No.241350

真・恋姫無双 花天に響く想奏譚 6話(2)

華狼さん

6話の(2)です。
やっちまった。 まぁ予定調和ですが。
「キャラ崩壊」「口調違う」等あると思いますが。もう半分オリジナルキャラと考えたほうがいいのかも。
詳しい言い訳はあとがきで。

2011-07-28 21:18:24 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2218   閲覧ユーザー数:1792

 

第6話(2) <動き出す色々 1-2>

 

 

 <エピローグでありプロローグ>

 

 ・エピローグ・

 

 ・想い 残って

 

 黒い空間に対峙する自分と相手。暗いのではなく、黒い空間。

 自分と相手の姿だけがはっきりと見えていて、それ以外の背景は全て黒。

 そんななか、二人で向かい合っていた。自分は刀を持ち、相手は素手のまま。

 そして一気に踏み込んで、相手に鋭く切りかかる。斬撃は相手の肩口に吸い込まれるように流れ、

 

 ーその相手は、斬撃が届く一瞬前に消えた。 雲散霧消の言葉を具現したかのように、背景の黒に溶け込むように、消えてしまった。

 

 むなしく刃は空を切り、周りを見渡しても相手はどこにもいない。即座に相手が消えたことを理解した。

「…だ…」

 虚無感だった。力が抜けて両腕はだらりと垂れて、持っていた刀は手から滑り落ちて黒い地面に沈む。

「やだ…」

 そして、もう相手は現れないことを理解した。

「やだぁ…」

 もう   二度と   彼は

 

 

「!!!」

 そこで目が覚めた。はねるように上体を起こすと、そこは当然自分の部屋のベッドの上。

「っ、 また、か…」

 カーテンの隙間からは明けはじめの空が見えていて、結果的に少し早起きになったらしい。

 時計の針を見れば4時30分。 最近こんな目覚めばかりだった。

「…ふぅ、 嫌な目覚め、だな。」

 そうつぶやくと、再びぱたんとベッドに仰向けに倒れこんで天井を眺めた。

「…まだ、 …某は…」

 不動 如耶の今日という一日は、こうして始まった。

 

 ・想い ひたすらにぃっ!!

 

「うおおぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 時と場所は放課後の聖フランチェスカ学園剣道道場。そこに気合の声が響く。

 

 竹刀を構えて烈々の気合一発、声の主は一足飛びに飛び込みつつ、

 

「好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 …もう何て言ったらいいのか。あえて馬鹿っぽいという突っ込みはしないでおこう。そう、あえて。 いくらこんなでも、真摯な思いを馬鹿っぽいとは言ってはいけない。そう、馬鹿っぽいなんて。

 

 唐竹に鋭く振り下ろされた竹刀が届くより一瞬前に、如耶は対応できない程の早さで踏み込んで、

 

「ふっ!」

 相手の横を過ぎつつ胴を薙いだ。

 

「ぐほぇぁっ!」

 そんな声を出す相手だったが、そう強く打ってはいない。むしろ当てた程度のもので、しかし相手の推進力によってカウンター気味になった威力は持っているからそれなりには痛い。 だが相手との速度の相乗効果の中で竹刀を当てるだけ、且つ威力をちょっと痛い程度に留めるというのは相応の実力がないと出来る事ではない。

 

「一本っ!!」

 審判役の女生徒…まぁ、本式の試合ではないが…が胴ありを告げると、如耶の周りを他の剣道部員が囲む。

 全員が女生徒で、多くの目はリリーホワイト(百合色)の輝きを放っていた。

 

「はぁ~、不動先輩ほんとにかっこいい…」

「流石お姉さま!やっぱりお強いですぅっ!」

「はいはい、負けたんだから早く出てって。」

 

 黄色い声を如耶が浴びる中、負けた男子生徒は道端の石ころみたいな扱い。 まぁ、この剣道部ではもうよくある光景として定着しているのだが。

 

「く…そ、あと少し、だったのに…」

「なーに言ってんだよ、ろくに反応できてなかっただろが。」

 負けた、短髪で如耶と同じくらいの身長の二年生男子、名を千道 昌樹(せんどう まさき)に、ボーイッシュな女生徒が突っ込んだ。

 他の女生徒が一切気にしていない中、一人だけ昌樹に声をかけたのは単純に優しいだけなのか。

 因みに二人は幼馴染の腐れ縁であるというのは  どうでもいいことかな。うん。

 

「そんなことは無い!前よりかは見えてる!はず! だからおれは諦めない!絶対に先輩に勝って振り向かせてみせる!!」

 

 目の中に炎が見えたり見えなかったり。一昔前のスポ根かあんたは。内容は恋愛ものだけど。

 

「いや千道、いいかげんに諦めてはくれぬか?」

 呆れた顔で如耶、昌樹の前に歩み出る。

 

「何度も何度も言ったが、某は誰かと交際だとかをするつもりは一切無い。故にお主が勝ったとしても、それで某がなびくということは無いぞ。」

 

 そう。この千道、如耶に惚れたと公言する、この剣道部とは違う道場に所属していて相応に実力もある熱血純愛野郎(謎)。そして単細胞且つ単純な性格で、紆余曲折があったらしく何をどう間違ったのか、 『先輩をおれの強さで振り向かせる!!』と、先の叫びの如くこれまた馬鹿っぽい考えに至って今現在。

 

 不定期に一騎打ちの一本勝負を挑んでくるようになった。 今のところ、全戦全敗。

 

「そうですわ。 如耶お姉さまが貴方なんかになびくなどということは絶っっっ対にあ・り・え・な・い、こと。ですからもう諦めることです。」

 

「はんっ、先輩に振られたやつが何を言う!!」

 

 売り言葉に買い言葉だったが、端的に言えば『言っちゃった』だった。 

 

 周りの温度がスッと低くなったかと思えば、

 

 そこにいた剣道部員の内、多くが昌樹に近寄って、

 

 

 

 

「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

 

 

 

 

 

 風の噂では、昌樹の尻から竹刀が生えたとかなんとか。

 

 南無。

 

 ・想い 隠して

 

 一刀が死んだことになって、もう十日が経っていた。

 

 せめて最後をと多くの生徒が家に来たが、葬式は身内だけでとされた。 なにせ、その一刀がそもそも存在しないからというのが本当の理由とはいえないからだった。

 

 如耶は一刀が死んだと聞かされて、次の日から二日連続で学校を休んだ。しかし三日目からは普通に登校して、翌日の対外試合で他校の主将に圧勝するという快挙を成した。 

 

 二日休んだ後の如耶は普通だった。タイミング的に一刀の死が関係しているのは確実だったが、別段暗く沈んだ様子は無かった。以前と変わらない、凛とした如耶だった。

 

 だが、

 

 

 

「すまぬが某、誰かと交際する気は毛頭無い。」

 

 ある日の放課後の校舎裏。如耶は告白を受けていた。 

 …一年の『女子』から。 過去にも何度かあったことだからどうということも無いが。

 

「…やっぱり、あの北郷先輩と付き合ってたんですか?」

「…やっぱり、とは?」

 

「だって噂になってたし、…如耶先輩、北郷先輩が亡くなったって日から二日も休んで…」

 言い辛いことではあるが女生徒は確と言った。 多少特殊な愛だが、本人からすれば真剣なこと。

 振られるなら、その理由を知りたいのは道理というものだろう。

 

 如耶はそんな女生徒に、

 

「…実は北郷は古い友だ。 だからそれなりに交流があった。 故、その死を尚のこと重く思った。

…それだけだ。」 

 

 あくまで平静な声音で、そう言った。

 

 ・想い 向き合って

 

 実際は平静なわけが無かった。

 

「はぁっ! むんっ せいっ、…、はぁああっ!!」

 

 豪奢な邸宅の中に離れという形で存在する道場で、如耶は剣を振っていた。

 

 服は白の道着に藍の袴で、髪を高い位置で括っている。まさしく女剣士というその姿、だった。

 うん、やはり黒ストレートのポニーテールはいいもんです。

 携えるは刃の付いていない日本刀。ただ、安い模造刀などではない如耶自身が鍛造に関わった本物の日本刀で、刃が付いていない以外は真剣となんら変わりは無い。

 銘は『東雲(しののめ)』。初心忘れるべからず、の意味を込めての銘だった。 

 切っ先も尖っているが、戦闘に用いるとすれば鈍器の性質が強いと言えるだろう。

 自分の中にかかる霞を払拭するかのように、如耶は東雲を振り続ける。

 

 死んだと聞いたその日のことは正直あまり覚えていない。ほぼ放心していたせいだろう。そしてその日は部活が無い日で、しかし剣術の修練のために席を置く流派の道場へと赴いたときに師匠から

 

「如耶、 …一刀君が亡くなったというのは …聞いておるか?」

 と、言われた刹那。 そこでようやく我に返って状況を理解した。感情が決壊して、泣き崩れた。

 

 その夜は寝付くまで泣き通していた。 そして次の日、起きたときこそが最悪だった。

 一刀が死んだということが事実だと 現実だと改めて記憶が、冷静になった自分に突きつけてきて再び頭の中がぐしゃぐしゃになった。 その日は、学園を休んだ。

 

 翌日も如耶は休んだ。今度は虚無感が纏わり付いてきた。大事な、本当に大事なものを失った喪失感。カーテンを閉め切った暗い部屋のなかで、真っ白であり真っ黒な心でずっと虚無感を反芻していた。

 

 だがそんな状態であっても自殺だとかの短絡的な考えを抱かなかったのは、ひとえに如耶の心が強かったからだろう。 虚無感と一緒にあったのは、一刀の死を受け入れる意思だった。

 

 二日に渡って、四十時間以上の混沌を一人で過ごしている内に、何度も悲哀がフラッシュバックして涙が流れて、幾度も後悔が頭を掻き回した。 しかしその中でも、一刀の死が現実だと、事実だと理性が自分に突きつけた。後悔と悲哀を理性が浮き彫りにして、そのせいで尚のこと苦しかった。

 

 辛かった。 いや、『からい』じゃなく『つらい』ね。空腹すらも忘れるほどに辛かった。

 痛かった。 胸が有刺鉄線で締め付けられるみたいに痛かった。

 

 心の強さ故、壊れず、現実逃避しなかった。そのせいで痛く、辛く、苦しく、泣きに泣いた。壊れないよりむしろ『壊れられなく』、逃避『できなかった』としたほうが正しいだろう。

 

 だが、それが本当の心の強さ。 現実に背を向けず、決して逃げなかった。向き合って、自分で自分に突きつけて、出来なかったことを後悔して。

 

 でも、それでも。如耶は受け入れた。

 

 現実として受け止めて、

 

 三日目、如耶は登校した。

 

 

 なにより自殺なんかに考えが走らなかった一番の理由は、

『一刀を追って死ねば、一刀は自分のせいで某が死んだと考える。』 

『一刀は決して、某の死を望みはしない。』

 そう思ったからだった。

 

 一刀のことを心に秘めて、これからも。 

 

 生きていこうと。

 

 ・想い 消えることは無くて

 

 …まぁ、これで『いい話だなぁ』で終わればよかったのだが。そんなことは無かった。 作者もそんなの書くの正直嫌です。つまんないし。

 

「…もういない。」

 広い畳張りの上で如耶は刀を振り続ける。 相手の唐竹、及び突きを横に弾いて、勢いそのままに相手の間合いの奥へと踏み込んで回転、ほぼ背後に回りこんで背中を切りつける。という『入り旋(いりつむじ)』を素振りで行う。 これはむしろ拳法寄りの性質の技で、誰かとの研鑽でより磨きがかかった如耶の気に入ってる技なのだが、誰かというのは…いわずもがな、だろう。 

 

「…っ、もう居はしないっ」

 いくら刀を振るっても、かかる霞が晴れることはない。

 

 受け入れただけであって、如耶の中で忘れたわけではなかった。

 学園ではそれこそ二日連続で休む前と変わらない様子で過ごしている。一刀との噂があり、且つ今回の休みによって好いていたのが確実と思われていたが。他にも一刀の死を知って未だ閉じこもっている生徒がいる中、…その中には女性の先生もいるとかなんとか…その変わらない様子によって、そして先の告白されエピソードと同じ内容を一刀とのことを訊かれた際に話したことで、 単に仲のいい間柄だったというのが浸透した。

 

 当然、そんなのは嘘だった。強がりだった。気位の高い性格故、弱みを見せまいとしてこうなった。

 立ち直ったのは対外的な面を取り繕っているからそう見えているだけで、そもそも十年以上思い続けた気持ちはそうそう消えるものではない。

 

 二人の祖父同士、更に如耶の剣術流派の師匠は古い友人で、幼い如耶が剣術を学びだしたときに一刀とは出会った。武道でない武術を身に着けている、如耶と同じ年頃の子ということで時折異種格闘技戦の形の組み手をしていた。 まぁ、その時から既に絶対的な実力の差は明らかだったが。

 

 その時点で幼いながらも一刀を好いていた。 だが数年後に如耶の祖父が亡くなってからは疎遠になった。一刀が国内外の案件に、不二に付いて行きだしたのも疎遠になった理由の一つだった。

 

 のち、それらが思い出になりかけた頃に、如耶は学園を見学しに来た一刀と再会した。

 

 そして一刀が入学してからは、如耶の流派の道場を人払いして師匠の立会いの下組み手をしたり、時には自宅の道場で特訓したりもした。 如耶の師匠も表の世界ではそれなりに鳴らした腕前で、その流派自体も古くから存在するものであったが、所詮は表の世界の強者。今の一刀にすら及ばないどころか如耶は既に彼を超えている程度だったから、彼からしても一刀との組み手はこの上ない鍛錬になっていた。 とは言っても、彼が弱いのではなく如耶や一刀が強すぎるから、なのだが。

 

 それから如耶の実力は跳ね上がる。元々充分強かったが、壱身流の『爆足』の一部を取り入れたり、一刀の動きに付いていく内に体捌きや反応の速度が上がることで飛躍的に強くなっていった。

 

 一刀のおかげだった。

 実際の研鑽だけでなく、一刀と並びたいと、

 

 好きな男と同じ目線に立ちたいと願った末、如耶は今のように強くなった。

 

 好きだった。 強いから好きになったのか、それか好いた相手が強かったのかは分からない。

 否、一刀だから好きになったのだろう。 自分が遠く及ばない強さを持っていながらそれを隠匿して、且つその力を過信せず、驕らない。 むしろ性格はその強さ故なのだろう、優しく他人を優先する傾向にあり、そしてその優しさから、多くのことを見聞き体験してそれでも人を信じるという結論に至った深い心、その心が出す達観した、されど気取らない雰囲気。 すべてが、好きだった。

 

 そう想っていた一刀が死んだ。 立ち直れるほうがどうかしているというものだろう。

 

 空虚、だった。対外試合で勝とうが、他流試合で剣を交えようが、心が埋まることは無かった。

 

 それどころか十日経った今でも、発作的に感情の波が押し寄せる。

 

「…っ、いいかげんにしろ! 北郷はもうどこにも居ないっ!!」

 太刀筋の乱れは心の乱れ、その逆もまた然り。振りがわずかに大きく、無駄が生じ始める。

 

 自分で自分に言い聞かせる。だがそれを今更認めたくない自分が存在する。葛藤はすればするほど雪だるま式に大きくなり、その黒い雪玉は如耶の背後に迫って、

 

「北郷はっ、」

 

 押しつぶされそうになるのを自覚した刹那、如耶は手に持った刀を手放して道場の神棚に走り、置かれている真剣を取って、

 

「、もう死んだのだっ!!!」

 

 傍にあった巻き藁を、横一閃に斬り飛ばした。

 

 一瞬後、巻き藁の上半分が床に落ちるのに先駆けて、ドスッ という音が鳴った。

 巻き藁を斬り飛ばした途端、目釘が折れて刀身が抜け、横の壁に刀身が突き刺さったのだった。

 

「…、もう、 北郷は 」

 真横に綺麗に芯の竹をも切り裂いたことも、刀身が飛んで突き刺さったことも、如耶の意識には無かった。

 

「っ、 ぅ、ぐ… うっ… うぅっ…」

 膝を付いて、涙が頬に流れて、嗚咽をもらす如耶には、

 

 未練だけ、だった。

 

 ・そしてプロローグ・

 

 ・声

 

 黒い空間に対峙する自分と相手。暗いのではなく、黒い空間。

 自分と相手の姿だけがはっきりと見えていて、それ以外の背景は全て黒。

 そんななか、二人で向かい合っていた。自分は刀を持ち、相手は素手のまま。

 そして一気に踏み込んで、相手に鋭く切りかかる。斬撃は相手の肩口に吸い込まれるように流れ、

 

 ーその相手は、斬撃が届く一瞬前に消えた。 雲散霧消の言葉を具現したかのように、背景の黒に溶け込むように、消えてしまった。

 

 むなしく刃は空を切り、周りを見渡しても相手はどこにもいない。即座に相手が消えたことを理解した。

「…だ…」

 虚無感だった。力が抜けて両腕はだらりと垂れて、持っていた刀は手から滑り落ちて黒い地面に沈む。

「やだ…」

 そして、もう相手は現れないことを理解した。

「やだぁ…」

 もう   二度と   彼は

 

 

 『会いたい?』

 

 

 声。 か細く、しかし確かに聞こえる不思議な声がした。

 波紋が渡るように、黒い空間そのものに響くように広がって消えていく。

 

 

 『全部手放すことになっても、

 

 辛いことを否が応でも味わうことになっても、 (…まぁ、あの彼だから女性関係であれだろうけど、)』

 

 

 なにやらつぶやいた最後のは聞こえなかったが。 ってかあれってどれだ。

 

 

 『それでも会いたい?』

 

 気を取り直して、な様子が目に浮かぶように言葉が若干乱れたが。 誰にと問うより前にその声は、

 

 

 『北郷 一刀に。』

 

 

 静かに、その名前を出した。

 

 

 

 

「!!!」

 そこで目が覚めた。はねるように上体を起こすと、そこは当然自分の部屋のベッドの上。

「っ、 なん、だ 最後のは…」

 近頃よく見る夢とは違った。否、最後のか細い声だけが違った。いつもは喪失感が嫌な余韻を残していってそこで目が覚めるか夢が終わるのだが。

 

 しかし所詮は夢。夢は深層心理や願望が現れるということだが、つまりそれだけ一刀のことを想っていることの裏づけだった。 いつもの一刀が消えていくのもそれだけ死から立ち直っていないことの表れ。

 

 そして、

 

 「   …、今一度会えるものなら、」

 残った印象が変に生々しい夢だったせいか、如耶、わずかに呆けて虚空を見つつ、

 

 「 会いたいに決まっているだろう…」

 夢の中の声とはまた違う、か細く弱弱しい独白がもれた。

 

 

 あの声も、生きて再会したい、と切に願っていることの表れなのだろう。

 

「ふっ、 夢に逃避でもするつもりか、莫迦者が。」

 自嘲気味に呟くと、如耶はベッドから出てカーテンを開けた。

 

 不動 如耶の今日という一日も、こうして始まった。

 

 ・Side Somebodies か細い声の主

 

 「…うん、よし。   いける。」

 

 ここと彼女は『どこか』の『か細く、しかし確かに聞こえる声』の主。

 

 今また大それたことの幕が上がろうとしている。

 

 準備は完了。 最後の鍵は『あの人』の『想い』。

 

 始まりは自分の『想い』。

 

 だって、 かわいそうだから。

 

 

 また、想奏譚が響きはじめる。

 

  想奏譚 重なり合って 幾重奏  

 

                  

「…字余り。季語も無いし。」

 

 

 …地の分に介入するのはやめなさい。

 

 あとがき

 

 どうも。やっちまった華狼です。

 

 さあまずは不動先輩の言い訳をば。

 まず、いくつか前の「私的解釈」のサブストーリーで先輩を出しましたが。そのときに設定考えすぎてしかもなんだかかなり感情移入しまして。これは放置するのはちょっと、と思って今回出しちゃいました。 いや放置しても良かったのですが。一刀との設定を考えてるうちに本編に出したらこんな感じかなと想像が暴走して今現在。 後悔はしてない…よね?(訊くな)

 それと口調の件ですが。「~でござる」の口調はこの作品では扱いません。一人称は某(それがし)ですが、堅苦しい口調、に留めたほうがより武士っぽいと思っての判断です。 原作を否定してるわけではありませんが。そもそもやってないですし。

 

 まぁともかく。そういうものとして大目に見てください。

「キャラ崩壊ってレベルじゃねえぞ」「あの口調だからの不動先輩だろ」「ってかさっさと本編進めろ」等の意見は全面的に受理します。原作のファンも多いでしょうから。    …ただ、

 

 

 

 反省はしないけどなっ!!(えっへん!)

 

 

 とにかく色々となんだか伏線も張れてきたようで私は上々ってな感じです。

 

 

 では。また。

 

 

 

 PS これ以前の不動先輩の口調も直しておきます。

 

 

 

 もう一個PS 黒髪はストレートロングが一番綺麗。異論はちょっと認める。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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