三途の水先案内人 小野塚 小町は紫煙を燻らせていた
今日、彼岸へ渡らせる予定の人間はあと一人、その前に休息をしているところだ。
以前はもう少し忙しかったものだが腕の良い医者が来てからというものめっきりと死者の数が減り、忙しく無くなった。
しかし、同時に人々にとって死が身近なもので無くなったということでもある。
『みんな、すまない・・すまない・・』
現世に家族を残してきたであろう男の霊は先ほどから家族の名前を呼び涙を流している
このような霊を無理に彼岸へ渡しても現世への執着が成仏できない魂を幽霊として現世へ残ってしまう。
そのようなことを防ぐため、現世の憤りも悲しみ、憎しみを置いて行く場所が三途の川である
と彼女は考えている。
やがて男の表情が穏やかになっていき、白く無表情な霊魂となったのを見届けてから彼女は船に乗り
仕事を始めることにした。
「お兄さん、今日はあいにく曇りだがこれから向かうところはとりあえず曇りではないよ、太陽があるかどうかは前世の行いと閻魔様次第、船が出るよ乗りなよ」
今日も小野塚小町はマイペースに仕事を行う
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さぼり癖がある小町さんも働く時は働くんです