No.263235

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第四十五話

海皇さん

皆さんこんにちは!この夏いかがお過ごしでしょうか?
今回より再開いたしました、呉ルート第四十五話、投稿完了いたしました。

今回は、無印以降、忘れ去られていたハムと粥より遙かに不遇な双子が登場します!こうご期待を。

2011-08-07 08:45:54 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5128   閲覧ユーザー数:4378

 

 ???side

 

 「孫策が暗殺されかかったせいで、領内で反乱が起きているらしいな」

 

 「はい、元々孫呉は豪族達が寄せ集まって出来た国、それを孫堅、孫策の指揮でまとめているようなものです。要の孫策が弱さを見せれば、今まで孫呉に否定的であった豪族は反抗するでしょうね・・・」

 

 「あら、尻軽な人たちね!そんな浮気ばっかりじゃ、女の子に嫌われちゃうのに!!」

 

 「この際そんなものは関係ない、それよりも、その反乱の状況はどうなった?」

 

 「は、孫策の妹の孫権が、姉に代わって指揮をとり、見事反乱軍を討伐した、と・・・、まだまだ若いながら侮れぬ存在になりそうです・・・」

 

 「あら、面白そうじゃな~い♪なら私が手ほどきしてあ・げ・よ・う・か・し・ら♪私女の子には厳しいの♪」

 

 「お前は少し黙ってろ!・・・それで、例の天の御使いと天将の調査はどうなった」

 

 「はい、現在孫呉の政、軍事において、斬新な政策を次々と打ち出して、孫呉の発展に一役買っているとか・・・、彼らもまた我等の障害となりそうですね・・・」

 

 「ああ、そう・・・「ねえねえ!御使いの北郷ちゃんって、いい男なの!?いい男なの!?」・・・おい」

 

 「あ・・・はい、こちらに似顔絵を用意しておりますので、どうぞ・・・」

 

 「・・・あら、いい男じゃな~い!!しかもなんか優しそうだし!!嫌いじゃないわ~ん♪」

 

 「・・・おい!厳白虎!!人の話を遮るな!!」

 

 「あん!!劉繇ちゃんのいけず~!!」

 

 「・・・あと、これが天将、関平の似顔絵です・・・」

 

 「ほ~・・・こいつが・・・」

 

 「中々可愛いじゃない・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、私の方が、おっぱい大きいわ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 私の方が、おっぱい大きいわ!!!」

 

 「もううるせえ!!お前はもうひっこんでろ頼むから!!」

 

 

 

 (・・・こんな連合で、大丈夫か・・・)

 

 

 

 一刀side

 

 「・・・ご主人様、私はこれでも兵の調練等で忙しいのですが・・・」

 

 「まあまあ愛紗、たまには息抜きも必要だって。雪蓮と冥琳から了解も貰ったから」

 

 「はあ・・・、ならいいのですが・・・」

 

 若干不満そうな愛紗を宥めながら、俺は愛紗と一緒に街を歩いていた。

 

 今日は俺と愛紗はお休み、二人でのんびりと街をデートしているところだ。

 

 なにしろ愛紗はこのところ訓練ばっかりで頑張りすぎだからな・・・。たまには息抜きも必要だ。

 

 

 

 

 

 あの雪蓮暗殺未遂事件の後、曹操から、暗殺の首謀者達の首と、謝罪の使者が送られて来た。首を検分したところ、一つの首に、片目になにかが突き刺さったような傷跡があるものを見つけた。その首は、間違いなく雪蓮を毒矢で射殺そうとした兵士のものだった。

 雪蓮は、これを確認すると、曹操の謝罪を受け入れる事を決めた。雪蓮自身、あの暗殺未遂は曹操の本意でなかったことに気付いていたらしい。

 愛紗や元董卓軍の皆等、雪蓮の決定に不満そうな人間もいないわけではないのだが、最終的には受け入れた。なぜなら、その頃には、孫呉にとって大きな問題が二つ持ち上がっており、曹操どころではなかったからだ。

 

 

 

 第一の問題は、劉備との同盟の解消だ。

 

 

 

 孫策が暗殺されかかったという情報を聞いた劉備が、孫呉との同盟を解消しようとの動きを見せたのだ。

 それを知った雪蓮は、こちら側から劉備に同盟の破棄を宣言、劉備もそれを受け入れて、これで劉備との同盟はご破算となった。

 劉備の態度に蓮華達は激怒していたけど、雪蓮は、

 

「あの子やっぱり強か(したたか)ね・・・」

 

と、初めから分かっていたかのようで平然としていた。

 

 

 

 第二の問題は国内の反孫呉勢力の反乱だ。

 

 

 

 そもそも他の豪族との連合政権である孫呉には、孫呉の支配に否定的な豪族も少なからず存在する。いままでは、雪蓮の指導力でなんとか抑え込んできたのだが、雪蓮が刺客に暗殺されかかったことで、チャンスだと考えたのか、一斉に反乱を起こしたのだ。

 

 当然雪蓮も討伐の軍を出したのだが、討伐軍の指揮は、全て蓮華に任せたのだ。当初蓮華は自分には荷が重いと必死に辞退していたが、冥琳の説得もあり、結局は承諾した。

 雪蓮が蓮華に討伐軍を任せた理由、それはいずれ蓮華が王位を継ぎ、新たな孫呉の王となる為の試練であった。

 雪蓮自身、いつ戦や暗殺で突然死ぬか分からない。いつも俺が守れるわけではないのだ。

 戦なら雪蓮自身の武の腕でなんとかなるかもしれないけど、突然起こる暗殺は予測できない。たとえ死ななかったとしても、何らかの理由で軍の指揮や政務が行えなくなってしまう場合もあるのだ。

 だから、万が一の時の為に、蓮華には次代の王としての実力を諸侯に示さなければならないのだ。たとえ孫策が斃れても、孫呉は磐石だと示さなければならない、その為に今回の戦の指揮は蓮華に任されたのだ。

 結果は蓮華の圧勝、反乱軍は壊滅し、全員孫呉に降伏した。

 

 これでようやく問題解決・・・・、と行きたいところだがそうも言ってられない問題が再び持ち上がってきたのだ。

 

揚州の劉繇率いる反孫呉連合が、その動きを活発化させてきたのだ。

 

 軍の調練、兵糧の確保はもとより、孫呉の領内に侵入して略奪等も行い始めたのだ。

 

 この動きに対抗する為に、俺達はさらに軍事調練に励むことになったわけだ。

 

 特に俺と愛紗の率いる部隊は、孫呉のほぼ主力とみなしていいほどの規模であった為、当然調練も通常の部隊より厳しい。

 しかも愛紗はそれを三ヶ月間休み無しでやっているのだ。いくら愛紗でもかなりの無茶だ。

 その為俺は、何とか休みを貰って愛紗をこうして街に連れ出しているのだ。冥琳も、「関平は無理矢理にでも休ませて欲しい」って言ってたし。たまには休暇も必要だよな・・・。

 

 生真面目な愛紗は最初は渋っていたけど、何度か説得してようやく納得してくれた。

 

 そして現在、俺達は街中をブラブラしているわけだ。

 

 「ふう・・・、最近はあまり人が入ってこなくなったな・・・」

 

 「今やあちこちで戦が起こっていますからね。北方では曹操と袁紹の衝突が続き、西方では劉表軍が南方の賊の討伐をし、この国も、いつ揚州での戦が始まるか分からない状況です。商人が行き来できる状態ではありませんからね・・・」

 

 俺は愛紗の言葉を聞きながら街を見回す。

 以前は大勢の商人で賑わっていた街も、最近は他国から来る商人が少なく、活気が薄れている。それも、愛紗の言うとおり諸国の領地争いの激化が原因だ。

 

 

 

 北方では、許昌に拠点を置き、帝を祭り上げる曹操と、業に本拠を置き、強大な生産力と軍事力を持つ袁紹との対立が激しさを増している。

 

 あちこちの城で小競り合いが起き、何時か大きな戦が起こるのではないか、と誰もが言っている。

 

・・・恐らく、その戦いが白馬の戦いと、官渡の戦いだろう。

 

 この戦いは、史実では曹操の勝利に終わるんだけど・・・。この世界ではどうなるのやら・・・。

 

 一応この戦いについては、雪蓮達に伝えてあるんだけどね・・・。

 

 

 

 そして俺達の隣の荊州を治める劉表軍なのだが、こちらは荊州南方に跋扈する賊の制圧を行っている。

 

 元々荊州を含む南方は、未だ漢による支配が行き届いていない場所が多く、それが山越等の賊を蔓延らせる原因となっていた。

 

 当然劉表軍も討伐を行うわけなんだが・・・・・、その方法があまりにも残酷極まりなかった。

 

 その方法とは、なんと戦で捕らえた捕虜を全員まとめて串刺しにして戦場に晒し者にするのである、

 

 

 

 串刺し刑とは、古代ローマの時代から行われた刑で、後にドラキュラのモデルとなったヴラド・ツェぺシュが好んで行ったことで有名だ。

 

 その方法は、木や鉄で作った杭を肛門に打ち込み、そのまま地面に杭を立てかけ晒し者にするのである。

 

 この方法の最大の特徴は、この刑に処せられた人間は、すぐには死ねないことである。

 

 最大で3、4日生き続けた者もいたらしい。

 

 

 

 劉表軍は、串刺しにした捕虜を戦場に立てかけ、晒し者にした。その数は千を越え、その光景はまるで杭でできた森のようであったという。それを見た賊軍は、その光景のあまりの恐ろしさにほとんどの者が戦意を喪失、一斉に降伏したらしい。

 

 この計略(と言えるかどうかは分からないが)以外にも、劉表は、かなり非人道的で、残酷な方法を用いて敵を討伐しているらしい。敵の生皮を生きたまま剥いだり、釜茹でにしたり、両手両足をそれぞれ馬に結び付けて四つ裂きにしたりと、その光景はまさに地獄絵図、劉表軍は悪魔の軍勢とまで呼ばれているとか・・・。

 

 もっとも戦場は人間の狂気が入り乱れる場所、そういう残虐行為に手を染めることもあるだろう。そして、あえて凄惨な処刑を行うことで、敵に恐怖心を植え付け、自身への反逆を躊躇させる狙いもあるのだろう。

 

 ただ、雪蓮達はそんな方法は嫌っており、劉表のやり方にも「ゲスの手口」と嫌悪感を示していた。

 

 

 

 俺達も他人事では済まされない。隣の揚州との摩擦によって、いつ戦が起きるか分からない状況だ。その為現在、街にはほとんど行商人がいなくなってしまった。おかげで経済活動が少々行き詰っており、税の収入にも影響を与えはじめている。

 

 「なんとかしなきゃいけないんだろうけど・・・、やっぱり戦を早く終わらせるしかないよな・・・」

 

 「はい、それ以外にはありませんね・・・」

 

 人が少なくなった街を見ながら、俺と愛紗ははあ、と溜息をついた。

 

 「あ、あの~・・・」

 

 と、突然後ろから声をかけられた。

 

 「ん?誰?」

 

 俺が後ろを振り向くと、そこには、なんとも奇妙な格好をした女の子が二人立っていた。

 

 二人とも双子なのか、同じ顔をしている。だけど一人は大人しそうな表情なのに対して、もう一人はどこかきつい目つきをしている。そして二人とも首に何故か首輪を付けている・・・、あれ?この二人、何処かで・・・?

 

 「え~と、何か用かな?」

 

 「あ!はい!実は孫策様のお屋敷を探しているのですが・・・」

 

 「お姉ちゃんが迷子になっちゃったせいでわからなくなっちゃったの!あんた、何処にあるか知らない?」

 

 「しょ、小喬ちゃ~ん・・・、失礼だよ~・・・」

 

 きつい目つきの少女の言葉を、おとなしそうな方の女の子がおろおろしながら注意する。

 

 

 

 ん?小喬?はて、何処かで聞いたような・・・・?

 

 「・・・まあいいや。しぇ・・・孫策の屋敷なら知ってるよ。良ければ案内してあげてもいいけど・・・、良いかな、関平?」

 

 「・・・ご主人様の事ですからどうせそう言うだろうと思いました・・・。私に依存は有りません・・・・」

 

 愛紗はあきれた表情で溜息を吐きながらそう答えた。・・・なんか気になるけど今は気にしないこととする。

 

 「・・・というわけだから、二人とも送っていくよ」

 

 「あ、ありがとうございます!!」

 

 「ふ~ん、ちょっとは気が利くじゃない。好感度がちょっっっと、上がったわよ」

 

 「んも~、小喬ちゃんったら~・・・」

 

 う~む、この二人の言い争いを見ていると、何かを思い出しそうになるんだけど・・・・。

 

 

 

 「ところで君達は何で孫策の屋敷に向かってるの?」

 

 俺と愛紗は、双子の少女を案内しながらそんなことを質問した。

 

 「あ、はい!孫策様に、ぜひとも侍女として雇っていただきたくて・・・」

 

 「私は周瑜様のお側に仕えたいって思ってるのよ。ああ~!あの知的な視線がたまらないの~!!」

 

 小喬はそんな事を言いながら体を悶えさせている。・・・・ん?待てよ?

 

 「・・・そう言えば君達の名前はなんていうの?」

 

 「あ、申し遅れました!私は大喬って言います!」

 

 「私は妹の小喬、まっ、よろしくしてあげなくもないわよ!」

 

 「んも~!小喬ちゃんったら~・・・」

 

 双子が名乗った時、その名前が俺の中で引っかかった。

 

 

 

 大喬、小喬・・・。確かそれぞれ孫策、周瑜の妻だったはずだけど・・・。はて、何か引っかかるんだよな・・・。

 

 「・・・なあ、愛紗、この二人の名前、聞き覚えない?」

 

 「・・・はあ、私もなにか引っかかるのです。こう、喉元近くまで出てきそうなのに出て来ないような・・・」

 

 愛紗も分からないか・・・。俺も何かこう、あと少しで出て来そうな感じなんだけど・・・。

 「ちょっと!!私達も名乗ったんだからあんた達も名乗りなさいよ!」

 

 と、小喬が少々怒り顔で俺達を睨み付けてくる。そういえばまだ名乗ってなかったな。俺が愛紗の方を向くと、愛紗はこくりと頷いた。

 

 「ごめんごめん、俺の名前は・・・「あっ!!一刀~!!こんな所で何してるの~?」・・・って雪蓮!?」

 

 俺が大喬小喬に自己紹介をしようとした時、突然雪蓮が後ろから抱きついてきた。

 

 「なあ!?しぇ、雪蓮!!な、何をしているのですか!?」

 

 「何って?抱きついているだけだけど?」

 

 「そんなことは分かってます!!何故ご主人様に抱きついているのか聞いているのです!!」

 

 「そんなの、愛し合う仲なら当たり前のことじゃない♪」

 

 「な、なんですって~~!!!!」

 

 キレている愛紗に対して、雪蓮はどこ吹く風といった感じで俺を抱き締める。

 

 俺が雪蓮を暗殺から助けて以来、雪蓮は今まで以上に積極的なアピールを行ってくるようになった。

 

具体的には、俺が風呂に入っているときにいきなり風呂に侵入してきたり、朝目が覚めたら、全裸の状態で隣で寝ていたり、こんなふうに突然抱きついてきたり等・・・・。

 

 本人曰く、「一刀にさらに惚れちゃったから!」らしい。まあ俺も気持ちは嬉しいんだ。でも・・・そのせいでいつも愛紗が暴走して俺自身生傷が絶えない・・・。

 

 そして、今回も・・・・。

 

 

 

 「あ、あの!!そ、孫策様!!」

 

 と、俺が潔く愛紗にボコられようと身構えたとき、突然大喬が雪蓮に向かって声をかけた。声が大きかったためか、雪蓮はすぐに気がついて大喬の方を向く。

 

 「あら?大喬ちゃんに小喬ちゃんじゃないの?どうしたの、こんな所で」

 

 「あ、あの!!私達孫策様と周瑜様に仕えさせていただこうと・・・」

 

 「その事はもう断ったはずなんだけど・・・」

 

 「それでも諦めきれません!!私、孫策様の事をお慕い申し上げて・・・」

 

 「いや、だから私はそんな趣味は無いから・・・」

 

 「ちょっとあんた!!いつまで孫策様に抱きついているのよ!!」

 

 「!?い、いや違う!!これは雪蓮が勝手に!!」

 

 「ひ、ひどいわ一刀!!昨日のあの熱い一夜は遊びだったのね!!私なんて体を弄んでポイ!な女なのね!?」

 

 「ゴジュジンザアバ!!ナニシテルンディス!!」

 

 「ちょ、ちょっと待って、雪蓮!!愛紗~~!!」

 

 「ううう~~!!小喬ちゃ~ん!!孫策様が、孫策様が~!!」

 

 「この変態!!お姉ちゃんの想い人の孫策様を寝取るなんて!!ふざけんじゃないわよこの泥棒猫!!」

 

 「いや!用いる対象違うから~!!」

 

 「一刀~♪」「ゴジュジンザアバ!!」

 

 「ちょっ!待って雪蓮!!当たってる、当たってるから!!愛紗~!!え、偃月刀はやめ・・・アーッ!!」

 

 

 

・・・なあ、俺が何をしたんだ?

 

 

 

 劉表side

 

 「・・・相変わらずお前の芸術の腕は賞賛物だな・・・」

 

 劉表は呆れたような声で部屋中に置かれた芸術作品を見回した。

 

 かなり広いその部屋には、所狭しと絵画、彫刻、焼き物等の芸術作品が置かれていた。

 

 そのどれもが素人が見たとしても一級品だと分かる最高の芸術であった。

 

 「このような戦乱の世に産まれねば、一級の芸術家として名を残したであろうにな、そなたも」

 

 「からかわないでくださいよ、父上」

 

 部屋の隅で絵画を描いていたその人物は、劉表の方に向き直ると苦笑した。

 

 「あくまで芸術は趣味ですよ。僕の本業は、軍を率いて策を練ることです」

 

 その人物は、まるで女性と見紛う程の美しい容姿をしていた。

 

 銀で出来たかのような輝く銀髪と、父親譲りの真紅の瞳が、その容姿を引き立てている。

 

 その表情はあくまで優しげで、どこまでも温和な雰囲気を漂わせている。

 

 彼の名は劉琦、劉表の長男であり、劉琮、劉盤、劉虎の兄である。

 

 「ふむ、確かにそなたの仕事は軍師であり、将、そしていずれは余の跡目を継ぐ者だ。しかし、これほどの芸術の才を、ただ趣味で終わらせるのは、少々惜しいな・・・」

 

 劉表は目の前にある白い石像を撫でながら溜息を吐いた。

 

 「やれやれ・・・、芸術家として志せば、かのミケランジェロやレオナルド・ダ・ビンチにも比肩しただろうに」

 

 「誰ですか?その人達は?」

 

 「西方、羅馬の著名な芸術家だ」

 

 劉表は肩をすくめながら、返事を返した。

 

 「ところで、この大陸の情勢、どうなっていくのかそなたの意見を聞いてみたい」

 

 劉表は突然、先程までとは別の話を始めた。一方、突然の質問に劉琦は戸惑うこともなく、再び作成中の絵画に向かうと、筆を動かし始めた。

 

 「そうですね・・・、現在北方では、曹操さんと袁紹さんが鍔ぜりあっています。西涼の馬騰さんは・・・、動かないでしょうね、多分。もしも袁紹さんと組んで曹操さんに敵対したら・・・、袁紹さんは勝てるんでしょうけどね・・・」

 

 「ほう?そなたは袁紹が曹操に負けると申すか?」

 

 劉表の質問に、劉琦は筆を止めると、ニコリと笑みを浮かべて劉表に向き直った。

 

 「ええ、十中八九負けますね。確かに袁紹さんは曹操さんを上回る軍と兵糧を持っています。参謀も優秀な人揃いです。普通に戦えばまず負けないでしょう。ですが・・・」

 

 「袁紹は普通でないと?」

 

 「はい、反董卓連合の時もただ「突撃~!!」ばかりで策もへったくれもありませんでした。恐らく袁紹さんは、ただ家柄が大事、家柄こそが全て、と考えているんでしょうね。実際、あの連合では身分の低い諸侯にまともに褒美を与えなかったりと問題行動が多かったみたいですし・・。それならおのずと結果も見えます。多分戦になったらなりふり構わず「突撃~!!」となるでしょうね・・・。たとえ軍師に諌められようとも・・・」

 

 「・・・・ほう」

 

 劉表は自身の息子の出す推測に感嘆の声を上げた。

 劉琦は構わず話を続ける。

 

 「まあ確かに物量等の問題もありますけど、なにしろ大将がお粗末な人ですからね。それに対して曹操さんは参謀、将の言うことは良い意見なら何でも取り入れる人です。多少の数の有利は覆せるでしょうね」

 

 「ふむ・・・、なるほどな。だが、例えば曹操軍七万に対して、袁紹軍七十万で挑んできたらどうするのだ?」

 

 劉表はまるで息子を試すかのように、そのような質問をしてくる。劉琦は、少し考えるそぶりをすると、再び口を開いた。

 

 「そうですね・・・、大軍の弱点は、兵糧です。僕ならば、袁紹軍の重要な役割を持つ人物、どちらかというと兵糧担当の人が良いんですが、かつ、袁紹さんに不満を持っている人を、僕側に引き込んで、食料庫の在り処、存在する兵の数、それを率いる将等の情報を教えてもらって、後は夜襲なり何なりかけて、食料を焼き払います。そうすれば袁紹軍は驚くほど弱体化しますからね。あとは煮るなり焼くなり・・・、といったところです」

 

 「・・・・」

 

 劉表は感心した表情で劉琦を見ていた。

 

 ちなみにこの策は、後の官渡の戦いで曹操が使った策である。それとほぼ同じ方法を、劉琦は一瞬で考え出したのである。

 

 

 

 彼は、芸術だけではなく、戦術、戦略に関しても天才なのである。

 

 

 

 劉表は、再び絵を描き始めた自身の息子を、頼もしげな表情で見つめていた。

 

 

 

 あとがき

 

 皆さんこんにちは!この夏いかがお過ごしでしょうか?

 

 今回、ようやく復活しました真・恋姫無双 呉ルート (無印関羽エンド後)、第45話、投稿いたしました。

 

 今回ついに、真で省かれたあの双子が登場します!!ついでに劉表の長男も登場します!

 

 劉琦のイメージは、弟と妹たちが武闘派なのに対して、彼は戦場の作戦、戦術を練り、勝利の道筋を描く戦術家タイプといったところでしょうか。

 

 さて問題は大喬、小喬、一体どういう役回りにしたものか・・・。私は個人的に恋のライバル的な存在にしたい、と思っているんですが・・・。

 

 序盤ででてきた人たちは・・・、もう分かってるでしょうが新たな敵キャラです。

 

 それでは皆さん、再会いたしました新たなる呉での外史、どうか応援よろしくお願いします!!

 

 

 

 おまけ

 

 Fate/koihime night  セイヴァー(一刀)が呼び出せるサーヴァント一覧

 

 

 真名   クラス    筋力  耐久  敏捷  魔力  幸運  宝具

 愛紗  セイバー    B+  B   B   D   A   B

     バーサーカー  A+  A   A   C   A   A

 

 鈴々  ランサー    A   B C   E   B   B

 

 朱里  キャスター   E   E   D   A+  B   B+

 

 星   ランサー    B+  C   A   D   A   B

 

 翠   ライダー    A   C   A   E   D  C

 

 紫苑  アーチャー   C   C   B   C   B   B

 

 

 華琳  セイバー    B   C   C   C   A   A

 

 春蘭  セイバー    B+  B   C   E   C   C

 

 秋蘭  アーチャー   B   C   C   C   D   B+

 

 季衣  バーサーカー  B+  B   D   D   B   C+

 

 桂花  キャスター   E   D   D   B+  C   C+

 

 

 蓮華  バーサーカー  B+  B+  A   C   B   B+

 

 冥琳  キャスター   C   C   B   A   D   A

 

 穏   キャスター   D   E   E   B+  C   B

 

 思春  アサシン    B+  C   A+  D   C   C+

 

 小蓮  アーチャー   C   C   B   E   B   C

 

 

 詠   キャスター   E   C   E   B+  E-  B+

 

 恋   バーサーカー  A+  B+  A+  D   C   A

     ランサー    A   B   A   E   C   B

 

 霞   ライダー    B+  B   B   C   B   B

 

 華雄  セイバー    B+  A   C   D   E-  C

 

 白蓮  ライダー    C   D   B+  D   E-  C

 


 
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