・」

 

 

 

 

 

 

二組目、恋・ねね

 

「・・・ご飯・・・みんなと、一緒・・・」

 

「恋殿のお側にいる事です!!」

 

「・・・分かりやすいな」

 

 

 

 

三組目、季衣・琉々

 

「おなか一杯食べる事!!」

 

「美味しい料理を作って、それを食べて美味しいって言ってもらう事でしょうか?」

 

「・・・ほのぼのするなあ」

 

思わず二人の頭を撫でる一刀であった・・・

 

 

 

 

四組目、稟・風

 

「プハッ・・・」

 

何を考えたか鼻血を吹く稟。

 

「はい稟ちゃん、トントン」

 

「ふがふが・・・」

 

・・・・・・で、鼻血が止まった後

 

「風は・・・」

 

「ぐぅ~~・・・」

 

「聞いた俺が馬鹿だったよ・・・」

 

 

 

 

 

五組目、凪・沙和・真桜

 

「からくりや!」

 

「新しい服!お化粧用品も欲しい物が沢山あるの!!」

 

「・・・欲しい物じゃなくて、どんな時が幸せか聞いてるんだが」

 

「からくり作ってる時!からくりが完成した時!!」

 

「欲しかった服を買って着た時!!」

 

「・・・もういい」

 

がっくりと項垂れる一刀。

 

「凪ちゃんは~?」

 

沙和の問いに凪は

 

「警邏の仕事をしていて、街の人の笑顔を見る時・・・だろうか?」

 

「ええ子や!!」

 

おもわず凪に抱きつく一刀。

 

「キャーーー!!」

 

可愛い悲鳴と共に凪は一刀を殴り飛ばした。

 

「のあああああああ・・・・・・」

 

キラーン☆

 

一刀は星になったのだった・・・

 

 

 

 

六組目、麗羽・猪々子・斗詩

 

「皆が私を褒め称える時ですわね」

 

「・・・んな事あったっけ?」

 

ぼそっと言う一刀。

 

「何かおっしゃいまして?」

 

「いや別に・・・猪々子は?」

 

「アタイは、斗詩と愛し合ってる実感が湧いた時・・・かなあ?」

 

「具体的には?」

 

「え~っと、斗詩と閨で・・・」

 

「文ちゃん!」

 

「ふがが・・・」

 

慌てて猪々子の口を塞ぐ斗詩。

 

「それ以上言ったら怒るよ?分かった?」

 

「・・・こくこく」

 

首を縦に振る猪々子。

 

それを見た斗詩は猪々子を解放する。

 

「じゃあ、最後に斗詩は?」

 

「・・・耳を貸してくれますか?」

 

「ああ」

 

一刀に近づき、耳元でボソボソと喋る斗詩。

 

そして全て聞き終えた一刀と、喋り終えた斗詩は

 

「・・・頑張れよ。応援してるから・・・」

 

「はい・・・」

 

そんな言葉を交わしたのだった。

 

ちなみに斗詩の幸せ・・・というか願いは

 

「心休まる時間が欲しいです・・・」

 

と言うものだった。

 

思わず涙を誘う台詞である・・・

 

 

 

 

七組目、華琳、桂花

 

「そんな事を聞いて回ってるの?」

 

華琳の部屋へ一刀は来ていた。

 

「ああ、華琳の答えも興味があるから教えて欲しいんだが・・・」

 

「華琳様はアンタと違って忙しいのよ!さっさと出て行きなさいよクズ!!」

 

「つー訳で、教えてくれないか?」

 

「無視するんじゃないわよ!!」

 

しかし桂花を相手にしない一刀。

 

「・・・秘密よ」

 

唇に人差し指を当てる華琳。

 

「そうか、まあ強制じゃないから仕方ないな」

 

踵を返す一刀。

 

「桂花には聞かなくていいの?」

 

「聞いたって教えてくれねーだろうし、何となく分かるからいいわ」

 

「何ですって!?だったら言ってみなさいよ!!」

 

「華琳様から与えられる物全てが私の幸せ・・・といった所かな?」

 

「うぐっ・・・」

 

どうやら図星だったようだ。

 

「じゃ、そういう事で~~」

 

桂花の殺意のこもった視線を受けて、一刀は部屋を出て行った・・・

 

 

 

 

 

 

八組目、美羽・七乃

 

「ハチミツ水を飲んでる時じゃな」

 

「お嬢様と一緒にいる時ですね」

 

・・・分かりきった事だったので、詳しい所は省く事にする。

 

 

 

 

 

 

張三姉妹は興行で居らず、華雄も賊討伐に出て留守だった。

 

と言う訳で・・・

 

「ん~~・・・」

 

草むらで横になる一刀。

 

目をつぶって一眠り・・・しようとしたのだが

 

「か~ずと♪」

 

一刀が目を開けると、小蓮が一刀を見下ろしていた。

 

「となり、いいかな?」

 

「おう」

 

一刀の返事を聞いて、一刀の横に座る小蓮。

 

「皆から聞いたんだけど、幸せについて聞いて回ってるんだって?」

 

「まあな、ちなみにシャオの幸せは?」

 

「ふっふ~ん、教えな~い♪」

 

「そうかい・・・」

 

「そういう一刀の幸せは?」

 

「・・・それを探してるんだよ」

 

「?」

 

小蓮が首を傾げる。

 

「俺の本当の幸せって何か、良くわからないんだよな・・・」

 

「そうなの?」

 

「ああ、なんていうか・・・幸せの形っていうか、そういうものが全然見えないんだ・・・」

 

一刀が目を細める。

 

「女ってすごいよな・・・」

 

「どうしてそう思うの?」

 

「兵士や女官なんかにも聞いてみたんだが、幸せについて答えられたのは女性が圧倒的に多かったんだよ。内容については言わないけどな・・・」

 

「ふ~ん」

 

「幸せを探すのは、男より女が一枚も二枚も上手って事だな。あ~あ、男は駄目だわ・・・」

 

目をつぶり羨ましそうに言う一刀。

 

 

 

 

・・・・・・

 

「くー・・・くー・・・」

 

一刀はそのまま寝入ってしまった。

 

その寝顔を見ながら小蓮は呟く。

 

「シャオがいれば幸せだ、とか言ってくれないかなあ・・・」

 

しかし何故か首をブルブル振って

 

「違うよね。言ってもらうんじゃなくて、言わせて見せるって位の気合がないと・・・」

 

そんな事を言って、一刀の横に寝転んだ。

 

「ここに幸せ候補がいますよ~~」

 

そのまま抱きつく小蓮。

 

「んん・・・」

 

少し身体を揺らすが、そのまま眠る一刀。

 

しばらくして

 

「すー・・・すー・・・」

 

いつのまにか寝ていた小蓮の姿があった。

 

 

 

 

 

 

そよ風が吹く中

 

 

 

 

 

 

二人は気持ちよさそうに

 

 

 

 

 

 

眠るのだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

色々なイベントが矢継ぎ早に起こってたので、ちょっと一休みって感じで書いてみました。

 

一刀君が本当の幸せを見つけるのは何時の日か?

 

それは終わりの無い旅なのかもしれません・・・

 

今回書いてるとき、何故か某銀河鉄道のOP思い出しましたけど・・・

 

とか言ってみた所で次回に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴーッド!ラ・ムーーー・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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