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真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1―4

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1―4
更新させていただきます。

仕事との両立、やはり厳しいです(疲笑)

2011-06-24 00:09:16 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:12379   閲覧ユーザー数:9791

 

 

 

 

この作品は恋姫無双の二次創作です。

 

三国志の二次創作である恋姫無双に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方は 次へ をクリックし、先にお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

幽州城内の一室。

必要最低限の調度品しか置かれていない簡素な部屋。

 

 

???「う~~~~~~~~」

 

 

その部屋の机の上にうず高く積み上げられている竹簡がうめき声を上げる。

いや、ここは言いなおすべきだろう。どこの世界にも、声を上げる竹簡など存在しない。

すなわち、この恨めしそうなうめき声は、この普通な部屋の主、公孫賛のものである。

 

 

公孫賛「あ~~~~~~~~」

 

 

うめき声を上げながらも竹簡に目を通す彼女。だが、すでに限界が近いようで、動きが緩慢になっていた。

 

 

が、しかし―――

 

 

 

<コンコン>

 

 

 

頭をがしがし掻きながら、案件のひとつひとつに目を通していた彼女が、自室の扉を叩く音に顔を上げる。誰が扉を叩いたかなど、一目瞭然・・・・・いや、一聴瞭然と言うべきだろうか。この時代、ノックなどと言う行為を行うものは皆無に等しい。ただ一人を除いては。

 

 

公孫賛「・・・入っていいぞー、北郷」

 

 

最早、ノックという行為自体が誰が来たかを知らせるような物なので、公孫賛はすぐ扉の向こう側にいるであろう人物、北郷一刀へ部屋に入ってくるよう促した。

 

 

 

 

 

 

 

一刀「失礼しま~・・ってうわっ!・・なんだこの竹簡の量!」

 

 

一刀が驚くのも無理は無い。文字通り山積み、である。

 

 

公孫賛「お茶ならどっかその辺に置いといてくれ・・・」

 

 

一刀「あ、あぁ・・・」

 

 

竹簡の陰からひょっこりと顔を出したやつれ顔の公孫賛の指示に若干引きながらも、もう一つあった小さい机に茶を置く一刀だったが、その目線だけは竹簡から離さなかった。

・・・もとい、離せなかった。ただただ圧倒されるばかりである。

 

 

一刀「伯珪さん、これ一人でやってんの?」

 

 

公孫賛「あぁ・・・、うちは人がいないからさ、ちょっと勝手が分からないってだけで、全部私に回ってくるんだよ」

 

 

一刀「ん?他の文官さんはいないのか?」

 

 

公孫賛「文官っていっても俄か文官が多くてな、字は読めるけど書けませんだの、字は読めて書けるけど案件の内容が分かりませんだのってさあ・・・・」

 

 

一刀「こ、こっちの竹簡の束はもう終わったやつなのか?」

 

 

ネガティブモードに突入しかけた公孫賛の意識を無理やり別方向へ持っていこうと画策した一刀は、先ほど茶を置いた机の上に積まれる竹簡を指差す。

公孫賛の机の上にある竹簡の量と比べると見劣りするが、決して少なくは無い。

 

 

公孫賛「うん。そっちはさっき終わらせたやつ。色んな報告書だよ」

 

 

一刀「ふ~ん・・・・・」

 

 

一刀は何の気なしにその中のひとつを取り上げる。

その仕上がっている竹簡に目を通し始めた一刀だったが、しばらくの間、流れるようなスピードで内容を読んでいた目が、唐突に止まった。

 

 

一刀「伯珪さん。ここの字間違ってないか?」

 

 

公孫賛「えっ?どこだ」

 

 

一刀「え~と・・・・ここ」

 

 

公孫賛が立ち上がって、一刀の元へと歩いてくる。

 

 

公孫賛「どれどれ・・・・・あ、ホントだ。ありがとな、見つけてくれて助かった」

 

 

一刀が示した竹簡の一文。

これでもかというくらいにあからさまな誤字を一刀の指摘によって発見した公孫賛は、その竹簡を受け取ると、「ま~たやり直し・・・・やり直し・・・」と言いながら、修正するためだろうか?自分の席へと戻って行った。

 

 

一刀「あはは・・・・」

 

 

そんな公孫賛を苦笑いで見送りながら一刀は他の書簡にも手を伸ばす。

街の環境整備から各邑の要望。

死者数や追剥、山賊、盗賊の問題。

軍備の手配や、警備の雇用改善などなど、様々な内容だった。

 

 

そんな中、一刀はふと気がつく。

 

 

一刀「・・・・読めるようになってる。・・・・おお!字が読めるようになってるぞおぉぉぉぉ!」

 

 

竹簡の内容は全て漢文で書かれているため、読むのに一苦労しそうだと思っていた一刀だったが、寝食の時間以外はできるだけ本を読んで過ごし、また、片手間に書きの練習もしていたのが功を奏したのか、頭にすらすらと内容が入ってくる。

一つ壁を乗り越えた自分自身に胴上げをしたい気分だった。

 

 

しかしそれも束の間―――

 

 

今この状況で漢文が読め、なおかつ内容が理解できるというスキルを持つことは自殺行為に等しかった。

 

 

公孫賛「・・・・北郷。字、読めるようになったのか」

 

 

一刀「あ、あぁ・・・・一応」

 

 

ゆらり・・・・という効果音が似合いそうな足取りで竹簡の陰から姿を現した公孫賛の姿に引きつった笑いで答えながら、一刀は心の中で

 

 

・・・・・俺、なんかまずった?

 

 

と、思った。

 

 

 

 

 

 

満身創痍の公孫賛の姿に同情しつつ、一刀はじりじりと後ずさる。

星とは別の意味で嫌な予感を感じる一刀ではあったが、面倒事は避けたいと思う反面、公孫賛の役に立ちたいとも思っていた。

もちろん、こんな得体の知れない自分を保護してくれたという恩がある。

 

 

 

 

しかし、それを差し引いたとしても公孫賛を放っては置けなかったと思う。

必死に頑張っているのに報われない典型的な不幸体質。

最初にその不幸っぷりを目の当たりにしたときは思ったものだ。

人間、<幻想殺し>なんて持たなくてもそれなりに不幸なんだな、と。

 

 

 

公孫賛「内容は!」

 

 

一刀「へっ?」

 

 

自分の世界に浸ってもっともらしいことを言っていた一刀の意識が、公孫賛の声で無理やり現実へ引っ張られる。

 

 

公孫賛「内容は理解できるのか!?」

 

 

一刀「あー・・・・・うん。それなりに」

 

 

鬼気迫る公孫賛の表情に気圧された一刀は、あいまいとはいえ肯定した。

その返事が、今日の自分の運命を決めるとも知らずに。

 

 

一刀「でもそれがどうし――――」

 

 

公孫賛「頼むっ!手伝ってくれっ!」

 

 

一刀「おわっ!」

 

 

 

そう。目にうっすらと涙を溜めた同世代の女の子に、下半身にすがりつかれるという「え?なにこれ?新手のプレイ?」的な、拒否権皆無のお願いをされるとも知らずに――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「お、終わった・・・やっと・・・」

 

 

頭が熱暴走でも起こしそうな数の案件に目を通し、公孫賛と二人掛かりで竹簡を処理し終えた頃には、窓から入ってくる光はオレンジ色に染まっていた。

つまり、ほとんど一日中案件処理に追われていたことになる。

 

 

公孫賛「お疲れ様。いや~助かったよ北郷」

 

 

一刀と対照的に公孫賛はやりきった感満載の晴れ晴れとした表情。

案件を半分にしたのが良かったのか、公孫賛の処理速度は上がっていき、それどころか自分の分を終わらせた後、まだ終わっていない一刀の分も手伝ってくれたのだ。

もちろん一刀は素人。公孫賛に、分からない所をたびたび聞きながらの作業だった。

・・・・まぁもちろん、素人の一刀が普段これを生業としている公孫賛と処理するスピードが同じであったならそれはそれでおかしいのだが。

 

 

 

公孫賛「はいこれ、お茶」

 

 

一刀「・・・ありがと」

 

 

満身創痍の一刀に公孫賛が、いつの間にか淹れたお茶を差し出した。

緩慢な動きでそれを受け取る一刀。熱さに注意しながらお茶を口に含む。

 

 

一刀「ふぅ・・・・・・」

 

 

疲れた体に(というか頭に)お茶が染み渡っていく。仕事に集中し過ぎていたため、喉が渇いているのも忘れていた。

 

 

 

・・・・爺臭い?ほっとけ。

 

 

 

公孫賛「うん・・・うん。よし!書き洩らし無し!修正箇所も無し!」

 

 

一刀「全部完璧?」

 

 

公孫賛「あぁ。北郷のおかげだよ。ホントにありがとな!」

 

 

 

喜色満面という表現がぴったりな状態の公孫賛。

そんな公孫賛を見て、一刀も自然と笑顔になる。

それと同時に、役に立てたという深い安堵感も感じた。

 

 

一刀「いや、伯珪さんの役に立ててよかったよ」

 

 

公孫賛「うん。そう言ってくれるとうれしいよ。あー・・・・ところで北郷。物は相談なんだけど・・さ」

 

 

 

一刀「ん?」

 

 

 

喜色満面から一転。

言い表そうにも的確な表現が見つからない表情をした公孫賛に、一刀は首を傾げる。

そして―――

 

 

公孫賛「このままうちで文官として働かないか・・・!」

 

一刀「いいよ」

 

 

 

即答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

公孫賛「うん・・・・まぁそうだよな。いいんだ、こんなこと突然言われても普通断るもんな。北郷は気にしなくていいよ。無理言ってるのは私だし。いいよ、なんて言われるのも当たり前――――――――――ん?」

 

 

 

 

部屋の中を歩き回りながらぶつぶつ言っていた公孫賛の動きが一瞬固まる。

そして待つことたっぷり3分。

 

 

公孫賛「ほっ、本当か北郷!!!本当に良いのか!?」

 

 

なぜだか、めちゃくちゃ慌てた公孫賛が一刀に詰め寄った。

 

 

一刀「いや、というよりこっちが聞きたいぐらいなんだけど。本当に俺なんかが文官になってもいいのか?」

 

 

公孫賛「なに言ってるんだよ!ぜひ!というかお願いします!」

 

 

一刀「ちょっ!伯珪さん」

 

 

混乱のせいなのか、頭まで下げ始める始末。

そもそも、頭を下げられてまで依頼される理由もないので、慌てて一刀は公孫賛に頭を上げさせた。

 

 

公孫賛「・・・北郷。うちは今人材不足なんだ。さっきも言ったように、字の読み書きができて、なおかつ内容も理解できる人間は限られてるんだよ。だから、北郷の存在はもの凄く貴重なんだ。でも、多分その分色々と仕事をやってもらうことになる。毎日とは言わないけど、今日みたいに仕事の多い日もある。・・・それなのに即答なんてしていいのか?」

 

 

ある程度冷静さを取り戻した公孫賛の真摯な瞳に見つめられる。

しかし、一刀は揺るがない。それどころか今の公孫賛の言葉を聞いて、よりいっそう決意を固めた。

 

 

一刀「人間適材適所だよ。それに、伯珪さんの苦労を少しでも少なくすることができるなら、断る理由は無い。俺、状況を知って放っておけるほど薄情な人間じゃあ無いつもりだし」

 

 

なんの迷いも無く、一刀は笑顔でそう言った。

 

 

公孫賛「北郷、お前・・・・・・・・お前良い奴だなあぁぁぁ!!!」

 

 

一刀「おわあっ!」

 

 

目尻に涙を浮かべた公孫賛が、今度は感極まって飛びつく。

しかもダイレクトに。

 

 

反応が遅れた一刀は、そのまま公孫賛に抱きつかれる形となった。

公孫賛の身長は一刀よりも少し低いので、唇が触れ合うなんていうアクシデントは残念ながら起こらない。

しかし、正面から抱きつかれているということはつまり―――――――

 

 

一刀「は、伯珪さん?あ、当たってるんだけど・・・・」

 

 

そう。なにが、とは言わないが物理的に当たっているのだ。

大きくもなく、ましてや小さいとも言えない普通な何かが。

 

 

公孫賛「へ?当たってるって何が――――――!」

 

 

今の自分の状況。つまり、自分が異性に抱きつき、あれが当たっているということを理解した公孫賛が再び固まる。

ただし、さっきと違うのは――――

 

 

公孫賛「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

<ボグスッ!!>

 

 

一刀「ぐはあっ!?」

 

フリーズ状態から解凍に至るまでの時間がとても短かったことか。

もう一つ付け加えるとするならば、一刀の腹に見事なボディブローを叩きこみ、風のような速さで逃走したということである。

 

 

一刀「き、今日は・・・厄日・・か?(ガクッ)」

 

 

 

 

その後、気絶した一刀が発見されたのは次の日の翌朝のことだった。

 

 

 

 

 

 

【あとがき】

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1―4

幽州の日常その3

更新させていただきました。

 

 

 

一つ前の作品で報告した件ですが、やはり仕事の忙しい時期に執筆するのは厳しく、少し遅れた更新になってしまいました。

これも作者の不徳が故・・・・面目次第もございません。

 

仕事内容と小説の内容が脳内でごちゃごちゃになっているので、その影響が出ていないと良いのですが。頑張って更新させていただきますので、皆さま、よろしくお願い致します。

 


 
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