No.253692

勇気と友情、決意と絆(デジクロ×デジアドクロスオーバー)

※完結したんだしとタイトル昇格(笑)しました。折角珍しくも完結してるしね、というわけで。
にじふぁんにてXWサイド「ふたつの勇気とふたつの友情」
アド組とクロウォ組の一期ラストからの希望的クロスオーバーです
ただし9月入ってからの展開において 全く本編とは関わりのない話になったのであくまでも期待していた展開っつーかそんな感じです・うん、わかってる。
8月1日祝いに書いたんですが、ちまちまと追加して4日に完結?

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2011-08-01 21:36:20 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:8176   閲覧ユーザー数:7966

 

 

 

 

異変を最も大きく捉えることができたのは、いうまでもなくD3組だった。

「なにか」が起きていたことは、移動できなくなった二つの世界という状況に把握できたが、果たしてその原因は判断できなかった。

情報がなさすぎたのだ。

デジタルワールドは完全に閉鎖された状態で、何一つ確認することが出来ない。

新しい子どもが選ばれた可能性は充分あったが、最近充実していたOB・OGのフォローが「当たり前」になっていただけに、彼らの焦る気持ちも大きかった。

だがある日。

大学のテストに、気もそぞろながら挑んでいた八神太一と石田ヤマトの両名、別々の場所でありながら同時に片時も手放すことが無かった彼らのデジヴァイスが反応を見せたのである。

彼らは当然色めき立ったが、それは一瞬のコトで、それ以降、うんともすんともいいやしない。

それでも希望はみえたと心した彼らの翌日、突然降って沸いたのは「謎の姿が見えない"なにか"によっては解される街」の映像である。

 

いてもたってもいられなくなり(彼らにしてみれば、ソレを"あの世界"とつなげないほうがおかしいのだ)手が空いていた人間が皆周辺の調査に飛んだのだが。

現場が近かったこともあり、団地組が結果として迅速に動けたのは用意された奇跡のようでもあった。

 

そしてそこで、やはりその光を目撃したのは太一とヤマトだった。

コンビで探してはいなかったのだが、たまたま合流した直後、「それ」が視界に映ったのである。

手の中、祈るように誰ともなく握り締めていたデジヴァイスが熱を帯びる。

それが錯覚でもかまわない。

彼らはその光を追い、裏路地に足を踏み入れたが、そこにいたのは期待していたパートナーたちの姿ではなく、見知らぬ、だが「自分たちの頃と近い」年と想われる、つんつんの髪のひょろりとした少年と、髪を二つに分けた気の強そうなオーバーオールの少女の二人だった。

 

「よぉ」

 

出来る限りフレンドリーに声をかけたつもりだったが、それまでの疾走が息を弾ませていくらかその声は不明瞭になったようだった。

あからさまに警戒する少年たちに、さてどうしようかと苦笑いが浮かぶ。

 

「いや、そんな警戒されても困るんだけど。その、探し物をだな」

「パート、えっと"ともだち"がいるみたい、らしいんだけど」

 

歯切れ悪くなったのは、これがまったくの空振りだった場合に自分たちは明らかに不審になるからだ。

睨んですら見える目線が痛い。

 

「え?」

「いや、オレたちのほかに人間なんて」

 

いないと、いおうとしただろう少年が、びくりと震えて自身の、拳になっているその手を見た。

驚愕の表情に呼応するように、太一たちの機械が光を放つ。

それは確信。

それは縋るようにも響く、希望の糸。

 

「やっぱり!」

「いるんだろ、ガブモン。オレだ、ヤマトだ」

「アグモン、なにがあったんだ?!先日から連絡取れなくなってこっちのメンバーは大騒ぎだぞ?!」

 

その言葉に、少年たちは息を呑んだ。

一体自分たちがなにを耳にしたのかという反応そのものを示していたが、それ以上に、絆が反応を示した。

少年の手の中の「なにか」が、その手から飛び出す。

咄嗟に手を掲げた太一とヤマトの元へ、それぞれ。

 

「え?」

「なんだ、コレ」

 

てっきりと想っていた肩透かしにきょとん、とした彼らはしかしそこに「それぞれ」描かれた姿に目を見開いた。

 

 

・・・・・・・・・・・・異なる時代の、違う名で呼ばれ、だが同じ覚悟をした二つの「紋章」が、繋がるその瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<太一たいちたいちぃいいいいいい>

<やまとぉおおお、あいたかったよやまとぉおおお>

 

謎のUSBメモリからフォログラフィのように上半身だけの姿で相棒たちの姿が飛び出してくる。

離れていたのはほんの数日。

そのはずなのにここまで膨れ上がっていた心配も伴って再会で心が満たされるように。

泣きついてきている、といっていいアグモンとガブモンは、逢いたかったパートナーの声に、優しい目線にやさしくなだめられる。

 

「アグモン、大丈夫、大丈夫だから」

「ガブモン、あえてよかった・・・・・・」

 

とても「無事」とはいえないのはわかっていたが、口にした言葉が偽り無いのも事実だった。

ただ逢えただけ。それだけがとても重要であることを自分たちはよく判っていたから。

果たしてここまできて、事情が飲み込めていないだろう少年少女に、ようやく意識が向く。

 

「どういうこと?」

「あの機械、形違うけどもしかしてクロスローダーとか」

 

耳慣れない単語。

何かが起きていることだけは察することが出来る。

またきっと、デジタルワールドで何かが起きたのだ。

・・・・・だが、目の前の二人が自分たちの役割を果たした、という雰囲気は、どうしても感じられない気がした。

これは今まで、デジタルワールドに関わってきた側の勘にすぎないとしても。

 

「まさか。だってデジメモリ、差してもないのよ。それにすごい、小さいし、大学生って・・・・・・

オメガモンが世界を護っていたのって、すごく大昔って話だったじゃない」

「いや、思い出してみろ アカリ。向こうとこちらの時間の流れが違ったのは確かなんだ。それこそ数百年ぶりの再会なんだろ」

 

時間の流れもまたずれているのか。

アグモンたちの反応が決して大げさなものではなかったと?

彼らの再会に、少年は感涙すらしているようだった。

だが、それであわせてくれてありがとう、で終るような空気はここにはない。

 

「・・・・・私たちは、そういうわけにはいかないわよ」

「わかってるさ」

 

二人には、しなければならないことがある。

それがわかる、短いやり取りが悠長なことをしているわけにいかないことを察せさせる。

ヤマト、と短く太一が呼ぶと、心得たものでヤマトも小さく頷いてから少年少女に向き合う。

 

「名乗るのが遅れたな。俺は八神太一」

「オレは石田ヤマト。ふたりとも大学生だ」

 

名乗った彼らに、二人は反射的に居住まいをただしたようにみえた。

どうやら少なくとも、話を聞いてくれる気にはなっているらしい。

 

「・・・・・・陽ノ本 アカリです」

「剣 ゼンジロウ。その、八神さんたちは・・・・・・」

 

名乗り返してくれたことに太一が大きくうなづくのを確認して、ヤマトは携帯を弄りだした。集合メールを打つためだ。

タイミングとしては相手に失礼な行為だろうが、太一が続ける言葉が行為の意味を説明してくれる。

 

「あぁ。だがここでというわけにもいかないだろ。

詳しい話をききたいんだ。仲間と合流するから、一緒に来てもらえるか?」

「仲間」

 

想わぬ言葉であったように、少女、アカリが驚いた。

その様子に太一はわざわざ目線をゼンジロウたちにあわせ、子供に対するものとは思えないほど真摯な目線で、できる限りそれまでに説明がまとめてもらえるといいんだけど、と前置きしてからこんな風に告げた。

 

「一体何が起きてるんだよ、デジタルワールドで」

 

それは。

もっとも明確な、関係を示すカード(名前)。

 

 

 

「囲むような形になってしまって申し訳ありません。

こちらとしても手詰まりの状態でして。情報源となりそうな貴方たちに対し、大人気なく食いついてしまったら本当に申し訳ありません」

「繰り返してるのに謝って聞こえないのは何でだ」

「・・・・・・・あはは」

 

集まった数総勢12人。

すべて高校生以上の年上の男女、しかもタイプに関しては方向性が全く安定していないというメンツに囲まれ、二人は大いに緊張していたようだった。

無理も無い。

詰問されているというわけではないが、誰もが真剣かつ、こちらの言葉を危機のが住まいとしている空気は明瞭で、どうしても萎縮してしまうのだろう。

だが、二人の目線だけは逃げていない。

できないだけの理由があるのだろう。

 

「デジタルワールドでのことを話すのはかまわないんすけど、えっとその前に皆さんもジェネラルなんすか?なかすっごい人数でちょっとびっくりしているんスけど」

 

太一や大輔には聞きなれた、体育会系特有の半端な敬語でとにかくゼンジロウ少年がその口火を切った。

だが降ってわいた単語に、先ず全員が首を傾げることになった。

 

「ジェネラル(将軍)?」

「なんだ?ソレ」

 

この話がかみ合わない事態に、二人の方が戸惑ってしまったようだ。

皆が本当にわからないという雰囲気を把握したか、だから結局なのか、長い話になるが二人は代わる代わる、これまでの冒険について語っていく。

初めて信じてくれる、見知らぬ相手への思い出話は想う以上に口をすべらかにしたのかもしれない。

自分たちにも覚えがあるだけに、彼らも熱心にその話を聞く。

二人の、あの世界への愛しさがそこにはあった。

 

それは共に歩んできたからこそ培ったもの。

譲れない覚悟を改めて決意させるだけの強さ。

 

一通り、こちらの世界で起きた一悶着とクロスローダーを持つ少年の旅立ちと共に二人は今をしめくくった。

 

「はー」

 

感心したような、どこかため息にもにた声をあげたのは空だ。

ほかの面々も、多少の驚きと共に、やっと現状を把握できたとでも言いたげにうなづいている。

その中で再び手にしたデジメモリに声をかける、姿。

 

「お前がんばってたんだなー、えらいぞ、アグモン」

「おつかれさま。ガブモン。大変だったな」

<ありがと、タイチ>

<でもぼくら、まだしなきゃいけないことがあるんだ>

「アグモン?」

「ガブモン?」

 

幼い口調で、だが譲れないと強い意志を感じさせる言葉。

戸惑ってる彼らとは反面、二人は強い目線でそのやり取りに聞き耳を立てた。

 

<タイチたちに会えたから、力が出たよ>

<ぼくたちはふたりを、あの子のところに送り届けなきゃならないんだ>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広いところで、彼らを送るのだとアグモンたちは告げた。

移動中、かいつまんでだが自分たちはジェネラルではなくパートナー、そして一対一の関係なのだと告げたら、二人は驚いた。

なるほど聞けばチームが成立していて、そのトップに彼らの友人がいるらしい。

敵対チームがいたと聞いて、賢が少しだけ眉をひそめるが、決していつも険悪というわけでも現実ないらしい。単に志は違うが、今はまだ共通の敵がいるからなのかもしれないが、とにかく相手があいつで調子の狂わない奴はいないのよ、という少女の言葉が状況を優しく物語っていた。

大人数の移動はどうしても目立ったが、彼らは気にしない。

むしろアカリとゼンジロウの方がいくらか居心地悪そうであったが、慣れてもらわなければならない。

 

「それにしてもジェネラルにデジクロスですか。

進化するための機能が件の敵によって抑制されているのか、それともデジタルワールド自身が自衛の為にプログラムを書き換えたのか」

 

彼らの話題に一番食いついたのは当然ながら光子郎だった。

その目はキラキラというよりもはやギラギラしていて、こと細かく短い道程の内に貪欲なまでの勢いで情報を集めている。

半面で、自分たちのコトも語るから少年少女も戸惑う間もないのだが。

 

「書き換え?」

「僕たちのころは、進化が基本強化スキルのようなものでしたから」

「そうなんです、かー」

「なんとなくアーマー進化に似てますかね」

 

伊織が感慨深げに笑うと、うんうんと京も頷く。

 

「そういうとらえ方もあるかもー」

「っかしすげーな、デジモンが剣になるとかそれ振り回すとか」

 

大輔は聞いた話にわくわくを抑えきれない。

そんな和やかな空気の中、たどり着いたのは公園に設けられた、小さな林だった。

そこにあったのは小さな電車の一車両。

なんでこんなところに、と想われても仕方が無いのだが、近づけばもっと驚くだろう。ところどころさびは浮いているが、それ以上ひろがらないようにと手入れされているのだから。

誰が言い出したでもないが、それはいつの間にか、みんなで決めたつながりへの、もしかしたら、執着。

デジメモリを持っていた太一とヤマトが数歩前に出た。

空いた手にデジヴァイスを持って、自然に構える。

ホログラフィの姿が、ふわり、ともう一歩前にふたつ。

アグモンとガブモンは、微笑んで自分たちのパートナーをみる。

 

<デジタルワールドが元に戻ったら>

「あぁ」

<はじまりのまちで、待ってる。タイチ>

 

・・・・それが、どういう意味なのかわからないメンバーではなかった。

特にタケルと賢の表情は険しくなり、ほかの者もハッとした顔で二匹を見つめた。

だが太一もヤマトも、一瞬こそその表情を歪ませたが、そのまま無理矢理微笑み頷いた。

 

「あぁ。かならず、迎えにいくから」

<うん!>

「・・・・・・・ガブモン。ハーモニカ、練習しておくな。最近サボってたから」

<ほんと?楽しみだな、待ってるよ、ヤマト>

「もちろんだ」

 

そんなやりとりを覚悟にしたつもりだったが、待って、という凛とした声が状況を変えた。

 

「ヒカリ・・・・・」

 

その手には。

確かに力を光にして放つ、絆の証明。

 

「世界中の、とはいかないけど、わたしたちにだって手伝えると想うの。ううん、手伝わせて」

「ヒカリ」

 

太一は妹を呼ぶ。

妹は、微笑む。

大丈夫。信じてる。

 

「わたしたちも、力になりたいの」

 

手にしているのはD3。

みんなが無言で、同じように自分たちのデジヴァイスを掲げると、それらのほのかな光はより強いものとなった。

 

こころのちから。

絆のおもい。

それは。信頼すべき誠実。

それは。渇望する知識。

それは。乱れない純真。

それは。限りない優しさ。

それは。揺るがない愛情。

それは。つなげるべき希望。

 

それは。疑うことを知らない友情。

それは。尽きる事なき勇気。

 

「アグモン」

<おー>

「ガブモン」

<うん>

 

それは。

心を満たす、光が力になる「呪文」。

 

「「ジョグレス進化だ」」

 

溢れた光は木々が飲み込む。

公園周囲は気がつかなかっただろう。

そこに忠誠を誓うように跪いた白い騎士の姿を。

 

「オメガモン・・・」

<いってくる。>

「あぁ」

「デジタルワールドを、頼んだぞ。ふたりとも」

 

誰に言われるでもなく進み出た子どもたちに、誰もが笑顔を向けた。

任せるしかない相手。

この場合、デジヴァイスの有無など関係ないのだ。

あの世界の為に、戦う覚悟と資格。

彼らには、それが確かに在ると、誰もがわかっていた。

本当は自分たちもそこに加わりたい。一緒に戦いたい。

でも、それができないことも、解っている。

 

「は、はいっ」

「あ、あの!」

「ん?」

 

少年が、進み出た。

その目にある決意を聞くために、太一はしっかりと彼に目線を合わせ。

 

「絶対、おれ・・・俺たちクロスハートは、デジタルワールドを平和にして、そんでっ、みなさんのパートナーと、再会させますから!」

 

その宣言に、信じるという戦いを、改めて始める覚悟が生まれた。

 

「ありがとう。お願いね」

「がんばって」

「気をつけてね。無理はしないで」

「がんばれよ」

「お願いします」

「ふぁーいとっ」

「無茶はすんなよ」

「がんばって、ください」

「きっと、大丈夫だから」

 

 

 

「いってこい」

「今度は、成し遂げて、戻ってきな」

 

「はい!」

「いってきます!!」

 

それは。

・・・・・・きっと、起こるべくして、産まれる奇跡。

 

 

======

というわけで完結。

本当に希望的なあれなんで、うん。

楽しかったです。ほんとに夏原稿大丈夫か?俺

変則更新失礼しましたー

 

 

 

 

思わずOOOのコンボアルバム購入。勿論DVD付

かっけぇえええええちょぉかっけぇええええええええ

 

 
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